田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

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ジャカルタ・ポスト紙によると、インドネシアのガス販売企業であるプルサハーン・ガス・ネガラ(Perusahaan Gas Negara=PGN、ティッカーはPGAS)PGN、ティッカーはPGAS)は、2012年12月期の決算に関して、配当を1株203ルピアと53%増配することを株主総会で決定したとのことです。

同社の2012年の純利益は、2011年に比べて30.8%増加していますが、配当の増加がそれを上回るのは、当然ながら配当性向を高めた結果です。

同社の配当性向は、2011年でも十分に高かったのですが、2012年12月期決算においては、配当性向が59%に達しています。何と気前の良い会社でしょう。

この会社の過半数の株はインドネシア政府が所有しており、いわゆる国有企業ということになりますが、中国の国有企業が株主無視の低配当なのに比較すると、実に可愛気のあることです。

配当が支払われるのは5月末頃だそうですが、株主はうれしいでしょうね。どうせ株を持つなら、増収増益プラス大増配のこんな株でしょう。

なお、この記事は、主として同社のガス・パイプラインの延長計画を取り上げたもので、増配情報はおまけのように文末に記載されていますが、私としては、パイプラインの延長計画よりも増配の方が重要な情報と思えたので、パイプラインの延長計画については割愛させていただきます。興味のある方は、原文をご参照ください。

http://www.thejakartapost.com/news/2013/04/18/trans-sumatra-java-bali-pipeline-ready-2021.html

かつては、石油の輸出国であったインドネシアは、国内における石油消費増大により、2004年に石油の純輸入国となりました。それ以降、同国は、輸入石油のために膨大な費用を石油輸出国に支払ってきています。

この石油輸入費用を抑制するには、石油に代わる国産のエネルギー源を活用することが必要です。国産のエネルギー源として、もっとも豊富にあるのは石炭ですし、インドネシアは一般炭の輸出量において世界一の地位にあります。

しかし、悲しいかな、石炭では発電はできますが、車を走らせることはできません。

では、天然ガスはというと、天然ガスなら、燃料コンバーターを車に設置すれば、車を走らせることが可能です。

インドネシアは、天然ガスも豊富に存在しますが、その輸送は容易ではありません。何しろ、気体のままではかさばりすぎます。パイプラインがあれば、気体のままでもどんどん輸送できるのですが、エネルギー消費の中心地であるジャカルタと天然ガスの産出場所は遠く離れているため、その間をパイプでつなぐことは現実的でないのです。

だとすれば、天然ガスを液化して体積を大幅に小さくして運べばよいのですが(液化すれば、堆積は約600分の1になります)、そのためには、液化天然ガスの生産、積み込み、荷揚げのための設備が必要となります。何せ、氷点下162度まで冷却しなければ気体の天然ガスは液体にならないので、設備に金がかかるのです。

これらの設備がなかなかできないので、同国では天然ガスの利用が十分に進んでいないのが実情です。

しかし、石油輸入に使用される財源は、もはや無視できない規模になっているため、動きの遅い同国政府も、さすがにガス利用促進策を講じつつあります。

その代表が、政府によってジャカルタに設置が進められている自動車用天然ガス・ステーション(SPBG)です。市内数十箇所にすでに設置され、2013年には更に33箇所の増設が計画されています。

供給設備だけでは利用促進はできないので、インドネシア政府は、公共交通機関が石油系燃料に変えて天然ガスを使用できるような措置も講じつつあります。

このような政策が進展していけば、ガス・ステーションに天然ガスを供給するPGN(プルサハン・ガス・ネガラ=Perusahaan Gas Negara :株式コード=PGAS)の売り上げも更に拡大することでしょう。

ただし、インフラ建設の必要性や多大なメリットを理解してはいても、実際に建設する作業はもどかしいほど遅いのがインドネシアの常ですので、この件もどの程度実際にはかどるのかは、楽観できません。

PGN(プルサハン・ガス・ネガラ=Perusahaan Gas Negara :株式コード=PGAS)は、インドネシアでガスの流通業を営む国有企業です。

国の持ち株比率は53%で、残りの47%をインドネシア政府以外の株主が保有しており、かつ、そのうちの外人持分比率は8割程度あります。

同社の2012年の売り上げは約25.8億ドルで、前年の22.3億ドルから16%増加しています。

純利益のほうは、2012年が8.91億ドルと2011年の6.81億ドルから31%増大しています。

同社の2008年の売り上げは約13.2億ドル、純利益は約0.65億ドルでしたから、過去4年間で売り上げは約2倍、利益は約14倍に伸びていることになります。

そもそも、売上高純利益率が35%もあるというのは、何としたことでしょうか。国有の公益事業がこんなに儲かってよいものでしょうか。

とはいえ、2011年の実績で、配当性向は55%ありますから、たっぷり儲けて気前よく配当しているわけで、大株主であるインドネシア政府としては、悪い話ではありません。

外人株主も同様に潤っているように見えますが、同社の株価は1株5500ルピア(3月22日終値)と結構高いので、今から株を買ったのでは、1株135ルピアの配当(2011年実績)と株価の2.45%にしかなりません。

2012年は利益が増えているので、3割程度の増配となる可能性があり、仮にそうなった場合には、配当は3%強ということになりそうです。


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