Q.破産手続はどんな場合に終了するのか?
A.配当による破産手続終結が原則であるが,そのほかにも,財団不足による破産手続廃止,同意破産手続廃止,他の倒産手続の認可等による終了がある。
配当による破産手続終結・・・
破産手続が終了する原因のことを,「破産手続終了原因」といいます。
破産手続は,破産者の財産を換価処分して破産債権者に配当することを主たる目的とする手続ですから,配当によって終了するのが原則です。
配当によって破産手続が終了する場合のことを,配当による破産手続の「終結」といいます。
財団不足による破産手続廃止・・・
上記のとおり,配当によって破産手続が終了するというのが理想ですが,そうそう毎回破産債権者に配当できるほどの破産財団が形成されるとは限りません。
むしろ,個人の破産の場合には,配当どころか,破産手続費用を賄うことすら容易ではない程度の破産財団しか形成されないのが通常です。
このように破産手続を支払うだけの財産も無いため,配当どころか,これ以上破産手続を続けられないという場合には,破産手続を終わらせる他ありません。
これを,「財団不足による破産手続の廃止」といいます。
同意破産手続廃止・・・
破産手続の廃止には,上記の財団不足による廃止の他に「同意破産手続廃止」と呼ばれる場合があります。
破産手続は破産債権者に対してできる限り最大限の満足を与えることを第一次的な目的としています。
したがって,究極的には,破産債権者全員が納得すればどういう形にせよ終わらせることができると言えます。
つまり,破産債権者全員が,もういいと言えば,最大限の配当をせずに破産手続を終わらせることができるということです。
そこで,破産債権者全員の同意がある場合か,異議のある債権者に対して担保を提供した場合には,破産手続の廃止を申し立てることができ,これを裁判所が認めたときは,破産手続を廃止することができるとされています。
これを同意破産手続廃止というのです。
他の倒産手続の認可等による終了・・・
倒産手続には,破産手続の他に再建型である民事再生手続や会社更生手続などがあります。
破産手続は全財産の清算を図るという最終手段的な手続であることから,これらの再建型の倒産手続に劣後するとされています。
そのため,民事再生における再生計画が認可された場合や会社更生において更生計画が認可された場合などは,破産手続は失効します。 つまり,破産手続は終了となるわけです。
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