2014年1月に講談社より発表された、西加奈子の作品「舞台」を紹介します。

現代版の太宰治作品とも言える本作ですが、自意識過剰な主人公・葉太の行動がユーモラスに描かれています。文章も簡潔で難解さが殆どないので、1日とかからずに完読することができます。

本作品のハイライトは、やはりセントラルパークでバッグを盗まれるシーンです。ここで、葉太は想定外の出来事に混乱し、追いかけることも助けを呼ぶこともできません。ただただ笑うだけです。そして笑う理由を後付けで心の中で妄想します。この場面は日本人の特徴を如実に表している様に思います。だからこそ、この作品の主人公に共感する読者が多いのでしょう。私も勿論その一人です。

本作のタイトル「舞台」は、葉太が愛読する作家の新作のタイトルとリンクしていますが、作品内でこの新作の内容に触れられることはありません。実質的には葉太をとりまく一連の騒動とその中で振る舞うキャラクターそのものが「舞台」となっています。このあたりの作品構成は非常に絶妙です。


また、父親に対するコンプレックスも本作品のスパイスになっています。作家である父親の世間に対するポーズに嫌悪感を持ちつつも、そのアラを探してしまう自分とそれを見たくない自分の中で葛藤する様子が鮮明に描かれています。父親のもつ世間に対して役割を演じる才能は、ある意味で葉太もしっかり受け継いでいるわけですが、それを無意識的に体現できずに身悶えしているように思います。

心身ともに満身創痍で帰国する帰路において、彼の精神的成長を期待させるように終わるあたりは、ある種の救済とも言えるハッピーエンド的な締めくくりとなっています。

西加奈子の作品が、大衆に受け入れられる理由が良く判る作品です。

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