facebookを触っている方ならご存知かと思いますが、facebookアプリでは農場経営系アプリが人気です。さらにその中でもZyngaのFarmVilleは全facebookアプリの中で一位を取るほどの人気です。しかもFarm VilleはまだまだMAUを伸ばしており、最後発であるPlayfishのCountry StoryとMAUの成長率はあまり変わらないです。じゃあ何故HappyFarmではなく、CountryStoryでも無くFarm Villeが人気なのか。FarmVilleの強さの理由はここやここで語られていますが、自分なりにも考えてみました(マネタイズ視点は抜いています)。結論はFarmvilleは他のゲームに比べて「シンプル」「招待しやすい」、そして「自分の思い通りの農場が作れる」つくりになっていることが人気を集めた理由だと思います。
一度やったことのある方は分かると思いますが、農場系アプリは3系統に分けられます。ソーシャルアプリ.jpのこの記事を見るとやったこと無い方でもアプリの見た目から思います。一つは自由に色々配置できるFarmVille系、次に野菜を植える場所があらかじめ決められているHappyFarm系、そして正面見下ろし型のCountryStory系。それぞれの系統のランキングはこんな感じ。なお、HappyFarm系ではBarnBuddyが一番人気なのですが、僕があまりやったこと無いのと、勤務先でもHappyFarmの方が知名度が高いので、HappyFarmを例として挙げます。(たぶんほとんど変わらないので。)
FarmVilleが圧倒的に人気だということが分かります。これら3系統のアプリをそれぞれ「ユーザーアクション」「ソーシャル性」「ゲーム性」から比較してみました。
ユーザーアクション
どのゲームも「野菜を育ててお金を増やす」という流れは変わらないですが、その流れの中でもユーザーに求められるアクションは各系統によって異なります。
- FarmVille系
「耕す」⇒「植える」⇒「収穫する」 - HappyFarm系
「耕す」⇒「植える」⇒「水やりする」⇒「雑草・害虫駆除する」⇒「収穫する」⇒「売る」 - CountryStory系
「耕す」⇒「植える」⇒「水やりする」⇒「収穫する」⇒「売る」(体力による行動制限あり)
という感じで、FarmVille系が、ユーザーのやることが一番シンプルです。Facebookにはコアなゲーマーよりも気軽に楽しみたいユーザーが多いので、やることが少なくて気軽に遊べる、というのは重要な要素だと思います。農場経営といいつつ水やりも販売もしないなんて!と一瞬思いますが、シンプルイズザベストのようです。
ソーシャル性
個人的な意見ですが、これら3系統の中でFarmVilleが一番ソーシャル要素が少ないと僕は思います。各ゲームのソーシャル要素についてまとめてみました。
| 系統 | ギフト | 盗み | 手伝い |
|---|---|---|---|
| FarmVille系 | あり | なし | なし |
| HappyFarm系 | あり | あり | あり |
| CountryStory系 | あり | あり | あり |
このようにFarmVilleにはギフトしかなく、ソーシャル要素は一番少なく、パッと見FarmVilleが一番ソーシャル性が弱く見えます。しかしこの「ギフト」はもう少し深掘りしてみてみると、FarmVilleのギフトの方式は特徴的な点があります。それはFarmVilleではギフトを送っても自分が痛い思いをしないという点です。ギフトの送り方を比較してみました。
| 系統 | 送るもの | 機会損失 | 見返り |
|---|---|---|---|
| Farmville系 | ギフト一覧から選ぶ | 無し | 無し |
| HappyFarm系 | 自分が育てた花 | 花を売却した場合に得られるお金 | 無し |
| CountryStory系 | 収穫した野菜、手に入れたアイテム | 野菜を売却した場合に得られるお金、アイテムを使用した時に得られる体力 | クエストのクリア(ギフトを送れ、というクエストがある) |
HappyFarm系とCountryStory系が自分の所有している作物やアイテムをギフトするので、自分の懐が痛みます。人間は100円もらった時の喜びよりも100円失った時の悲しみの方が強く印象に残るものなので、仮にダイコンとピーマンがどちらも売却時に得られる金額100円だったとしたら、それらをお互いに交換することでお互い少しだけ不幸な気持ちになります。なので、自分の懐を痛めるギフトは少し広がりにくいかもしれませんね。
対してFarmVilleは送りたいアイテムを一覧から選ぶだけでギフトを送れるので、自分がそのアイテムを所有しているかどうかは関係ありません。そのため、自分の懐を痛めずに無尽蔵にギフトを送ることができます。FarmVilleをやっていない友人にギフトを送るとそれがそのままゲームへの招待状になります。FarmVilleをやっているやっていないに関わらず、Facebok上の友人全員にギフトを送ることも簡単に出来ます。FarmVilleをやっている友人が増えれば増える程、お返しでギフトをもらえる可能性も高まるので、みんなむやみやたらにギフトを送るようになります。
さらにFarmVilleではレベルが上がる毎に送れるギフトの種類が増えるので、自分よりレベルが低い友人に向けて、友人が手に入れられないアイテムをギフトとして送ることができ、優越感に浸ることもできます。ギフトとして送れるアイテムは、自分のお金で買おうとするとかなり高くつくアイテムが多いため、ギフトをもらう側もとてもうれしいです。自分の懐を痛めずに優越感に浸ることができ、かつ相手にも喜んでもらえる、というギフトの設計はかなりFarmVilleはうまくやっていると思います
確かに他のアプリの方がソーシャル要素は多いですが、ソーシャル要素の多さよりも、いかにユーザーが気持ちよくギフトを送れるか、友人を招待できるか、の方が重要かもしれません。
ゲーム性
どの農場経営ゲームにも、いいスコアを出す、とかお姫様を救い出すとかそういった明確に与えられたミッションはほとんどありません。たぶんハコニワ的に自分好みの農場を作ることが目的なんだと思います。しかしゲームには目的達成を阻害する要因がつきもの。各ゲームのアプリ目的達成阻害要因を比較してみました。
- FarmVille系
- 長時間放っておくと作物が枯れる。復活は不可能。
- HappyFarm系
- 害虫・雑草が発生する
- 友人に作物を盗まれる
- 長時間水やりをしないと作物の成長が止まる。水やりすると復活。
- CountryStory系
- 何かしらのアクションをすると体力が減る。体力が不足すると行動ができなくなる
- 友人に作物を盗まれる
- 長時間水やりをしないと作物の成長が止まる。水やりすると復活。
「自分好みの農場を作る」という点でもう1点追加すると、HappyFarm系はどこに野菜を植えるか、どこにお花を飾るか、がシステム的に決められており、ユーザーの自由度はかなり低いです。なので、そういった意味でもどこに何を配置するかを決められるFarmVille系(とCountryStory系)の方がユーザーに受け入れられると思います。
まとめ
ということで、「ユーザーがやることが少なくシンプル」「自分の懐を痛めずに友人と遊べる」「邪魔な要素が少なく思い通りのプレーができる」ことがFarmVille勝利の理由だと、3つのアプリで遊んできて思いました。上の3要素だけ見るとつまらなさそうなゲームに見えますが、ライトユーザーが多いとそうなるものなんでしょうね。それに、僕の個人的な印象なので、本当の理由はユーザーインタビューしてみないと分からないですしね。
と、ここまでZyngaのFarmVilleを礼讃してきましたが、個人的にはPlayfishのCountryStoryの動向に注目しています。上に書いたようにCountryStoryはこれまでのゲームと比べてミッションがあったりパラメータが多かったりして、少し複雑なゲームになっています。このゲームがFacebookユーザーにどこまで受け入れられるかで、今後のFacebookアプリの方向が、よりリッチな方向に行くのか今まで通りカジュアルゲームが主路線になるのかが分かれると思っています。そうなると業界地図の様子にも変化が出てくるはずなので、CountryStory要注目です。実際にやってみるといいと思います。そうすると僕の隣で仕事してるお姉さんが喜ぶので。

