借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

損害賠償請求権

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財団債権「双方未履行双務契約の相手方が有する請求権」とは?

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Q.財団債権「双方未履行双務契約の相手方が有する請求権」とは?

A.双方未履行双務契約について破産管財人が債務の履行を選択した場合における,相手方の有する請求権のことをいう。



一般の財団債権とは・・・

財団債権とは,破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことをいいます。 財団債権のうちで破産法第148条第1項に規定されたものを,「一般の財団債権」といいます。

双方未履行双務契約について破産管財人債務の履行を選択した場合,相手方の有する請求権は,同項第6号によって,財団債権となるとされています。


【破産法第148条第1項】
次に掲げる請求権は,財団債権とする。
七 第53条第1項の規定により破産管財人が債務の履行をする場合において相手方が有する請求権



破産法第53条第1項の規定とは・・・


【破産法第53条第1項】
双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは,破産管財人は,契約の解除をし,又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。


双務契約とは,契約の当事者が相互に対価としての意義を有する債務を負担する契約の類型のことをいいます。

例えば,売買契約の場合には,買主は代金支払義務を負い,売主は目的物の引渡義務を負うので,相互に対価としての意義を有する債務を負担しているといえますから,双務契約です。

そして,破産手続開始の時点で共にまだその履行を完了していないものを「双方未履行双務契約」といいます。

売買の例で言えば,破産手続開始の時点で,いまだ買主は代金を支払っておらず,売主も目的物を引き渡していないという場合が,双方未履行という状態です。

破産法上,破産管財人は,双方未履行契約について,破産者の債務を履行して契約の相手方に債務の履行をするように請求するか,あるいは,契約を解除するかのいずれかを選択することができるとされています(破産法第53条第1項)。




債務履行を選択した場合の相手方の請求権とは・・・

上記のとおり,破産管財人は,双方未履行双務契約について債務の履行か契約の解除を選択できます。

そして,破産管財人が債務の履行を選択した場合,相手方は,当然,その債務を履行するように請求することができるようになります。

破産管財人が債務の履行を選択するということは,破産管財人は相手方に対して反対債務を履行するように請求できるようにもなるということです。

仮に,相手方の破産管財人に対する債務の履行請求権が財団債権とならないとした場合,この履行請求権は,破産手続開始後のものなので破産債権にもなりません。

そうすると,相手方は,破産財団から配当を受けることすらできなくなります。 結局,相手方は自分だけ支払を強制されるのに自分は何も得ることができないという非常に不公平な結果が生じてしまうのです。

そこで,公平の見地から,双方未履行双務契約について破産管財人が債務の履行を選択した場合には,相手方の履行請求権は,財団債権となるとされているのです。

なお,破産管財人が解除を選択した場合,それによって生じた相手方の損害賠償請求権は破産債権となるとされています(破産法第54条第1項,第97条第8号)。





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財団債権「破産管財人の行為によって生じた請求権」とは?

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Q.財団債権「破産管財人の行為によって生じた請求権」とは?

A.破産財団に関し破産管財人がした法律行為又は不法行為等によって生じた請求権のことをいう。



一般の財団債権とは・・・

財団債権とは,破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことをいいます。 財団債権のうちで破産法第148条第1項に規定されたものを,「一般の財団債権」といいます。

そして,破産財団に関して破産管財人がした行為によって生じた請求権は,同項第4号によって,財団債権となるとされています。

【破産法第148条第1項】
次に掲げる請求権は,財団債権とする。
四 破産財団に関し破産管財人がした行為によって生じた請求権



破産財団に関して破産管財人がした行為によって生じた請求権とは・・・

破産管財人は,破産財団を少しでも増殖させるためさまざまな活動を行います。 その一環として,破産財団所属の財産を売却したり,賃貸借契約を解除したりなどの契約締結を行うこともあります。

その場合,契約内容によっては,第三者が反対に何らかの請求権を取得するようなこともあり得ます。

破産財団増殖のための行為に付随して発生した債権ですから,これに対しては優先的に弁済してもいいということにしても破産債権者を害するものとはいえません。

また,場合によっては,破産管財人が不法行為を行って第三者に損害を与えてしまうということも,まったくないとは言えません。

破産管財人の行為は,破産債権者のために行われる行為ですから,破産債権者にその損害賠償の責任を転嫁することになってもやむを得ません(もちろん,破産債権者に損害賠償請求できるという意味ではありません。)。

そこで,破産管財人が第三者と契約などをした結果,その第三者が取得した請求権や,破産管財人が第三者に対して不法行為をした結果,その第三者が取得した損害賠償請求権などは,財団債権となるとされています。
 




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破産債権「双方未履行双務契約解除後の相手方の損害賠償請求権」とは?

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Q.破産債権『双方未履行双務契約解除後の相手方の損害賠償請求権』とは?

A.破産法第97条第8号に規定されている,破産管財人が破産者と相手方の間の双方未履行双務契約を解除した場合又は取引所等の相場のある商品取引契約が解除されたものとみなされる場合に,その解除によって発生した相手方の損害賠償請求権のことをいう。



破産債権とは・・・

破産手続に参加して破産財団から配当を受けることができる債権を,破産債権といいます。

この破産債権とは,「
破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもの」であるとされています(破産法第2条第5項)。

もっとも,上記の破産債権の定義に当てはまらない債権であっても,政策的な理由から破産債権とされる債権があります。

破産法第97条第8号は,破産管財人が破産者と相手方の間の双務契約を解除した場合に,その解除によって発生した相手方の損害賠償請求権が破産債権となることを規定しています。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
八 第54条第1項(第58条第3項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権




破産管財人による双方未履行双務契約の解除とは・・・


【破産法第53条】
1 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは,破産管財人は,契約の解除をし,又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合には,相手方は,破産管財人に対し,相当の期間を定め,その期間内に契約の解除をするか,又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において,破産管財人がその期間内に確答をしないときは,契約の解除をしたものとみなす。


【破産法第54条第1項】
前条第1項又は第2項の規定により契約の解除があった場合には,相手方は,損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。


双務契約とは,契約の当事者が相互に対価としての意義を有する債務を負担する契約の類型のことをいいます。

例えば,売買契約の場合には,買主は代金支払義務を負い,売主は目的物の引渡義務を負うので,相互に対価としての意義を有する債務を負担しているといえますから,双務契約です。

そして,破産手続開始の時点で共にまだその履行を完了していないものを「双方未履行双務契約」といいます。

売買の例で言えば,破産手続開始の時点で,いまだ買主は代金を支払っておらず,売主も目的物を引き渡していないという場合が,双方未履行という状態です。

破産法上,破産管財人は,双方未履行契約について,破産者の債務を履行して契約の相手方に債務の履行をするように請求するか,あるいは,契約を解除するかのいずれかを選択することができるとされています(破産法第53条第1項)。 

また,相手方も,破産管財人に対して,相当期間を定めて,契約を解除するのか破産者の債務を履行するのか早く決めてくれと催告することができます。

この場合,相当の期間内に破産管財人が回答しなかったときは,契約が解除されたものとみなされます(第53条第2項)。

破産管財人が双方未履行契約を解除した場合,あるいは,解除したものとみなされた場合,契約の相手方に損害が生じる場合もあり得ます。

その場合,相手方は破産者に対して損害賠償請求をすることができるということになりますが,この損害賠償請求権は,破産法第54条第1項によって破産債権となります。

破産法第97条第8号は,このことを規定しているのです。



第58条第3項において準用する場合とは・・・


なお,上記破産法第54条については,破産法第58条第3項においても準用されています。

【破産法第58条】
1 取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって,その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて,その時期が破産手続開始後に到来すべきときは,当該契約は,解除されたものとみなす。
2 前項の場合において,損害賠償の額は,履行地又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。
3 第54条第1項の規定は,前項の規定による損害の賠償について準用する。


「取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって,その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないもの」とは,例えば,証券取引所で取引される株式や,商品取引所で取引される商品などです。

こういう物の取引は,ある特定の日に,あるいは期間内に行われないと多大な損害を生じることが少なくありません。

要するにその特定日又は特定期間内に債務が履行されなければ意味がないわけです。

そのため,この種の取引については,その特定日又は特定期間内に債務が履行されないときは,その契約を無催告で解除ができると考えられています。

そして,その考え方を破産手続上も表したものが,上記の破産法第58条第1項なのです。

すなわち,上記のような市場の相場のある商品取引に関する契約があった場合に,その契約が,ある特定の日又は特定の期間内に債務の履行がなければ意味がない契約であったとします。

ところが,その特定日又は特定期間が来る前に契約当事者の一方が破産しました。

原則論でいくと,もはや特定日又は特定期間内に契約が実現されるかどうかは破産管財人の判断次第ということになります。

しかし,相手方としては,破産管財人がどういう判断をするのかどうかは,その時にならなければ分からないという,ひどく不安定な立場に置かれてしまいます。

このような状況を放置しておくことは,契約当事者間の公平にも反しますし,何より相手方に酷です。 もし管財人が解除しないと言ったら大損害を被ってしまうからです。

そこで,第58条第1項は,上記のような市場の相場のある商品取引に関する契約のうち特定日又は特定期間が破産手続開始後に到来するものについては,破産手続開始時に当然に解除されたものとみなすと規定しているのです。

そして,この解除とみなすことにより相手方に損害が発生した場合,相手方は破産者に対して損害賠償請求をすることができますが,その損害賠償請求権もまた,破産債権となるとされています。

破産法第97条第8号の「第58条第3項において準用する場合」とは,このことを指していっているのです。

なお,この場合の損害の算定は,上記第58条第2項の計算方法によってなされることになっています。




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