借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

反対給付

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代償的取戻権とは?

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Q.代償的取戻権とは?

A.目的物がすでに破産者や破産管財人によって処分されてしまっていた場合に,目的物に代わる反対給付や請求権について取戻権を認めることをいう。



代償的取戻権とは・・・


【破産法 第64条】
1 破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には,当該財産について取戻権を有する者は,反対給付の請求権の移転を請求することができる。破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も,同様とする。
2 前項の場合において,破産管財人が反対給付を受けたときは,同項の取戻権を有する者は,破産管財人が反対給付として受けた財産の給付を請求することができる。


取戻権者が,一般の取戻権特別の取戻権によって,破産財団に含まれている財産の中から目的物を取り戻そうとしたところ,目的物がすでに破産者や破産管財人によって処分されてしまっていたとします。

こういう場合に,目的物に代わる反対給付や請求権について取戻権を認めるものが,代償的取戻権です。




反対給付が未履行の場合・・・

反対給付が未履行の場合において,破産者が破産手続開始前に取戻権の対象となる目的物を誰かに譲渡したり,破産管財人が破産手続開始後にいったん破産財団に組み入れられた目的物を誰かに譲渡したりした場合,その目的物について取戻権を有する取戻権者は,反対給付の請求権を自分のものにすることができます。

例えば,Aさんが所有する目的物をBさんが持っていたところ,Bさんが,その目的物をCさんに売ってしまったとします。 そして,Bさんは,Cさんから売買代金を受け取らないうちに破産しました。

この場合,本来であれば,Aさんは取戻権を行使して目的物を破産財団から取り戻せたはずですが,破産財団にはもはや目的物はありません。

そこで,Aさんは,代わりに代償的取戻権を行使して,Bさんが目的物を売ったことによって取得した売買代金債権を,自分へと譲渡するように主張することができます。

それにより,Aさんは,Cさんに対して,自分のところに売買代金を支払うように請求することができるようになるのです。




反対給付が既履行の場合・・・

例えば,上記の事例で,Bさんがすでに代金をCさんから受領してしまっていた場合,その受領したお金と他のお金を区別することは困難です。

そのため,残念ながら代償的取戻権を行使することはできず,Bさんに対する不法行為に基づく損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権が発生し,これらが破産債権となるにすぎません。

ただし,破産管財人が譲渡した場合は,ちょっと違います。

例えば,上記の事例で,Bさんが代金を受け取らないまま破産し,破産手続開始後に破産管財人が代金を受け取ったという場合です。

この場合には,Cさんの破産財団に対する不当利得返還請求権は,破産債権ではなく財団債権となります。

また,例えば,Aさんの自動車を持っていたBさんが,Cさんのバイクと交換し,まだ自動車の引渡しもバイクの受領もしないまま破産したとします。

そして,破産手続開始後に,破産管財人がCさんに自動車を引き渡した上,バイクを受領しました。

この場合,上記のようなお金ではなくバイクという特定物が破産財団に組み入れらています。

したがって,他の財産と十分に区別できるので,Cさんは,代償的取戻権により,このバイクを自動車の代わりに取得することができます。





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破産債権「否認権行使の相手方の請求権」とは?

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Q.破産債権「否認権行使の相手方の請求権」とは?

A.詐害行為否認の第1類型,無償行為否認又は相当の対価を得てした財産の処分行為の否認によって否認され,その否認された行為によって破産者の受けた反対給付が破産財団に現存していない場合に,相手方が取得する反対給付の価額償還請求権のことをいう。



破産債権とは・・・

破産手続に参加して破産財団から配当を受けることができる債権を,破産債権といいます。

この破産債権とは,「
破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもの」であるとされています(破産法第2条第5項)。

もっとも,上記の破産債権の定義に当てはまらない債権であっても,政策的な理由から破産債権とされる債権があります。

破産法第168条第2項第2号及び第3号によって,否認権行使の相手方が取得する請求権は破産債権となるものがあります。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
十二 第168条第2項第2号又は第3号に定める権利




否認権行使の相手方の地位は・・・


【破産法第168条第1項】
第160条第1項若しくは第3項又は第161条第1項に規定する行為が否認されたときは,相手方は,次の各号に掲げる区分に応じ,それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
ニ 破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存しない場合 財団債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利


破産管財人によって否認権が行使されると,その対象となった行為は破産財団との関係では無かったものとして扱われることになります。

その結果,その行為によって流出していた財産は,破産財団に戻ってくることになります。

しかし,逆もあります。 つまり,否認権行使によって対象行為が無かったものとされることにより,その行為によって破産財団に組みれられていたものが,破産財団から行為の相手方に返還されるということもあるのです。

例えば,売買契約をして,すでに代金の支払いと目的物の引渡しが終了していたとします。 その後買主が破産したとすると,破産財団には売買目的物が組み入れられることになります。

ところが,その売買契約が否認されました。 この場合,否認権行使によって買主が支払った代金は破産財団に戻ってきます。

しかし,逆に反対給付である目的物の引渡しも無かったことになりますから,反対給付である目的物は,破産財団から売主に返還されることになるということです。

上記第1項は,このことを示しています。

破産法第160条第1項規定の行為とは,詐害行為否認の第1類型の対象となる行為です。 同条第3項規定の行為とは,無償行為否認の対象となる行為です。

そして,第161条第1項に規定する行為とは,相当の対価を得てした財産の処分行為の否認の対象となる行為です。

これらの否認権行使対象行為によって破産財団に組み入れられた「反対給付」が現存しているときは,その相手方は返還を請求することができます。

現存していないときは,相手方はその財産の価額を支払うように請求することができます。 なお,この価額の支払請求権は,破産債権ではなく財団債権となります。

なお,反対給付は「物」に限られません。 債権等の財産も含みます。 また,プラス財産が増加した場合だけではなく,マイナスの財産が減少した分も反対給付に含まれるとされています。



破産法第168条第2項第2号,第3号に定める権利とは・・・


【破産法第168条第2項】
前項第2号の規定にかかわらず,同号に掲げる場合において,当該行為の当時,破産者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し,かつ,相手方が破産者がその意思を有していたことを知っていたときは,相手方は,次の各号に掲げる区分に応じ,それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 破産者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が破産財団中に現存する場合  財団債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
ニ 破産者の受けた反対給付によって生じた利益が破産財団中に現存しない場合  破産債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
三 破産者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が破産財団中に現存する場合  財団債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び破産債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利


前記の第1項が,否認権行使の相手方の地位の原則的な場合です。

では,第2項は何を規定しているのかというと,反対給付が現存していない場合における否認権行使の相手方の地位に関する例外的な場合を規定しています。

第1項第2号の例外規定なのです(なお,第2項は,第1項第1号の例外規定ではありません。)。

それでは,第2項が企図しているのはどのような場合かと言うと,否認権行使の対象となる行為が行われた際に破産者がその財産を隠匿などしようと意図しており,そのことを相手方も知っていたという場合です。

このような場合,原則的な場合ほど相手方を保護すべき必要性がないといえることから,第1項の場合とは違った取扱いをしているのです。

まず,反対給付は現存していないけれども利益が全部残っているという場合には,その残っている利益全部の返還を請求することができます。 そして,この請求権は財団債権となります。

反対給付は現存しておらず利益も残っていないという場合には,反対給付の価額を請求することができます。 しかし,これはあくまで破産債権として扱われます。 第1項の場合のように財団債権として優遇はされません。

反対給付は現存していないけれども利益の一部は残っているという場合には,財団債権としてその残っている一部の返還を請求しつつ,反対給付の価額とその一部の利益との差額を,破産債権として請求することができるとされます。

上記のとおり,利益が残っていない部分については破産債権として価額を請求することができるとされています。 そして,破産法第97条第12号の破産債権とは,この破産債権のことを指しているのです。




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