夏野菜「収穫した夏野菜。
 南瓜、胡瓜、茄子、隠元、ト
 マト、馬鈴薯、大蒜。
 我が家では7月末からどうに
 か収穫出来るようになる。そ
 うして、出来るとなると一斉に
 出来るので、保存の利くもの
 以外は始末に困る。朝から晩まで胡瓜漬けになり、キリギリスになったみたいだ。」

中高年にとって田舎に来て土いじりが出来ることは童心に帰れていい、などと言われる。花を育て、野菜を作れば自然を身近に感じられるかも知れない。自ら育てた作物を食卓にのせれば、一段と美味しいだろう。
移住一年目は家の周りの土木工事や建設工事で野菜作りの暇は無いので、と来る人毎に弁解して来た。二年目となればそうはいかない。ご近所の農家から大根だ、葱だと貰ってばかりでお返しをしてないのも心苦しい。
お向かいの畑の一部を貸して頂いて6月から挑戦を始めた。積年の農作業で腰が曲がり、歩くこともままならない老婦人が、鍬を杖代わりにこの炎天下土寄せや肥料やりに畑に出て来られる。脳梗塞を患ったご主人は専ら耕運機や草払い機など機械を扱って畑を耕し、雑草退治だ。若い自分がお二人に負ける訳にはいかない。自前の野菜で此れ迄のお返しもしたい。畝作りはこう、鍬裁きは、植付けは、肥料やりはと色々教えても頂いた。

『奈々(お向かいの牝馬の名前)』の糞に台所のごみや落ち葉を混ぜて作った堆肥を鋤き込む。化成肥料や農薬を使わず、自然農法をいいことに手を掛けないでやってきた。トマトやキュウリも支柱は立てたが「どうぞ勝手に絡んでくれ」と放って置いた。つまり手抜きだ。週3回のテニスだ、来客だと理由はつく。それでもジャガイモの花は咲き、かぼちゃは隣の畝まで元気に伸びていく。流石自然の力だ、と悦にいっていた。その結果、ほうれん草は虫食いだらけ、トウモロコシは貧弱、枝豆も丈が短い。トマトはひび割れ、茄子は痘痕、キュウリは巨大化。
されどトウモロコシや枝豆は市販物より歯応えがあり、トマトは青臭く、キュウリは瑞瑞しかった。三人の子供にはじっくり噛締めて食べてくれと早速宅急便で送る。彼等から次々お礼のメールが届き、幸せな気分だった。