借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

取戻権

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破産すると双方未履行双務契約はどうなるのか?

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Q.破産すると双方未履行双務契約はどうなるのか?

A.破産管財人が,双方未履行総務契約の解除するか,破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求するかを選択することができる。



双方未履行双務契約とは・・・

片務契約とは,当事者の一方のみが出捐義務を負う契約のことをいい,双務契約とは,当事者の双方が出捐義務を負う契約のことをいいます。

双方未履行双務契約とは,破産手続開始の時点で当事者の双方がいずれも義務を果たしていない双務契約のことをいいます。




双方未履行双務契約の整理・・・

【破産法 第53条】
1 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは,破産管財人は,契約の解除をし,又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。


双方未履行双務契約については,一方のみ未履行契約の場合と異なり,その整理に関して特別な規定が設けられています。 それが上記の破産法第53条の規定です。

すなわち,破産管財人は,双方未履行双務契約を解除するか,あるいは,破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求するかどうかを選択することができるとされています。

破産管財人が契約解除を選択した場合,契約自体は消滅しますが,相手方は,すでに履行したものがあれば原状回復の請求をすることができ,また損害があれば損害賠償を請求することができます。

この原状回復請求権は財団債権又は取戻権の対象となり,損害賠償請求権は破産債権となります。

破産管財人が破産者の債務を履行することを選択した場合,相手方に対しても履行を請求することができます。 この場合,相手方の破産者に対する履行請求権は財団債権となります。




相手方の催告権・・・

【破産法 第53条】
2 前項の場合には,相手方は,破産管財人に対し,相当の期間を定め,その期間内に契約の解除をするか,又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において,破産管財人がその期間内に確答をしないときは,契約の解除をしたものとみなす。


上記のとおり,双方未履行双務契約の整理については,破産管財人に選択権があります。

しかし,破産管財人がどちらを選択するかはっきりしないと,相手方は不安定な地位に置かれてしまうことになります。

そこで,相手方は,破産管財人に対し,相当の期間を定め,その期間内に契約の解除をするか,又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができるとされています。

この催告には相当の期間を定めなければなりません。 つまり,相手方は,何月何日までに契約を解除するのか履行するのかをはっきりしてくれと,破産管財人に催告することができるのです。

そして,その期間をすぎても破産管財人から明確な返答がない場合には,その双方未履行双務契約は解除したものとみなされることになります。





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所有権留保は破産手続上どのように扱われるのか?

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Q.所有権留保は破産手続上どのように扱われるのか?

A.別除権として扱われるのが通説である。



所有権留保・・・

自動車などをローンを組んで買った場合,たいていは所有権留保というものが付いています。

所有権留保とは,要するに,債務を支払い終わるまで,その目的物の所有権を売主のもとにとどめておくというものです。

自動車ローンの場合で言うと,ローンを支払い終わった時にはじめてその自動車の所有権が買主のものとなるわけです。

では,ローンを支払い切れなかった場合どうなるのかと言うと,所有権は売主のものにあるということになりますから,売主はその自動車を買主から取り戻すことができることになります。




破産手続における所有権留保の取扱い・・・

所有権留保は,形式的にみると,債務が支払われなかったときに,目的物の所有権に基づいて目的物を取り戻すというものですから,破産手続上は取戻権として扱われるようにも思えます。

しかし,所有権留保があるとはいえ,実際に目的物は売買され,その目的物は買主が現実に自分のものとして利用しているのに,それでも売主が完全な所有権を持っていると考えるのは不自然です。
そこで,理論上,買主は,所有権留保付きの売買によって,将来債務を弁済できなかったときには目的物を売主に返さなければならないという条件付の所有権を取得し,その反面,所有権留保によって売主に留保されている所有権は,通常の所有権ではないと考えられています。

つまり,所有権留保は,債務を支払えなかった場合にその目的物を売主が債務に充てることができるという担保権の一種であると考えられているのです。

そして,この考え方をもとに,所有権留保は取戻権ではなく,別除権の基礎となる担保権の1つとして扱われるとするのが通説です。

ただし,取戻権と考えても,別除権と考えても,所有権留保の実行方法に変わりはありません。

破産すれば,留保所有権を有する売主が,その目的物を回収し債務の残額に充てるということになります。

もっとも,まったく違いが生じないわけではなく,別除権の場合にはその実行について破産管財人の監督や消滅請求がなされるが取戻権の場合にはそれがない,というような違いはあります。





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代償的取戻権とは?

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Q.代償的取戻権とは?

A.目的物がすでに破産者や破産管財人によって処分されてしまっていた場合に,目的物に代わる反対給付や請求権について取戻権を認めることをいう。



代償的取戻権とは・・・


【破産法 第64条】
1 破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には,当該財産について取戻権を有する者は,反対給付の請求権の移転を請求することができる。破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も,同様とする。
2 前項の場合において,破産管財人が反対給付を受けたときは,同項の取戻権を有する者は,破産管財人が反対給付として受けた財産の給付を請求することができる。


取戻権者が,一般の取戻権特別の取戻権によって,破産財団に含まれている財産の中から目的物を取り戻そうとしたところ,目的物がすでに破産者や破産管財人によって処分されてしまっていたとします。

こういう場合に,目的物に代わる反対給付や請求権について取戻権を認めるものが,代償的取戻権です。




反対給付が未履行の場合・・・

反対給付が未履行の場合において,破産者が破産手続開始前に取戻権の対象となる目的物を誰かに譲渡したり,破産管財人が破産手続開始後にいったん破産財団に組み入れられた目的物を誰かに譲渡したりした場合,その目的物について取戻権を有する取戻権者は,反対給付の請求権を自分のものにすることができます。

例えば,Aさんが所有する目的物をBさんが持っていたところ,Bさんが,その目的物をCさんに売ってしまったとします。 そして,Bさんは,Cさんから売買代金を受け取らないうちに破産しました。

この場合,本来であれば,Aさんは取戻権を行使して目的物を破産財団から取り戻せたはずですが,破産財団にはもはや目的物はありません。

そこで,Aさんは,代わりに代償的取戻権を行使して,Bさんが目的物を売ったことによって取得した売買代金債権を,自分へと譲渡するように主張することができます。

それにより,Aさんは,Cさんに対して,自分のところに売買代金を支払うように請求することができるようになるのです。




反対給付が既履行の場合・・・

例えば,上記の事例で,Bさんがすでに代金をCさんから受領してしまっていた場合,その受領したお金と他のお金を区別することは困難です。

そのため,残念ながら代償的取戻権を行使することはできず,Bさんに対する不法行為に基づく損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権が発生し,これらが破産債権となるにすぎません。

ただし,破産管財人が譲渡した場合は,ちょっと違います。

例えば,上記の事例で,Bさんが代金を受け取らないまま破産し,破産手続開始後に破産管財人が代金を受け取ったという場合です。

この場合には,Cさんの破産財団に対する不当利得返還請求権は,破産債権ではなく財団債権となります。

また,例えば,Aさんの自動車を持っていたBさんが,Cさんのバイクと交換し,まだ自動車の引渡しもバイクの受領もしないまま破産したとします。

そして,破産手続開始後に,破産管財人がCさんに自動車を引き渡した上,バイクを受領しました。

この場合,上記のようなお金ではなくバイクという特定物が破産財団に組み入れらています。

したがって,他の財産と十分に区別できるので,Cさんは,代償的取戻権により,このバイクを自動車の代わりに取得することができます。





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特別の取戻権とは?

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Q.特別の取戻権とは?

A.破産法以外の実体法に基づいて認められた取戻権のことをいう。 売主の取戻権と問屋の取戻権とがある。



特別の取戻権とは・・・


【破産法 第63条】
1 売主が売買の目的である物品を買主に発送した場合において,買主がまだ代金の全額を弁済せず,かつ,到達地でその物品を受け取らない間に買主について破産手続開始の決定があったときは,売主は,その物品を取り戻すことができる。ただし,破産管財人が代金の全額を支払ってその物品の引渡しを請求することを妨げない。
2 前項の規定は,第53条第1項及び第2項の規定の適用を妨げない。
3 第1項の規定は,物品の買入れの委託を受けた問屋がその物品を委託者に発送した場合について準用する。この場合において,同項中「代金」とあるのは,「報酬及び費用」と読み替えるものとする。


特別の取戻権とは,破産法に基づいて認められる取戻権のことをいいます。
 
一般の取戻権が破産法以外の実体法で認められている権利を別の言い方で表したものに過ぎないのに対し,特別の取戻権は,破産法で特別に認められている特別な権利です。




特別の取戻権の内容・・・

特別の取戻権には,2つのものがあります。 「売主の取戻権」と「問屋の取戻権」と呼ばれるものです。

売主の取戻権とは,売主と買主とがお互いに遠く離れているような売買(これを「隔地者間の売買」といいます。)で,売主が目的物を発送したがいまだ買主にそれが到達していない間に買主が破産した場合に,その買主がまだ代金を支払っていないときは,売主がその目的物を取り戻すことができるという権利です。

問屋の取戻権とは,上記の売主と買主との関係を,それぞれ買入委託を受けた問屋と委託者との関係に準用したものです。





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一般の取戻権とは?

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Q.一般の取戻権とは?

A.破産法以外の実体法に基づいて認められる取戻権のことをいう。




一般の取戻権とは・・・

【破産法 第62条】
破産手続の開始は,破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利(第64条及び第78条第2項第13号において「取戻権」という。)に影響を及ぼさない。


一般の取戻権とは,取戻権のうちで破産法以外の実体法に基づいて認められるもののことをいいます。

要するに,実体法上の権利を持つ人が,その実体法に基づいて,財産を取り戻すことができるということを別の言い方で表しただけのことですから,破産法が特別な権利を認めたというわけではありません。




一般の取戻権の基礎となる実体法上の権利・・・

上記のとおり,一般の取戻権は実体法に基づいて認められるにすぎませんから,何が一般の取戻権の基礎となるのかも,民法や商法などの実体法によって決まります。

代表的なものは所有権ですが,それ以外の物権も取戻権の基礎となることがあります。 内容によっては,債権的な請求権も取戻権の基礎となります。

所有権は分かりやすいと思います。 破産者Aさんの破産財団の中にBさんの所有物が紛れ込んでいた場合,Bさんは,取戻権により,破産管財人に対して,その所有物の返還を求めることができます。

それ以外の物権として,例えば,地上権などは物の占有を基礎とする物権ですから,例えば,破産者Aさんの破産財団にBさんが地上権を設定している不動産が含まれていた場合,Bさんは,取戻権により,破産管財人に対して,その不動産を引き渡すように請求できます。

債権的請求権の例としては,例えば,破産者Aさんが,ある不動産をBさんから転借していた場合,転貸借が終了すれば,Bさんは,破産管財人に対して,債権的請求権である転貸借終了に基づく不動産明渡請求権を主張することができます。





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