「あっちゃんはきっと、愛しすぎるんだよね……」

ハイクラス種オオスズメバチ出身の篤郎(あつろう)は、過去に深く傷つけた義理の兄・郁への罪悪感から立ち直れず、幸せになってはいけないと自分を責め続けて生きていた。そんなある日、以前の篤郎を知り尽くしたヘラクレスオオカブト出身の兜(かぶと)と再会する。今は有名政治家の秘書をしているという博愛主義の兜。こちらを軽蔑しているはずなのに、なぜかつきまとわれ優しくされて、篤郎の頑なな心は次第にほどけていく。そんな時、篤郎の体に重大な変化があらわれた!? 
愛と許しの擬人化チックファンタジー登場!!


政治家×保育園アルバイトで擬人化モノ。
虫シリーズも4冊目になり、脇でちょこちょこ登場していたあのキャラが今度は主役で登場です。
今回主役になっているのは「愛の裁きを受けろ!」で悪役だったオオスズメバチの篤郎です。彼は薬に溺れ、果ては義兄・郁を酷い目に合わせてしまいますが、その後が気になっていたキャラでした。だいたい樋口作品に登場する悪役キャラは、その後の作品でどん底に落とされ苦しみ、そして改心して幸せをつかむパターンだからどうなるかなあと楽しみにしていたわけです。だからといってそれが……その相手がまさかの、あの兜とは思いませんでしたが(笑)。
ヒメスズメバチのマヤマヤいわく「○ンポじゃないの!?」と言わしめ、常に弱者には優しい顔で接していた兜が、篤郎に対してはサラッとツルッとナチュラルに鬼畜。兜自身はさほど自覚もなくやっていた部分もありますが……うーん……フツーに考えてもかなり酷いことをしてるのにまず驚かされました。「これってもしかしなくても、これまで登場した攻の中でも最低最悪なヤツ?」と兜に対する認識がガラガラと音を立てて崩れると同時に、兜に翻弄されてる篤郎が、前回読んでいた時に想像していたよりも繊細な、傷つきやすくて愛に飢えてる可愛い子ちゃんだったのにもさらに衝撃を受け……。「こんな子でしたっけ!?」ってところでしょうか。
だけど篤郎の心の中の叫びを聞きながら読み進めるうちに、篤郎は篤郎なりに傷付けられて、長い間癒されもせずにいたんだなあと納得できるところもあって、より兜が憎たらしく思えてしまいましたね(笑)。いや、表向きはインテリでソフトな印象だけど、中身は意外と鬼畜で独占欲が強く言葉責めをする攻が好みであれば、兜はドストライクだと思います。博愛で、本気になることを諦めてしまっている、ある意味可哀相な男。そんな男が、愛に飢えてて傷を負い、愛情表現が「深くて狭い」篤郎に対して執着する……裏返してみれば、自分だけに愛情を注いでくれるかもしれない篤郎が、どういうわけか自分から離れようとする。そんなのは許せない・離さないって構図がいつの間にか成立してるのにニヤけました。
特にツボだったのは、篤郎をマヤマヤらに奪われ、逢うのを阻まれ、手を尽くして捜して、マヤマヤの屋敷へ多忙な合間をかいくぐり足しげく通い詰める兜の憔悴してる姿でした(笑)。ハッキングって何?見取り図って!?しかもセキュリティを突破しての不法侵入までやらかす様子に、これがあの兜?とびっくりします。ここまで愛してるのなら最初からやれよ!!と思う一方で、その方法を知らずに育った背景がほんのり透けて見えてきて、あれほど酷いことをやらかしたヤツなんだけど……仕方ないな〜と苦笑いしてしまいました。
……というわけで、兜×篤郎編は想像以上に楽しかったです。
こうなったらもう、マヤマヤの幸せも読んでみたいな〜と思うのは我が儘でしょうか(笑)。

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