借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

破産手続の開始

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破産手続開始後に受動債権となる債務を負担した場合の相殺禁止とは?

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Q.破産手続開始後に受動債権となる債務を負担した場合の相殺禁止とは?

A.破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したときは,破産債権を自働債権とする相殺が禁止されることをいう。



受動債権となる債務負担の時期による相殺禁止・・・

【破産法 第71条】
1 破産債権者は,次に掲げる場合には,相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。


破産債権を自働債権とし,破産財団所属の破産債権者に対する債権を受動債権とする相殺であっても,その破産債権者に対する債権が一定の時期以降に取得されたものであるときは,相殺が禁止されることがあります。

その相殺禁止のもっとも典型的な類型が,上記の破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担した場合,言い換えると,破産手続開始後に破産債権者に対する債権を取得した場合です。




破産手続開始後に受働債権を取得した場合・・・

相殺というものは,その相殺をした人に破産債権行使の優先権を与えるのに等しい効果をもっています。

他の破産債権者は配当でしか利益を得られないのに,相殺をした破産債権者は,相殺することによって,他の債権者よりも先に弁済を受けたのと同様の利益を受けることができるからです。

上記条文第一号の場合のように,破産手続開始後に受働債権となる債務を破産債権者が負担したにもかかわらず,その後の相殺が可能であるとすると,わざと債務を負担して相殺をし,この優先的効果を得ることができるようになってしまいます。 

例えば,Aさんは,Bさんから100万円を借りており,Cさんからも100万円を借りていました。 その後,Aさんは,BさんにもCさんにも返済しないまま破産しました。

配当できる財産は10万円だったとしましょう。 普通に配当手続がなされるとすると,Bさんには5万円,Cさんにも5万円が配当されることになります。

ところが,破産手続開始後に,BさんがAさんに対して100万円の債務を負担することになったとします。 つまり,Bさんは,破産手続開始後に受働債権となる債務を負担しました。

ここでBさんが相殺の意思表示をし,これが許されるとすると,Bさんは本当は5万円しか配当を受けられなかったのに,相殺によって破産者Aさんに対する100万円の債務がなくなるので,100万円相当の利益を受けたのと同じことになってしまいます。

これは,Cさんからみれば不公平です。 Cさんは10万円しか配当を受けられないのに,Bさんは100万円全額について弁済を受けたのと同じ利益を受けることができることになってしまうからです。

また,このような相殺が許されると,わざと破産手続開始後に破産者に対する債務を負担することによって,破産手続外で不当に利益を受けることが可能になってしまうおそれがあります。

そのため,破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担することは許されないものとされているのです。





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破産手続が開始されると係属中の訴訟はどうなるのか?

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Q.破産手続が開始されると係属中の訴訟はどうなるのか?

A.破産手続開始時に係属中の訴訟のうち破産財団に関する訴訟は,破産管財人が破産者から受継するまで中断する。 破産管財人が受継した後は,破産管財人が,当該訴訟を追行する



破産手続開始と訴訟・・・


【破産法 第44条】
1 破産手続開始の決定があったときは,破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は,中断する。
2 破産管財人は,前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては,受継の申立ては,相手方もすることができる。
3 前項の場合においては,相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
4 破産手続が終了したときは,破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は,中断する。
5 破産者は,前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては,受継の申立ては,相手方もすることができる。
6 第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは,破産者は,当然訴訟手続を受継する。


特定の事件について特定の裁判所において訴訟が開始され,判決等の対象となっている状態のことを,訴訟係属といいます。

破産の申立てをして破産手続が開始されたときに,すでに破産者に関して訴訟が係属しているということがあるかと思います。

例えば,申立ての前に,債権者が債務者に対して貸金の返還を請求している場合などです。

この場合,係属している訴訟手続のうち「破産財団に関する訴訟」は,中断するものとされています。 終了するのではなく,一時中断されるわけです。

破産手続が開始されると,破産者の財産の管理処分権は
破産管財人に専属することになります。 その反面,破産者は,自分の財産について管理処分権を失います。

ということは,破産者が破産財団に関する訴訟を行い,その結果がどうなろうとも,破産者は財産について管理処分権がないのですから,どうすることもできません。 つまり,訴訟自体が無意味となってしまいます。

そのため,破産財団に関する訴訟は中断されるのです。




中断された訴訟は・・・

上記のとおり,係属している訴訟のうち破産財団に関する訴訟だけが中断されます。 では,この中断は,いつまで続くのでしょうか?

破産手続の開始によって,破産者の財産に関する管理処分権は破産管財人に専属することになりますから,破産財団に関する訴訟も,破産者自身ではなく,破産管財人が行っていくのが合理的です。

そのため,破産手続開始後は,破産財団に関する訴訟の当事者となる資格(これを「当事者適格」といいます。)が破産管財人に与えられることになります。

つまり,破産手続開始後破産手続中に破産財団に関する訴訟を起こす場合には,破産管財人が訴訟を起こすことになります。

そして,すでに係属している訴訟については,訴訟が一旦中断され,その間に,破産管財人が破産者から訴訟を受け継ぐことになります。 これを訴訟の受継といいます。

したがって,破産手続開始時にすでに破産財団に関する訴訟が係属している場合には,その訴訟は破産管財人が受継するまで中断することになるのです。

破産管財人が訴訟を受継したときは,以後,その訴訟は破産管財人が当事者となって進めていくことになります。





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給料等の請求権は財団債権となるのか?

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Q.給料等の請求権は財団債権となるのか?

A.破産手続開始前3か月間の破産者の使用人の給料の請求権及び破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当のうち退職前3か月間の給料の総額に相当する額の請求権のことをいう。



特別の財団債権とは・・・

財団債権には,破産法の条文上,2つの種類があります。 1つは,破産法第148条第1項各号に規定されている「一般の財団債権」。 もう1つは,それ以外の規定に基づく「特別の財団債権」です。

一般の財団債権と特別の財団債権とは,財団債権としての性質に違いはありません。

この特別の財団債権の1つに,給料等の請求権があります。


【破産法第149条】
1 破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権は,財団債権とする。
2 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は,退職前三月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前三月間の給料の総額より少ない場合にあっては,破産手続開始前三月間の給料の総額)に相当する額を財団債権とする。



財団債権となる給料等の請求権とは・・・

使用人(労働者)にとって,給料は生活の糧となる重要な収入源です。 退職金には,退職までの功労をねぎらうという意味の他に退職後の生活のための金銭という意味もあり,これも生活の糧となる収入源です。

そうすると,雇用主や会社が倒産した場合,使用人はいきなり生活の糧を失ってしまうことになります。

雇用主や会社が倒産した以上,他の雇用主等の
債権者同様,使用人においてもある程度の負担を背負うことはやむを得ないことですが,生活の糧をいきなり失うことになる使用人の痛手は大きいものがあります。

そのため,使用人の給料や退職金の請求権は,財団債権として優先的に支払われることになっています。

もっとも,破産手続開始までのすべての請求権が財団債権となると,他の破産債権者に比べて,あまりに大きな優先権を与えることになってしまいます。 そこで,財団債権となる給料等の請求権には限定が付されています。

すなわち,給料請求権については,破産手続開始前3か月分の未払額が財団債権となります。

また,退職金請求権については,破産手続開始前3か月分の給料に相当する額が財団債権となります。

ただし,退職金の総額が,破産手続開始前3か月分の給料相当額よりも少ない場合には,3か月分の給料相当額が財団債権となります。

開始前3か月分という限定が付されているのは,破産債権者との関係で一定の限定を付す必要があるということとともに,開始決定直前に労務を提供したということから,破産財団の維持や増殖に協力・貢献したということができるからです。





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破産法第99条第1項第1号の劣後的破産債権とは?

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Q.破産法第99条第1項第1号の劣後的破産債権とは?

A.第97条第1号から第7号までに掲げる請求権のことをいう。



劣後的破産債権・・・

劣後的破産債権とは,優先的破産債権及び一般の破産債権に対して,配当や議決権の面で後れる,つまりは後回しとされる破産債権のことをいいます。



破産法第99条第1項第1号の劣後的破産債権・・・

破産法第99条第1項第1号によると,「第97条第1号から第7号までに掲げる請求権」は劣後的破産債権となると規定されています。

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
一 破産手続開始後の利息の請求権
二 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
三 破産手続開始後の延滞税,利子税又は延滞金の請求権
四 国税徴収法 (昭和34年法律第147号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって,破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
五 加算税(国税通則法 (昭和37年法律第66号)第2条第4号 に規定する過少申告加算税,無申告加算税,不納付加算税及び重加算税をいう。)又は加算金(地方税法 (昭和25年法律第226号)第1条第1項第14号に規定する過少申告加算金,不申告加算金及び重加算金をいう。)の請求権
六 罰金,科料,刑事訴訟費用,追徴金又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
七 破産手続参加の費用の請求権


上記のうち第1号から第3号までの請求権と第7号の請求権は,破産手続開始後の請求権ですので,本来は破産債権にはならないはずの請求権です。

それをあえて政策的に破産債権としたものであるため,一般の破産債権に不利益を与えることは望ましくありません。 そこで,劣後的破産債権とされています。

第4号の請求権も破産手続開始後の請求権です。 租税等の請求権は一般の請求権よりも優先性を有しているので,破産手続開始後のものであっても,一部は財団債権として扱われます。

もっとも,財団債権として扱われるもの以外のものについては,これにまで優先性を認めると破産債権者を害することになりかねないため,第4号の請求権として劣後的破産債権になるとされています。

第5号の加算税・加算金の請求権や第6号の罰金等の請求権は,本来的に破産者本人に対する制裁の性質をもっています。 つまり,破産者本人が支払わなければならないものです。

したがって,これを一般の破産債権と同様に扱うことは望ましくありません。 そこで,劣後的破産債権とされているのです。




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破産債権となる債権とは?

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Q.破産債権となる債権とは?

A.破産者に対して,破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しない債権が,破産債権となる。




財産上の請求権であることとは・・・


破産債権は,財産上の請求権でなければなりません。

破産手続の目的は,金銭によって配当をすることにありますから,破産手続に参加する債権者の債権は,金銭によって満足を受けることのできるものである必要があります。

したがって,金銭によって満足を受けることのできる債権のみが,破産債権となります。

逆に言うと,金銭によっては満足を受けることができない債権は,破産債権とはならないのです。

例えば,認知を求める権利などは金銭によって満足されることがないので,破産債権には当たりません。

財産上の請求権とは,上記のように,金銭によって満足を得ることのできる債権であるということを意味しています。



破産者に対するものであることとは・・・

破産債権は,破産者に対する請求権でなければなりません。

破産債権は人的請求権であると解されています。 つまり,「人」に対する権利であって,破産者の行為を介して財産又は財産的利益を受けることのできる権利であるということです。

したがって,物権のように,破産者の「物」を直接支配する権利ではないといことです。

また,破産者本人に対する請求権ですから,破産者以外の人に対する請求権は破産債権になりません。



強制的実現を求めることができるものであることとは・・・

破産債権は,強制的実現を求めることができる請求権でなければなりません。

破産手続は,法律の力で,債権者の権利を強制的に満足させる手続ですから,法律によって強制的に実現させることのできない権利は,破産手続で扱う意味がありません。

したがって,例えば,法律上強制的に実現することのできない自然債務などは,破産債権には当たりません。



破産手続開始前の原因に基づいて生じたものであることとは・・・

破産債権は,破産手続開始前の原因に基づいて生じた請求権である必要があります。

破産財団に属する財産は債務者の財産のうちでも破産手続開始時の財産に限られ,それ以後に破産者が取得した新得財産は破産財団に組み入れられないとされています。

これを固定主義といいますが,破産債権もこれに対応して,破産手続開始時にはすでに発生原因が生じているものでなければならないとされています。

どの程度の原因が破産手続開始前に備わっていればいいのかというと,請求権発生の主たる原因が備わっていれば足り,すべての原因が備わっている必要はないと考えられています。

なお,ごく一部例外的に,破産手続開始後の原因に基づいて発生した請求権が破産債権となることもあります。 この例外については破産法に規定があります。



財団債権に該当しないものであることとは・・・

破産債権は,財団債権に該当しないものである必要があります。

破産債権と同様,破産手続開始前の原因に基づいて生じた破産者に対する財産上の請求権であっても,さまざまな理由から,破産債権よりも優先的に弁済する必要があると法が認めた請求権は財団債権とされます。

したがって,法があえて財産債権としている以上,財団債権に該当する請求権は破産債権に当たらないのです。




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