SimJournal 3000

ウェブベンチャーの経営企画室便り。でした。もはや随筆です。

デマンド・メディアのIPOで創業者は約123億円の利益


 先週、ニューヨーク証券取引所にデマンド・メディアがIPOを果たしました。このIPOにより創業者の持つ株式の評価額は約123億円になるようです。

デマンド・メディアとは?

 デマンド・メディアは独自のアルゴリズムでウェブのユーザーが求めているであろう記事を予測して、お抱えのライターやビデオクリエイターに記事や映像をつくらせる、というメディアです。ユーザーが求めているコンテンツを記事にしているので、広告効果も高いはずです。日本で言うとnanapiのコンセプトが近いですね。ハウツー系の記事が中心で健康系の記事や料理系の記事などで投稿先のメディアがいくつかに分かれています。詳しくはこちらをどうぞ。
読者が探している記事を急いで書く会社 デマンド・メディアがIPO書類を提出 -Market Hack-
マスコミの天敵、デマンド・メディアがいよいよIPO マスコミ関係者よ、この会社からは目を離すな! -Market Hack-

デマンド・メディアの記事を掲載しているメディアはeHow.comLIVESTRONG.COMなどです。

ちょっと怪しい・・・?

 創業以来利益を計上したことはなく、また、上記の形で制作した記事を資産として計上し、記事の賞味期限を5年とし、5年にわたって償却するという変わった会計処理を行っています。また、低コストで粗悪な記事を濫造していて広告効果は高くない、プロが書いた記事が無いなんてこんなのメディアじゃない、といった批判も一部から受けているようです。

株式市場からの評価

 上場したのは2011年1月26日。先週末時点での時価総額は約1470億円。ちなみに同じ週末時点でのサイバーエージェントの時価総額が約1491億円なのでほぼ同程度ですね。創業者の持つ株式の評価額は約123億円となったようです。創業者は元MySpaceのCEOでメディア運営には知見があったようですね。

終わりに

 ビジネスモデルや会計処理が怪しかったとしても(僕自身はそんなに気にしてませんが)、IPO直後で利益も出していない会社の時価総額が今をときめくサイバーエージェントと同程度の評価を受けているというのは夢のある話でいいですね。

蛇足

この記事を書くに当たってこちらの記事(The McContent Millionaires: Here's Who Made Bank On The Demand Media IPO -business insider-)を参考にして書いたのですが、日本のメディアにはIPOで創業者や関係者がいくら利益を得たか、みたいな記事は載らないですよね。確かに他人の財布を覗くようであまりお行儀のいい行為とは言えないですが、プレスリリースや正式なインタビューなど大本営発表ばかり掲載するメディアばかりではウェブのジャーナリズムは盛り上がらないなあと思うのです。誰かやってくれないかなぁ(他力本願)

今年はちゃんとブログを書くぞーーー

スマートフォンの普及で携帯電話以外の端末も無くなっていく

日経から。
グーグル、アンドロイド携帯をカーナビに 無償で提供 日本でも道順などの案内機能
 米グーグルは16日、欧米で展開中の高機能携帯電話(スマートフォン)向けカーナビゲーション機能を日本向けに対応させたと発表した。携帯電話向けソフト群「アンドロイド」を搭載する端末から無料で利用できる。目的地までの音声案内機能などを備える。新機能の提供でスマートフォン経由のネット利用者増を目指す。

記事の書き方からするとアメリカではもうすでに同様のサービスが展開されていたようですね。

さて、このケータイがカーナビになるという話。当然カーナビメーカーには非常な脅威となります。もちろん性能で言えば専用のカーナビ端末の方が上でしょうが、「取りあえず目的地まで着けばいいや」という(おそらく大半の)層にとってはカーナビ端末は不必要になります。アンドロイドカーナビの登場により、ドライバーの必需品だと思っていたカーナビが一部の趣味人たちの嗜好品になってしまいます。普段からGPSを搭載したアンドロイドケータイを使っていれば、わざわざ高いお金を払ってカーナビを購入する必要が無くなりますからね。

で、この流れはカーナビ以外でも顕著です。例えば少し前に話題になった目覚まし腕時計。眠りの浅いタイミングをセンサーで判断して、設定した時間に近い時間で眠りの浅い瞬間に起こしてくれます。一個24,480円。しかし傾きセンサーを搭載したiPhoneと115円のSleep Cycleというアプリがあればわざわざ高いお金を払って専用端末を買わなくても同様の効果が得られます。また、僕はマラソンをやっているんですが、ランナー向けのGPS付腕時計というものがあります。これも購入すると20000円位するわけですが、これもGPSを搭載したiPhoneとRunKeeperという無料アプリがあれば同様の効果を得られます。


スマートフォンは上記の専用端末に比べて生産台数が多いので、多機能なのに対して端末自体が低価格で生産できますし、通話料や通信料で収益を上げるビジネスモデルなので、端末自体から利益を出す必要がありません。加えてアプリは価格の下落圧力が強く、数百円や無料のものが大半です。そのようなスマートフォン+アプリの普及により、これまで様々な場面で使われていた何かしらの専用端末は今後全て駆逐されていくのではないかと思います。例えばコンビニの発注用端末とか、居酒屋のタッチパネル式注文端末とかもいずれスマートフォンやタブレットPCに取って代わっていくのではないでしょうか。

スマートフォンと言うと「アプリが使えてインターネットが見れる携帯電話」というイメージを抱きがちですが、スマートフォンの普及により携帯電話だけでなく様々な単機能の携帯型端末がスマートフォンに今後なっていくと思います。まだまだビジネスチャンスはたくさんありそうです。

賃貸住宅情報のちょっとした革命?ユーザー目線の「賃貸360°」


 某大手住宅情報サイトを運営する友人と、最近新規事業で賃貸住宅情報を始めたという友人が口をそろえて「いいサービス」だと言って「賃貸360°」というサービスを教えてくれました。業界ではもう有名なのかもしれないです。

 東京を中心とした首都圏の住宅情報を扱っているサイトなのですが、使い始めてすぐに使いやすいサービスだと思いました。賃貸360°の特徴は・・・
賃貸360°は、どうして物件を探しやすいのですか?
  • クリックだけで探せるから、検索が快適!
  • マンション単位で探せるから、検索結果が見やすい!
  • 物件詳細の見せ方にもこだわっています
(サイトより引用)
です。

 確かにクリックだけで探せるのですが、その点ではHOME'SやSUUMOも同じ。違うのは必要な物件情報にたどり着くまでのクリック数。家賃で絞り込むのも間取りを選ぶのもワンクリック。見たい駅・エリアを選ぶのも簡単です。他のサイトだと家賃で絞り込むには下限金額を選択して上限金額を選択して、検索ボタンをクリック、と3クリック必要です。たった2クリック、と思うかもしれませんが、この操作を何回も繰り返すとこの2クリックの差は非常に大きいです。少し家賃を上げるとどうなんだろう、同じ条件で2駅変えたらどんな物件があるんだろう、そういう操作をしたことある人は多いと思いますが、賃貸360°ならストレスなくその切り替えが出来ます。家賃の上限金額・下限金額などの条件が選択式では無いので、柔軟性は他のサイトより低いですが、その柔軟性を思い切って捨てたことでこの使い勝手を実現しています。ストレスなく次々物件情報を探せるのでついついいろんな物件を見てしまいます。

 そしてマンション単位で部屋を探せる、という特徴。他のサイトだと、同じマンションの同じ部屋が何件も検索で引っかかってげんなり、ということがよくあります。しかし賃貸360°だとマンション単位で部屋が表示されるので、そのようなことはありません。加えて同じ物件の違う部屋、例えば1階の部屋と最上階の角部屋、とかで条件の比較が出来る点も使いやすいです。今までのサイトだと出来なかった「物件は気に入った、さて何階に住もうか」という考え方が出来ます。

 ところでこのマンション単位で物件が見れる、という特徴。しれっと書いてありますが、これって結構革命的なことなんじゃないかと思います。これまでのサイトや不動産屋だとお客さんに対してマンション名は隠していました。これはお客さんが同じ物件を扱っている他の不動産屋に、同じ物件を問い合わせたり、合い見積もりを取られたりするようなことを避けるためなんじゃないかと思いますが、賃貸360°ではマンション名を掲載しています。そんなことをしたら掲載している不動産屋同士でケンカになるんじゃないかと思いますが、それを実現出来ている理由が不動産屋向けのページに書いてありました。
賃貸360°からのお約束
  • 業者間で競合しないように、エリア毎に業者の数を制限します
(「不動産業者の方へ」より)
とあります。このサイトに掲載できる業者が少ないから業者間で競合しない、なのでマンション名を掲載しても問題が発生しない、というわけです。実際に今不動産業者を募集中のエリアを見ても、どのエリアも1〜2社程度しか募集していません。

 賃貸360°は大胆に、その検索機能や掲載業者を絞り込みました。しかしそれはユーザーの利便性を失わせるものでは無く、絞り込むことで逆にユーザーにとって利便性を提供するものになりました。そして今までのサイトでは不動産業者や媒体運営者の都合で提供できなかった情報提供を実現できました。賃貸360°は不動産業者からユーザーへのパワーシフト、革命とも言えるのではないかと思います。こういったユーザー目線のサービスが出てくるとまたインターネットが好きになってしまいます。ぜひ一度使ってみてください。たぶん病みつきになりますよ。
賃貸360°

市長と話せた!ツイッターの力を改めて実感。

大変個人的な話ではあるのですが、ツイッターの力を感じる出来事がありました!先日日曜日、我らが柏市長とツイッター上で会話が出来たのです!感激。ということでツイートが消えて行く前に記念ブログ。読んでも面白くないと思います。笑
 以下が記念すべき市長との対話。

(今日の参加者?何かあったのかな。ここで勇気を出して話しかける!)
(まあ、返信来ないよね。日曜だしね。市長もお休みですよ。)
(数分後・・・)

(うわー!返信来た!!有名人?から返信貰ったの初めて!)←ミーハー
(よしここであえて欲張って、きっと他の市民も気にしているであろうことを聞いてしまえ!)

(数分後・・・)

(おおー!すごいまた返信いただいた!感激!)
(あ、けど@simanexで始まってる。これだと他の人が市長のツイート読めないな。よしIT戦士ぶってツイッターの使い方を申し上げようじゃないか)

(うん、調子に乗ったな。反省。)

というところでした。ついつい調子に乗って、反省して、ありがとうございましたを付け加えるところが僕らしくていいですね。

たぶん柏市のホームページにはまだタウンミーティングを実施することや市の財政に関する広報が今年度中に行われることについては掲載されていません。なので、内部の関係者以外ではかなり早い段階でこの情報を得られたのではないかと思います。市の広報誌なんて全く読まないけど、こういう形で欲しい情報が得られるようになると市政への興味も一気に湧いてきます。政治家がTwitterを利用するケースは増えているけど、ソーシャルメディアというだけにソーシャル感をよりリアルに感じられる、国政よりももっと身近でローカルな県政や市政の方が利用可能性は大きいような気がします。日本でTwitterをうまく使えている自治体ってどこかあるのだろうか。

一方で、Twitterの使い方はお隣の流山市の井崎市長@IZAKIYOSHIHARUの方がうまいなぁと思います。ここはさすが日本トップクラスの情報公開都市の市長。マニフェスト達成度を公開する「いざメーター」なるものもあります。ソフトバンクのやりましょう 進捗状況のさきがけですね。あえて忙しい市長がやらなくても、広報担当がやればいいと思いつつ。

蛇足ですがこの柏市長、外資コンサル→創業期のピザーラ社長室長→ベンチャー立ち上げ参画→企業再生コンサル→柏市長という経歴の持ち主です。財政再建をうたって去年当選しました。日本一わかりやすい財政説明が楽しみです。恐ろしいことになってそうだけど。。

「おかしのまちおか」のマーケティング 4P


 少し前ですが、高田馬場駅前に「おかしのまちおか」のお店がオープンしました。おかしのまちおかはお菓子の専門店で、規模的にはコンビニくらいかそれより一回り小さく、駅前の商店街などによく出店しています。沿革を見てみると2009年12月に直営店90店舗目をオープンしており、過去の出店ペースを考えると現在では100店舗くらいあるのではないでしょうか。

 このお菓子の専門店という業態はなかなか面白いと思い、マーケティングの4Pで整理してみました。

Product・・・お菓子に特化。ナショナルブランド(大手メーカー)の定番ものを品揃え。
Price・・・値引き価格で販売。印象としてはドラッグストアでお菓子を買う時の値段に近い。
Place・・・立地は商店街を中心に出店。店舗サイズはコンビニくらいかそれより一回り小さい。
Promotion・・・ちょっとよく分かりませんでした・・・

 お菓子という品物は通常、「単価は低く、購買頻度は高い」もので、「最寄品」と呼ばれます。服やデジカメなどの「買回り品」とは違い、一番近くのお店でそこにあるものを買います。なので商圏はせまく、人通りの多いところに出店するのが重要です。一方で「これを買う!」と明確に購買対象を決めて買いに行くよりも「何か買おう」という気持ちで、具体的に買う商品を決めて買うことは少ないため、お店には商品の種類が多い方が顧客には喜ばれます。なのでコンビニよりも小さいサイズでより多くの商品を並べられる、という点で優位性があります。

 そもそもこれまでお菓子を買おうと思うとコンビニで買うか、スーパーかドラッグストアで買うか、という選択肢(チャネル)しかありませんでした。そこでまちおかは「手軽だけど安くないコンビニ」か「安いけどちょっと買うのに面倒なスーパー」しか無かったお菓子の新しい販売チャネルとして登場しました。お菓子を毎日買う人も少なくないと思いますが、お菓子を高い頻度で購入する人たちには、お店のサイズはちょうどよく、種類も豊富、値段も安いまちおかはうってつけの選択肢なのではないでしょうか。そして消費者の支持を見事に得たまちおかは順調に新規出店を続け、現在は平成9年の第1号店出店から現在で約100店舗、年商はなんと121億円!まちおか以外のビジネスもしているのかもしれませんが、1店舗当たりの年商は単純計算で約1億円です。会社のホームページには「決算公告」というコーナーがあり、「只今準備中です。」と表示されていますが、もしかして上場するのかな?という気がしてきます。


 なんてことを考えていたら、流通のプロ?が書いたまちおかの記事がいくつも見つかりました。より興味のある方は以下からどうぞ。
「おかしのまちおか」の急成長を支える分権経営 - 日経ビジネスオンライン
「格安お菓子の秘密」『BIG tomorrow』連載第23回(2010年6月号)- Professor Ogawa
“町のおかしやさん”は幸せと中毒のもと - 郷好文の“うふふ”マーケティング



 古本屋を近代化したブックオフ、酒屋を近代化したコンビニ、駄菓子屋を近代化したまちおかのように、古くからある商売を近代化すると新しいビジネスモデルが見つかるかもしれませんね。
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