2015-6-28_1-36-53
咲-Saki-144局「烈火」に登場した獅子原爽の能力の一つ「赤い雲」について色々と考えてみました。 
まずは「赤い雲」についてわかっている情報を整理してみます。

「赤い雲」を仕掛けられた相手の元には数牌しか来なくなる(=字牌が来なくなる)
②「赤い雲」は相手にも自分にも仕掛けることができる(複数の相手に同時に仕掛けられる) 

①は色々と解釈が分かれそうですが私は上記のように捉えました。「赤い雲」を仕掛けた時の結果だけを見ると「獅子原爽が字牌を独占できる」能力のように見えます。しかし獅子原爽は「赤い雲を相手に仕掛けた」と言っています。
2015-6-28_2-1-35
仕掛けられた相手の元に字牌が行かなくなることで、結果的に獅子原爽の元に字牌が集まるという事象を引き起こしたのだと思われます。
元ネタを考察されているブログによると「赤い雲」の由来はアイヌ創世神話「五色の雲」で「赤い雲」は「金銀珠玉の宝物」へと変わるそうです。
参考-『咲―Saki―』第144局[烈火]関係の元ネタメモさくやこのはな

天牌の沖本瞬によれば麻雀の数牌(萬子・筒子・索子)はお金にまつわるものから由来しているそうので、「赤い雲」を掛けられた者に数牌が集まる、というのは元ネタの由来からしても正しい気がします。
44

②については劇中の描写から考えて異論はないでしょう。「赤い雲」がもし1人にしか掛けられないのだとすると獅子原爽の元にしか字牌が来ないことの説明が着きませんし、自分に「赤い雲」を仕掛けたことがほのめかされている描写も出ています。
2015-6-28_9-10-30

さて、「赤い雲」の概要がわかったところで次はその活用方法について考えてみます。
まずそもそも「赤い雲」は他家3人に仕掛けるのと自分に仕掛けるのではどちらの方が優れているのでしょうか。
これは圧倒的に前者だと思われます。字牌を独占できれば大三元・字一色・四喜和などの役満の可能性がかなり高まりますし、そこまで行かなくても混一色や対々和に役牌を絡めるだけですぐにハネ満・倍満が狙えます。他家に役牌が行くこともないため他家の速度を抑えられますし、字牌で振り込むこともないため守備でも有利に進められるものと考えられます。
対して数牌しか来なくなるとしてもタンヤオが確定するわけではないため速度ではそれほど有利になりませんし、守備面でも不安定です。打点も字牌があるときほどは上げられません。
総合的に考えて「赤い雲」は他家3人に仕掛けるのが最も効率的でしょう。


では「赤い雲」を他家3人に仕掛けた時に字牌はどれくらい集まるのでしょうか?
これは以下のように仮定することで実際に計算ができます。

仮定:「赤い雲」を他家3人に仕掛けた時に字牌は獅子原爽の配牌(13枚)とツモ牌(約18枚)と王牌(14枚)に均一に分配されるものとする 

末原さんは獅子原爽の元に集まる字牌を「多くて65%」(13/20)と予想していましたが上記の仮定では約62%です(28/45)。獅子原爽自身は末原恭子が東をツモることを予想していたフシがありますがアレは「赤い雲」とは別の能力だったので例外として処理しています。
上記の仮定から「N巡目までに獅子原爽の元に字牌がm枚来る確率」J(N,m)は次のように立式できます。
J(N,m)=28Cm*17C(13+N-m)/45C(13+N)

これを実際に計算して配牌(0巡目)の結果をプロットすると次のような分布となります。
2015-7-4_14-49-59
配牌時に獅子原爽の元に来る字牌は平均約8枚です。
さらに累積分布をとってみると次のようになり、6~10枚になる確率だけで9割を超えます。
2015-7-4_15-4-11
通常の麻雀の配牌に来る字牌枚数が2~3枚程度なのでおよそ4倍となります。
もっともこれは4人分の字牌を1人で集めることになるので当然と言えば当然ですが…。

ここからさらに巡目を増やして「その巡目までに何枚の字牌が来るか」をプロットしてみます。
2015-7-4_15-42-12
7巡目でおよそ12~13枚、14巡目では18~19枚もの字牌が来ることになります。
試しに作中の枚数を調べてみると7巡目で11枚、14巡目で15枚の字牌が来ていました。
2015-7-4_15-51-17
2015-7-4_15-51-30
いずれも理論値よりも若干少ないですが確率の範囲内だと考えられます。このことから先ほど挙げた仮定はおおよそ正しいであろうことが推察されます。

ではどれくらいの字牌が集まったら和了に結びつくのでしょうか?これはちょっと簡単には計算できなかったので手動でシミュレートしてみました。字牌だけを使って14枚の和了形となるように一人麻雀をしてみたところだいたい18~19枚目で字一色四暗刻で和了となりました(たまに大三元)。そこで巡目ごとに字牌枚数が18枚以上となる確率を計算すると次のグラフの分布となります。
2015-7-4_17-25-16
通常の麻雀の和了率は0.22くらいですがそれを超えるのは14巡目となります。もっと早い巡目になるかと思っていましたのでちょっと意外でした。実際は数牌が利用できるし、字牌の暗槓によるツモの増加も期待できるためもう少し早い巡目にはなるでしょうが、それでも思っていたほど早く和了れるわけではさそうです。「赤い雲を仕掛けても和了れないことがけっこうある」というセリフにはこういった裏付けもあるのでしょう。


続いて「赤い雲」はどんな能力相手なら活躍できるのかを考えてみます。パッと思いつく限りでは字牌を扱う能力者に対しては有利に進められるものと考えられます。薄墨初美がこれに該当します。仮に薄墨初美の配牌に字牌が含まれようとも、その後に字牌が来なければ能力が発動できません。

渋谷尭深に対しては互いに痛み分けになりそうです。「赤い雲」がハーベストタイムに対しても効果があるのかはわかりませんが仮に配牌ではハーベストタイムが優先されたとして次の配牌となったとしましょう。
中:麻雀王国中:麻雀王国中:麻雀王国白:麻雀王国白:麻雀王国白:麻雀王国發:麻雀王国發:麻雀王国南:麻雀王国南:麻雀王国北:麻雀王国七萬:麻雀王国二筒:麻雀王国
この手を普通に進めると發と南のシャンポン待ちになりますが獅子原爽がそれらを切らない限り絶対に和了れません。ですが獅子原爽には渋谷尭深の配牌の字牌が明白なので發と南を出すことはありえないでしょう。ただしその場合は獅子原爽の役満も封じられてしまいますが。
渋谷尭深がこの手で和了り切るためには南の対子落としをして小三元にするか七対子にするかぐらいしかありませんが打点的には大三元からは大きく劣ります。獅子原爽相手に役満を決めるには配牌で大三元確定にしておくか、緑一や四暗刻などの別の役満を狙うかしかないでしょう。

「赤い雲」が有効でない相手は誰でしょうか?先程も挙げたとおり「赤い雲」は速度面ではそれほど優位に立てるわけではないため早和了りを得意とする照やエイスリンとは相性が悪いものと考えられます。
また相手に当たり牌を掴ませる能力者も苦手なはずです。獅子原爽が掴まされる当たり牌は必然的に数牌になりますが、爽にとって数牌は普通の人の字牌並に使いづらい牌になります。ですから終盤に当たり牌を掴まされると、その牌を活用して聴牌し直すことが非常に難しくなります。弘世菫やメガン・ダヴァンがこれに該当します。

最後に「赤い雲」にとって天敵と呼べるほど相性が悪い能力者を挙げておきましょう。
「赤い雲」の天敵と言える能力者、それは石戸霞です。
2015-7-4_21-51-1
石戸霞の能力は「他家を強制絶一門にして自身は別の色で染め上げる」ですが、もしこれに「赤い雲」が加わってしまうととんでもないことになります。「赤い雲」によって石戸霞の手には字牌がいかなくなるため配牌からツモから全て一色の数牌だけになってしまいます。こちらのサイトによれば配牌13枚が一色の数牌だった場合、約50%で聴牌、残り50%で一向聴だそうです。そしてさらに恐ろしいことに約11.7%で第一ツモで和了してしまいます。つまり石戸霞相手に「赤い雲」を使おうものなら9回に1回程度の割合で次のような4コママンガが成立してしまうのです!
2015-7-4_22-55-52
獅子原爽は瞬殺されたくなければ石戸霞相手に「赤い雲」は絶対に使わないことをオススメします。