借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

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破産債権「破産手続開始による交互計算閉鎖後の残額支払請求権」とは?

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Q.破産債権「破産手続開始による交互計算閉鎖後の残額支払請求権」とは?

A.破産手続開始によって交互計算が閉鎖された場合の残額支払請求権のことをいう。



破産債権とは・・・

破産手続に参加して破産財団から配当を受けることができる債権を,破産債権といいます。

この破産債権とは,「
破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもの」であるとされています(破産法第2条第5項)。

もっとも,上記の破産債権の定義に当てはまらない債権であっても,政策的な理由から破産債権とされる債権があります。

破産法第59条に規定する破産者に対する交互計算閉鎖後の残額の請求権は,破産手続開始後の請求権ですが,破産債権として扱われるとされています。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
十 第59条第1項の規定による請求権であって,相手方の有するもの




交互計算とは・・・


【商法第529条】
交互計算は,商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において,一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし,その残額の支払をすることを約することによって,その効力を生ずる。


交互計算とは,上記商法の規定のとおり,商人間又は商人・非商人間の一定期間中の取引に基づいて生じる総債権と総債務とを相殺し合って,残額の支払いをするという約定のことをいいます。

例えば,商人AさんとBさんとが,取引期間を1か月とする交互計算の約定をして,その1か月間のうちに数度継続的に取引を行いました。

その結果,その1か月間中に,AさんのBさんに対する500万0000円の売掛債権と,BさんのAさんに対する400万0000円の売掛債権とが発生しました。

この場合,交互計算によって,AさんのBさんに対する債権とBさんのAさんに対する債権とが相殺されて,AさんのBさんに対する100万0000円の売掛債権だけが残り,BさんはAさんにその残額100万0000円を支払うことになります。



破産法第59条の請求権とは・・・


【破産法第59条】
1 交互計算は,当事者の一方について破産手続が開始されたときは,終了する。この場合においては,各当事者は,計算を閉鎖して,残額の支払を請求することができる。
2 前項の規定による請求権は,破産者が有するときは破産財団に属し,相手方が有するときは破産債権とする。


交互計算は,当事者間の信頼関係に基づいてなされる約定です。 そのため,信頼関係が失われれば終了することになります。

一方の破産手続開始は経済的信頼を損なう事情の最たるものですから,上記第1項のとおり,破産手続開始によって,交互計算は終了するとされています。

交互計算が終了するということは,その破産手続開始時に計算が閉鎖,つまりそこまでの時点をもって総債権と総債務とを相殺し合うことになります。

そして,交互計算の当事者間においては,残額支払の関係だけが残ることになります。

この場合,上記第2項によれば,残額支払請求権を破産者が有している場合には破産財団に組み入れられ,破産者の相手方が有している場合には破産債権となるとされています。

前記の例で言うと,残額支払請求権を持っていたのはAさんでした。 そのため,Aさんが破産した場合には,その請求権は破産財団所属の財産となります。

Bさんが破産した場合には,AさんのBさんに対する残額支払請求権は破産債権となるということです。

破産法第97条第10号が規定する第59条の請求権で相手方が有するものとは,このAさんのBさんに対する請求権のことを指していることになります。




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陳述書(報告書)「免責不許可事由」の問7はどうやって書くのか?

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Q.陳述書(報告書)「免責不許可事由」の問7はどうやって書くのか?

A.一の質問について,「破産申立てに至る経過の中で,申立人が商人(商法4条。小商人[商法7条,商法施行規則3条]を除く。)であったこと」が有る場合には,「有」のチェックボックスに,無い場合には「無」のチェックボックスにチェックする。 一の質問に対して「有」とした場合には,二の質問について,「業務及び財産の状況に関する帳簿(商業帳簿等)を隠滅したり,偽造,変造したこと」が有る場合には「有」のチェックボックスに,無い場合には「無」のチェックボックスにチェックする。 二の質問に対して「有」とした場合には,隠滅等をした「時期」,隠滅等の「内容」及び隠滅等をした「理由」を具体的に記載する。



「免責不許可事由」・・・

東京地裁本庁では,破産手続開始・免責許可の申立書に「陳述書(報告書)」を添付することが求められています。

この「陳述書(報告書)」には,破産申立てに至った事情などを記載することになりますが,その記載項目の1つに
「免責不許可事由」があります。

「免責不許可事由」の項目については,免責不許可事由が無い場合には,「無」というチェックボックスにチェックを入れるだけでよいのですが,免責不許可事由が有る又は有るかどうかが不明であるという場合には,「有」又は「不明」のいずれかのチェックボックスにチェックを入れた上で,8つの質問に答えなければなりません。




「免責不許可事由」の問7・・・

問7の質問は,以下のとおりです。

問7
一 破産申立てに至る経過の中で,申立人が商人(商法4条。小商人[商法7条,商法施行規則3条]を除く。)であったことがありますか。
二 申立人が業務及び財産の状況に関する帳簿(商業帳簿等)を隠したり,偽造,変造したことがありましたか(破産法252条1項6号)。

これは,破産法252条1項6号の「業務帳簿隠匿等の行為」と呼ばれる免責不許可事由に関する質問です。



一の質問・・・

【商法 第4条】
1 この法律において「商人」とは,自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
2 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は,商行為を行うことを業としない者であっても,これを商人とみなす。

【商法 第7条】
第5条,前条,次章,第11条第2項,第15条第2項,第17条第2項前段,第5章及び第22条の規定は,小商人(商人のうち,法務省令で定めるその営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えないものをいう。)については,適用しない。

【商法施行規則 第3条】
1 商法第7条に規定する法務省令で定める財産の価額は,営業の用に供する財産につき最終の営業年度に係る貸借対照表(最終の営業年度がない場合にあっては,開業時における貸借対照表)に計上した額とする。
2 商法第7条 に規定する法務省令で定める金額は,五十万円とする。

問7では,まず一の質問に答えます。 一は,過去に商人であったことがあるか,という質問です。

ここでいう「商人」とは,上記商法第4条に規定されている「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」のことをいいます。

商行為をすることを業としない場合であっても,「店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者」は,商人とみなされます。

ただし,上記の商人の定義に当てはまる場合であっても,「法務省令で定めるその営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えないもの」については,「小商人」として扱われ,商人には含まれないとされています。

この「法務省令で定める金額」とは,「営業の用に供する財産につき最終の営業年度に係る貸借対照表(最終の営業年度がない場合にあっては,開業時における貸借対照表)に計上した額」で計算され,その金額は,50万円です。

つまり,最終営業年度の貸借対照表において,営業用財産として計上した金額が50万円以下であった場合には,小商人ということになり,商人には含まれないということになります。

個人事業等をしていた場合で,上記の小商人に当たらないという場合には,「商人」に当たることが多いと思われます。

現在において商人に当たる場合又は過去において商人に当たる事業等を行っていた場合には,一の質問に対して「有」のチェックボックスに,そういう経験が無い場合には「無」のチェックボックスにそれぞれチェックします。



の質問・・・

の質問において「有」にチェックした場合には,さらに,二の質問にも回答する必要があります。 二の質問は,商業帳簿等を隠していたり,偽造・変造していたりしたことがなかったかという質問です。

そういう経験があるという場合には,二の質問に対して「有」のチェックボックスに,無い場合には「無」のチェックボックスにチェックします。

「有」にチェックした場合には,さらに,以下のaからcまでの事項について具体的に記載します。

 ・ 隠滅等をした「時期」

 ・ 隠滅等の「内容」

 ・ 隠滅等をした「理由」




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