借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

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相殺

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自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止の例外とは?

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Q.自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止の例外とは?

A.破産法第72条第2項各号に当たる場合には,同条第1項第2号,第3号又は第4号に該当する場合であっても,相殺が許されることをいう。



破産手続開始後の破産債権取得による相殺禁止・・・

【破産法 第72条】
1 破産者に対して債務を負担する者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
ニ 支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは,この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。


上記破産法第72条第1項は,一定の時期以降に破産債権を取得した場合には,その破産債権を自働債権とし,破産者に対する債務を受動債権とする相殺を禁止することを規定しています。

破産債権を自働債権とし,破産者に対する債務を受動債権とする相殺は原則として許されるけれども,一定の時期以降に破産債権を取得した場合には,相殺を不正に利用されるおそれがあるため,例外的に相殺が禁止されるのです。




破産手続開始後の破産債権取得による相殺禁止の例外・・・

【破産法 第72条】
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には,適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
四 破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約


上記のとおり,一定の時期以降に破産債権を取得した場合には例外的に相殺が禁止されるのですが,さらにその例外として,第1項に当たる場合であっても相殺が許されるという場合があります。

それが,上記の第2項の規定に当たる場合です。

まず,第一号によると,法定の原因によって破産債権を取得した場合には,第1項の時期以降に取得したものであっても,相殺をすることができるとされています。

第二号は,支払不能後,支払停止後又は破産手続開始の申立て後に破産債権を取得した場合の規定です。 

これらの場合,破産債権を取得時において,それぞれ支払不能であったこと,支払停止であったこと又は破産手続開始の申立てがなされていたことを知っていたときに限り,相殺が禁止されます。

しかし,第二号はその例外として,それらを知ったときよりも前に発生した原因によって破産債権を取得することになった場合には,例え破産債権取得時に支払不能等につき知ることになっていたとしても,相殺が許されるということを規定しています。

第三号は,第1項の各号に当たる場合であっても,破産手続開始の申立てから1年以上前に発生した原因によって破産債権を取得した場合には,相殺が許されるというものです。

第四号は,破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約によって破産債権を取得した場合には,相殺が許されるとされています。

契約によって破産債権を取得する場合には,相殺を不正に利用するおそれが少ないし,また,場合によっては否認権を行使して是正を図りやすいことから,相殺が許されるとされているのです。





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自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止とは?

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Q.自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止とは?

A.破産法第72条第1項各号に規定されている。 ある一定の時期以降に自働債権たる破産債権を取得した場合には,その破産債権を自働債権とし,破産者に対する債務を受働債権とする相殺を禁止することをいう。



自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止・・・

【破産法 第72条】
1 破産者に対して債務を負担する者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
ニ 支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは,この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には,適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
四 破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約


破産債権を自働債権とし破産者の破産債権者に対する債権を受働債権とする相殺は,原則として許されますが,上記破産法第72条の場合には禁止されます

この72条は,自働債権となる破産債権の取得時期によって相殺を禁止する規定です。 つまり,破産債権が,いつ破産債権者のものとなったのかを問題としているということです。

第71条が受動債権たる債務負担を問題とする規定であるのに対し,第72条は,その反対債権である自働債権たる破産債権の取得時期を問題とする規定です。




自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止の類型・・・

自働債権たる破産債権取得の時期による相殺禁止には,受動債権たる債務負担の時期による相殺禁止の場合と同様に,以下の4つの類型があります。

第1類型は,破産手続開始後に破産債権を取得した場合です。 この場合は,破産者に対する債務を負担していた人が,破産手続開始後に破産債権を取得したというだけで,その破産債権を自働債権とする相殺が禁止されます。

この類型は,破産手続開始後に受働債権たる債務を負担した場合と対になる類型です。 

第2類型は,支払不能後に破産債権を取得した場合です。 この場合は,支払不能後に破産債権を取得したことに加え,その取得の当時,破産者が支払不能となっていたことを知っていたときに限り相殺禁止となります。

この類型は,支払不能後に受働債権たる債務を負担した場合と対になる類型です。 ただし,受働債権たる債務負担の場合と異なり,契約によって取得したことや専相殺供与目的の要件は求められていません。

第3類型は,支払停止後に破産債権を取得した場合です。 この場合は,その支払停止後に破産債権を取得したことに加え,その取得の当時,破産者が支払いを停止していたことを知っており,さらに,その支払停止当時,客観的に支払不能であったときに限り,相殺禁止となります。

この類型は,支払停止後に受働債権たる債務を負担した場合と対になる類型です。

第4類型は,破産手続開始の申立後に破産債権を取得した場合です。 この場合は,破産手続開始の申立後破産手続開始決定時までの間に破産債権を取得したことに加え,その取得の当時,破産者について破産手続開始の申立てがなされていたことを知っていたときに限り相殺禁止となります。

この類型は,破産手続開始の申立て後に受働債権たる債務を負担した場合と対になる類型です。 




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受働債権たる債務負担による相殺禁止の例外とは?

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Q.受働債権たる債務負担による相殺禁止の例外とは?

A.破産法第71条第2項各号に当たる場合には,同条第1項第2号,第3号又は第4号の相殺禁止に当たる場合であっても,相殺が許されることをいう。



受動債権となる債務負担の時期による相殺禁止・・・

【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
ニ 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって,当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因


破産債権を自働債権とし,破産財団所属の破産債権者に対する債権を受動債権とする相殺であっても,その破産債権者に対する債権が一定の時期以降に取得されたものであるときは,相殺が禁止されることがあります。

破産手続開始後に受動債権となる債務を負担した場合のほか,上記条文第1項第2号から第4号までによれば,支払不能支払停止又は破産手続開始の申立後に受動債権となる債務を負担した場合にも,相殺が禁止されることがある旨が規定されています。




第2項の意味・・・

仮に上記第1項第2号から第4号までの要件を満たす場合であっても,債務負担の原因がある特定の原因であるという場合には,相殺が禁止されないものとされています。 それが第2項です。

つまり,支払不能,支払停止そして破産手続開始の申立て後に受働債権たる債務を負担した場合,それを受働債権とする相殺は禁止されます。

しかし,第2項に定める場合には,支払不能,支払停止そして破産手続開始の申立て後に受働債権たる債務を負担した場合であっても,それを受働債権とする相殺が許されるということです。

相殺は原則として許されるものの,上記第1項各号に当たる場合には例外的に禁止されるという破産法の立場からすると,それをさらに許されるものにするのですから,第2項は,例外の例外というような位置づけになります。

「法定の原因」とは,例えば,相続や会社の合併などによって債務を負担した場合が考えられます。

「支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因」に基づいて債務を負担した場合にも,相殺が許されるとされています。

このような場合に相殺が許されるのは,債権者の相殺に対する期待を保護するためです。

したがって,ここでいう債務負担の原因は,債権者が相殺できるという期待を持つほどに具体的な原因があったことが必要となるとされています。

また,「破産手続開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因」に基づいて債務を負担した場合にも,相殺が許されます。

相殺できるか否かは,破産手続が開始してからでないと分かりません。 そうすると,債権者は破産手続が開始されるまで,相殺ができるのかできないのかが分からず,宙ぶらりんの状態になってしまいます。

そこで,債権者の地位の安定のために,債務負担の原因が生じてから1年以上破産手続が開始されないときは,相殺をしてよいとしたのです。





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支払停止後に受働債権たる債務を負担した場合の相殺禁止とは?

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Q.支払停止後に受働債権たる債務を負担した場合の相殺禁止とは?

A.支払停止後に,支払停止があったことをしりながら,受働債権たる債務を負担した場合に,破産債権を自働債権とし,その債務を受働債権とする相殺が禁止されることをいう。



支払停止後に受働債権たる債務を負担した場合の相殺禁止とは・・・

【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
? 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。


受動債権たる債務負担の時期による相殺禁止の1つに,支払停止後に受動債権たる債務を負担した場合があります。



支払停止後に受働債権たる債務を負担した場合の相殺禁止の要件・・・

支払不能後に受動債権たる債務を負担した場合の相殺禁止の要件は,以下のとおりです。

・ 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担したこと(支払停止後の債務負担)

・ 当該支払の停止があった時において支払不能であったこと

・ その負担の当時,支払の停止があったことを知っていたこと(債権者の悪意)




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支払不能後に債務を負担した場合の相殺禁止とは?

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Q.支払不能後に債務を負担した場合の相殺禁止とは?

A.支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合に,同債務を受動債権とする相殺が禁止されることをいう。



支払不能後に債務を負担した場合の相殺禁止・・・

【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
二 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって,当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたとき。


受動債権たる債務負担の時期による相殺禁止の1つに,支払不能後に受動債権たる債務を負担した場合があります。


支払不能後に受動債権たる債務を負担した場合の相殺禁止の要件・・・

支払不能後に受動債権たる債務を負担した場合の相殺禁止の要件は,以下のとおりです。

・ 支払不能になった後に破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であること(支払不能後の契約による債務負担)

・ 上記契約をするについて,契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的があったこと(専相殺供与目的)
・ 上記契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたこと(債権者の悪意)





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受働債権となる債務負担の時期による相殺禁止とは?

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Q.受働債権となる債務負担の時期による相殺禁止とは?

A.破産法第71条第1項各号に規定されている。 ある一定の時期以降に受働債権たる債務を負担した場合には,破産債権を自働債権とし,その債務を受働債権とする相殺を禁止することをいう。



受働債権となる債務負担の時期による相殺禁止・・・

【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
ニ 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって,当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因


破産債権を自働債権とし破産者の破産債権者に対する債権を受働債権とする相殺は,原則として許されますが,上記破産法第72条の場合には禁止されます。

この71条は,受働債権の取得時期によって相殺を禁止する規定です。 つまり,破産者の破産債権者に対する債権が,いつ破産者のものとなったのかを問題としているということです。




受動債権となる債務負担の時期による相殺禁止の類型・・・

受動債権となる債務負担の時期による相殺禁止には,上記条文のとおり,その債務負担の時期によって4つの類型があります。

第1類型は,破産手続開始後に債務負担した場合です。 この場合には,破産手続開始後に債務を負担したことだけで,それを受動債権とする相殺が禁止されます。

第2類型は,支払不能後に債務負担した場合です。 この場合には,単に支払不能後に債務負担したというだけでは足りず,相殺する目的で,受動債権となる債務が発生するような財産を処分する契約や債務引受契約を締結したこと,及び,その当時支払不能であったことを知っていたことが必要であるとされています。

第3類型は,支払停止後に債務負担した場合です。 この場合も,単に支払停止後に債務負担したというだけでは足りず,その当時支払停止がなされていたことを知っていたことも必要です。

第4類型は,破産手続開始の申立後に債務負担した場合です。 この場合も,破産手続開始の申立後に債務負担したことに加え,その当時破産手続開始の申立てがあったことをしっていたことが必要となります。




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破産手続における相殺が許されないのはどのような場合か?

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Q.破産手続における相殺が許されないのはどのような場合か?

A.破産手続きにおける相殺権が認められる要件を満たさない場合のほか,破産法第71条及び第72条の場合には許されない。



破産手続における相殺・・・

破産手続においては,相殺の担保的機能を尊重して,破産債権者からの相殺が原則として許されるものとされています。

もっとも,相殺を認めることは相殺をした人に優先権を与えるようなものですから,他の債権者を不当に害するような場合には,一定の制限が課されます。




破産手続における相殺の要件・・・

破産手続において許容される相殺は,あくまで,破産債権を自働債権とし,破産者の破産債権者に対する債権を受働債権とする相殺です。

したがって,破産管財人が破産者の破産債権者に対する債権を自働債権とし,破産債権を受働債権とする相殺は許されませんし,破産債権を自働債権とし,破産財団に属しない債権を受働債権とする相殺も許されません。

なお,財団債権と財団債権者に対する債権との相殺については,争いがありますが,財団債権者側からも破産管財人側からも相殺できると考えるのが通説です。




相殺の制限・・・


【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
ニ 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって,当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって,その負担の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因


【破産法 第72条】
1 破産者に対して債務を負担する者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
ニ 支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,支払の停止があったことを知っていたとき。ただし,当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは,この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって,その取得の当時,破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第2号から第4号までの規定は,これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には,適用しない。
一 法定の原因
ニ 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より1年以上前に生じた原因
四 破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約


破産債権を自働債権とし,破産者の破産債権者に対する債権を受働債権とする相殺であっても,上記の条文のとおり,相殺が制限される場合があります。

各制限の具体的な内容については,別途説明します。




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破産債権「破産手続開始による交互計算閉鎖後の残額支払請求権」とは?

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Q.破産債権「破産手続開始による交互計算閉鎖後の残額支払請求権」とは?

A.破産手続開始によって交互計算が閉鎖された場合の残額支払請求権のことをいう。



破産債権とは・・・

破産手続に参加して破産財団から配当を受けることができる債権を,破産債権といいます。

この破産債権とは,「
破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもの」であるとされています(破産法第2条第5項)。

もっとも,上記の破産債権の定義に当てはまらない債権であっても,政策的な理由から破産債権とされる債権があります。

破産法第59条に規定する破産者に対する交互計算閉鎖後の残額の請求権は,破産手続開始後の請求権ですが,破産債権として扱われるとされています。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
十 第59条第1項の規定による請求権であって,相手方の有するもの




交互計算とは・・・


【商法第529条】
交互計算は,商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において,一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし,その残額の支払をすることを約することによって,その効力を生ずる。


交互計算とは,上記商法の規定のとおり,商人間又は商人・非商人間の一定期間中の取引に基づいて生じる総債権と総債務とを相殺し合って,残額の支払いをするという約定のことをいいます。

例えば,商人AさんとBさんとが,取引期間を1か月とする交互計算の約定をして,その1か月間のうちに数度継続的に取引を行いました。

その結果,その1か月間中に,AさんのBさんに対する500万0000円の売掛債権と,BさんのAさんに対する400万0000円の売掛債権とが発生しました。

この場合,交互計算によって,AさんのBさんに対する債権とBさんのAさんに対する債権とが相殺されて,AさんのBさんに対する100万0000円の売掛債権だけが残り,BさんはAさんにその残額100万0000円を支払うことになります。



破産法第59条の請求権とは・・・


【破産法第59条】
1 交互計算は,当事者の一方について破産手続が開始されたときは,終了する。この場合においては,各当事者は,計算を閉鎖して,残額の支払を請求することができる。
2 前項の規定による請求権は,破産者が有するときは破産財団に属し,相手方が有するときは破産債権とする。


交互計算は,当事者間の信頼関係に基づいてなされる約定です。 そのため,信頼関係が失われれば終了することになります。

一方の破産手続開始は経済的信頼を損なう事情の最たるものですから,上記第1項のとおり,破産手続開始によって,交互計算は終了するとされています。

交互計算が終了するということは,その破産手続開始時に計算が閉鎖,つまりそこまでの時点をもって総債権と総債務とを相殺し合うことになります。

そして,交互計算の当事者間においては,残額支払の関係だけが残ることになります。

この場合,上記第2項によれば,残額支払請求権を破産者が有している場合には破産財団に組み入れられ,破産者の相手方が有している場合には破産債権となるとされています。

前記の例で言うと,残額支払請求権を持っていたのはAさんでした。 そのため,Aさんが破産した場合には,その請求権は破産財団所属の財産となります。

Bさんが破産した場合には,AさんのBさんに対する残額支払請求権は破産債権となるということです。

破産法第97条第10号が規定する第59条の請求権で相手方が有するものとは,このAさんのBさんに対する請求権のことを指していることになります。




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