中学三年の全国大会、決勝で涙を飲んだ磯山香織は、更なる精進を誓い、憂さ晴らし……ではなく修行のために地元の市民大会に出場するが、三回戦で当たった無名選手に敗れてしまう。しかも真正面から、ど真ん中に面を決められ一本を取られるという、信じがたい負け方で。
それから半年後、磯山は雪辱を胸に、東松学園高校女子部の門を叩いた。推薦入学を打診してきた数ある有力校の中から東松を選んだ理由は二つあった。かつて兄を倒した男、岡巧と手合わせする機会を求めて。そしてもう一つ。自分を敗ったあの無名選手、東松学園の甲本にリベンジするためだった。


前に、有川さんが部活小説を書いたら面白いんじゃないか。女の子の部活小説ってあんまりないし。と、どこかで書いた記憶があるのですが(確かに書いたはずなんだけど思い出せない)、これがバッチリありました。女の子の部活小説。しかも面白い。
父の影響で幼少の頃から剣道一筋の武蔵オタクと、剣道歴三年とまだまだ未熟だけど非凡なセンスを感じさせる普通の女の子。その性格から剣道のスタイルまで、まるっきり正反対な二人がぶつかり合いながら理解を深め、時に挫折を味わったりしながらも、切磋琢磨していく。

私は中学校の体育の時間で剣道が一番嫌いでした。何故か毎年三学期の頭が剣道に当てられいて、ただでさえ武道場は日が入らなくて寒い上、凍えた肌に竹刀が当たって痛いこと痛いこと。なんでわざわざ冬にやるのか。
そりゃ夏は汗の臭いで洒落にならんかもしれんけど、もう少し穏やかな気候の時にやってくれれば。素人の中学生同士なんてどうしたって外しちゃうし、かといって力の加減も出来ないんだからさあ。いつも皆でブツブツ言いながら武道場への渡り廊下を通ったもんです。
でも、この本を読んでいたら、どこか神聖さを感じさせる道場の独特の雰囲気だとか、手拭いを巻いた瞬間の気が引き締まるような感覚を思い出して、懐かしくなっちゃいました。体育館と武道場は校舎の端と端にあって、剣道部の練習を見る機会なんてなかったから、そういった所も興味深かったです。

ところでこの本、しおり紐が剣道の試合で使うたすきに準えて、紅白の二本つけられているんですよ。これまた小粋な仕立てで、一本取られたって感じです。


武士道シックスティーン
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