2012年02月12日
チューリッヒ風ゲシュネッツェルツ
チューリッヒの郷土料理ですが、スイスのドイツ語圏のみならずドイツ南部でもよく食べられています。ゲシュネッツェルツは「切り刻んだもの」。細切れの牛肉のクリーム煮込みです。
欧州では比較的珍しい細切れ肉のお料理です。具はマッシュルームと玉葱のみでロースティ(千切りにした茹でジャガイモを揚げたポテトパンケーキ)を添えるのが定番ですが、マッシュポテトやパスタ、ライスでも構いません。
「スイス風ビーフ・ストロガノフ」と紹介されることがあります。本来のロシア料理のベフ・ストロガノフ(ストロガノフ風)は「細切れ肉をスメタナで煮込んだもの」なのでイメージとしては近いですね。
マッシュルームと玉葱をバターで炒め、塩胡椒した牛肉と小麦粉を加えて炒めたらお肉を取り出し、ブイヨンと白ワインと生クリーム(又はサワークリーム)を入れて煮詰め、お肉を戻して沸騰しないように煮込めば出来上がりです。
もちっとした食感のロースティに濃厚なソースを絡めていただくと、意外な相性の良さに驚かされます。クセのない優しい味わいですので、どなたにも喜ばれる一品だと思います。

欧州では比較的珍しい細切れ肉のお料理です。具はマッシュルームと玉葱のみでロースティ(千切りにした茹でジャガイモを揚げたポテトパンケーキ)を添えるのが定番ですが、マッシュポテトやパスタ、ライスでも構いません。
「スイス風ビーフ・ストロガノフ」と紹介されることがあります。本来のロシア料理のベフ・ストロガノフ(ストロガノフ風)は「細切れ肉をスメタナで煮込んだもの」なのでイメージとしては近いですね。
マッシュルームと玉葱をバターで炒め、塩胡椒した牛肉と小麦粉を加えて炒めたらお肉を取り出し、ブイヨンと白ワインと生クリーム(又はサワークリーム)を入れて煮詰め、お肉を戻して沸騰しないように煮込めば出来上がりです。
もちっとした食感のロースティに濃厚なソースを絡めていただくと、意外な相性の良さに驚かされます。クセのない優しい味わいですので、どなたにも喜ばれる一品だと思います。

2012年02月05日
ドーブ・ド・ブフ・ア・ラ・プロヴァンサル
フランス料理、牛肉(ブフ)の蒸し煮(ドーブ)です。様々なお肉のドーブがありますが、一般的なのはやはり牛肉です。ワイン等に浸けこんだ(マリネ)牛肉に強火で焼き色を付け(リソレ)、弱火でじっくり煮込む(ミジョテ)お料理です。
フランス各地で作られていますが、中でもプロヴァンス風が有名です。漬け汁には赤だけでなく白ワインも使い、リソレするときはバターではなくオリーブ油を使い、ニンニクとハーブの風味をきかせるという特徴があります。
牛頬肉を使い、白ワインでマリネしました。また、炒めたベーコンと丸オリーブで味の幅を広げ、マスタードで爽やかな風味を加えました。赤ワイン煮と比べるとすっきりした後味になります。
お肉をマリネするのがポイントです。柔らかくなるだけでなく風味がグンと増します。頬肉や脛肉等の硬めの部位の方が向いていると思います。付け合わせはフェトチーネ、バターライス、ジャガイモなどが定番です。

フランス各地で作られていますが、中でもプロヴァンス風が有名です。漬け汁には赤だけでなく白ワインも使い、リソレするときはバターではなくオリーブ油を使い、ニンニクとハーブの風味をきかせるという特徴があります。
牛頬肉を使い、白ワインでマリネしました。また、炒めたベーコンと丸オリーブで味の幅を広げ、マスタードで爽やかな風味を加えました。赤ワイン煮と比べるとすっきりした後味になります。
お肉をマリネするのがポイントです。柔らかくなるだけでなく風味がグンと増します。頬肉や脛肉等の硬めの部位の方が向いていると思います。付け合わせはフェトチーネ、バターライス、ジャガイモなどが定番です。

2012年01月29日
ムルグ・チャナ
パキスタン料理、鶏肉とヒヨコマメのカレーです。NHKBS「アジわいキッチン」の「シディーク・パレス麻布十番店」のレシピなどを参考にしています。イスラム国家で菜食主義者の少ないパキスタン料理は(豚以外の)肉料理というイメージを持たれる方が多いでしょうか。
実際には途上国ですので贅沢品である肉の消費量はそれほど多くありません(2007年供給ベースで最も食べる牛肉は一人当たり日本の8割程度、次に食べる鶏肉が日本の1/7程度、三番目に食べる羊肉が日本の12倍程度)。
むしろ「肉と豆を同時に使う」というところがパキスタン料理らしい特徴だと思います(食のタブーが細かく分かれているインドは一皿に使われる食材は比較的単純なパターンが多いと感じます)。
鶏肉は骨付きでしっかりと出汁をとります。ここに豆とトマトと玉葱の旨味が加わり、さらに様々なスパイスが味と香りの彩りを添えます。やはり「雑食」こそが最高の食卓だということが実感できる、手軽ながらも美味しい一品です。
「シディーク・パレス麻布十番店」は、パキスタン料理があまりおいていない他の支店と異なり、ビリヤニやカラヒは勿論、ニハリ、タカタク、ハリーム、パーヤーなどが並ぶシディークグループの旗艦店です。

実際には途上国ですので贅沢品である肉の消費量はそれほど多くありません(2007年供給ベースで最も食べる牛肉は一人当たり日本の8割程度、次に食べる鶏肉が日本の1/7程度、三番目に食べる羊肉が日本の12倍程度)。
むしろ「肉と豆を同時に使う」というところがパキスタン料理らしい特徴だと思います(食のタブーが細かく分かれているインドは一皿に使われる食材は比較的単純なパターンが多いと感じます)。
鶏肉は骨付きでしっかりと出汁をとります。ここに豆とトマトと玉葱の旨味が加わり、さらに様々なスパイスが味と香りの彩りを添えます。やはり「雑食」こそが最高の食卓だということが実感できる、手軽ながらも美味しい一品です。
「シディーク・パレス麻布十番店」は、パキスタン料理があまりおいていない他の支店と異なり、ビリヤニやカラヒは勿論、ニハリ、タカタク、ハリーム、パーヤーなどが並ぶシディークグループの旗艦店です。

2012年01月22日
ムック・サオ・カイチュア
ベトナム料理、烏賊(ムック)の芥子菜(カイチュア)炒め(サオ)です。芥子菜はブラックマスタードとアブラナの自然交雑により生まれた植物で、ユーラシア大陸に広く分布しています。日本には少なくとも平安時代には利用されていました。
西アジアや南アジアではサグの一種として煮込みに使いますが、ベトナムでは中国などと同様に漬物にして、それを他の野菜・魚介類・肉類と炒め合わせたりスープにします。日本にも芥子菜の仲間である高菜の漬物がありますので、高菜漬で作ってみました。
フライパンでニンニク・赤唐辛子・玉葱を炒めたところに塩抜きをした高菜漬を加え、ヌクマム・砂糖・胡椒というベトナム定番の調味料セットで味付けをして、烏賊を入れてさっと炒めれば出来上がりです。
発酵食品独特の旨味と酸味と塩味が、淡泊な烏賊に程良い風味を与えてくれます。スパイスの辛味と相まってご飯がよく進みます。高菜漬が余ったりしたときなどに是非、お試しください。

西アジアや南アジアではサグの一種として煮込みに使いますが、ベトナムでは中国などと同様に漬物にして、それを他の野菜・魚介類・肉類と炒め合わせたりスープにします。日本にも芥子菜の仲間である高菜の漬物がありますので、高菜漬で作ってみました。
フライパンでニンニク・赤唐辛子・玉葱を炒めたところに塩抜きをした高菜漬を加え、ヌクマム・砂糖・胡椒というベトナム定番の調味料セットで味付けをして、烏賊を入れてさっと炒めれば出来上がりです。
発酵食品独特の旨味と酸味と塩味が、淡泊な烏賊に程良い風味を与えてくれます。スパイスの辛味と相まってご飯がよく進みます。高菜漬が余ったりしたときなどに是非、お試しください。

2012年01月15日
マニサ・ケバブ
トルコ西部の地中海岸にほど近い場所にあり、ギリシャ植民都市を起源とする古都・マニサの名物料理です。残念ながら日本のレストランでみかけたことはありません。
丸くて平たいエキメキの上に羊挽肉のシシ・ケバブを乗せて、バターソース・ヨーグルトソース・トマトソースなどをかけたもので、「イスケンデル・ケバブのお肉をドネルからキョフテのシシに変えたもの」というとイメージが湧きやすいでしょう。
イスケンデル・ケバブは切り刻んだエキメキをドネル・ケバブの切り落とし肉と混ぜますが、マニサ・ケバブはエキメキを菱形に切りますが崩さないで円形のままお皿に置き、その上にシシ・ケバブのキョフテを並べます。
シシ・ケバブのシシ=剣。お肉を剣に刺して火にあぶって焼いた料理が起源です。家庭では細長い小判型に成型して魚焼きグリルで焼くと良いと思います。付け合わせの獅子唐、エキメキも一緒に温めます。
ソースはお店によって個性があり、ヨーグルトソースがかかっていない場合もあります。ソースの量や濃度はお好みで調節してください。いかにもトルコ料理らしい素材の組み合せで、お味の方も予想通りの安心できる美味しさです。

丸くて平たいエキメキの上に羊挽肉のシシ・ケバブを乗せて、バターソース・ヨーグルトソース・トマトソースなどをかけたもので、「イスケンデル・ケバブのお肉をドネルからキョフテのシシに変えたもの」というとイメージが湧きやすいでしょう。
イスケンデル・ケバブは切り刻んだエキメキをドネル・ケバブの切り落とし肉と混ぜますが、マニサ・ケバブはエキメキを菱形に切りますが崩さないで円形のままお皿に置き、その上にシシ・ケバブのキョフテを並べます。
シシ・ケバブのシシ=剣。お肉を剣に刺して火にあぶって焼いた料理が起源です。家庭では細長い小判型に成型して魚焼きグリルで焼くと良いと思います。付け合わせの獅子唐、エキメキも一緒に温めます。
ソースはお店によって個性があり、ヨーグルトソースがかかっていない場合もあります。ソースの量や濃度はお好みで調節してください。いかにもトルコ料理らしい素材の組み合せで、お味の方も予想通りの安心できる美味しさです。

2012年01月08日
パン・デ・ロワ2012
南フランスを中心にして公現祭に食べられている王冠型の菓子パンです。都内でもガレット・デ・ロワはよく売られるようになりましたが、パン・デ・ロワの方はまだ見かけることは少ないようです。
2007年は「フランスパン基礎ノート」(ル・コルドン・ブルー)の、バターを入れずにアーモンドパウダーを入れるレシピでご紹介しましたが、今回作ったものはブリオッシュ生地で作った一般的なタイプです。フェーヴ(本来はソラマメ、現在は小さい陶器)は省略しました。
ちなみにガレット・デ・ロワは、クリーム無しのプレーンな平たい(=ガレット)パイにフェーヴだけを入れたものが原型ですので、クレーム・ダマンドをたっぷりと詰めた高さのあるパイをクラシカルなスタイルだと称するのは間違いでしょう。
もちろん、現在主流のクレーム・ダマンドたっぷりのパイの方が断然、美味しいですね。パン・デ・ロワも美味しいバターをたっぷりと使ってリッチな生地で作るのがおすすめです。

2007年は「フランスパン基礎ノート」(ル・コルドン・ブルー)の、バターを入れずにアーモンドパウダーを入れるレシピでご紹介しましたが、今回作ったものはブリオッシュ生地で作った一般的なタイプです。フェーヴ(本来はソラマメ、現在は小さい陶器)は省略しました。
ちなみにガレット・デ・ロワは、クリーム無しのプレーンな平たい(=ガレット)パイにフェーヴだけを入れたものが原型ですので、クレーム・ダマンドをたっぷりと詰めた高さのあるパイをクラシカルなスタイルだと称するのは間違いでしょう。
もちろん、現在主流のクレーム・ダマンドたっぷりのパイの方が断然、美味しいですね。パン・デ・ロワも美味しいバターをたっぷりと使ってリッチな生地で作るのがおすすめです。

2012年01月01日
サルシッチャ・エ・レンティッキエ
イタリア料理、サルシッチャ(イタリア風生ソーセージ)とレンズ豆(レンティッキエ)の煮込みです。「旅する料理教室」(エンターブレインムック、事実上の外国人料理教室NIKI‘KITCHEN宣伝本)を参考にしています。
豚肉とレンズ豆の煮込みは定番の組み合わせですが、特に「コテキーノ(豚腸詰め)やザンポーネ(豚前肢詰め)のレンズ豆煮込み添え」は、子沢山の豚が子孫繁栄、貨幣に似ているレンズマメが金運、という縁起物として大晦日の定番料理だそうです。
サルシッチャは自家製です。また、小粒ながらぷっくりと膨らんだ中に旨味が詰まっていてホクホクとした食感で皮も気にならない、フランスのピュイ産のレンズ豆を使っています(500g1000円未満で入手可能です)。
戻したレンズ豆を玉葱・ニンニク・オリーブ油で炒めたところに、焼き色を付けたサルシッチャとトマトを加えて煮込めば出来上がりです。お味は豆の質で大きく左右されますので、ピュイ産レンズ豆などの美味しい豆で作るのがおすすめです。

豚肉とレンズ豆の煮込みは定番の組み合わせですが、特に「コテキーノ(豚腸詰め)やザンポーネ(豚前肢詰め)のレンズ豆煮込み添え」は、子沢山の豚が子孫繁栄、貨幣に似ているレンズマメが金運、という縁起物として大晦日の定番料理だそうです。
サルシッチャは自家製です。また、小粒ながらぷっくりと膨らんだ中に旨味が詰まっていてホクホクとした食感で皮も気にならない、フランスのピュイ産のレンズ豆を使っています(500g1000円未満で入手可能です)。
戻したレンズ豆を玉葱・ニンニク・オリーブ油で炒めたところに、焼き色を付けたサルシッチャとトマトを加えて煮込めば出来上がりです。お味は豆の質で大きく左右されますので、ピュイ産レンズ豆などの美味しい豆で作るのがおすすめです。

2011年12月25日
「歯式から人類の食べ物が分かる??」
マクロビオティックは大変ユニークな「理論」を主張しますが、その中に「ヒトの歯式から理想的な食物割合が分かる」というものがあります。32本の歯のうち、8本の切歯は野菜等を、4本の犬歯は肉や魚を、20本の臼歯は穀物を食べるための歯だから、野菜等が2/8・肉や魚が1/8・穀物が5/8という穀物中心の食事が良いとのことですが、もちろんデタラメです。
ヒトの歴史には不明な点も多くあります。しかし、分かっていることも多いものです。まず、約200万年のホモ属の歴史(ホモ・ハビリス以降)の中で、穀物をたくさん食べられるようになったのは当然のことながら「穀物栽培」が始まってからですから、せいぜい約1万5000年(ヒトツブコムギ)の歴史しかありません。これは今後大きく変わることはない事実です。
もっともマクロビでいうところのヒトは、中東発祥の一神教の一派が強弁しているように約6000年前に神様が作ったニンゲンだ!というのなら、この場合のヒトは登場した最初から穀物栽培をしていたということになりますから成り立つのかもしれませんが…マクロビ信者の皆さんは、まさか進化すら否定するというのでしょうか。
麦や稲の原種に近いとされる野生種は、実は小さくて少なく、熟した順にすぐに穂から散ってしまいます(この性質がないと子孫を残す確率が激減します)。野生種の穀物採集は非常に効率が悪いため、とても主力の食べ物になりません。熟しても実が落ちないという植物としては致命的な欠陥をもつ突然変異種を人間の都合で選び、実の数量を増やしたものが農作物となったのです。
しかも、例えば小麦は中東近辺で野生種を栽培化したものですし、稲も中国南部で野生種を栽培化したもので(稲に関してはまだ異論もあるようです)、栽培種とその栽培技術がセットで徐々に広まりました(世界中のあちこちで独立して麦や米の穀物栽培が始まったのではなく、基本的にそれぞれの穀物は一か所で栽培化された)。
当然のことながら日本でも稲は外来種(注1)です。日本列島に入ってきたのは約5000年前まで遡る説が有力になっているようですが、弥生時代後期の登呂遺跡でも毎日食べられるほど収穫できなかったと推計されています。雑穀を含めたとしても日本人の大多数がエネルギー摂取を穀物に頼れるようになってから、そんなに長い時間は経過していないのです。
また、ヒトの歯式(i2/2・c1/1・pm2/2・m3/3と表記(注2)します)はヒトに特有のものではありません。化石人類はもちろん類人猿はみな同じです。それどころか真猿類のうち旧大陸に分布する猿まで同じ歯式(注3)です。歯式で食べ物が決まるなら、ゴリラやチンパンジーやオランウータン、更にはヒヒやニホンザルやテナガザルに至るまで同じ食性ということになってしまいます。
もちろん彼らは我々と食べるものが違いますね。ヒト以外に多少とも肉食するのはチンパンジーとヒヒくらいですが、同じ歯式の真猿類の中では私たちの犬歯がもっとも華奢な部類で、切歯に近いといっても良いくらいです。実物や画像で確認していただければ一目瞭然ですが、肉食をしないゴリラやオランウータンの犬歯の方が余程長くて鋭い「牙」ですね。
「犬歯は肉を食べるため」などという、歯種の役割の前提がそもそも間違っているのです。歯の種類で決まるなどという単純な話ではなく、歯の形や生え方、更には顎骨から消化器全体までを総合的に考えないと、その動物の食性は見えてきません。例えば草食動物である牛は先の主張に従えば全部切歯でも良いはずですが、実際はi0/4・c0/0・pm3/3・m3/3です。
犬歯がない点だけは合うのですが、上顎切歯がないため雑食のヒトと切歯の数は同じです。また切歯と臼歯の間には隙間があります。この隙間に草を挟むように保持し、下の切歯を歯がない上顎の硬くなった口蓋板に押し付けて草を切り取ります。そしてエナメル質と象牙質が交互に露出した臼歯(草食の典型例)でヤスリを掛けるようにして草の繊維を切り、食道へ送るのです。
では私たちは、歯式が同じ他の仲間とどこが異なるのでしょうか。歯列も歯も平坦(ナイフとしては余り役に立たない)、ぶ厚いエナメル質(注4)に覆われている(すり減りに対して耐久性がある)、口も顎も小さい(長時間噛み続ける能力はない)、といった特徴があります。またセルロースを分解してくれるバクテリアと共存しておらず、盲腸は小さく、消化酵素は非常に多様です。
硬いものから軟らかいものまで広く食べられるが長時間噛み続けるのは苦しい、セルロースは利用できず糞食(注5)もできない、というかなりユニークな特徴です。ヒトの場合、身体的特徴を総合的に検討してもまだよく分かりませんね。身体的特徴に加え、ヒトがヒトである所以、すなわち「道具と火の使用」を考慮しなければなりません。
私たちは尖がった歯の代わりに道具で切り裂くことができますし、長時間噛めない顎の代わりに火で柔らかくすることができます。「何を食べる『べき』なのか」という表現はそもそも使う「べき」ではないのでしょう。道具と火を使って手に入れ、道具と火を使って加工し、その結果として食べられるようになったものは「何でも食べてきた」のです。
更に重要なのは、ホモ属200万年の歴史上で主に何を食べていたにせよ、それは長寿や健康を保障する食生活とは限らないということです。日本人の平均寿命がやっと50歳を超えたのは戦後のこと。ヒトは独り立ちするまでに長い期間が必要な動物ですが、それでも30〜40歳まで生きれば種としての存続には十分だからです。
100万年以上「野生獣の肉骨+昆虫+木の実+根茎類+果実」という感じで、農耕開始以後はここに雑穀等が加わります。米・麦・トウモロコシという主要穀物が雑穀にとって代わったのは産業革命以降といって良いくらいです。また、日本の伝統食は不潔・高塩分・低脂肪等々、高齢になってから癌や脳卒中や心筋梗塞になりやすい食事です。
むしろ米の消費量が減り穀物エネルギー比が4〜5割程度で肉や魚等の動物性食品を適度に食べる現代日本食こそ健康的です。そしてそれは「伝統」や「歯式」とは関係なく、結果的に科学的根拠に基づいた食生活に近かっただけなのです。長寿や健康を望むなら、「日本人の食事摂取基準」等のガイドラインを参照するのが最も近道と言えます。
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ヒトの歴史には不明な点も多くあります。しかし、分かっていることも多いものです。まず、約200万年のホモ属の歴史(ホモ・ハビリス以降)の中で、穀物をたくさん食べられるようになったのは当然のことながら「穀物栽培」が始まってからですから、せいぜい約1万5000年(ヒトツブコムギ)の歴史しかありません。これは今後大きく変わることはない事実です。
もっともマクロビでいうところのヒトは、中東発祥の一神教の一派が強弁しているように約6000年前に神様が作ったニンゲンだ!というのなら、この場合のヒトは登場した最初から穀物栽培をしていたということになりますから成り立つのかもしれませんが…マクロビ信者の皆さんは、まさか進化すら否定するというのでしょうか。
麦や稲の原種に近いとされる野生種は、実は小さくて少なく、熟した順にすぐに穂から散ってしまいます(この性質がないと子孫を残す確率が激減します)。野生種の穀物採集は非常に効率が悪いため、とても主力の食べ物になりません。熟しても実が落ちないという植物としては致命的な欠陥をもつ突然変異種を人間の都合で選び、実の数量を増やしたものが農作物となったのです。
しかも、例えば小麦は中東近辺で野生種を栽培化したものですし、稲も中国南部で野生種を栽培化したもので(稲に関してはまだ異論もあるようです)、栽培種とその栽培技術がセットで徐々に広まりました(世界中のあちこちで独立して麦や米の穀物栽培が始まったのではなく、基本的にそれぞれの穀物は一か所で栽培化された)。
当然のことながら日本でも稲は外来種(注1)です。日本列島に入ってきたのは約5000年前まで遡る説が有力になっているようですが、弥生時代後期の登呂遺跡でも毎日食べられるほど収穫できなかったと推計されています。雑穀を含めたとしても日本人の大多数がエネルギー摂取を穀物に頼れるようになってから、そんなに長い時間は経過していないのです。
また、ヒトの歯式(i2/2・c1/1・pm2/2・m3/3と表記(注2)します)はヒトに特有のものではありません。化石人類はもちろん類人猿はみな同じです。それどころか真猿類のうち旧大陸に分布する猿まで同じ歯式(注3)です。歯式で食べ物が決まるなら、ゴリラやチンパンジーやオランウータン、更にはヒヒやニホンザルやテナガザルに至るまで同じ食性ということになってしまいます。
もちろん彼らは我々と食べるものが違いますね。ヒト以外に多少とも肉食するのはチンパンジーとヒヒくらいですが、同じ歯式の真猿類の中では私たちの犬歯がもっとも華奢な部類で、切歯に近いといっても良いくらいです。実物や画像で確認していただければ一目瞭然ですが、肉食をしないゴリラやオランウータンの犬歯の方が余程長くて鋭い「牙」ですね。
「犬歯は肉を食べるため」などという、歯種の役割の前提がそもそも間違っているのです。歯の種類で決まるなどという単純な話ではなく、歯の形や生え方、更には顎骨から消化器全体までを総合的に考えないと、その動物の食性は見えてきません。例えば草食動物である牛は先の主張に従えば全部切歯でも良いはずですが、実際はi0/4・c0/0・pm3/3・m3/3です。
犬歯がない点だけは合うのですが、上顎切歯がないため雑食のヒトと切歯の数は同じです。また切歯と臼歯の間には隙間があります。この隙間に草を挟むように保持し、下の切歯を歯がない上顎の硬くなった口蓋板に押し付けて草を切り取ります。そしてエナメル質と象牙質が交互に露出した臼歯(草食の典型例)でヤスリを掛けるようにして草の繊維を切り、食道へ送るのです。
では私たちは、歯式が同じ他の仲間とどこが異なるのでしょうか。歯列も歯も平坦(ナイフとしては余り役に立たない)、ぶ厚いエナメル質(注4)に覆われている(すり減りに対して耐久性がある)、口も顎も小さい(長時間噛み続ける能力はない)、といった特徴があります。またセルロースを分解してくれるバクテリアと共存しておらず、盲腸は小さく、消化酵素は非常に多様です。
硬いものから軟らかいものまで広く食べられるが長時間噛み続けるのは苦しい、セルロースは利用できず糞食(注5)もできない、というかなりユニークな特徴です。ヒトの場合、身体的特徴を総合的に検討してもまだよく分かりませんね。身体的特徴に加え、ヒトがヒトである所以、すなわち「道具と火の使用」を考慮しなければなりません。
私たちは尖がった歯の代わりに道具で切り裂くことができますし、長時間噛めない顎の代わりに火で柔らかくすることができます。「何を食べる『べき』なのか」という表現はそもそも使う「べき」ではないのでしょう。道具と火を使って手に入れ、道具と火を使って加工し、その結果として食べられるようになったものは「何でも食べてきた」のです。
更に重要なのは、ホモ属200万年の歴史上で主に何を食べていたにせよ、それは長寿や健康を保障する食生活とは限らないということです。日本人の平均寿命がやっと50歳を超えたのは戦後のこと。ヒトは独り立ちするまでに長い期間が必要な動物ですが、それでも30〜40歳まで生きれば種としての存続には十分だからです。
100万年以上「野生獣の肉骨+昆虫+木の実+根茎類+果実」という感じで、農耕開始以後はここに雑穀等が加わります。米・麦・トウモロコシという主要穀物が雑穀にとって代わったのは産業革命以降といって良いくらいです。また、日本の伝統食は不潔・高塩分・低脂肪等々、高齢になってから癌や脳卒中や心筋梗塞になりやすい食事です。
むしろ米の消費量が減り穀物エネルギー比が4〜5割程度で肉や魚等の動物性食品を適度に食べる現代日本食こそ健康的です。そしてそれは「伝統」や「歯式」とは関係なく、結果的に科学的根拠に基づいた食生活に近かっただけなのです。長寿や健康を望むなら、「日本人の食事摂取基準」等のガイドラインを参照するのが最も近道と言えます。
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2011年12月18日
ナルギス・コフタ
インド亜大陸北部の料理、茹で卵入りのスパイシー肉団子です。「インド風スコッチエッグ」と紹介されていることがありますが、実際にはインドから英国に伝わったもので、スコッチエッグの方が「スコットランド風ナルギス・コフタ」なのです。
ナルギスはナルシストの語源になったギリシャ神話のナスシッソス、すなわち水仙です。肉団子を切って見える卵の黄身と白身の断面を、水仙の花(黄色い副冠に白い花弁)に見立てた命名だと言われています。
写真のように肉団子だけの場合もありますし、肉団子を更にトマトやクリームで煮込んでシチューにすることもあります。卵と一緒に味わうことでスパイシーな肉団子の風味がまろやかになり、お子様でも美味しくいただける一品です。

ナルギスはナルシストの語源になったギリシャ神話のナスシッソス、すなわち水仙です。肉団子を切って見える卵の黄身と白身の断面を、水仙の花(黄色い副冠に白い花弁)に見立てた命名だと言われています。
写真のように肉団子だけの場合もありますし、肉団子を更にトマトやクリームで煮込んでシチューにすることもあります。卵と一緒に味わうことでスパイシーな肉団子の風味がまろやかになり、お子様でも美味しくいただける一品です。

2011年12月11日
タス・ケバブ
トルコ料理、お肉のトマト煮込みです。タス=(容器の)ボウル、ケバブ=肉料理。フライパンなどの平たい容器で煮込んで作るシチューです(ちなみに素焼の壷で煮込むとギュヴェチになります)。
お肉は羊肉(クズ)あるいは牛肉(ダナ)を使います。欧州のシチューは根菜類も一緒に煮込んだりしますが、タスはあくまでお肉が主体で、野菜はトマト・玉葱・青唐辛子程度というのが基本です。スパイスもあまり使いません。
フライパンにバターを溶かしみじん切り玉葱を黄金色になるまで炒め、一口大のお肉を投入して炒め、みじん切りトマト・塩・胡椒・オールスパイス粉・タイム・お湯を入れてお肉が柔らかくなるまで煮込めば完成です。
オールスパイスは、シナモン・クローヴ・ナツメグが混ざった風味がすることから名づけられたもの。ない場合はこの3種のスパイスをシナモン多めに加えればOKです。その独特の香りがほのかにエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
エキメキではなくバターライスを合わせていただきます。パトルジャン・ベエンディ(焼き茄子のディップをモルネーソースで伸ばしたもの)を添えると、ヒュンケル・ベエンディ(スルタンのお気に入り)という料理になります。

お肉は羊肉(クズ)あるいは牛肉(ダナ)を使います。欧州のシチューは根菜類も一緒に煮込んだりしますが、タスはあくまでお肉が主体で、野菜はトマト・玉葱・青唐辛子程度というのが基本です。スパイスもあまり使いません。
フライパンにバターを溶かしみじん切り玉葱を黄金色になるまで炒め、一口大のお肉を投入して炒め、みじん切りトマト・塩・胡椒・オールスパイス粉・タイム・お湯を入れてお肉が柔らかくなるまで煮込めば完成です。
オールスパイスは、シナモン・クローヴ・ナツメグが混ざった風味がすることから名づけられたもの。ない場合はこの3種のスパイスをシナモン多めに加えればOKです。その独特の香りがほのかにエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
エキメキではなくバターライスを合わせていただきます。パトルジャン・ベエンディ(焼き茄子のディップをモルネーソースで伸ばしたもの)を添えると、ヒュンケル・ベエンディ(スルタンのお気に入り)という料理になります。

