中心市街地の成功方程式―新しい公共の視点で考える“まちづくり”

細野 助博 (著) 時事通信出版局 (2007/09)

人口は職を求めて移動する


これはハーバード大のレイモンド・バーノン氏の仮説らしいが、
大都市への若者の流入、地方都市からの流出の実態を見ても、
明らかだろう。そして、地域の経済力は結局は人口規模に
依存してしまうことを考えれば、人口増加政策を本気で行わなければ、
地方経済はこの先ますます厳しくなる。

本書は、中心市街地活性化の方法論を提供するものであるが、
従来政策で抜け落ちていた最も重要な視点が雇用創出であると
指摘している。

本書によれば、そもそも、中心市街地を活性化させる意義は
大きく2つある。1つ目は、少子高齢化の社会にあって、
中心市街地に都市機能(公共施設、病院等)を集約し、
それらを公共交通ネットワークで結ぶことは、安全で、便利だし、
エネルギー負荷も小さい、そして、逼迫した地方財政にとっても
公共インフラの効率的な運用ができて嬉しい。
日本各地で盛んに言われているコンパクトシティというのは
これに当たる。

一方、2つ目が、若者の雇用の受け皿としての役割の強化である。
バブルが弾け、右肩あがりの社会が終わり、地元に返って働きたいと、
思う若者は確実に増えているらしい。ただ、働き口としては
公務員くらい。そして、郊外のショッピングモールはパートの
おばちゃんばかり。従って、寂れている中心商店街こそがが
若者を受け入れる場としての役割を担うべきだというふうになる。

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実際、富山の中心街では、店を持ちたい若者に店舗を安く貸し、
同時にビジネススキルを指導するフリーク・ポケットという
仕組みがある。

確かに、どうせ開き店舗として投げとくのなら、
やりたいと思っている人にチャンスを与えるのは
自然の発想だと思うが、現実には難しいのだろうか。
コンビニともショッピングモールと差別化された
消費者にとって魅力的なサービスを生み出さなければ
ならないというところが,大きな障壁となってくるかもしれない.

後半は現状分析を受けての、中心市街地活性化の
成功方程式の提案であるが、具体性にも乏しく迫力がない。
あえていうなら、商店街の情報化、GISの有効活用という点を
挙げていた本はあまりみたことないので、ふーんと思って読んだ。

インターネットを通して、魅惑的な都会の情報は否応なし
に全国に伝わる。現在の時代の価値観の中で,地方の魅力が
都市を上回ることは可能なのだろうか.
でも逆に,インターネット等の情報通信技術は,
地理的な制約を越えて,働く可能性も与えてくれるはず.

現在関わらせてもらっているまちづくりでも,
つい最近,雇用創出の話がでていた.随分タイムリーだ.
いい機会だし,少し考えてみよう.