借金相談 自己破産と破産法の取扱説明書

借金でお悩みの方のために,東京 多摩 立川の弁護士が,借金問題解決の方法である債務整理の1つである自己破産とそれを規律する破産法について,分かりやすく説明していきます。

配当

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破産手続はどんな場合に終了するのか?

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Q.破産手続はどんな場合に終了するのか?

A.配当による破産手続終結が原則であるが,そのほかにも,財団不足による破産手続廃止,同意破産手続廃止,他の倒産手続の認可等による終了がある。



 

配当による破産手続終結・・・

 

破産手続が終了する原因のことを,「破産手続終了原因」といいます。

破産手続は,破産者の財産を換価処分して破産債権者に配当することを主たる目的とする手続ですから,配当によって終了するのが原則です。


配当によって破産手続が終了する場合のことを,配当による破産手続の「終結」といいます。



 

財団不足による破産手続廃止・・・

 

上記のとおり,配当によって破産手続が終了するというのが理想ですが,そうそう毎回破産債権者に配当できるほどの破産財団が形成されるとは限りません。


むしろ,個人の破産の場合には,配当どころか,破産手続費用を賄うことすら容易ではない程度の破産財団しか形成されないのが通常です。


このように破産手続を支払うだけの財産も無いため,配当どころか,これ以上破産手続を続けられないという場合には,破産手続を終わらせる他ありません。

これを,「財団不足による破産手続の廃止」といいます。



 

同意破産手続廃止・・・

 

破産手続の廃止には,上記の財団不足による廃止の他に「同意破産手続廃止」と呼ばれる場合があります。


破産手続は破産債権者に対してできる限り最大限の満足を与えることを第一次的な目的としています。

したがって,究極的には,破産債権者全員が納得すればどういう形にせよ終わらせることができると言えます。


つまり,破産債権者全員が,もういいと言えば,最大限の配当をせずに破産手続を終わらせることができるということです。


そこで,破産債権者全員の同意がある場合か,異議のある債権者に対して担保を提供した場合には,破産手続の廃止を申し立てることができ,これを裁判所が認めたときは,破産手続を廃止することができるとされています。

これを同意破産手続廃止というのです。



 

他の倒産手続の認可等による終了・・・

 

倒産手続には,破産手続の他に再建型である民事再生手続や会社更生手続などがあります。

破産手続は全財産の清算を図るという最終手段的な手続であることから,これらの再建型の倒産手続に劣後するとされています。


そのため,民事再生における再生計画が認可された場合や会社更生において更生計画が認可された場合などは,破産手続は失効します。 つまり,破産手続は終了となるわけです。



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財団債権とは?

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Q.財団債権とは?

A.破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことをいう。 財団債権を有する債権者を財団債権者という。



財団債権とは・・・


【破産法第2条】
? この法律において「財団債権」とは,破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
? この法律において「財団債権者」とは,財団債権を有する債権者をいう。


「財団債権」とは,破産手続によらずに破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことをいいます。

要するに,配当手続まで待つことなく,破産財団から弁済を受けてしまってもいいという,優遇された債権なのです。

この財団債権を有する債権者のことを「財団債権者」といいます。



破産債権との違いは・・・


前記のとおり,財団債権は,配当手続を待つことなく破産財団から随時弁済を受けることができます。 要するに,破産財団に財産があった場合には,まず財団債権に支払ってしまうことができるわけです。

破産債権は配当によって満足を得る債権ですから,その点で,財団債権は破産債権に優越する債権であるといえます。

また,破産債権は免責の対象となりますが,財団債権は免責の対象とならないというところも特徴的な違いです。




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破産債権とは?

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Q.破産債権とは?

A.破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第97条各号に掲げる債権を含む。)であって,財団債権に該当しないものをいう。



破産債権とは・・・

【破産法 第2条】
5 この法律において「破産債権」とは,破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第97条各号に掲げる債権を含む。)であって,財団債権に該当しないものをいう。


破産手続によって破産財団から配当を受けることができるのは,破産債権を有する債権者,すなわち破産債権者です。

つまり,破産債権とは,破産財団から配当を受けることができる権利であるということができます。

他方,破産債権は,原則として,破産手続開始以降は,破産財団からの配当以外の方法で債権回収を図ることができなくなります。

つまり,勝手に取立てをしてはいけなくなるのです。 そういう意味では,義務的な側面もあるといえます。



破産債権の要件・・・

この破産債権の要件は,以下のとおりです。
 
 ・ 財産上の請求権であること

 ・ 破産者に対するものであること

 ・ 強制的実現を求めることができるものであること

 ・ 破産手続開始前の原因に基づいて生じたものであること

 ・ 財団債権に該当しないものであること



第97条各号に掲げる債権とは・・・

【破産法第97条】
次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は,破産債権に含まれるものとする。
? 破産手続開始後の利息の請求権
? 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
? 破産手続開始後の延滞税,利子税又は延滞金の請求権
? 国税徴収法 (昭和34年法律第147号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって,破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
? 加算税(国税通則法 (昭和37年法律第66号)第2条第4号 に規定する過少申告加算税,無申告加算税,不納付加算税及び重加算税をいう。)又は加算金(地方税法 (昭和25年法律第226号)第1条第1項第14号 に規定する過少申告加算金,不申告加算金及び重加算金をいう。)の請求権
? 罰金,科料,刑事訴訟費用,追徴金又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
? 破産手続参加の費用の請求権
? 第54条第1項(第58条第3項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権
? 第57条に規定する債権
? 第59条第1項の規定による請求権であって、相手方の有するもの
? 第60条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)に規定する債権
? 第168条第2項第2号又は第3号に定める権利


上記の要件を満たすものが破産債権となりますが,一部,上記の要件を満たさない債権であっても破産債権とされるものがあります。 それが第97条各号に掲げる債権です。

上記の請求権は,財団債権となるものを除いて,破産債権として扱われることになります。



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