このブログをパソコンで打って居る。パソコンでは他にもメールを交わしたり、インターネットで情報を拾ったり、高速バスのチケットを予約したり、何かと便利だ。退職して自分のパーソナル・コンピューターを買ってからもう4台目になる。

今年になって、使わなくなったパソコンや携帯電話を無料で回収すると言う通知や広告がやたらと入って来た。友人の一人は宅急便で首尾よく古いパソコンが問題無く処理出来た、と言って居た。今のパソコンは確か無料でリサイクル出来る機種に成って居るが、果どうすれば良いのか?

 

我が国でパソコンの普及に最も貢献したのは、川崎の東京芝浦電気の総合研究所の森健一チームと、大型コンピューターを製作する東芝青梅工場溝口哲也等だとブログに書いたばかりだが、パソコンは耐久財では無く、いつ何時御臨終に成るかも知れないのだ。其ればかりか、買い替えを狙って新製品が次々と現れ、古く成ると機能が機能しなくなる。

余りにも日進月歩が激しいので、パソコンを買っても機能の説明書は付いて来なくなった。説明そのものが明日には通用しなくなるからだ。不具合が生じたら自らパソコンで最新の情報を調べろ、と言うのである。そのパソコンが動かなければどうなのだ?

 

其処迄致命的な故障で無くても、不具合は初中起って、パソコンで調べても其処で説明される手順では古い機種では当て嵌まらないことが殆どで役に立たない。然も、説明はウィンドウズのものでは無く、所謂パソコン・オタクらしき人物が好意で説明して呉れるもので、彼の使って居るパソコンの機種と違えば、彼の指示通りには行かないのが常だ。

ウィンドウズのマイクロソフトが甚だ無責任なのだ。然も、あの忌まわしいパソコン言語で遣られるから尚のこと始末が悪い。頭の固くなった老人には二進も三進も行かないのだ。

 

頭にきて買い替えれば、競合との競争の為に新たな、使い熟せない機能迄が矢鱈と組みこまれ、益々複雑怪奇なものに成って居て、古い機種でやっとこさ覚えた知識が役に立たないと来て居る。科学の進歩は、置いてきぼりを増やすだけだ。今大手を振って歩いて居る若者達も、直に我々年寄りの悲惨さを味わうことに成る。

 

此処迄が枕で、此れから本題に入る。

4月22日NHKBSで一人の日本人アーティストを紹介して居たが御覧になっただろうか?

長坂真護さん、34歳である。MAGO CREATION株式会社 代表取締役兼美術家/MAGO Art & Study Institute Founderと言う肩書である。10年前から独学で絵を勉強したそうだが、今世界で注目されて居るアーティストである。

 

思う様な絵が描けないで葛藤する日々を送る中、ある雑誌で先進国から運び込まれる電子廃棄物でゴミの原野と化したアフリカ・ガーナの首都アクラ近郊にあるアグバグブロシエの記事を読み、現地を訪ねた。

我々が日常使用して居る電子器具は安全にリサイクルされて居るものと思って居るが、実際は中古品として途上国に売られた後、最終的には違法投棄され、その行き着く先がガーナらしい。

 

昭和13年に遡るが、東京湾に飛行場を造る計画が有り、埋め立てが始まったが、折からの日中戦争で金と電力が不足し、計画は頓挫した。戦後、その埋め立て地は東京都の塵の捨て場と成り、昭和60年代に掛けて、劣悪な環境と為る。異臭と蠅が都内に迄押し寄せ、時々塵が自然発火した。江東区の学校の教室には真っ黒に為った蠅取り紙が天井からぶら下がり、生徒は蠅叩きを持って通学した。今ではスポーツ施設や熱帯植物園等が有る「夢の島」に変貌を遂げているが、地下を掘れば腐った塵が出て来るだろう。

 

塵捨て場だった夢の島のアフリカ版がアグバグブロシエで、塵は電子廃棄物に代わって、もっと始末の悪いことに成った。廃棄物はプラスティックと金属である。御承知の様に、金属の中には少量だがレア・メタルが含まれて居る。其処で、現地のスラム街に住む貧しい住民は廃棄物を燃やし、溶けた残骸の中から金属を拾い集めるのだ。其れをバイヤーが買いに来て、一日500円程度の金に為る。

プラスティックを燃やした有毒ガスが充満し、融けた金属は地下に蓄積されて行く。長坂さんは強烈な頭痛に見舞われ頭痛薬を飲まざるを得なかったたと言う。住民達に聞くと彼等は毎日頭痛薬を飲みながら塵を燃やして居るそうだ。子供達も其れを手伝っている。


アグバグブロシエでは其れが原因で癌に成り、30歳以上の人は見当たらない。

人生30年で終わる感覚を想像出来るだろうか?

公害は全世界で起こって居る。日本でも足尾銅山、イタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそく、豊島事件、福島原発等が有るが、実際は其の何倍も有る。

 

其処で長坂さんは、リサイクル工場を作れば、健康を害すること無く、彼等が金も稼げると考え、廃棄物をそのまま使った絵画制作をして、作品を売り、個展や講演会でガーナの現状を訴えている。

 

現地を訪れた長坂さんは其れ迄自分の為に絵を描いて来たが、以後人の為に製作したいと思う様に成る。作品には高額の値が付き、買い手も増えている。工場建設までは膨大な資金が居るし、時間も掛かるので、健康被害対策として300人分のガスマスクを現地の人達に渡した。小さな学校を作り、文房具などを配ると、学校に行きたいと生徒が喜んで集まって来た。日本では学校に行きたくないと言う子が増えて居るのに。

 

ドイツ政府はアグボグブロシエに労働者と地球環境を守るためのリサイクル施設と、住民の健康管理施設を建設するためにガーナ政府と協力する計画を発表したそうだが、日本政府はどう思って居るのだろうか?日本からガーナに運び込まれた電子廃棄物も在る筈だ。

 

最後に彼の言葉を紹介したい。

『ある意味、ごみを使った作品が作れなくなったら、僕のミッションはゴールなんです。こういう作品を見て、何十年後に“え?プラスチックのゴミ?”“プラスチックって捨ててたの?”みたいな。“変なの”と言われる時代を目指していきたいし、そこは絶対来るんです、そういう明るい未来は。
そこまで行くプロセスの間で努力した人間の1人になりたい、アーティストとしてなりたいなと心から願っていて、そういうミッションで僕の人生を全うしたいなと思っています』

 

(ネットで“長坂真護”で検索頂き、作品をご覧頂きたい)