俺ジャーナル

翻訳やったり物書いたりしています。文章の著作権は私に帰属します。

カテゴリ: スヌーカー

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「スヌーカー愛好家による伝わらないラブレター」という設定で書いたラブレターが、ハードディスクの隅から発見された。2005年3月31日の作だそうです。アホか俺は。

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 前に君と話をしたとき、君は「人はその人らしさが出ていたほうがステキよ」と言ったので、この手紙は、いかにも俺らしく書くことにしました。分からないスヌーカー用語があったら訊いてください。
 君は僕にとって、普通なら攻めに行かないロング・ポットです。セフティに行って行けないことはないのだけれど、それでも、なにかいい予感がして攻めてみたくなる。簡単ではないけれど、入れればブラックにつながる。でも、これまでに僕が付き合ってきたような女の子とは明らかにタイプが違うから、きっと逆をちょっとひねらないと、ブラックには出ないでしょう。
 
 君には、逆を撞いてロング・ポットを狙うということがどういうことなのか分かりますか? 一口で言うと、とても勇気の要ることなのです。それに、途中でカーブが出てしまい、狙った厚みに当たらないかもしれない(この手紙に関しては、この危険が大です)。ゲームでこれをやれば、下手をするとそのまま負けます。
 
 だけど、男には行かなくてはならない時がある。この手紙は、そのくらいの覚悟で書いているものです。いわば、ディサイダーの舞台に僕は立っています。君がパックを割ったのでもなければ、僕が割ったのでもない。セフティ・エクスチェンジの間に少しずつパックがバラけてしまい、もうほとんど逃げ道がなくなってしまったのだと思ってください。
 
 でも、はじめにも書いたように、いかにも僕らしく書くので、もしかしたら君には伝わらないかもしれません。それでも僕は、正直な、ありのままの姿を君に伝えなくては気が済まない。僕の言葉で、僕の経験で、僕の気持ちを伝えてこそ、初めて意味がある。そうしないと、結果がどうあれ納得できないと思うのです。いわばこの手紙は「いってこい」の手紙です。

 君と僕は、まったくタイプが違います。趣味も、好きな音楽も、育ち方も、すべてが違います。僕はどちらかというと、シングル・ポッターです。だから、せっかく何度もチャンスをつかみ、最初の一歩を踏み出すことはできても、いざとなるとなにもできず、失敗ばかり繰り返してきました。ブラックがちょっとでもスポットからずれていると、もう不安になってしまうのです。
 
 しっかり者の君は、いわばブレイク・ビルダーでしょうか。微妙な撞点を撞き分けながらしっかりとブレイクを伸ばしてゆくかのような君の生き方に、僕はどうしても憧れてしまいます。僕は、バチンとロング・ポットを一発決めて、そのあと、君に支えられながらコツコツとブレイクしていきたい。ふたりでセフティ・リードまで歩んでゆきたいのです。
 
 生きていれば、ときおり上手くいかないこともあり、どうしてもボーク・カラーまで出しに行かなくてはいけなくなることもあるでしょう。でも、そんなときでもふたりでいれば怖くないと思うのです。きっといいアングルで、ビタでブラウンかイエローにポジションし、またパックのほうに寄せていける。たとえ逆アングルになったとしても、君が支えてくれればしっかり右下を撞いて2クッションでポジションしにいける。そんな気がするのです。人生の相撞き、いえ、人生のペア・マッチといえばいいでしょうか。

 果たして君に僕の気持ちを伝えるべきかどうか、ずいぶん悩みました。パックに行くにはアングルがありすぎ、僕の希望と同じくらいに薄いのだけど、行かなければ繋がらない。そんな気持ちです。昨日までは、ブラウンに半分の厚みで当ててイエローの裏あたりに隠してそれで澄まそうと思っていましたが、やはりそれでは納得できません。だから最大限、いかにも僕らしい手紙を書いて、気持ちを伝えることにしたのです。

 お返事、待っています。
 
 もしかしたらこの手紙を読んで君は、あまりいい残りではないブラック周りを見ているかのような気持ちになるかもしれません。でも、じっくり僕のこれまでのことを考えてみてください。意外に、いいレッドがひょっこり見つかったりするものなのですから。

 それでは。


田内志文

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 スヌーカーのフォームを習うとき、よく「ブリッジハンド側の肩をぐいっと入れてください」のような教わり方をします。すると、写真のような構えかたになります。写真のジャッド・トランプは左利きなので、ブリッジハンドは右。つまり右肩が、画像のようにぐいっと体の正面側に入るわけです。でも、実は肩を入れるのが大事なわけではありません。大事なのは、左右両肩を結ぶラインができるだけキューと水平方向になることなんじゃないかな、と個人的には思っています。これは、弓道やアーチェリーのフォームとよく似ています。

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 弓道でも写真のように、矢と肩のラインを一致させるわけですが、これ、見方によってはほとんどスヌーカーのフォームですよね。ブリッジハンドが弓の持ち手に変わるだけのことで。なので、ブリッジハンド側の肩しか意識せずにいると、半分しかケアできていないということになり、せっかく前肩を入れて構えることができたとしても効果半減なのではないかなと思います。「エイミングも出来ているしブリッジハンド側の肩もしっかり入れているのに、どうも狙い通りに球が飛んでいかない」という人は、逆側の肩がケアできておらず、そこでエラーが起きている可能性を考えてみてください。

 弓道が「あとは矢を離すだけ」というところに
側の肩を決めてしまっているのと同じように、スヌーカーでも「あとはキューを振るだけ」というところに逆肩を決めてしまうのが大事です。肩の位置が決まらないと肘の位置も決まりませんし、肘の位置が決まらないと、今度はキューの振れる方向が定まりません。

 ちゃんとフォームを教わっていない人に多いのが、肩のラインがキューに対し、水平よりも垂直に近づいてしまっているケース。正面から見ると、体がより前を向いているようなフォームですね。これはもう、まっすぐ振ることが非常に難しいフォームなので、すぐに矯正すべきでしょう。オススメは、右利きのプレイヤーの場合、左足の位置を右足よりも一歩前にしてみること。まあスヌーカーの典型的なフォームなんですが、こうすると無理なく肩のラインをキューラインに近づけることができます。

 どうも狙ったところに球が行かない、という人はぜひお試しあれ。 

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 4年振りの公式戦となった全日本選手権、ベスト16からのリーグ戦を突破できずに1日目で終了。うーん、試合は難しいな! 初戦の大水くん戦は、さすがここのところ公式戦連勝中の彼らしく、入れる。で、俺はというと外しまくり。どうしてもキュースピードが上がらず、普段ならどう撞いたって入る球が、まったく入らない。結局それを修正しきれないまま、いいところなくあっという間に負けた。しかし大水くん、雰囲気出てきたな。もう、ちょっと俺が敵うレベルじゃない。

 2戦目の田中さんは泥展開に。田中さんは、そういう展開の戦いかたが非常に上手い。2フレームとも「微妙にリードされながらいつの間にかゴール」みたいな感じで、一見惜しい感じもするが、まったく惜しくない力負け。入れてるようには見えないのに対戦相手に追いつかせない、絶妙の田中ワールドに飲み込まれ、ここでグループリーグでの敗退が決定。

 3戦目は、こちらもすでにグループリーグでの敗退が決まっている増田さん。増田さんとは初顔合わせになる。敗退同士とはいえ試合のプレッシャーはかかるので、「せっかくだからプレッシャーの中でいろいろ試しておこう」と、練習では使っているのに試合ではびびって出せなかったショットをいろいろと試してみた。したら、けっこう球が入った。ここは勝って、とりあえず1勝2敗で俺の全日本選手権は終了。帰り道「うん、でも今日はスポットのブラックを外さなかったな」と自分を褒めると同時に、その褒めている内容のレベルの低さにちょっと落ち込む。

 久しぶりに出てみたけど、やはり試合は楽しい。今はちょっとスヌーカー熱も上がって来ているし、仕事が立て込んでいて自宅から出られない日々が続くしで、せっかくだから練習に励むとしよう。まだ公式戦を勝ったこともないし、やはり一度は勝たなくては。今はまあ、こんなもんでしょう。道のりは長い。とにもかくにも、まっすぐにキューを振る勇気。これに尽きる。

 優勝は、タイから帰国中の桑田くん。おめでとう。

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 全日本選手権、無事に予選通過した。最後に出場したのは2009年のサムタイム閉店直前だったから、なんと4年振り。たぶん、試合もその間は昨年末のジャパンオープン1回しか出てないんじゃないかな。とにもかくにも試合勘が鈍っているので決勝は厳しいと思うけど、楽しんで来よう。この四年間、自分がどれだけ上達したのか、ベーシックを見つめるいい機会。

 昨日の予選で面白かったのは、自分の感じかたが変わっていたことだ。プレッシャーと緊張で心拍数は上がりっぱなしでひたすら熱くなって空回りを続けていたのだけど、そんなどうしようもない状況の中、「あ、俺こうやって球入れてるな」と、理屈が噛み合う瞬間が何度かあった。そういう球はすべて入った。以前は、こういうことを感じたことがなかった。手球と的球が当たったときにそこでなにが起きているのか、ということまで見えるみたいな気持ち。その感覚を家に持ち帰り、金曜日まではとにかく仕事を進めながら合間を縫って練習だ。

 それにしても、予選は難しいコンディションだった。20名も集まったものだから、湿気が出てクッションが跳ねること跳ねること。おかげでオーバーランする選手が続出し、さらにちょこちょこと小さいキックも多発し、どのテーブルも壮絶な試合のオンパレードだった。僕も自宅テーブルとはまったくちがうコンディションになかなか慣れず、あわや初戦は落としかけた。相手選手が無理やり攻めた球が残らなかったら、正直危なかったな。

 2戦目の中村さんは、僕が入れたというより中村さんがアンラッキーだった。肝心なところで手球がポケットに落ちてしまうこと2回。そこでちょろっと積み上げた点数で、なんとか勝った感じ。ここで3戦目を残して通過が決まったのだけど、3戦目は相手選手がどこかに行ってしまっており現れず、不戦勝に。結果を見ると全勝通過だけど、まあこの通過はただのラッキーだ。自分で「これは入れた」と感じたのは、3球だけ。あとはたまたま。ただ、この3球は財産だ。

 決勝は2日がかりで行われ、初日は16名を4名ずつに分けてのグループリーグ。そこで各グループ上位ふたりが翌日のトーナメントに駒を進め、優勝杯を争うことになる。2日目が朝9時半スタートと非常に早いのだが、できればそこまで進みたい。発表されたグループリーグの振り分けを見てみると、予感はあったが、関西の田中選手のグループだ。初めて対戦する選手とやってみたかったのでちょっと残念だが、田中さんと試合で当たるのもずいぶん久しぶりなので、これはこれで楽しもう。大水君がいるのも楽しいね。

 写真は全日本とはまったく関係ないけど、カラチで行われたアジア選手権でテレビマッチやったときの写真が出てきたので、貼ってみる。こんな経験、もうできないだろうなー。

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 パブリッシャーズカップ、行って参りました。結果は準優勝! 大満足の結果です。普段はポケットビリヤードの試合に出ることはないのですが、面白い! 今後、ちょこちょこ出てみようかなという気分になりました。まずはキューを手に入れなくちゃいけないな。

 準優勝よりもなによりも嬉しいのは、球を通して知り合った初対面の方同士が、あっという間に打ち解け、仲良くなってしまうこと。ビリヤードは、いったん始めてしまったら、誰もが例外なく同じ苦労をし、同じ練習をし、同じ悔しさやジレンマを味わわなくてはいけないスポーツです。そうしたものが共通言語になってコミュニケーションを手助けしてくれるのだなあと、 改めて、ビリヤードというスポーツの奥深さ、素晴らしさを感じることができました。こうした苦労や努力は、プレイの上達のためのものだけではなく、人と知り合うためのものでもあると強く思いました。今後もビリヤード、絶対に続けていこう! 生涯スポーツとしてのビリヤードには、まだまだ僕には想像もつかないようなことがあると感じます。

 今回、ご参加くださった出版社の方々にも、改めてビリヤードの楽しさを感じていただけた様子。今後、出版界にどんどんビリヤードの面白さを伝えていきたいと、強く感じました。話の中でも出てきましたが、毎月日を決めて、集まって練習会などもいいかもしれません。僕も自分のノウハウをお伝えするとともに、コーチを招聘したりして、貢献させていただこうと思います。 

 今大会は、優勝者がカメラマンだったため、かろうじて「日本一入れる文筆家」の肩書きは死守したと思います。よく考えたら危なかった!

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