前回のブログでは、海水を淡水に変える装置で、飲料用等生活用水を作る方法に就いて書いたが、残念ながら大量の化石燃料を使用しなければ為らない。其のことは空気を汚染するだけで無く、オゾン層を破壊し、地球温暖化を招くことが判っている。其のことは世界で干ばつや洪水を齎している。其れは正しく「本末転倒」なのだ。化石燃料をエネルギーにする限り、自然破壊を招き、自分で自分の首を絞めることに成るのである。

 

化石燃料は確かに産業革命以来のエネルギー源として産業、文明の発展に貢献して来た。人と物の移動に欠かせない自動車、汽車、汽船、航空機は化石燃料が無かったらこの世に存在して無かったかも知れない。移動手段だけではない。我々の周りを見ても、化石燃料のお蔭で生きながらえることが出来ていることが判る。以前はガソリンに害があるなど考えもしないで使って来た。今に為って使用を止め様にも、世の中のことは殆ど石油無しでは居られない。嘗ての発展途上国では、先進国に追い付け、追い越せで、彼等が遣って来たのだから当然と、温暖化防止等何処吹く風とばかりに化石燃料を見境無く使っている。

 

其処に現れた原子力は化石燃料に換わる期待が有ったが、放射能汚染という新たな有害物を生むことに成った。使用済み核燃料の無害化も未だ実現されておらず、原子炉の事故が大災害を齎すことも経験済みだ。

 

ウィンズケール原子炉火災(英1957)、スリーマイル島原発事故(米1979)、チェルノブイリ原発事故(ソ連1986)、ゴイアニア被爆事故(ブラジル1987)、福島原発事故(2011)等が記憶に残るが、事故は毎年世界で数件以上発生し、是迄全世界で50件程の事故が起こって居る。然も住民などへの被害が公にされて居ない。どう手当てし、何処まで終息したのかもはっきりしない。と言うより、はっきりさせないのだ。

 

トム・スキップと言うイギリスのカメラマンが2018年、偶々チェルノブイリから48㎞離れたスラヴィティチと言う街を訪れ、事故のその後を追って記録を撮り、其れを発表した。原発事故に因って住処を失った人達と原発での労働者、取り分け「リクビダートル」と言われる人達の為に建設された都市での取材である。

 

「リクビダートル」とは「後始末をする人」と言う意味で、機械ですら故障する様な放射線の中に送り込まれ、事故処理に当たった。その数は6080万人と言われる。彼等は退役軍人と言う身分で、住居、年金、無料の医療費が生涯保障されたが、ソ連崩壊後の現在、経済の低迷から年金は目減りし、医療費も自己負担を求められて居るそうだ。然し彼等には国と国民に対する義務感と誇りを持って居る。

唯、彼等は放射線を浴び続け、其の為に命を失ったり、後遺症で苦しんで居るが、抑々この原発事故で今迄どれだけの犠牲者が出たかは分かって居ない。何万、何十万の死亡者が出ても、放射能との関係が有耶無耶にされてしまうのだ。

 

処が、福島原発でも同じ事態が起こって居る。表沙汰に為らないだけに、政府と東電が結託して事実を隠匿して居る可能性が在る。「臭いものには蓋」なのだ。

2018年にNHKクロース・アップ現代で「原発事故の英雄達12千人の作業員が健康調査に応じない理由」として報道された。その内容をネットで見ることが出来る。

其れに依ると、作業員の被爆限度は1年間で50Svが限度で、然も5年間で100Sv以下と為って居る。処が事故直後では250Sv迄引き上げられたそうだ。其の時の緊急作業従事者だけで2万人にも成ると言う。(mSvとは、お忘れかも知れないが、放射線量を示すミリ・シーベルトのことである)

 

作業員の健康管理として無料検診が当然実施されて居なければ為らないのだが、検査を受けたのは35%、受けない人は12千人以上居るらしい。彼等は下請け業者で、検査の為に休むと仕事を失うからだそうだ。

検査を受けても、治療はして貰えないので馬鹿らしくて検査を受けないと言う。未だ未だ現状は酷いものらしいが、マスコミも国会でも誰も追及しないまま、今後も何十年と下請け業者は危険な仕事に取り組まなければ為らない。

 

政府と東電は、作業員の誰かが何年か後に体調不良に成ったとしても、「働いて居た当時の検査では異常は無かった」で済まそうと言う気では無いと言う保証は無い。然も此れからは底に溜まった核燃料を取り出すなど、此れまで以上に危険な作業が待って居る。東電は下請け業者に丸投げで、然も責任を採ろうと言う態度では無い。各種の作業記録にも改竄が有りそうだ。

 

下請けの作業員は、言うなれば戦時中の兵隊と同じで、「死んで来い!」と送り出されるのである。然もソ連の様に、彼等に勲章(バッヂだが)を与え、退役軍人と同じ処遇をし、その献身的精神を称える(仮にそれが名目上であっても)ことすらして居ない。だから、日本では福島原発後処理を負って居る作業員の存在すら世に知られて居ないのである。

安倍総理は、天皇陛下の「国民と苦楽を共にし、国民の気持ちに寄り添って行く」とのお言葉を煎じて飲んだ方が良い。