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シネフィルWOWOW録画の鑑賞。
監督 ジョージ・キューカー
脚本 アラン・ジェイ・ラーナー
原作 ジョージ・バーナード・ショー『ピグマリオン』
製作 ジャック・L・ワーナー
音楽 アンドレ・プレヴィン
撮影 ハリー・ストランドリング
編集 ウィリアム・ジーグラー
出演 オードリー・ヘプバーン、レックス・ハリソン、スタンリー・ホロウェイ、ウィルフレッド・ハイド=ホワイト、グラディス・クーパー、ジェレミー・ブレット、セオドア・ビゲル
170分
製作国 アメリカ合衆国
配給 ワーナー・ブラザース映画
日本公開 1964年12月1日
第37回アカデミー賞最優秀作品賞他7部門受賞、1964年度キネマ旬報ベストテン第15位

「雪の日にはミュージカル映画でも」・・・今日2月9日、未明から降り始めた雪はあっというまに車や家を覆った。朝の6時だというのにこの積もり方。今年一番の寒気の襲来で。関東地方でも大雪になりそうだという予報。私の住んでいる町も大雪になるのは何年振りだろうか。
こんな日はミュージカル映画でも観て、心から暖まろう。というわけで、録りだめしておいた映画の中から『マイ・フェア・レディ』を観ることにした。この名作、私にとっては初見である。

原作はバーバード・ショーの『ピグマリオン』。ピグマリオンとは自分の制作した女性の彫像のあまりの美しさに恋をしてしまったというギリシャ神話の話だそうだ。このギリシャ神話を20世紀初頭のイギリスに舞台を移したのが戯曲『ピグマリオン』であり、それをミュージカル舞台としてブロードウェイで公開されたのが『マイ・フェア・レディ』で、ロングランヒットとなった。

ジャック・L・ワーナーはその映画化権を550万ドルで買い取り、必ずヒットさせるためには客の呼べる俳優を主役にしなければと考えた。イライザ役の候補にあがったのがオードリー・ヘプバーンとエリザベス・テイラー。このとき舞台でイライザを演じていたのが『サウンド・オブ・ミュージック』のジュリー・アンドリュースだ。
ヘプバーンはジュリー・アンドリュースの方がイライザ役に適していると一度は断ったそうだが、最終的にヘプバーンに決まった。

本作はこの年のアカデミー賞12部門にノミネートされ、そのうち8部門を受賞したが、主演女優賞はノミネートもされなかった。その主演女優賞を受賞したのが『サウンド・オブ・ミュージック』のジュリー・アンドリュースだったという因縁がある。

映画ではレックス・ハリソン演じる言語学者のヒギンズが自分の学説の実証として、貧民街育ちで粗雑な言葉遣いと振舞のイライザを教育し、上流社会の舞踏会にデビューさせようという話である。

イライザを単なる実験道具としてしか考えていなかったヒギンズが、やがてイライザに恋してしまう、というギリシャ神話のモチーフが活かされる。

ヒギンズ役は当初ケーリー・グラントに依頼したが、断られ、こちらは舞台と同じレックス・ハリソンになった。ケーリー・グラントとオードリー・ヘプバーンは『シャレード』で共演しており、レックス・ハリソンの方が風格があって、イギリス紳士にふさわしかったと思う。

ミュージカルではあるが、この映画では「言葉」というものについて考えさせられる。
汚い言葉を使っていたイライザはヒギンズによって上流社会の言葉を身につけさせられる。それは、上流社会の誰もが彼女の優雅さに心を奪われるほどだった。
しかし、彼女の心に本当の変化が訪れるのは、彼女が身に着けた言葉を使ってヒギンズへの想いを表現うときだ。

一方のヒギンズも、イライザに言葉を教えているうちに、イライザを一人の人間として愛しはじめている自分に気づく。

言葉は魂がこもって発せられてこそ、真の言葉となるのだ。

150分という長尺で、ヘプバーンはほぼ全編出ずっぱりである。ヘプバーンファンにとってはたまらない映画であろう。

<あらすじ>
イライザ(オードリー・ヘプバーン)は花売り娘だ。うすら寒い三月の風の中で声をはりあげて売り歩く。ある夜、ヒギンス博士(レックス・ハリソン)に言葉の訛りを指摘されてから、大きく人生が変った。博士の家に住み込むことになったのだ。だが、今までの色々の苦労よりももっと苦しい難行を強いられた。何度も同じ言葉を録音するのだ。博士の家に同居するピカリング大佐は親切で優しい。ある日、イライザの父親ドゥリットル(スタンレー・ハロウェイ)が娘を誘惑されたと勘違いして怒鳴り込んだが、貴婦人になる修業をしていると聞いて喜んだ。それから4カ月。イライザは美しい貴婦人として社交界へデビューした。アスコット競馬場。イライザの美しさは群を抜き、名うてのプレイボーイ、フレディでさえが彼女につきまといはじめた。陰で彼女を見守る博士とピカリングは気が気ではなかった。彼女の正体がばれたら、貴族侮辱罪で社交界から追放されるだろう。彼女は誰にも気づかれずうまくやっていた。ところが各馬がゴール寸前になったところ、興奮したイライザは、つい地金を出してしまった。だが、それもご愛嬌ですんだ。つづく大使館のパーティでは完全なレディになっていた。そこに博士の昔の弟子で、人の正体を暴いては強請っている自称言語学者がイライザにつきまとい始めた。彼は得意げにイライザの正体を暴露した。「ベルギーの王女です!」大成功だ。その夜、博士とピカリングが成功を喜んでいる傍らで、イライザは悲しみと怒りで泣いていた。誰もイライザに労いの言葉をかけてくれない。自分は博士の実験台にすぎなかったのだ。そうして彼女は邸を飛び出した。博士がイライザの家出を嘆いて、母の家へ行くと、そこにイライザがいた。家に帰るように言う博士に、イライザはフレディと結婚すると宣言する。一人邸に戻った博士は、イライザの不在に淋しさを感じ、彼女を愛する心を意識した。録音器の訛りの多い彼女の声を静かに聞きながら心を痛めていた。ふと、その録音器が止まった。なんとそこにイライザが立っていたのだ。博士はとんで行って抱き締めたい気持ちをこらえながら言った。「イライザ。ぼくのスリッパはどこ?」

《マイ・フェア・レディ  抜粋》