正直侮っていた。エロシーン以外見るところあるの、と。どうせ安い同人ゲーだしね。けれどその認識はすぐに覆されることになる。



菊池正志、エロゲーオタ、変態


主人公・菊池正志はどうしようもない変態である。それも俺なんて到底敵わないほど、彼の変態っぷりは異常である。ゲーム冒頭から『もう、捕まってもいいから、○学生を犯そうかな』などと宣う危険人物である。家では妹相手に朝勃ちを見せつけ、学校ではクラスの委員長のおっぱいを揉み、部活では指導と称して女生徒に密着しようとする。

彼にとっては女性が傷付き、泣き、怯える姿こそが至福であり、またそうでなければ性的満足を得ることはできなかった。要するに彼はドSなのだ。

だがそれは一面的な解釈に過ぎない。人間の志向性などはひどくあやふやなもので、たった一人の人間と交わることで大きく変わってしまうこともある。いや、もしかしたら彼にとっては「たった一人」ではなく「ただ一人」なのかもしれないが。

……そう、お察しの通り、彼は本編中で変貌を遂げる。幼少の頃から劣悪な環境で過ごしたために歪んだ人格を獲得し、社会から弾かれるようにして育った彼が、驚くべき変化を見せる。ヒロインらとの接点が彼の持つ閉塞性を打ち破り、ついには社会との接点を持つようになるまで成長するのだ。



喪失と獲得


ただし。そうなるまでには、とてつもなく高いハードルが待ち受けている。それはタイトルにある通り、強姦である。しかし自分でするわけではない。主人公自ら手を下してしまうと、BAD END直行になってしまう。嫌々ながらも他人にヒロインを強姦させないと話が進まないのだ。

ストーリー上仕方ないとはいえ、さすがにこれは俺も苦痛だった。お互いの同意に基づかないセックスは激しく興奮するものの、その反面、酷い嫌悪も感じる。実際にそのシーンを迎えるまではほとんど純愛ADVのノリであるため、どうにもヒロインたちに感情移入しすぎて可哀想で見ていられない。

しかしこの痛みは必要経費。傷付き、絶望し、泣き喚くヒロインたちを目の当たりにすることで、初めて彼は自らの欲望の浅ましさを認識する。彼の内面に唯一踏み込んできて、社会との接点を気付かせてくれたヒロインたちの苦痛こそが彼を呼び覚ますのだ。

大切なモノを失って、初めてその重みに気付く。人はそれを後悔し、反省し、戒める。だからといって、人はまた別の大切なモノを失わないように注意することができるだろうか。そのモノの価値を認識することができて初めて守ろうとする意志が生まれるのではないか。ゆえに喪失の痛みを恥じることはない。その痛みがあればこそ、モノの価値が分かるのだから。

そうやって大切なモノに気付くことができた彼は、他人を傷付けずに他人を愛することができるようになる。作中の言葉を借りれば、『チンコは人を傷付けるためにあるんじゃない、人を愛するためにある』



総評


おすすめは未久ルート。このルートでは主人公の過去が明らかになり、彼が変態になったルーツが読み取れる。また彼の漢っぷりが冴え渡るのもこのルート。実の妹を兄として守り続けるひたむきさに感心した。

由香里ルートも悪くない。どんなに虐げられても笑顔を絶やさない彼女の素顔はとても美しく、素晴らしく、そしてときに儚くて。彼女の持つ見えない強さに触れ、徐々に心動かしていく主人公の描写は秀逸。

瑞希ルートは思っていたほど瑞希が可愛くなかったのが残念だった。中盤あたりから瑞希がヘタれるので、そこを主人公が上手く立ち回ってフォローするあたりが見所か。


本作はダウンロード購入で1500円と安いので、普通のエロゲで疲れたらやってみてはどうか。いろいろな意味で精神もってかれること請け合いだ。