2010年09月03日

こんばんは

急に忙しくなって、
またまたほっといてしまった。
空も飛べるはずはもう随分ひけるようになって、
若干、歌いながら、弾けるようにもなりました。
次の曲を覚えはじめたんだけども。
残念ながら、引っ越すことになって、
音楽教室は8月末でやめてしまいました。
新天地でもギター教室を探そうと思う。

しかし、やっぱり歌小屋の人たちとの差は歴然で、
ちゃんとやれるようになるのは、いつ頃だろうか。

さて、引っ越すことになったのは、会社が移転したので。
今、ちょっと通勤が辛いです。
会社が今、六本木で、ランチが高くて参ります。

新しいオフィスからは六本木ヒルズと、赤坂サカスが
見えるのですが、自分に似つかわしくない
とんでもない場所に来てしまったと感じます。

会社の引っ越しの次は、自分の引っ越しです。
疲れるが、楽しみです。

さてはて、
映画はと言えば、
あんまり期待していなかった「ヒックとドラゴン」が
めちゃくちゃ面白くて、吃驚した。
今年はトイストーリー3が一番かなと思っていたけど、
僅差ではあるものの「ヒックとドラゴン」の勝ちかなと思う。
ディズニーでは絶対に表現しないことが
きちんと描かれていたことが、勝因ですね。
おすすめです。


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2010年07月07日

空も飛べるはず

かれこれギター教室に通いはじめて2ヶ月が経過しました。
いまだに「空も飛べるはず」を練習中です。
今、曲を聞きながら、ギターを合わせて弾くということをやっていますが、
まぁ、これが難しい。難しい。
いつになったらまともに弾けるやら。
先は長いな〜。
まぁ、気長にやります。

映画といえば、
今週末、ついに待ちに待ったトイストーリー3ですな。
楽しみです。
今月はエアベンダーが楽しみですが、
見にいくか不明。
アリエッティも見たいので。

それから、なんと言っても、
今、大注目はトロンレガシーです。
映画館で予告を見る度、すんげいクオリティで、
早くみたいもんですなぁ。

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2010年06月13日

告白

映画、「告白」を観に行きました。
原作は随分前に読んで、
正直あんまり面白くなくて、
面白い要素はあるんだけど、
おしいというか。

しかし、映画はうってかわって、
めちゃくちゃ面白かった。
中島監督の映画は全部面白い。
ひとつもつまらなかったと思うやつがない。

パコが個人的には一番好きですな。
告白はこれまでのものとは変わって、
映像は綺麗なんだけど、綺麗の種類が違うというか。

それから、これでもかというくらい癖の強いキャラが
いつもでてくるけど、
今回は逆のリアルな感じで、
それでも、各キャラがよく立っていて、
大変面白かった。

シーン展開も、飽きさせることなく、
だらだらした感じがなく、
一気に見れてしまった。

かり暮らしのアリエッティの予告が
映画観に行く度に、内容がわかるようになってきて、
面白い。これは久しぶりにジブリで、
映画館で見たい映画だな〜。

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2010年06月01日

伝説のコードF

よくFのコードが押さえられないで、
挫折する方が多数いるそうです。
ギターをやった人に聞くと、
みんなこれで躓くらしい。

今、スピッツの空も飛べるはずの
Aメロだけ教えてもらったんですが、
Fがでてくる。

しかし、まだできないだろうということで、
FをFメジャー7とかいうやつに置き換えて、
演奏することになった。

そろそろ教室通い始めて一ヶ月か。
早いもんです。

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2010年05月31日

JJポリマー

JJポリマーというコンビの
コント見て来た。
パターンが決まっていて、
毎度おなじみの部分があるんだけども、
一番のお気に入りは、
ルール不明のカードゲーム
「ダーククリムゾンサーガ」
詳細は是非ともご自身の目で確かめてほしい。
次回は多分、秋かな。
JJポリマーの実弾生活というシリーズです。
サイトは、http://www.jitudan.com/です。
よろしく。

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2010年05月25日

スタンドバイミー

アコギ教室、第3回目にして、
ようやくスタンドバイミーの
コード進行とリズムを習いました。
左手の指先がでかくなったような気がする。
気のせいかもしれないけども。
薬指がとくにでかくなったような。
もうあんま痛くない。
痛いけど。
結構、練習できるようになった。

amazarashiの新曲「夏を待っていました」です。


amazarashi「夏を待っていました」Promotion Video

amazarashi | MySpace Music Videos


かっこいいなぁ。
めっちゃよい。
何度も聴いてしまう。

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2010年05月19日

使い古されたビューティフルワールド4

シーン16

    車止まってる。
岸谷 「俺達3人は幼なじみだった。幼稚園からずっと一緒だった。なぁ、俺が事故って記憶喪失になってから、真紀はそのあと」
橘  「あぁ、実家を飛び出して、子供を生んだ。でも、親が金にもの言わせて、真紀を探し出した。真紀は病院で子供とは引き離された。それから、カウンセリングの資格をとって、事務所を開いた。そして、過去のことを忘れるために、結婚した」
岸谷 「ちくしょう、すまない。すまない、本当にすまない」
橘  「だったら、子供の命は、せめて岸谷が守れ」
岸谷 「どういうことだ?」
橘  「彼女は精神疾患を抱えている。統合失調症だ。もう日付が変わるな。誕生日の明日、朝日とともに、学校の校舎から飛び降りる可能性が高い」
岸谷 「何?」
橘  「真紀のカウンセリングに残ってた。そういう妄想に取り付かれてるらしい、いつもは真紀が止めてくれてたらしが。もちろん、それも妄想の中で。」
岸谷 「校舎の屋上から飛ぶ妄想って、どんな妄想だよ」
橘  「さぁな」
岸谷 「でも、こんな状況で」
橘  「だからこそだ。こいつを記事にできたところで、命は救えない、何ひとつ。それよりも、真紀とお前の子供の命の方がずっと大事だ」
岸谷 「いや、ダメだ。そんな不確かな状況だけで動けるか」
橘  「運命だと思わないか?一度、全てはバラバラになった。けれど、こうして何かに引き寄せられるように、再び集まった。偶然にしてはできすぎてる。僕は無神論者だが、運命なら信じもいいと思ってる。今、行動をおこなさなければ、僕達はきっと後悔する」
岸谷 「運命か。(ため息)そうだな。間に合えばいいけどな」
橘  「それが運命なら」
岸谷 「終ったら、警察にかけこむからな」
橘  「好きにしていい」
    エンジンかかる。車出発。
     
    車止まる。
岸谷 「午前3時、ギリギリだな」
橘  「さぁ、早く行ってこい」
岸谷 「橘、お前、汗が」
橘  「風邪をひいたかな」
岸谷 「お前、…ふざけんな、お前、血が。撃たれてんじゃねぇかよ!」
橘  「病院に行ったところで、すぐに殺されるさ」
岸谷 「かっこつけてんじゃねーよ」
橘  「子供をすぐに連れ帰ってくれば、問題ない」
岸谷 「お前……」
    タバコに火をつけて、一回、吐く。すぐに消す。
岸谷 「鮮やかなどんでん返しなんて期待すんなよ。んなもん現実がつまらないから、作家が現実っぽい、それっぽい顔した欠片を集めて、ガチャガチャ組み合わせて、現実みたいな顔して、リアルさなんて欠片もないことを語ってやがるんだ」
橘  「饒舌すぎる。安心しろ、最後まで付き合ってくれる人は、心優しい善人しかいない」
岸谷 「(笑って)世の中そんな奴らばっかりなら、もっといくらかマシなんだろうな」
橘  「そうなったら、僕達の商売はなくなる」
岸谷 「(笑って)。じゃあ、行ってくる」
橘  「悪い、少し眠る」
岸谷 「すぐに戻る」
橘  「岸谷」
岸谷 「なんだ」
橘  「(笑って)戻って来てからでいい。あとで教えてくれないか。それでも世界は美しいか、どうか」
岸谷 「わかった」
    車ドア閉じる音。


シーン17

    階段を走る音。息づかい。ドア開けて、
岸谷 「飛ぶな!」
    走って、捕まえる。
紺野 「離せ!ふざけんな!こんな汚い世界でどうやって生きていけっていうんだ!こんな完璧からほど遠いこんな世界で!」
岸谷 「確かに、こんな汚い汚い世界で、生きていくのは、苦痛かもな。でも、それが世界だろ。世界の半分は闇で、半分は光だ。だからってやなこと全部、否定するな。それも世界だ」
紺野 「半分が光?そんなもん見たことない!」
岸谷 「(かぶって)見せてやるよ!…ずっと迎えに来れなくてすまなかった。説教じみたことを言って悪かった。さっき言ったことは、俺も受け入れられてない。だから、一緒に生きていこう」
紺野 「(泣いて)」フェードアウト。


シーン18

    朝、雀の声。ドアガチャ。
岸谷 「おはよう、城島さん。すがすがしい朝だ」
城島 「ん?誰だ」
岸谷 「法に、法に守ってもらえらなかった奴がいる。理不尽な理論で、理不尽に命を奪われた奴がいる」
城島 「お前か、最近さわがせてる奴は。」
岸谷 「ぶん殴りたいところだが、暴行事件で訴えられちゃたまんねぇから。アンタ、ムチャクチャやりすぎた」
城島 「いくらだ?パソコンを持ってるんだろう?」
岸谷 「こいつのことか?」
城島 「そうだ」
岸谷 「2億」
城島 「わかった。振込先は?」
岸谷 「おいおい、こういう時はスイス銀行だろ」
城島 「バカにしてるのか?」
岸谷 「聞いたな」
城島 「な」
岸谷 「(ちょいためて)確保!」
    ばたばたばたと警察。
城島 「なんだ!こんな、ふざけるな!」
谷村 「午前8時23分、証拠隠滅および、自殺教唆、その他諸々の罪で、逮捕する」
城島 「冗談じゃないぞ」
谷村 「いいから、乗れ。ったく、「確保!」はお前の役割じゃない」
岸谷 「(笑って)言ってみたかったんすよ。じゃあ頼むわ」
谷村 「ちょっと、待て岸谷」
岸谷 「ん?」
谷村 「お前、前にテレビに出たろ。一年ちょっと前に。」
岸谷 「あぁ、どうしてもっていうから、仕方なく」
谷村 「降幡真紀は、それでお前を知ったんじゃないかな」
岸谷 「何だよ、急に」
谷村 「この事件の最後の謎」
岸谷 「ご親切にどうも。じゃあ、あとよろしく」
谷村 「おぅ」

シーン19
    歩く音。ドアガチャ。
岸谷 「ただいま」
紺野 「おかえり」エンディング曲この辺からフェードイン。
岸谷 「ただいま、ただいま、ただいま」
紺野 「ちょっと言い過ぎ」
    曲、終って。

シーン20
    遠く街の喧噪。
降幡 「岸谷君がいなくなって、子供と引き離されて、夫にも死なれて、戻る家もなく、それでも、あなたは一緒に生きていきたいと言う。もし、私があなたを選んだら、それは罪よ」
橘  「君がいまだ、岸谷を忘れられないことは知っている。僕を選ぶことを罪だというのなら、君は僕を選ぶな。僕が君を選ぶ。理論的じゃないことはわかってる。理論的じゃないことを、理論的に説明はできない」
降幡 「私たちは死ぬまで本当に分り合えることはない」
橘  「それは、誰と生きても一緒だろう」
降幡 「じゃあ、私に限界がきて、どんな行動を起こしたとしても、理解できずに悲しまないで」
橘  「わかった。じゃあ、…隣に行っていいかな?」
    街の喧噪、車の走る音とクロスフェード。
岸谷 「死ぬんじゃねーぞ!橘」
橘  「岸谷」
岸谷 「んだよ!」
橘  「世界が歪んでるから、その歪みに合わせた。ただ……」
岸谷 「橘!」
橘  「……」
岸谷 「くそ」
    車、止めて。風の音、
岸谷 「それでも、多分、世界は……」
    風の音、フェードアウト。

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使い古されたビューティフルワールド3

シーン11
岸谷 「それで、宮澤が死んだニュースを知って、降幡真紀に近づいた。新聞記者として、ビッグニュースだもんな。澁澤銀行の取締役退任まで騒動を起こした犯人かもしれない男を、表舞台にひっぱりだせるかもしれない」
橘  「ただ名刺交換しただけの人間が投身自殺をしただけで?」
岸谷 「そこがおれも引っかかってる。何故だ?」
橘  「真紀とは幼なじみでね。宮澤の妻が真紀と知った時、すぐに会いにいった。事件のことを知りたいというのもあったが。でも、話しているうちに、そんなものは消えてしまった」
岸谷 「だったら、今もそうしていればいいだろうに」
橘  「おそらく、死んでしまったことが許せなくて、調べられることは調べたかった」
岸谷 「なぁ、俺が聞いてる印象でこんなことを聞くが、アンタ達二人は上手く行ってたのか?」
橘  「行っていたと信じたい。でも、本当に分り合えることは多分、なかったのかもしれない」
岸谷 「踏み込んで聞くが」
橘  「君は気遣いが下手だな。優しいのか厳しいのか、よくわからない。真紀は、ある一人の男を想い続けていた。それは前の旦那でも僕でもない。それでも、一緒にいた。感情は、理論じゃない。」
岸谷 「そうか、それは立ち入ったことを聞いたな。悪かった」
橘  「探偵が何を言う。ま、嘘だと思うなら調査してくれて構わない。高校のアルバムを見てくれれば、僕と真紀は同じクラスで載ってる。ま、残念ながら僕は無くしてしまって持ってないが、探偵ならすぐに取り寄せられるだろう」
岸谷 「(ため息)話を戻そう。PCのデータをサルベージしたところ、澁澤銀行の顧客リストがあった。まあ時間が経過しているから、かなり不完全だが、間違いない。それから、中国のサーバへのアクセスログも。宮澤がやったのはほぼほぼ間違いないだろう」
橘  「何故、単なるオペレータである宮澤に、そんなことができたんだと思う?」
岸谷 「さぁ、そこまでは依頼に入っていなかった。知ってんのか?」
橘  「知りたいか?」
岸谷 「いや、いい。(ため息)これで依頼完了だな。なぁ、ひとつだけ教えてくれ。そいつをどうするつもりだ。世に出したところで、そんな事件は誰ももう覚えちゃいない。そんなこともあったかな、程度だ。それにそれだけじゃ完全な証拠にはならないだろうし、降幡真紀だって喜びはしないだろう」
橘  「君は、口はあれだが、優しいな。では、失礼する。ありがとう」
    ドアガチャ。

シーン12
    飲み屋。
小笠原「なんだよ、ぼんやりして、仕事終ったんだから、すかっと飲もうぜ」
岸谷 「所長?」
小笠原「ん?」
岸谷 「なんかしっくり来ないんだよ。事件のことも、どうして旦那がやったのか?どうしてそんな危険を犯して」
小笠原「小銭が欲しかったんだろうよ」
岸谷 「普通に考えて、結婚した直後にそんな危険な橋渡るか?やっぱ聞いておくべきだった」
小笠原「お前、そろそろ駆け出しの探偵じゃないんだから、金にならないことはすんなよ」
岸谷 「だよな。所長には感謝しているよ。よく記憶喪失の人間を拾って探偵にしたもんだ」
小笠原「探偵にするつもりなかったんだけどな。お前は頭が良かった。向いてるよ」
岸谷 「飲もう」
小笠原「おう!」
岸谷 「いや、やっぱ気になる〜」
小笠原「ったくしょうがねぇな。あ、そう言えば、お前に郵便物来てたぞ。これ」
岸谷 「何、あ、卒アルのコピーか。業者に頼んどいたやつ」
    封を開ける。
小笠原「すっかり入れ込みやがって。依頼者が納得してんだから、嘘ついてようがなんだろうが、いいじゃねぇか」
    アルバム開いて、
岸谷 「お、降幡と橘、いるな。間違いなさそうだな。なんだこりゃ、おい、これ、う」
    ばたんと倒れる。
小笠原「おい、岸谷!救急車!早く救急車!」


シーン13
    海の音。
紺野 「もし、世界がもっと完璧な精度で美しかったら、きっと何もかも、醜い感情も、つまらない争いも、存在しなかったろうに。つまらない、こんな世界つまらない。ねぇ、いつか言ってくれると思ってたよ。お母さん、怖かった?自分の娘が恨んでるって思った?思ったよね。だから、言い出さなかったんだよね。私もね、先生がお母さんだってわかるまでは、もし自分を生んだ母親に会ったら、殺してやるって思ってたよ。でも、会えたらどうでもよくなっちゃったんだ。大好きだった。大好きになったんだよ。ねぇ、この前、会ったんだ。お父さんに」
   海の音、アウト。

シーン14
   ドアコンコン。
岸谷 「留守か」
    ケータイバイブ。
岸谷 「もしもし」
橘  「そこから離れろ。殺されるぞ」
岸谷 「どこにいる?」
橘  「監視カメラから。裏の通りのカローラの中だ」
岸谷 「わかった」
    足音、フェードアウト。
    車ドア開けて、閉じる。
岸谷 「何やってる?何した?」
橘  「何処からかバレたらしい」
岸谷 「どこに」
橘  「おそらくその筋の」
岸谷 「どういうことよ?」
橘  「事件後に、代表取締役に就任した城島修一(きじましゅういち)は、サーバー管理会社の宮澤に目をつけて、料亭で拝み倒した。城島が黒幕だ」
岸谷 「そいつが真相か。投身自殺なんかじゃないってわけだな。パソコンに残ってるあんなもんじゃ証拠にならないだろ」
橘  「なる。城島はそのPCの領収書を会社で切ってる。そのコピーならある」
岸谷 「バカな奴だな。でも、あとで売ったとか言われたら?」
橘  「それをたまたま買ったやつが、ハッキングしたっていうのはできすぎた話だろう?」
岸谷 「なるほど、で、どうするつもりなんだ?」
橘  「もちろん、記事にする。記者として、な。で、君はどうしてここに」
    銃声。車の窓割れる。
岸谷 「うお!ここ日本だぞ!だせ!」
橘  「わかった」
    銃声二発。エンジンかけて、車発車。車去る。
    車走る音。
橘  「バレたと思ったのは、探偵事務所の帰り道だ。つけられてるとすぐにわかった。自宅に来ると思って、監視カメラを設置して、更なる証拠を掴もうと思った」
岸谷 「危険すぎる。すぐに警察にかけこめ」
橘  「こんなヌキネタ、持ってかれるわけには行かない。どうせ、警察の記者会見があるまで、発表するなってことになる」
岸谷 「(笑って)」
橘  「どうした?」
岸谷 「夢、叶ったんだな」
橘  「何……、お前、いつから?」
岸谷 「今朝から。全部、思い出したよ。橘」
橘  「(ため息)待ってた。待ってたよ、岸谷。長いことな」
    車走る音、フェートアウト。
    
シーン15

    二人で歩いてる音。
岸谷18「アガス?なに、葉っぱ?」
降幡18「アガスティアの葉、自分の運命が書かれてるんだって」
岸谷18「へぇ」
降幡18「死ぬ前に行きたいなぁ」
岸谷18「インドだろ?とお!」
降幡18「興味ない?」
岸谷18「いや、ちっと見てみたい。いつか、役者でバーンと売れたら連れてってやるよ」
降幡18「期待しないで待ってる」
    歩いてる音、アウト。
    
    学校の鐘の音。
岸谷18「お前、なんで新聞記者なんかになりてえの?」
橘18 「『これだけは覚えておけ、お前を調子づかせるために520人は死んだんじゃねぇ!』ってね」
岸谷18「何それ」
橘18 「クライマーズ・ハイ。今度、見てみな。メッチャかっこいいから。新聞記者の映画」
岸谷18「へぇ」
橘18 「岸谷は?どうして役者やるの?せっかくこんな進学校きて」
岸谷18「やっぱさ、前から好きだったし」
橘18 「ふぅん」
岸谷18「ふぅんって」
橘18 「降幡のことはどうするの?」
岸谷18「どうするって?」
橘18 「結婚とか」
岸谷18「バカ!早えーだろ」
橘18 「降幡ってすごいお嬢様だろ。ちゃんとした職業についておかないとさ」
岸谷18「なんとかなるだろー」
橘18 「でた、伝家の宝刀「楽観視」」
岸谷18「(笑って)うっせ」  
 
    アパート。
降幡20「ねぇ、いつまで役者やるつもりなの?」
岸谷20「いつまでって、いつまでもじゃないかなー」
降幡20「ん、もう」
岸谷20「何、やめてほしい?」
降幡20「ねぇ、ちゃんと聞いて」
岸谷20「なーに」
降幡20「妊娠しちゃった」
岸谷20「マジでー!よっしゃ、わかった。結婚しよう。ちゃんと就職する」
降幡20「(泣く)」
岸谷20「泣くなよ」
降幡20「だって」

    ドアばんと開いて。
執事 「お引き取りねがおう。お嬢様には、子供をおろしていただくことになった」
岸谷20「なんだよ!それ。ふざけんな!真紀に会わせろ!いいから、会わせろよ!」

    バイク走る音。
岸谷20「(M)ふざけるな。世界はちっとも美しくない」
    バイクスピードアップして、事故る。
    


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使い古されたビューティフルワールド2

シーン06
    歩いている音。
紺野 「笑けるくらい世界は不完全で、美しくない。でも、ここは美しい。美しくってしょうがない。朝日は、完璧に近い。今日は私の誕生日。ハッピーバースデートゥーミー。ハッピーバースデートゥーミー。ハッピバースデーディア私。ハッピーバースデートゥーミー」(歌はやる気のない鼻歌のようなぼそぼそした感じで。)
走り出す。
紺野 「ねぇ、飛ぶよ。世界が完璧と思えるような精度で美しかったら、こんなことしないですんだのに。でもいいんだ。今日こそ、私は」
降幡 「歩ちゃん、待って」
    目覚まし時計の音。
紺野 「(はっ)ちくしょう、今日も生きてる」
    目覚まし時計、止めて。
    エレベータのあがる音、扉開いて。
降幡 「歩ちゃん、どうしたの?学校は?」
紺野 「今日は中止」
降幡 「また、例の夢?」
紺野 「うん、また降幡先生に止められちゃったんだよ。もうちょっとで飛べそうだったのに」
降幡 「わかった。じゃあ、部屋行こうか?」
紺野 「うん」
    カップを置く音。
降幡 「でも、良かった。今日も私が止めたんでしょ?学校の屋上で」
紺野 「うん」
降幡 「もし、私の制止を振り切って飛び降りたら、悲しいもの」
紺野 「(笑って)夢の話だよ」
降幡 「(笑って)それでも。さて、今日は何を話そうかな?」
紺野 「ねぇねぇ、先生さぁ、アガスティアの葉って知ってる?」
降幡 「何、それ」
紺野 「なんかねぇ、インドの奥地にあって、それには自分の人生が書かれてて、でも現地の言葉でかかれてて、それで、なんか読む人がいるんだって。その人と話をすると、自分の運命がわかるんだってさ」
降幡 「何かの小説?」
紺野 「違う違う、本当にあるんだって。この前、テレビでやってた」
降幡 「へぇ、面白そう。今度調べてみよう。アガ、アガス?」
紺野 「アガスティアの葉」
降幡 「アガスティアの葉ね。覚えておく。それ、一度は行ってみたいな」
紺野 「ね、信じる信じないは別としてもさぁ、聞いてみたいなぁ」
降幡 「うん、歩ちゃん、元気になったら行こうね」
紺野 「うん!(ため息)」
降幡 「どうしたの?」
紺野 「ねぇ、世界って不平等だよ。一部の賢い人間が、バカな人間をダマしてさ。ちゃんと言葉にできる奴が勝っちゃうんじゃん。言葉を持たない人間には、苦痛だよ」
降幡 「クラスのこと?」
紺野 「うん、つまんない奴らだよ。あんな奴ら。他人より優位に立つことしか考えない。言葉にしちゃう奴らは、言葉がどんな武器だか知ってるんだ。言葉が上手くなくても、心が間違ってない人はちっとも評価されない。」
降幡 「確かにね。人間は言葉によって、いくらでも現実を変えてしまう。それは違うか。同じことでも、捉え方ひとつで善にも悪にもなってしまう。それがたとえ闇でも、光に見えるかもしれない」
紺野 「うん、そうそう。だからさ、世界の起こってるあらゆることなんかはさ、言葉でどうにかなっちゃうんだよ」
降幡 「自分がいる位置で、世界は如何様(いかよう)にも姿が変わる」
紺野 「だから、想像力が必要なんだって思うんだ。他人にとってそれがどう映るのか。それを知らなきゃ、自分だけのフィルターしか持てなくて、それってうわべだけの会話が本当のことだと思わせる。だから、私は大嫌いなものが多いんだ。きっと。そういう世界に対しての理解が低い奴らを見ると、何わかったふりしてんだ。ピエロじゃないか、それ。ってさ」
降幡 「歩ちゃん、じゃあそれを今度、相手のわかる言葉にして、伝えなきゃね」
紺野 「やだよ。面倒くさい。ねぇ、学校行ってくる」
降幡 「ホント?どうしたの、突然」
紺野 「なんか、つまんない場所だけど、とりあえず行ってくれっておじさんとおばさんが言うからさ」
降幡 「お、いいね。歩ちゃん、行ってらっしゃい」
紺野 「うん、行ってきます。なんか変なの。行ってきます。先生」
降幡 「行ってらっしゃい」


シーン07
    雨の音。
紺野 「あの降幡先生が死んだ。しかも自殺だってさ。ねぇ、先生、もう私を止めないでよね。私、もうあと5日で誕生日だよ。飛ぶんだ。でも、ずるいよね。私の方が飛びたかったのにさ」
岸谷 「おい、こんなところで何やってる?ここのカウンセリング事務所なら、もう誰もいないぞ。降幡先生の知り合いか?」
紺野 「誰?」
岸谷 「警察。聞いてないか?先生なら亡くなったぞ。学校はどうしたんだ?」
紺野 「今日、今日、休みで」
岸谷 「嘘つくな」
紺野 「ごめんなさい、学校、行ってきます」
岸谷 「あぁ、それがい、う」
    倒れる。
紺野 「おじさん、大丈夫ですか?」
岸谷 「…やっと会えた」(朦朧としながら)
紺野 「え?」
岸谷 「ん?あれ、どうした、俺、今」
紺野 「急に倒れて」
岸谷 「大丈夫だ。学校へ行ってこい」
紺野 「はい」
岸谷 「あ、おい!髪にゴミがついてる」
紺野 「え、あ、ありがとうございます」
    紺野去る。

シーン08
    学校。生徒達の声。
女生徒1「なんか臭くない?」
女生徒2「臭い。マジ生臭いんだけど」
女生徒1「だよね。お前、ちっと洗濯してやっから、来いよ」
     トイレ。水ばしゃ。
女生徒1「はは、マジうけるんだけど。お前、何か言えよ」
紺野  「やめてください」
女生徒2「(すぐ入って)きこえねーよ」
女生徒1「(笑って)」
紺野  「やめて、ください」
    鐘の音。
女生徒1「教室、もどろ」
女生徒2「お前、腹痛くて、いないってことにしといてやるから」
女生徒1「借しにしといてやるよ」
     女生徒去る。
紺野  「歪んでる」
     ドアガチャ。
紺野  「ただいま」
里母親 「おかえり」
     とんとんとんと階段あがっていく。
     ドアしめて、ベッドに。
紺野  「決めた。本当に飛んでやる、本当に。本当は飛べないんじゃないかって思ってた。死ぬ前にやっときたいこと、全部やっておこう。海へ行こう。この前読んだ小説の終わりに主人公達が海へ向かったから。それから、それから、もういいや。そしたら、誕生日の早朝、学校の屋上で、より完璧に近い、その朝日の中で、私は」


シーン09
    PCの起動音。
岸谷 「依頼はすべて達成した。予算内できっちりな」
橘  「良かった」
岸谷 「紺野歩と偶然だが、接触できたんでね、降幡カウセリングの事務所に落ちてた髪と、紺野歩の髪のDNAが一致した」
橘  「紺野歩は来院してたんだ。彼女自身の髪かもしれない」
岸谷 「いや、100%一致はしなかった。ふたつとも本人のものなら、100%一致する筈だ。親子関係にあるという鑑定結果だ。ほぼほぼ間違いないだろう。降幡真紀は、どうもハタチの頃に子供ができたが、育てられなくて、赤ちゃんポストに入れた。こいつは施設に問い合わせて確認した。13年くらいたってから偶然、事務所に訪れた自分の娘をカウンセリングをはじめた。娘は自分の所為で心に傷を負っていたからな。非常によくできた話だが、なくはない」
橘  「なるほど、それで詳細をパソコンに。データの復元は?」
岸谷 「そいつも結果がでたが、なぁ、アンタ、何処まで知ってる?何故、降幡真紀に近づいた?以前、投身自殺した前の旦那を調査したと言ったよな。アンタが知ってるなら、ここまでの情報で、俺が何を言いたいかわかる筈だ」
橘  「(少し笑って)」
岸谷 「面白いか?」
橘  「面白い。宮澤龍平、前の旦那とは、生前ある料亭のトイレで会ったことがある」

シーン10
    蛇口をひねって、水を流す音。
宮澤 「(おびえて息あらく)」
橘  「どうしました、大丈夫ですか?」
宮澤 「すいません、こういうところ、初めてなもので、緊張してしまって」
橘  「営業はじめたばかりですか?」
宮澤 「えぇ、そんなようなもんです」
橘  「大丈夫、すぐに慣れますよ。ちょっとこんなところで、何ですが、私、東方新聞社の橘と申します」
宮澤 「あ、すいません、私、SETの宮澤と申します」
橘  「サーバー管理会社?」
宮澤 「えぇ。すごいですね。東方新聞社って」
橘  「大したことないですよ。商談、まとまるといいですね」
宮澤 「ありがとうございます」
    トイレドアガチャ。

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使い古されたビューティフルワールド1

一応、最新作になるのかな。
いのちのねいろの改訂中に、
書きたくなって書いたものです。
スピード感を重視した作品ですね。
とにかくまったりさせないで、
最後まで疾走感をだしてみました。
作品化まではしないと思って、
第一稿を書いてから、まったく改稿してないので、
かなり荒削りですが。



「使い古されたビューティフルワールド」

シーン00

    エンディング直前のシーン。タバコに火をつける。一回、吐く。すぐに消す。
岸谷 「鮮やかなどんでん返しなんて期待すんなよ。んなもん現実がつまらないから、作家が現実っぽい、それっぽい顔した欠片を集めて、ガチャガチャ組み合わせて、現実みたいな顔して、リアルさなんて欠片もないことを語ってやがるんだ」
橘  「饒舌すぎる。安心しろ、最後まで付き合ってくれる人は、心優しい善人しかいない」
岸谷 「(笑って)世の中そんな奴らばっかりなら、もっといくらかマシなんだろうな」
橘  「そうなったら、僕達の商売はなくなる」
岸谷 「(笑って)。じゃあ、行ってくる」
橘  「悪い、少し眠る」
岸谷 「すぐに戻る」
橘  「岸谷」
岸谷 「なんだ」
橘  「(笑って)戻って来てからでいい。あとで教えてくれないか。それでも世界は美しいか、どうか」
岸谷 「わかった」
    車ドア閉じる音。

シーン01

    バー。店内BGM。
小笠原「どうよ、あいつ」
岸谷 「新人?王道、ですね」
小笠原「王道?」
岸谷 「張り込みん時、食いもんと飲みもん買ってこいっつったら、アンパンと牛乳買ってきて」
小笠原「(笑って)一回はやるよな。アンパンと牛乳って誰が決めたんだろうな」
    ケータイが鳴る。(バイブ)
岸谷 「(ちょい考えて)松田優作?」
小笠原「(笑って)ケータイなってるぞ」
岸谷 「え、ちょっとすいません。」
    席立って、店内BGM遠のく。
岸谷 「はい、もしもし」
谷村 「岸谷か?」
岸谷 「今、所長と飲んでんだけど、何よ。この前の駐禁なら払ったよ」
谷村 「署からかけてる。仕事の電話だ。雑談をしてる暇はない」
岸谷 「こっちはオフだ」
谷村 「暇な探偵事務所だな」
岸谷 「日本の警察が優秀なんだろ」(嫌みに)
谷村 「切るぞ」
岸谷 「悪い、何よ」
谷村 「降幡真紀(おりはたまき)、知ってるか?」
岸谷 「降幡真紀?ちょっと待て。覚えてる。確か一年くらい前に依頼があったな。心理カウンセラーの先生だったよな、確か」
谷村 「降幡真紀が自殺した。ケータイにお前の番号が入ってた」
岸谷 「状況は?」
谷村 「第一声がそれか。職場で睡眠薬飲んでる。他殺の疑いはなし。直筆の遺書は見つかってる。まぁ、自殺の線で間違いないだろ」
岸谷 「遺書には、何て」
谷村 「何も。インターネットで調べたような常套句しか書いてなかった。疲れたんだと、現実に。親戚とも疎遠なようで、区民葬だ。お前も暇なら線香の一本でもあげにこい」
岸谷 「そうか、わかった」
谷村 「念のため聞く。事件性はありそうな依頼か?」
岸谷 「依頼内容は明かせないのわかってんだろ。令状もなしに」
谷村 「わかった。ま、自殺の線が薄れたら連絡する」
岸谷 「了解」
    電話切る。
岸谷 「事件性?(少し笑う)」
    BGM切れる。

シーン02

    過去のシーン。エコーかける。
降幡 「彼は、本当に、自殺だったんでしょうか。それを調べてください」
岸谷 「何故、今頃。既に六年前の出来事でしょう。山手線に投身自殺したのは。しかも、現場検証も済んで、とっくに解決した事件だ。仮に殺されていたとして、もう証拠もなにも見つからないでしょう。これだけ時間が経ってしまうとね。非常に難しい。費用だってばかにならない。あなたが期待するようなものは得られない可能性はずっと高い。それでも調べてほしい理由は?」
降幡 「なんでしょう。過去と決別したいんだと思うんです。私は、人生で愛した人はたった一人です」
岸谷 「愛していたんですね」
降幡 「いえ、死んだ夫ではありません」
岸谷 「え?」
降幡 「私はでも、その人を選ばなかった。だから、籍を入れたその人を愛したい。愛していたと、認めたい。ポーズのようなものかもしれません」
岸谷 「納得して、前に進みたい」
降幡 「えぇ」
岸谷 「わかりました。それであなたの人生が前に進めるなら。引き受けましょう」
降幡 「ありがとうございます」


シーン03
   
    お通夜。
岸谷 「この度は、御愁傷様です」
橘  「ご丁寧に恐れ……」
岸谷 「えっと、私の顔に何か」
橘  「いえ。……名刺いただけますか?」
岸谷 「はい、岸谷という者です」
橘  「…探偵?」
岸谷 「はい」
橘  「真紀とは、どういった?」
岸谷 「アンタは?」
橘  「アンタ?ちょっと失礼じゃないのか」
岸谷 「アンタこそ。初対面の人間に失礼じゃないのか?」
橘  「確かに。僕は、真紀とは生前、婚約していた。少し、話をしたい。」
岸谷 「なるほど、少し席外せます?」
橘  「はい。ちょっと席、外します。よろしくお願いします」足音遠のく。
    タバコに火をつける。
橘  「僕は結構」
岸谷 「喫煙者には辛い世の中になったし、やらなくて正解」
橘  「僕は橘という者だ。真紀とはどんな?」
岸谷 「依頼を受けたのは、もう一年も前になる。いつから付き合って?」
橘  「三年くらい前から」
岸谷 「そうか、恋人がいたなんて聞いてなかったな。降幡さんの夫のことは?」
橘  「投身自殺を図った」
岸谷 「その死の原因を突き止めてほしいという依頼で」
橘  「自殺と聞いている」
岸谷 「自殺でしたよ。古い話だったんで、100%自殺とは言えないかもしれない。でもま、事件性のあるようなものじゃなかった、という結論に結局落ち着いた」
橘  「本当に?」
岸谷 「えぇ、というか本来、依頼内容は令状でもない限り明かせない。そいつをしゃべったのは、あなたが降幡さんの恋人だからに他ならない」
橘  「…わかった、信じよう。すまなかった、疑って。そういう性分でね。新聞記者をやっている」
岸谷 「いや、いい。こちらも疑うのが職業だ。心中、お察しする」
橘  「ひとつ、頼まれてくれないか?」
岸谷 「それは、探偵として?」
橘  「もちろん。真紀のノートパソコンを持ってる。パスワードがかかってて、中が見れない」
岸谷 「警察には?」
橘  「特に調べはなかった」
岸谷 「じゃあ、今度、事務所に持ってきてくれ」
橘  「わかった」
岸谷 「中身の情報に関して漏らすことはないが、橘さん、どんな内容であれ、アンタにそれを見る覚悟はあるのか?」
橘  「もちろん。たとえどんな内容でも」
岸谷 「(笑って)どうせ生きているからには、苦しいのは当たり前だと思え、か」
橘  「芥川か」
岸谷 「じゃ、待ってる」
    歩き出す岸谷。


シーン04
   
    ノートパソコンを打つ音。エラー音。
岸谷 「(オーバーなため息)」
小笠原「どうなんだ?」
岸谷 「見ての通り、苦戦中」
小笠原「業者に頼めよ」
岸谷 「いやなこった。業者のヤツら、こっちが素人だと思って、バカみたいな金ふっかけてくる」
小笠原「なぁ、昔のお前の報告書読んだけどよ、これ本当に何も事件性のない自殺だったのか?」
岸谷 「ないね。ただ、ひとつだけ気になることはあったは、あった」
小笠原「何よ、報告書には書いてなかったじゃねぇか」
岸谷 「前に澁澤信託銀行のサーバーが攻撃受けて、個人情報流出した事件あったっしょ?まぁ、世の中的には大した事件じゃないけど。取締役の入れ替えとか、事故の処理が終った直後、旦那の宮澤龍平は自殺した」
小笠原「接点は?」
岸谷 「宮澤龍平の勤め先が、その攻撃受けたサーバーの管理会社」
小笠原「おー、事件性おおりじゃねぇの。何で報告しなかった」
岸谷 「宮澤龍平がハッカーだなんて記録は残ってないし、まぁ、パソコンオタクには違いないだろうけど。それに、まぁ、所長にはわからないかもしれないけど、サーバーへの攻撃は中国のサーバーを踏み台にした攻撃方法で、足跡は残ってない。世界中、誰かやったかまるでわからない。それから、宮澤がやるにはリスクがでかいわりにゃ、リターンが少ない。取得した個人情報のデータなんて、その手の業者に売ったって数十万。もし、ばれたら数億円の損害賠償。まぁ、やる意味がないってのが、俺の結論」
小笠原「個人情報なんて漏れたところで、活用方法はすくねーからな。メディアが危険性ばっかり報道するもんだから、素人は言われたまんま危険なんだと思っちまう」
   ノートパソコンを打つ音。
岸谷 「愚者は名高い作者のものなら、なんでも賞賛する。私はただ自分のためだけに読む。ってね」
小笠原「誰の言葉だ」
岸谷 「ヴォルテール、フランスの哲学者」
ウィンドウズ起動音。
岸谷 「よし、来た!」
小笠原「パスワードは何だった?」
岸谷 「異常にシンプルだな。誕生日と、名前の組み合わせ」


シーン05

    二人の歩く音。
岸谷 「どこの新聞社に勤めてんだ?」
橘  「東方新聞」
岸谷 「おーおー、こんなことしてる場合か?忙しいご身分だろうに」
橘  「スケジュールなんてどうにでもなる」
岸谷 「有能だね」
    ドアガチャ。
岸谷 「じゃあ、そこかけて」
    座る二人。
橘  「中は何か?」
岸谷 「中のデータは、大したもんじゃなかった。心理カウンセリングの顧客データと、経理関係のファイル。それから、半年くらい前、インド旅行に行ったのか?」
橘  「インド?インドとは聞いてないな。海外で学会があるとかで、行ったのがその頃だ」
岸谷 「インドに行ったみたいだな。学会とは関係なさそうだけど。その旅行の写真があっただけだ」
橘  「他には?自殺と関係ありそうな」
岸谷 「自殺と関係あるかどうかわからないが、ある少女とのカウンセリングの記録が細かく残ってる。紺野歩(こんのあゆみ)知ってるか?」
橘  「いや、知らない」
岸谷 「なんだ、知らないことが多いな。あんまりしゃべる人じゃなかったのか?仕事のことは。この子だ」
    パソコンのキーをうちながらしゃべっている。
橘  「真紀」
岸谷 「何?」
橘  「真紀の学生の頃にそっくりだ」
岸谷 「いやいや、この子は赤の他人だろ。レポートを読んだけど、両親が他界して、施設で育った、らしい。そんなのに嘘は書かないだろ。」
橘  「なんだ、これは?」
岸谷 「パソコンの名前だな。龍平PC。元夫の持ち物だったんじゃないか?」
橘  「……、依頼を増やしてもいいか?」
岸谷 「構わないが」
橘  「消されたデータの復元」
岸谷 「おいおい、夫が死んだのは六年前だぞ。もう、復元なんて不可能に近い」
橘  「とりあえずやってみてくれないか?」
岸谷 「こいつは業者に頼まないと無理だ。復元できようができまいが、額があがるが、いいのか?」
橘  「構わない」
岸谷 「何だか、わけがわからないな。ま、復元と、復元データの内容の提出までが依頼と捉えていいな?」
橘  「それでいい。あぁ、もうひとつ頼む。この子は誰なのか、調べてくれないか?」
岸谷 「紺野歩?どこまで調べればいい?」
橘  「出生から、今に至るまで」
岸谷 「わかった。費用はかかる度に知らせる。もちろん、途中で無理ならそこまでのレポートは提出する。事務所の鍵は持ってるか?」
橘  「カウンセリング事務所の?何に使う?」
岸谷 「あぁ、侵入させてもらう。カルテが見たい」
橘  「おい」
岸谷 「心配すんな。アンタはその鍵をここに忘れていった。それを俺は盗んだって話にする」

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