田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

データの記載には人並みの注意を払っているつもりですが、一人で書いておりますし、人間のすることですから、間違いが全くないというわけはないと思います。間違いにお気づきになられた方は、 tamuratetsutaro@gmail.com にご一報いただければ幸甚に存じます。 なお、投資は自己責任でお願いします。当方では、当ブログの記載に基づくいかなる責任も負うことができません。

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51日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアで上場している不動産開発会社のうち、最大規模の企業であるリッポ・カラワチ(Lippo Karawaci)の2014年代1四半期決算は、売上が対前年同期比36%増加の1兆ルピア(約85億円)、純利益が同35%増加の3390億ルピア(約29億円)となったとのことです。

 

リッポ社は、単なる不動産開発企業にとどまらず、ショッピング・モールの運営、病院経営、ホテル経営、アセット・マネジメント等を収益源としており、これら各部門からの収益が全体の増収に貢献しているそうです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/lippo-karawaci-posts-q1-net-income-29m/

インドネシアの不動産開発会社リッポ・カラワチの2013年上半期の決算は、売上が対前年同期比27%増の3.07兆ルピア(約267億円)、利益が同25%増の5460億ルピア(約47億円)となったと、930日のジャカルタ・グローブ紙が伝えています。

 

同社が抱える各部門のうち、売上に最も貢献したのは、住宅・都市開発部門で、売上は対前年同期比17%増の1.32兆ルピア(約115億円)、2番目が病院部門で、同48%増の1.2兆ルピア(約104億円)でした。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/lippo-karawaci-1st-half-profit-up-on-higher-revenue/

 

リッポ・カラワチの病院部門は、同社が大株主となっている株式会社シロアム国際病院(Siloam International Hospitals)であり、シロアム社がIPOを行ってリッポ社が多額の上場益を手に入れたことは、912日の当ブログでご紹介したとおりです。

 

私が、当ブログの主たる情報源としているジャカルタ・グローブ紙も、リッポ・カラワチの1部門ですから、同社を不動産開発会社と呼ぶと、日本の読者には誤解を与えかねません。

 

ただ、インドネシアの不動産開発会社は、同社に限らず、多くの会社が、単に住宅やビルを建てて売ったり貸したりするだけではなく、大規模商店、病院、大学、研究機関、住宅、レクリエーション施設等々からなるひとつの街を、一体的に、独力で作り上げて運営して利益を生み出していますので、同社のビジネスモデルが特に珍しいというわけではありません。

 

インドネシアの不動産開発会社は、こういう多角的な事業を手がける会社であるとご理解いただくことにして、業種としては、不動産開発会社に分類させていただくことにします。

912日のジャカルタ・グローブ紙は、先週、成功裡にIPOを果たしたシロアム国際病院(Siloam International Hospitals)が、この日に株式市場での取引にデビューしたと報じています。

 

医療法によって、営利行為や利益の配当を禁止されている日本の病院と異なり、インドネシアの病院は株式会社による運営が認められているようです。

 

シロアム社は不動産企業の中では時価総額でインドネシア最大のリッポ・カラワチ(Lippo Karawaci)社の子会社です。今回のIPOでリッポ社は、保有するシロアム社株100%のうちの13.5%を売却し、1.4兆ルピア(約120億円)を手に入れたそうです。この資金は、シロアム社が経営する13の病院(ベッド数は合計で3436床)のサービス向上のために投資されるとのことです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/siloams-stock-to-make-trading-debut-under-silo/

 

日本の病院は、法によって公益性を要求されて入るものの、その実態は金儲け第一主義の病院が少なくないのは公知の事実です。かつて報道で有名になった奈良の病院などは、切らなくてもよい健全な臓器まで摘出して金儲けに励んでいました。

 

これは極端な例でしょうが、私立大学医学部の途方もない授業料を前提にすれば、勤務医以外の医者の何割かが金の亡者になるのもうなずけますし、そういう医者が経営する病院が、無意味または有害な検査や薬品投与に明け暮れるのも自然な成り行きです。

 

インドネシアでは、株式会社による病院経営が認められているので、無意味または有害な検査や薬品投与が日本の病院同様になされる可能性も否定できない代わりに、優秀な経営者によって日本の病院では期待できない効率的で無駄のない病院経営が行われ、高度な医療サービスと合理的な対価が両立する可能性も期待できます。

 

現在50歳以上の世代の日本人は、民営化する前のJR、すなわち日本国有鉄道(国鉄)の最低レベルのサービス、高額な運賃、垂れ流しの巨額赤字をご記憶のここと思います。

 

営利と配当を目的とする株式会社によって、国鉄は、JR東日本とJR東海については、世界最高レベルのサービスを提供する事業体に生まれ変わりました。

他のJR各社については、JR北海道のような失敗例もあるので、民営化が常に素晴らしい結果を導くものとは限らないようですが、全体としてみれば、あのまま国鉄が継続するよりは、よほど望ましい状況に至っていると思います。(JR北海道については、赤字路線継続を前提とした民営化がなされており、そもそも経営陣に自主的な経営権が与えられていないのですから、組織形態が見せ掛けの株式会社になっただけで、実態は公営企業のまま民営化されていないのだろうと思います。)

 

日本の公営病院には大赤字を抱えているところも少なくないようです。株式会社による病院経営を合法化し、赤字の公営病院を株式会社化すれば、国鉄がJRに生まれ変わったように、サービスの劇的向上とコストの削減が両立できるかもしれません。

 

日本において金儲け第一主義の病院は既に乱立しています。ためしに規制緩和をしてみたらよいと思います。

 

リッポ・カラワチLippo Karawaci、ティッカーはLPKRの財務状況を見てみると、2009年からその3年後の2012年にかけて、売り上げは2.6兆ルピア(約260億円)から6.2兆ルピア(約620億円)へと2.4倍、純利益は3900億ルピア(約39億円)から1.1兆ルピア(約110億円)へと2.8倍に増加しています。


売上高純利益率は18%と、インドネシアの有望企業の中では特に高いわけではありませんが、かといって悪い数字でもありません。


1株あたりの配当は、2009年が0.00ルピア、2010年が2.87ルピア、2011年が4.33ルピア、2012年が7.79ルピアと、2010年以降は順調かつ急激にその額を増やしています。


2012年決算の配当性向は17%ほどですから、前に取り上げたプルサハーン・ガス・ネガラ(PGN)のような配当性向54%などという超株主孝行な会社に比較すればまだまだほめられたものではありませんが、考えようによっては、今後の配当額増額の余地が相当に大きいわけすから、経営陣が配当重視の姿勢を強めていってくれる限りは、楽しみな株といえましょう。


リッポ・カラワチLippo Karawaci、ティッカーはLPKRは、時価総額と従業員数においてインドネシア最大の不動産関連企業で、その名前から分かるとおり、リッポ財閥に属しています。


日本では、523日の株価大暴落で株式市場が混乱していますが、インドネシア株式市場は523日にも1.66%下げただけで、何事もなかったかのように安定しています。ただし、今年に入ってからのインドネシア株式市場の値上がりは2割弱ですから、日本市場の値上がりには遠く及びません。


株式市場に投資していると、4月の日本市場のように高騰する市場はうれしくて仕方ありませんが、上がったものは下がるのが相場の常ですから、市場が混乱してくると安定が恋しくなります。


高騰と安定は両立しようがないのですが、個別の株には比較的高い値上がり率が安定して見込めるものもあると思います。


このリッポ・カラワチ株は、ことによるとそんな株かもしれません。この会社の株は、今年に入ってから約50%値上がりしています。


同じ不動産株のアラム・ステラ(Alam Sutera)が、今年に入ってから約80%、カワサン・インダストリ・ジャバベカ(Kawasan Industri Jbabeka)100%以上上昇しているのに比べると物足りない気がしますが、5ヶ月で50%というのは決して悪い数字ではありませんし、株価の上昇カーブに上下動が少ないのが何ともいえぬ安定感を与えてくれます。


今月はじめに取り上げたスター・パシフィック(Star Pacific)社の株価は、その後一旦下げた後、また急激に上昇していて、今年に入ってからの5ヶ月間で株価は3倍以上に暴騰していますが、この5ヶ月間だけを見ても、下げるときの下げ方も尋常ではありませんので、ジェット・コースターが大好きというような体質の方でないとついていくのが大変です。

http://www.bloomberg.com/quote/LPLI:IJ 


株式投資とは別に安定した収入源が長期的に保証されているのであれば、博打みたいな株で大もうけを狙うより、雨が降っても風が吹いても毎月毎月着実に値上がりする株を買い込んで、売らずにじっと保有している、というような投資が精神衛生上一番良いでしょうし、とにかく気楽に毎日を過ごすことができます。


とはいえ、現実にはそんな恵まれた投資環境の人は多くないと思います。定年まであと○年、それまでに○千万円作っておかないと老後が大変、というような限られた年限での投資回収を強いられている人たちにとっては、どんな株を選択するべきか、悩みは尽きないと思います。


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