2010.5/9 作品更新
日本画小作品『みょうが』
2004年11月16日
碧空の乱反射
碧天の一日 アオに染まる世界
ヒカリがちらちらと踊って
碧空が乱反射していた
窓のガラスと 空の境目も
見えなくなるくらいに
碧空が乱反射していた
   | ヒカリがまつげに絡んで、眩しくて目を細める。 降りそそぐ日差しを手のひらで受けて、 ふと見上げたら碧空が降ってきた。 乱反射する碧空が、 地上のアオを鮮やかに染めて、 そびえ立つビルさえ、溶け込んでゆく。 乱反射する碧空に、 ガラスに映る人々も、溶け込んでゆく。 傍らに停車中のトラックも、 揃い並ぶタイルも、 いつものアオより強くなる。 ウィンドーを飾るツリーも、 店先のテントも、 地下鉄のプレートさえ、 いつもよりずっとアオくなる。 ただ誘われて歩みを進める。 まぶしい反射に目を細めながら。 |    |
『さあさあ、こちらへ！』
 |  |
碧空のカケラが、
降り積もったみたいに、
強く鮮やかに発光している。
嬉しくて、笑いたくなる。
そのくらい、元気がいい。
少し日が傾く頃、
名残を惜しむ碧空がいた。
校舎脇の、忘れ去られた夏のあさがお。
自転車で走り去る、誰かの背中。
最後の乱反射をわずかに残して、
碧天の一日は 終わろうとしていた。
