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シネマイクスピアリ スクリーンNo15にて鑑賞。
監督 ビョルン・ルンゲ
脚本 ジェーン・アンダーソン
原作 メグ・ウォリッチャー
製作 ロザリー・スウェドリン、ミタ・ルイーズ・フォルデイガー、クローディア・ブリューム・フィーバー、ジョー・バムフォード、ピアース・テンペスト
製作総指揮 ジェーン・アンダーソン、ビョルン・ルンゲ、ゲロ・バウクネット、マーク・クーパー、フローリアン・ダーゲル、トマス・エスキルソン、ガード・シェパーズ
音楽 ジョスリン・プーク
撮影 ウルフ・ブラントース
出演 グレン・クローズ、ジョナサン・ブライス、クリスチャン・スレイター、マックス・アイアンズ、ハリー・ロイド、アニー・スターク
101分
製作国 スウェーデン=イギリス=アメリカ合衆国
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス=松竹
米国公開 2018年8月17日
日本公開 2019年1月26日

邦題は映画の内容を端的に表しているものだが、原題は『The Wife』というシンプルなものである。

ノーベル文学賞を受賞した天才作家と言われる小説家の作品を書いていたのは、実は彼の妻だった、というノーベル賞を管理する財団にとってはとんでもない話である。
こういう内容の映画を許してしまうというノーベル財団の度量の大きさに感服する。

ゴーストライターである妻を演じたのが『危険な情事』のグレン・グローズ。不倫相手の男をストーカーしてしまいホラー映画の怪物のような役を演じてからもう30年以上たったんだという時の流れを感じる。
グローズはこの映画では、顔の表情によって心理状態を表すという俳優として難しい役をこなしている。この役によってゴールデングローヴ賞主演女優賞を受賞し、今年度のアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。

グレン・グローズ演じるジョーンは女子大生だったときの教師であったジョゼフと不倫、そのまま結婚してしまった。彼女が若かった頃の1950年代後半から60年代前半は、女性がまだ専業主婦が多く、社会進出されていない時期だった。女性作家が認められていないときだったのである。そのため、彼女は夫の書いた小説を手直しし、出版していた。それによって夫の小説は売れたのである。

そういえば最近は女性の社会進出をテーマにした映画が多くなったような気がする。予告編でも女性の権利獲得のための裁判を描いた映画を流していた。
これは女性差別主義にさらされているトランプ大統領への抵抗の表れなのだろうか。

本作では、ジョーンの若かりし頃の役をグレン・クロースの実の娘であるアニー・スタークが演じている。心憎い配役だ。

ノーベル賞授賞式後の祝賀パーティの席を中途で退席してしまったり、走っている車の窓からの^ノーベル賞のメダルを投げ捨ててしまったりなど、ありえないようなシーンも描かれていてたのにもびっくりした。

一人の女性の40年間にわたって心の奥底にためていたもののエネルギーのすさまじさを静かに描いた作品であった。

<あらすじ>
アメリカ・コネチカット州。現代文学の巨匠ジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン(グレン・クローズ)のもとに、スウェーデンからノーベル文学賞受賞の吉報が届く。友人や教え子らを自宅に招いたジョゼフは、スピーチで最愛の妻に感謝の言葉を告げる。満面の笑みを浮かべて寄り添うふたりは、誰の目にも理想的なおしどり夫婦に見えた……。授賞式に出席するため、ふたりはストックホルムを訪れる。旅に同行した息子デビッド(マックス・アイアンズ)は駆け出しの作家で、父に対し劣等感を抱いている。そんななか、ひとりホテルのロビーに出たジョーンは、記者ナサニエル(クリスチャン・スレーター)から声をかけられる。ジョゼフの伝記本を書こうとしている彼は、夫妻の過去を事細かに調べていた。ふたりが大学で教授と学生という関係で出会い情熱的な恋に落ちたこと。既に妻子があったジョゼフをジョーンが奪い取る形で結ばれたこと。作家としては二流だったジョゼフがジョーンとの結婚後に次々と傑作を送り出してきたこと……。そしてナサニエルは、自信ありげに核心に迫る質問を投げかける。「“影”として彼の伝説作りをすることに、うんざりしているのでは?」実は若い頃から豊かな文才に恵まれていたジョーンだったが、出版界に根づいた女性蔑視の風潮に失望し作家になる夢を諦めた過去があった。そしてジョゼフとの結婚後、ジョーンは彼の“影”として、自らの才能を捧げ、世界的な作家の成功を支え続けてきたのだ。そして授賞式当日。複雑な感情をひた隠し、華やかに正装した夫妻は、人生最高の晴れ舞台が待ち受けるノーベル賞授賞式の会場へと向かう……。

《天才作家の妻ー40年目の真実ー  予告》