「心の拠り所」と言うものが有る。否、在ると仕様。其れは人に依って様々かも知れない。詰まり全人共通の絶対的なものは無いのだ。然し、誰しも己の生命が第一と考えるものである。其れを全うする為に精神的な支えとして「心の拠り所」が必要と為って来る。「苦しい時の神頼み」と言う様に、其れは神、即ち宗教である場合が有るだろう。然し其れは抽象的であって、現実的には国家と言うことに成ろうかと思う。

 

「アイデンティティ(identity)」を簡潔に表す日本語を知らないが、己が己で有る証明と為れば、突き詰めれば矢張り国家に行き着く筈だ。其れは人間が地域社会に存在するからで、家族・友人・仲間は皆その地域社会に居る。従って「愛国心」と言うものも生まれる。

 

小生、生まれ変わるとしたら矢張り日本人でありたいと思う。何故なら、日本文化と言うのは独特だと考えて居るからだ。国政が変化しても、科学技術が発達しても、日本人には日本文化が綿々として受け継がれて居る。其れは「心情」と言っても良いが、多民族と比べ好ましいと思って居る。但し、「卑怯」だけは頂けない。日本人が卑怯を憎んで、それを遠ざける努力をし続けて行くならば、文句無しに日本人は誇るに足る人種だと言えよう。

 

その日本国家の象徴が天皇である。GHQの押し付けた憲法で“symbol(飾り)”とされた天皇だが、是が「瓢箪から駒」で「象徴」とはいみじくも言ったものだと今では感じて居る。

天皇の生活環境に関する限り、我々庶民の其れとは違うが、昭和天皇、(明仁)上皇、今上天皇と接して来て、その振る舞い、お気持ちは日本人の象徴として相応しい。

 

其の皇室が1360年「萬世一系」で続いて来たことは歴史上全世界で例が無い。「萬世一系」と言うと、直ぐ旧帝国憲法に擬えて是を時代に相応しくない、右翼だと短慮に走る人が居るが、いい加減にその様な呪縛から解き放たれるべきであろう。日本の皇室は憲法では皇室典範に拠って規制されている。その第一条に“男系の男子”が継承するとある。男子は分かるとして、男系とは何か?

抑々男子と女子とでは2個ある性染色体が異なる。男子の性染色体は1個、Yが1個に対し女性は2個ともXなのだ。「萬世一系」とは、斯の天皇家のY性染色体が神武天皇から続いて来たのである。

例えば鈴木家に男子が生まれず、女子のみだったとする。斯の女子が佐藤家からお婿さんを迎え結婚し、男子が生まれたとする。その子が鈴木家を継ぐことは出来るが、彼に鈴木家の遺伝子は無い。有るのは佐藤家のY遺伝子なのだ。其処で、遺伝子的には鈴木家は途絶えたことに成る。

 

小生は遺伝子に詳しい訳では無いが、遺伝子が親から子へ、子から孫へ体質や体形などを伝えて行く。神武天皇以来の日本人の特質が変わらず伝わって来て、現在がある。其れが世界で稀有なことなのだ。だから萬世一系を伝統として守ろうとするのだ。

 

其れが戦後GHQに拠って押し付けられた「男女平等」意識だけで、女性天皇でも良いのじゃないかと言う風潮に流されてはいけないのだ。戦後の民主主義でなくとも男女差別は在っては為らないが、男女区別ははっきりして居た方が自然である。差別と区別をごっちゃにしてはいけないのだ。女帝で何がいけない、という議論は差別と区別の混同でしかない。

 

「萬世一系」の我が国でも推古天皇初め女帝が8名、10代居た(譲位後に再度即位した人が2名)。だからと言って愛子天皇では「一系(天皇の血筋)」が途絶えて終う。過去8名の女帝とは条件が違うからだ。

愛子天皇で何が悪いと主張する人達は、此れ迄の女帝は一代限りで、女帝の子孫が皇位に付くことは無かったことを知らない。女帝は全て寡婦か、生涯独身でなければ成らなかった。結婚して子供を産んでも、天皇家のY遺伝子が途絶えるからである。

 

8名居た女帝の後の天皇はどうしたのかと言う疑問があろう。其れは現在の状況の様に、男子の後継者が居ないから女性天皇が出来た訳では無く、寧ろ男子が多過ぎて後継者問題で混乱するのを防ぐ為取られた処置であった。何時の時代でもお世継ぎに纏わるお家騒動は有った。其れを避ける意味でのピンチ・ヒッターが女性天皇だったのだ。だから、女帝後の天皇に成る資格のある男性は何人も居て、困らなかったのである。

 

其れと言うのも、天皇家に限ったことでは無いが、武士の世界は固より、商人でも農家でも世襲が幅を利かせて居た過去があり、世継ぎは一家にとって重要課題だった。其の為側室と言うものが有った。天皇家も然り。

昭和天皇のお后、香淳皇后は4人続けて女児を生んだ。側室も考えられたが、昭和天皇が「人倫に反することは出来ない」と拒否、間もなく明仁上皇が生まれる。

今の世の中、少子化が少子化を生む事態に為った。後継者不足で倒産する企業まである。皇室の行方を心配するのは当然の成り行きだし、現在の皇位継承者に男子の誕生は極めて厳しい。だからと言って、女性天皇は先に述べた性遺伝子の断絶が有る。

 

皇室の後継者選びは、選挙や人気投票とは違う。情緒、人情では無く、伝統を大切にすべきだ。先にも述べた日本人のアイデンティティの象徴であり、骨幹だからだ。

遺伝子のことで言えば、女性宮家の創設も意味が無い事がお分り頂け様。

 

今年5月13日に「皇位継承問題」と題してブログを書き、その中で『天皇の男系子孫の皇籍復帰を図るのが一番だと思う。そうすれば、天皇の血筋を絶やさないでお世継ぎを迎えることが可能と成るのだ』と書いた。

処が、本日ネットで安倍首相が「敗戦という非常事態(GHQの命令)で皇籍を離脱せざるを得なかった旧宮家(伏見、閑院、久邇、山階、北白川、梨本、賀陽、東伏見、朝香、竹田、東久邇)の中から、希望する方々の皇籍復帰を検討してみてはどうだろうか」と発言したとの記事を読んだ。旧宮家の中で天皇家のY性遺伝子を持つ男性が居られれば、であろうが。

戦後70年も民間人として過ごされた方々が急に皇族となり、Y性遺伝子を持つ男系男子だからと言って皇位継承者となることに疑義が有れば、皇籍復帰する初代では無く、二代目から継承権が生じると言う手も有る。

是も又安倍首相の考えだが、「三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい」
是迄宮家からお后を選んだり、宮家に嫁がれたりして来たのだから違和感は無いだろう。