借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

否認権

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破産債権「否認権行使の相手方の請求権」とは?

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Q.破産債権「否認権行使の相手方の請求権」とは?

A.詐害行為否認の第1類型,無償行為否認又は相当の対価を得てした財産の処分行為の否認によって否認され,その否認された行為によって破産者の受けた反対給付が破産財団に現存していない場合に,相手方が取得する反対給付の価額償還請求権のことをいう。



破産債権とは・・・

破産手続に参加して破産財団から配当を受けることができる債権を,破産債権といいます。

この破産債権とは,「
破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもの」であるとされています(破産法第2条第5項)。

もっとも,上記の破産債権の定義に当てはまらない債権であっても,政策的な理由から破産債権とされる債権があります。

破産法第168条第2項第2号及び第3号によって,否認権行使の相手方が取得する請求権は破産債権となるものがあります。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
十二 第168条第2項第2号又は第3号に定める権利




否認権行使の相手方の地位は・・・


【破産法第168条第1項】
第160条第1項若しくは第3項又は第161条第1項に規定する行為が否認されたときは,相手方は,次の各号に掲げる区分に応じ,それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
ニ 破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存しない場合 財団債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利


破産管財人によって否認権が行使されると,その対象となった行為は破産財団との関係では無かったものとして扱われることになります。

その結果,その行為によって流出していた財産は,破産財団に戻ってくることになります。

しかし,逆もあります。 つまり,否認権行使によって対象行為が無かったものとされることにより,その行為によって破産財団に組みれられていたものが,破産財団から行為の相手方に返還されるということもあるのです。

例えば,売買契約をして,すでに代金の支払いと目的物の引渡しが終了していたとします。 その後買主が破産したとすると,破産財団には売買目的物が組み入れられることになります。

ところが,その売買契約が否認されました。 この場合,否認権行使によって買主が支払った代金は破産財団に戻ってきます。

しかし,逆に反対給付である目的物の引渡しも無かったことになりますから,反対給付である目的物は,破産財団から売主に返還されることになるということです。

上記第1項は,このことを示しています。

破産法第160条第1項規定の行為とは,詐害行為否認の第1類型の対象となる行為です。 同条第3項規定の行為とは,無償行為否認の対象となる行為です。

そして,第161条第1項に規定する行為とは,相当の対価を得てした財産の処分行為の否認の対象となる行為です。

これらの否認権行使対象行為によって破産財団に組み入れられた「反対給付」が現存しているときは,その相手方は返還を請求することができます。

現存していないときは,相手方はその財産の価額を支払うように請求することができます。 なお,この価額の支払請求権は,破産債権ではなく財団債権となります。

なお,反対給付は「物」に限られません。 債権等の財産も含みます。 また,プラス財産が増加した場合だけではなく,マイナスの財産が減少した分も反対給付に含まれるとされています。



破産法第168条第2項第2号,第3号に定める権利とは・・・


【破産法第168条第2項】
前項第2号の規定にかかわらず,同号に掲げる場合において,当該行為の当時,破産者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し,かつ,相手方が破産者がその意思を有していたことを知っていたときは,相手方は,次の各号に掲げる区分に応じ,それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 破産者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が破産財団中に現存する場合  財団債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
ニ 破産者の受けた反対給付によって生じた利益が破産財団中に現存しない場合  破産債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
三 破産者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が破産財団中に現存する場合  財団債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び破産債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利


前記の第1項が,否認権行使の相手方の地位の原則的な場合です。

では,第2項は何を規定しているのかというと,反対給付が現存していない場合における否認権行使の相手方の地位に関する例外的な場合を規定しています。

第1項第2号の例外規定なのです(なお,第2項は,第1項第1号の例外規定ではありません。)。

それでは,第2項が企図しているのはどのような場合かと言うと,否認権行使の対象となる行為が行われた際に破産者がその財産を隠匿などしようと意図しており,そのことを相手方も知っていたという場合です。

このような場合,原則的な場合ほど相手方を保護すべき必要性がないといえることから,第1項の場合とは違った取扱いをしているのです。

まず,反対給付は現存していないけれども利益が全部残っているという場合には,その残っている利益全部の返還を請求することができます。 そして,この請求権は財団債権となります。

反対給付は現存しておらず利益も残っていないという場合には,反対給付の価額を請求することができます。 しかし,これはあくまで破産債権として扱われます。 第1項の場合のように財団債権として優遇はされません。

反対給付は現存していないけれども利益の一部は残っているという場合には,財団債権としてその残っている一部の返還を請求しつつ,反対給付の価額とその一部の利益との差額を,破産債権として請求することができるとされます。

上記のとおり,利益が残っていない部分については破産債権として価額を請求することができるとされています。 そして,破産法第97条第12号の破産債権とは,この破産債権のことを指しているのです。




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誰でも自己破産できるのか?

Q.誰でも自己破産できるのか?

A.誰でも自己破産できるわけではない。 自己破産するためには,破産手続開始原因が必要となる。 個人の自己破産の場合には,「支払不能」でなければならず,法人の破産の場合には,「支払不能」であるか,「債務超過」のでなければならない。



自己破産できるのは・・・

たまに,「ちょっと借金を支払うのが厳しくなったので,自己破産したい。」と言ってくる人がいます。

確かに,自己破産は借金問題の解決方法として用いられてはいるのですが,誰でも自己破産できるというわけではありません。

自己破産・免責によって債務を支払わなくてよくなるということは,逆に言えば,債権者はもう支払ってもらえないということです。

やむを得ないという理由がないのに自己破産・免責を認めてしまうと,あまりに債権者に酷です。 したがって,そんなに簡単に誰でも自己破産できるわけがありません



破産手続開始原因とは・・・

破産手続は,裁判所の破産手続開始決定によって始まりますが,破産手続開始のためには,当然,破産法上の要件を満たしていなければ決定は出ません。

一番重要な要件は,「破産手続開始原因があること」です。 個人の破産の場合で言えば,破産手続開始原因とは,「支払不能」であることです。

ごく簡単に言うと,「もう借金を支払い続けていくことができない」状態にあるということが必要となります。

したがって,「ちょっと借金の返済が厳しくなってきた」というくらいでは,破産をすることはできないのです。 そういう場合には,任意整理個人再生によって,ある程度の支払をしていくことになります。




支払不能とは・・・

では,どういう場合に支払不能であるといえるのかというと,これは一概には言えません。

人によって収入も生活環境も違いますし,もちろん,どれだけの借金があるのかも違います。 したがって,支払不能であるかどうかは個別に判断するほかありません。

もっとも,判断の仕方自体はだいたい誰でも同じです。

債務総額と持っている資産・家計の状況を比較してみて,任意整理によって返済していくという方法をとることができるかどうかで判断するのが普通だと思います。

任意整理の方法をとることができるならば支払不能とまではいえない場合が大半でしょうし,できないならば支払不能といえる場合が大半でしょう。

ですので,支払不能かどうかの判断には,できる限り正確な資産や家計の状況を調査する必要が出てくるのです。

ただ,ここで1つ注意すべきことは,支払不能かどうかの判断は客観的判断であるということです。 主観的な判断ではありません。

要するに,自分では支払えそうもないと思っているだけではダメだということです。

債務総額,資産や収入等の客観的な状況をもとに,客観的に支払を継続していくことができないかを判断しなければならないのです。




その他の考慮事項・・・

もう1つ,免責の点も考慮に入れなければいけません。 個人の自己破産においては,免責が許可されないのならば,まったくの無意味です。

ですから,自己破産の申立てをする前に,免責が許可されるかどうかについてもよく調査しておく必要があります。 

重要なことは,免責不許可事由があるのかどうかです。

東京地裁の場合,免責不許可事由があっても,裁量免責によって,免責不許可の度合いが著しい場合や手続に協力しないような場合を除いては免責許可を得ることができますが,同時廃止か管財か判断においても関係してきますから,やはり免責不許可事由の調査は必要でしょう。

また,否認権行使の可能性も考えておく必要があります。

たとえば,否認権行使の相手方が家族や友人であるような場合,そういう人たちに迷惑をかけることになってしまうおそれがありますから,あらかじめ調査しておく必要があります。

一番問題となることが多いのは,保証人がいる場合です。 破産すると,債権者は,その破産者の保証人に返済を請求することになります。

しかも,原則として一括請求をしますから,保証人には相当の負担をかけることになってしまいます。 その点も破産申立て前に考えておく必要があるでしょう。




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