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NHKBSプレミアムシネマ録画の鑑賞。
監督・脚本 ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
製作 ケン・マーシャル、フィリップ・ロス
音楽 ローラン・ロッシ  主題歌 セリーヌ・ディオン
撮影 カルロス・カタラン
編集 ダン・ファレル
美術 ソフィー・ベッチャー
衣装 ジョー・トンプソン
出演 テレンス・スタンプ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジェマ・アータートン、クリストファー・エクルストン
94分
製作国 イギリス
配給 アスミック・エース
英国公開 2013年2月22日
日本公開 2013年6月28日
2013年度キネマ旬報ベストテン第111位

頑固で偏屈な老人アーサーとガンで余命わずかのその妻マリオン、アーサーの息子と孫、マリオンが属した老人合唱団たちが織りなすハートウォーミングなドラマである。

高齢化社会になって老人が主人公の映画はかなり増えたが、これは高齢化社会の先進国であるイギリス
映画である。どこか雰囲気は日本と似ている。そういえば、日本の車社会はイギリスをモデルにしたから、世界では少数らしい右ハンドルもイギリスと同じ。同じ島国でもあるし、これからも日本はイギリスをモデルとすべきなのか。

日本映画でも老人たちが音楽会にチャレンジする『オケ老人』という映画があった。あちらは指導者の杏が主人公だったが、こちらは老人が主人公。
その老人役として、クレジットにテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレーヴの名が出たときは興奮した。1960,70年代の映画ファンなら二人の名は知っているだろう。テレンス・スタンプは『コレクター』での青年役のイメージが強いし、ヴァネッサ・レッドグレーヴはデビュー作『モーガン』でいきなり女優賞を獲った大物女優。昔懐かしいこの二人が主演というだけで、この映画は観る価値がある。

テレンス・スタンプは若い時は性格俳優として人気があったがさすがその片鱗は本作でも見えて、徹底した偏屈老人を演じていた。
クライマックスでは合唱会でビリー・ジョエルの歌を独唱する。決して上手とはいえないが、それがまたリアルで、静かに心をこめて熱唱する姿が印象に残る。

ヴァネッサ・レッドグレーヴはガンのため前半で死んでしまうのだが、車椅子生活の演技が光るし、彼女の存在感があったからこそ、テレンス・スタンプの演技が生きたといえるだろう。

老人合唱団の指導者を演じたジェマ・アータートンは地味な女優だと思って観ていたら、『007/慰めの報酬』にボンドガールとして出演し、全裸でオイルの塗られて殺される役を演じたのだそうだ。

テレンス・スタンプの独唱のほか、楽曲は何曲も登場し、音楽映画としても楽しめる。さすが、音楽の先進国イギリス映画だ。

<あらすじ>
寡黙でとっつきにくい性格が災いし、周囲から筋金入りの頑固おじさんとして扱われ、息子とも溝ができてしまっているアーサー(テレンス・スタンプ)。そんな彼が愛してやまない、性格の明るい妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のガンが再発してしまう。そんな中、彼女が在籍するロックやポップスの名曲を歌う合唱団「年金ズ」が国際コンクールの選考大会に出場することに。治療などで練習に参加できないマリオンの代理で「年金ズ」のメンバーになるアーサーだが、個性豊かなメンバーや慣れない合唱に面食らってしまう。

《 アンコール!!  予告編 》