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ここ数日で「Cat in the box - キャットインザボックス」のミスタさん、「Danas je lep dan.」のMukkeさんが松実玄の裏ドラ支配の考察について書かれています。この流れに便乗して私も色々と考えてみました。未読の方は先にこちらを読むようお願いします。
松実玄の支配は裏ドラまで届くのか
[咲-Saki-]松実玄がリーチをかけられない,もう1つの理由

■まずは状況整理から
最初に主だった疑問点とそれに対する仮説を整理してみます。

玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できるのか?
①支配できる。裏ドラ(槓ドラ)となる牌は全て玄の元に行くため他家に裏ドラ(槓ドラ)は乗らない
②支配できない。裏ドラ(槓ドラ)が乗る、乗らないは通常の確率に従う
③条件を満たせば支配できる。


玄がまだめくられていない状態の裏ドラ(槓ドラ)を切ったらどうなるのか?
①制約は特になし
②切るとしばらくドラが来なくなる


玄は裏ドラ(槓ドラ)を察知できるのか?
①できる。局が始まった時に裏ドラが何か玄にはわかっている
②できない。玄は裏ドラ(槓ドラ)が何かはめくるまでわからない

取り敢えずこんなところでしょうか。
ここでは「ドラを支配する」とは「全てのドラが玄のもとに来る=他家のもとや王牌に行かない」と定義しておきます。
また、裏ドラ・槓ドラ以外に槓裏もありますが、槓裏は「裏ドラが支配できる」かつ「槓ドラが支配できる」という結論に達した時にのみ考慮することとします。流石に「裏ドラは支配できるけど槓ドラは支配できない」場合に「槓裏は支配できる」という結論に持っていくのは不自然でしょう。
なお以下では特に断りませんが槓ドラは対象を4枚としています。1枚目の槓ドラは支配できるけど2枚目は支配できない、という風になるのは不自然と感じたため4枚全て支配できるか4枚全て支配できないかのみを考えます。

ではまずは考え易いところから行ってみます。
■玄がまだめくられていない状態の裏ドラ(槓ドラ)を切ったらどうなるのか?
これに対する私の考えは①の「制約は特になし」です。理由は単純に対象枚数が多すぎるから。Mukkeさんは②の説を支持しており、次のような推測をしています。

「ひとつでもドラを捨てるとそのあとしばらくドラが来なくなる」ことを何度か経験していると玄は語るが,そのうちの数回は裏ドラを捨てていたという推測

しかしもし玄がそれと知らずに裏ドラを切った場合にもドラが来なくなる制約があるとすると、その制約はあまりに厳しすぎます。ざっと計算してみましょう。玄には34種の内1種だけ捨てるとしばらくドラが来なくなる牌があるとします。半荘1回の内訳を平均10巡の8局とすると玄が捨てる牌は80枚ですがこの中に裏ドラが1枚でも含まれる確率は1-(33/34)^80=0.91。つまり半荘1回を終えると玄は9割以上の確率で裏ドラを捨てたこととなります。裏ドラ1枚でこれですから4枚もある槓ドラなんて考えるまでもありません。
ただし上記の結論を得るためには1つ前提があります。それは「玄には裏ドラとなる牌は見えていない」ことです。では次はそれについて考えてみましょう。


玄は裏ドラ(槓ドラ)を察知できるのか?
これは劇中の描写から否定できます。
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上記画像は玄がドラを捨てて立直をかけて照から倍満を和了ったシーンです。画像が潰れてしまってわかりにくいのですがこのときの裏ドラ表示牌は東です。つまり裏ドラは南ですが南は怜が2巡目に、玄が1巡目と6巡目に切っています。 もし玄が裏ドラを察知できるとすると1巡目に裏ドラを切るのはいかにも不自然です。またこの場合、玄は裏ドラとなる牌を既に切っているにもかかわらずドラが来ていることから裏ドラを切った場合の制約はないことが断定できます。

「玄がドラを捨てて立直をしたから裏ドラが別の牌に変化した」というシュレディンガーの猫を引き合いにした意見もあるでしょう。しかしそうだとしても「玄が裏ドラを察知できる」という仮説はハッキリと否定できます。シュレディンガーの猫には、箱の中の猫の状態は開けて調べる以外に観測する方法がない、という前提があります。事前に箱の中の猫の状態が観測できたとすると猫は生きている状態か、死んでいる状態かが100%決まるため重なり合いの状態にはなりえません。先の例で言いますと玄が裏ドラを察知していたと仮定すると、その時点で裏ドラは100%何かが決まるため立直をかけることによって変化することはありえません。そうでないと玄が観測した裏ドラと実際の裏ドラに差異が生じてしまい、「玄は裏ドラを察知できる」という前提に矛盾が生じてしまいます。

以上から私は「玄は裏ドラ(槓ドラ)を察知できない」と結論付けます。もし裏ドラがわかっているなら咲さんのように「裏ドラが南だからこっちを打とう・・・」といったモノローグが入ってもよさそうですがそんな場面はありません。闘牌にもそういった打ち方が現れそうですが特にそういった描写は見られませんでした。「玄は裏ドラ(槓ドラ)を察知できない」は妥当な推測でしょう。


■玄が裏ドラを切らない方法が実はある!
次は「玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できるのか?」の番ですが、その前に一旦「玄がまだめくられていない状態で裏ドラ(槓ドラ)を切ったらどうなるのか?」の検討に戻ってみます。先ほどの検討では確率的に考えて制約はない、と結論づけましたがこれには実は2つほど抜け道があります。
1つ目は裏ドラが通常のドラと同じだった場合。この場合はドラを切らないことが結果として裏ドラを切らないこととなり、玄が知らずに裏ドラを切ってしまうということはなくなります。もし玄に「裏ドラを表ドラと同じにする能力」が備わっていたとすると、全ての裏ドラは玄のもとに集まるため結果的に玄は裏ドラも支配できることとなります。
2つ目は裏ドラに該当する牌が全て王牌に殺されていた場合です。王牌と言っても嶺上牌だと他家にツモられる可能性がありますので槓ドラ表示牌、槓裏表示牌に限ります。この場合はそもそも裏ドラ4枚が玄の手配に来ることはないため知らずに裏ドラを切るという事態は避けられます。ただし、玄のもとにも裏ドラは来なくなるため「玄のドラ支配は裏ドラには及ばないこと」が前提となります。
というわけで玄に次の2つが備わっていないかを検証する必要があります。

①玄には裏ドラを表ドラと同じにする能力がある
②玄には裏ドラを槓ドラ表示牌+槓裏表示牌に殺す能力がある


■玄には裏ドラを表ドラと同じにする能力があるのか?
これは先ほど挙げたオーラスの例で否定できそうですが玄が「ドラを切って立直したため裏ドラが変化した」可能性があります。玄に裏ドラを察知する能力がないのだとするとドラを切ることで裏ドラが変化したということを否定できないためです。従って何らかの別の方法で検証する必要がありますが「玄がドラを切っていない局でドラ表示牌と同じ牌が4枚全て見えている局面があること」を見つければこの仮説を否定する材料となります。というわけで漫画とアニメで玄が打っている局面を全て検証しました。全局検討して唯一該当しそうなのはこの場面です。
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前半戦南二局。ドラはかなり小さくて見づらいですが二萬か三萬に見えます。さらに別のシーンで怜の手牌に四萬があるためドラ表示牌は二萬だとわかります。そしてこの局は照の和了で終わりますが、その時の照の手牌はこちら。
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二萬が暗刻です。ドラ表示牌が二萬ならば全て見えていることになるので裏ドラ表示牌も二萬になることはありえません。ちなみに漫画だとこうでした。
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やはりドラ表示牌は二萬っぽいです。これによって「玄は裏ドラを表ドラと同じにする能力がある」は否定されます。

■玄には裏ドラを槓ドラ表示牌+槓裏表示牌に殺す能力がある?
これについては「卓上の表になっている牌全てを合わせて34種全ての牌が最低1種類見えている」場面を見つければ否定できます。しかしざっと検証してみたところそのような場面は見つけられませんでした。というわけで現時点では玄に「裏ドラを槓ドラ表示牌+槓裏表示牌に殺す能力があるか」は結論が出せませんでした。この件は一旦保留とさせてください。


玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できるのか?
ではいよいよ確信となる案件について考えてみます。
私は「玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できない」を支持しています。根拠は3つ。
1つ目はオーラスで玄が立直をかけて和了した時に裏ドラが乗らなかったことです。これは誰もが真っ先に思い浮かぶ理由でしょう。
2つ目は怜が立直をかけて和了していた場面の裏ドラ表示牌は九萬でしたが、裏ドラとなる一萬が2枚すばら先輩の手元に配られていたこと。
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3つ目は玄の手牌にドラ以外の暗刻があまり見られないことです。もし将来的に裏ドラ(槓ドラ)になる牌があるのだとすると玄の手牌には一見無関係とも思える対子や暗刻があってしかるべきです。まだめくれていない裏ドラ、槓ドラまで全て玄のもとに集まるのだとすると玄のもとに来るドラは表ドラ4枚+赤ドラ4枚+裏ドラ4枚+槓ドラ16枚=28枚となります。麻雀で1局に来る牌は配牌13枚+ツモ18巡でせいぜい31枚程度なのでうち28枚がドラということになり、玄の下にはドラ以外が3種しか来ないことになります。これは流石にありえませんね。
ですがこの3点には次のような反論もあります。

反論1:オーラスの場面は玄がドラを捨てたため裏ドラが変化した
反論2:東1局の場面は玄が立直をかけていなかったため裏ドラが変化した
反論3:裏ドラ(槓ドラ)は捲るまでドラじゃない。玄が立直をした後(槓が入った)、玄のもとに来るようになる

上記をまとめると「玄のもとに裏ドラ(槓ドラ)が来るのは、玄がドラを捨ててない局面で、立直をかけた(槓が入った)場合」ということになります。ですがこれだと照が槓をした時に玄が既に持ってた暗刻がドラになってしまったことの説明がつきません。
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これに対する回答として「玄には槓ドラを全て同一牌にする能力がある」という仮説を考えてみました。これならば槓ドラ(になる牌)も1種だけで済みますので玄のもとに集まる牌は表ドラ4枚+赤ドラ4枚+裏ドラ4枚+槓ドラ4枚=16枚。玄のもとにはドラ以外の牌も15枚程度来ることとなり、なんとか手が構成できそうです。今まで玄の手牌にあまり暗刻ができていなかったのは偶然ということになりますが、一応説明はできそうです。ですがこの仮説も先ほどのシーンで槓ドラ表示牌の八萬が照の捨て牌にあることで否定されてしまいます。
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うーん、だとすると「裏ドラと槓ドラの合わせて5枚が2種類の牌で構成されている」とか?これだと玄の手元に来る牌は先ほどと同じ16枚。「一見すると関係ないけど実は裏ドラ・槓ドラになる牌が2種類あってそれが手元に来る。その牌を捨てても特に制約はないけど誰かが槓したあとに捨てるとドラが来なくなってしまう」これがギリギリ妥当性のありそうな解釈ですかね。ちなみにこの解釈でも槓裏までは支配できないという結論になりそうです。槓裏まで含めるとドラの枚数が20枚となり流石に破綻します(時間があればそのうち検証します)。

それ以外に可能性があるとすると「裏ドラは支配できるけど槓ドラは支配できない」場合。これなら裏ドラになりうる牌は1種4枚だけなので枚数的には問題なさそうです。これを否定する方法は「玄以外の手牌と捨て牌を合わせて表ドラ以外の33種の牌が見えている」シーンを見つければ良いのですがそんなシーンはありませんでした。従って現時点では否定はできません。

■結論のまとめ
色々とあやふやな点が残ってしまいましたが一応結論をまとめてみます。

Q.玄は裏ドラ(槓ドラ)を察知できるのか?
A.劇中の描写からできないとするのが妥当

Q.玄がまだめくられていない状態の裏ドラ(槓ドラ)を切ったらどうなるのか?
A.おそらく制約はない。ただし、玄に「
裏ドラを槓ドラ表示牌+槓裏表示牌に殺す能力がある」場合は制約がある可能性が残る。

Q.玄には裏ドラを表ドラと同じにする能力があるのか?
A.そんな能力はない。前半戦の南二局の描写から表ドラと裏ドラが一致しない場面がある


Q.玄には裏ドラを槓ドラ表示牌+槓裏表示牌に殺す能力がある?
A.現時点ではわからない

Q.玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できるのか
A.できるかできないかはわからない。ただし支配できるとすると以下の可能性がある
①裏ドラは玄がドラを切らずに立直をかけたあとのみ支配できるようになる
②槓ドラは誰かが槓をした後のみ支配できるようになる
③裏ドラと槓ドラは同時には支配できない
④裏ドラと槓ドラを同時に支配できる場合は裏ドラ+槓ドラの5枚が2種類の牌で構成される

Q.玄は槓裏を支配できるのか?
A.おそらくできない。理由は枚数が多すぎるため。 


■記事を書いての感想
なんだか尻切れトンボになってしまいましたがこんなところです。先にも書きましたが私自身は玄は裏ドラ(槓ドラ)を支配できない、と考えています(照が槓をした時に玄の手牌の暗刻がドラになったのは偶然というスタンス)。その方が条件も少なく、シンプルでシックリくるからです。
今回の考察は色々と粗い部分もあるかと思いますので見落としや別の意見があるかと思います。補足記事とか反論記事とかをお待ちしています。

6/24 22:00追記もこ
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松実玄は裏ドラにまで能力を及ぼしているのか議論について