私が面会に行った時だけは、妻も歩行器で散歩する事があった。
ほとんどが同じ階の談話室までで、せいぜい往復80m程度。
二人でゆっくり歩いた。
いつも誰もいなくて見晴らしのいい談話室なので、二人で話ししてリフレッシュできるいい場所だった。

調子のいい時にエレベータで1階まで下りて病院内のコンビニまで行った事があった。
妻は歩行器なのでコンビニ内には入らなかったが、買い物好きだったから入りたかっただろう。
その帰り道、院内の床屋の前で「病室でカットできます」という表の貼り紙を見つけて妻の足が止まった。

妻は短い時間でも狭い空間に拘束されるのがダメで、美容院や歯医者が苦手だった。
パニック障害が出てしまう。
私がいる時に病室なら安心してカットしてもらえる、これはいいと妻が思った。
店の人にどんな感じか聞いてみると、歩行器で立ったままでも大丈夫だし、女性にカットしてもらえるとのこと。
即、予約。

後日、予約通りに出張床屋が妻の病室に来てくれた。
barber
妻にはとてもありがたい出張サービスだった。