借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

抵当権

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特定債権者に対する担保供与等の罪の構成要件とは?

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Q.特定債権者に対する担保供与等の罪の構成要件とは?

A.債務者による特定債権者に対する担保供与等の行為,債務者の義務に属しない行為であること,債権者を害する目的が構成要件となる。


債務者による特定債権者に対する担保供与等の行為・・・

特定債権者に対する担保供与等の罪として処罰されるのは,債務者による,特定の債権者に対して担保を供与する行為又は債務を消滅させる行為です。

特定の債権者に対して担保を供与する行為とは,例えば,多くの債権者のうちの一部の債権者に対する債務についてだけ,抵当権などの担保を設定する行為のことをいいます。

債務の消滅に関する行為として典型的なものは,弁済です。 つまり,一部の債権者に対する債務だけ支払ってしまう行為です。

これらの行為を債務者が行った場合,特定債権者に対する担保供与等の罪に該当することになります。 したがって,債務者以外の人が上記のような行為をしたとしても,この破産犯罪には該当しないということになります。


債務者の義務に属しない行為であること・・・

上記の債務者による特定債権者に対する担保供与等の行為は,債務者の義務に属せず,又は,その方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものであることが必要となります。

債務者の義務属しないとは,要するに,返済や支払いの義務がないのに担保供与や債務消滅行為をしてしまうことを意味します。 具体的には,自分の借金ではない他人の借金を,その他人に代わって支払ってしまうような行為がこれに該当します。

方法又は時期が債務者の義務に属しないとは,ある一定の方法で又は時期に支払う義務もないのに,その一定の方法で支払ったり,その時期に支払ってしまうことを意味します。 よくあるのは,返済期限が来ていないのに,先に支払ってしまうような場合です。


債権者を害する目的・・・

債権者を害する目的とは,詐欺破産罪それと同様で,総債権者を害する目的のことです。 具体的には,行為者が破産に至る可能性がある状況にあることを認識していることを意味しています。


客観的処罰条件・・・

客観的処罰条件も,詐欺破産罪と同様です。 すなわち,上記の構成要件を満たしていても,客観的処罰条件たる破産手続開始決定の確定という条件を満たさなければ,処罰することができないということです。



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不足額責任主義(残額責任主義)とは?

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Q.不足額責任主義(残額責任主義)とは?

A.別除権者は,当該別除権に係る第65条第2項に規定する担保権によって担保される債権については,その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ,破産債権者としてその権利を行使することができるとする原則のことをいう。



別除権者による権利の行使・・・

例えば,AさんがB銀行で住宅ローンを組んで不動産を購入し,B銀行がこの住宅ローンを被担保債権として,その不動産に抵当権を設定したとします。

この場合,Aさんが破産するということになれば,B銀行は別除権者ということになりますから,破産手続によらずに上記の抵当権を実行することができることになります。

したがって,仮にこの不動産が住宅ローンの残額よりも高額で売却することができれば,その売却代金は住宅ローン残額全額に充当されることになりますから,B銀行は破産手続に参加することなく債権を全部回収できることになります。

そういう場合,別除権者たるB銀行は,破産債権を行使する必要はありません。




別除権者による破産債権行使の必要性・・・

では,上記の事例で,住宅ローンの残額は1000万円,競売による売却価格が800万円だった場合はどうなるでしょうか?

この場合,B銀行は,別除権者ですので,他の破産債権者に優先して競売による売却代金800万円を受け取ることができます。

しかし,住宅ローンの残額は1000万円ですから,800万円をこれに充当したとしても,まだ200万円足りません。

抵当権はすでに実行されましたから,この200万円は無担保の債権になります。 B銀行としては,この200万円について破産手続に参加する必要性がでてきます。

このように,別除権者が破産債権者でもある場合,担保権の目的物の価額によっては,別除権者が破産債権者として破産手続に参加する必要性が生じる場合があります。




不足額責任主義・・・


【破産法 第108条】
1 別除権者は,当該別除権に係る第65条第2項に規定する担保権によって担保される債権については,その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ,破産債権者としてその権利を行使することができる。ただし,当該担保権によって担保される債権の全部又は一部が破産手続開始後に担保されないこととなった場合には,その債権の当該全部又は一部の額について,破産債権者としてその権利を行使することを妨げない。


もっとも,別除権者は,上記事例のように別除権を行使して優先的に弁済を受けることができるのですから,破産債権全額(上記の事例で言えば住宅ローン1000万円)について破産手続に参加する必要はありません。

また,他の債権者からすれば,別除権者が全額について参加することによって配当が減ってしまうのですから,むしろ先に別除権行使をして欲しいと思うはずです。

そこで,破産法では,破産債権者たる別除権者は,別除権行使によって満足を得られない部分についてだけ破産債権を行使できるものとしています。

つまり,上記の事例で言えば,B銀行は,競売代金を充当しても不足していた200万円についてだけ,破産債権を行使できることになります。

これを不足額責任主義(残額責任主義)といいます。





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別除権の基礎となる担保権とは?

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Q.別除権の基礎となる担保権とは?

A.特別の先取特権,質権,抵当権,商事留置権,譲渡担保権又は所有権留保などが,別除権の基礎となる。



別除権とは・・・

【破産法 第2条】
9 この法律において「別除権」とは,破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権,質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第65条第1項の規定により行使することができる権利をいう。
10 この法律において「別除権者」とは,別除権を有する者をいう。


別除権とは,破産手続開始時に破産財団に属する特定の財産に設定されている一定の担保権に基づき,その特定の財産について,破産手続によらずに優先的・個別的に弁済を受けることができるという権利のことをいいます

では,どのような担保権が別除権の基礎となるのかというと,それは,特別の先取特権,質権又は抵当権です。

また,その他にも,商事留置権,譲渡担保権又は所有権留保(ただし,争いがあります。)なども,別除権の基礎となるとされています。

他方,担保権でありながら別除権の基礎とならないものとして,代表的なものは,一般の先取特権と民法上の留置権です。




一般の先取特権・・・

一般の先取特権は,債務者の全財産に対して優先性を持つ物権です。 特定の財産だけに対して優先性を持つ担保物権ではありません。

別除権は,あくまで破産財団に属する財産のうちの特定の財産についてだけ強い優先権を有する担保権を尊重するという制度ですから,一般の先取特権のように財産全体に優先権を持つ担保権を保護しようというものではありません。

そのため,一般の先取特権は別除権の基礎とはならないとされています。

もっとも,一般の先取特権は,特定の財産に対する担保権ほど強い優先性を持つものではないとしても,財産全体について優先性を持っていることは確かです。

そこで,一般の先取特権によって担保されている債権は,優先的破産債権となるとされています。




民法上の留置権・・・

別除権は,担保権の優先弁済効を破産手続上も尊重することを趣旨としています。

ところが,留置権は,債権が弁済されるまで物を留置しておくことができるにすぎず,優先弁済効が認められているわけではありません。

事実上,留置権者は優先的に弁済を受けることができる場合がありますが,優先弁済効が認められているわけではないのです。

そのため,優先弁済効を尊重するという趣旨の別除権には当たらないのです。

したがって,留置権があっても,破産手続が開始されれば留置権は効力を失います。 つまり,破産管財人から留置物の返還を請求されたならば,返還に応じなければならないのです。

他方,民法上の留置権ではなく,商法上の商事留置権は別除権とされています。





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優先的破産債権とは?

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Q.優先的破産債権とは?

A.破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権であって,他の破産債権に優先するもののことをいう。



優先的破産債権とは・・・


【破産法第98条第1項】
破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権(次条第1項に規定する劣後的破産債権及び同条第2項に規定する約定劣後破産債権を除く。以下「優先的破産債権」という。)は,他の破産債権に優先する。


上記条文のとおり,優先的破産債権とは,破産財団に属する財産について,一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権のことをいいます。

破産手続においては,抵当権等の担保権は別除権と呼ばれ,別除権を有する債権者は,破産手続によらずに別除権を行使して優先的弁済を受けることができます。

要するに,破産手続開始後も自由に破産財団所属の財産について担保権を実行して競売にかけたりすることができ,その競売の配当金を優先的にもらうことができるということです。

ところが,一般の先取特権や一般の優先権は,破産手続においては別除権とされていません。

そうすると,これらの権利は,実体法上優先権を持っているにもかかわらず,破産法上は他の優先権のない債権者と同列に扱われるということになってしまいますが,それではあまりにも破産手続と実体法がかけはなれてしまいます。

そこで,一般の先取特権や一般の優先権を有する債権者については,別除権又は財団債権とまではいかないけれども,ある程度の優先性を認めてあげる必要性があります。

その手段として,これらの債権は優先的破産債権とするという取扱いがなされているのです。



優先的破産債権相互間の優劣は・・・


【破産法第98条第2項】
前項の場合において,優先的破産債権間の優先順位は,民法,商法その他の法律の定めるところによる。


上記のとおり,優先的破産債権は,実体法上の優先性を破産法上も尊重しようとしたものですから,優先的破産債権相互間の優劣もまた,実体法上の優劣に従うべきということになります。

そのため,優先的破産債権相互間の優劣は,民法や商法等の実体法の規定に従って決せられるということになるのです。

例えば,租税債権は,優先的破産債権の中でも最も優先順位が高いものとされます。

租税債権の一部は財団債権又は劣後的破産債権とされますが,そうならないものは優先的破産債権となります。 また,財団債権とならない雇用関係に基づく請求権,要するに一部の給料債権等も,租税等の請求権に次ぐものとして優先的破産債権となります。




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