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衛星劇場録画の鑑賞。
監督 森一生
脚本 依田義賢
音楽 深井史郎
撮影 長井信一
編集 辻井正則
美術 髙橋康一
録音 米津次男
照明 米山勇
出演 水戸光子、二本柳寛、新宮信子、須藤恒子、藤代鮎子、菅井一郎、見明凡太郎、山田恵一郎
73分
配給 大映
公開日 1950年5月27日

堕胎は許されるのかを題材に性と妊娠の問題にメスを入れた作品。
監督は森一生、主演に水戸光子と二本柳寛。

戦後まだ5年、多くの庶民は貧しい生活に苦しんでいた時代、産婦人科医の眼を通して堕胎の是非について考えさせる映画である。
監督の森一生は時代劇を多く撮り、時代劇の監督というイメージが強い。
もちろん現代劇も『兵隊やくざ』シリーズや『悪名』シリーズなど撮っていたが、こうした社会問題を題材とした現代劇は珍しい。
この時代、GHQの統制により時代劇が撮れなかったことによるのだろう。

水戸光子演じる吉村綾子は大学病院の研究室で産婦人科の研究を続けていたが、産婦人科の開業医をしていた父の死により病院を継ぐことになった。
しかし、経験不足、しかもこの時代は男性に比べて女性の医者の信用は低かったようだ。
二本柳寛演じる戦地帰りの医師・岸田の助けを借りることになる。

ところが、綾子と岸田は堕胎についての考えが違う。
プライドと道徳心の強い綾子は堕胎に反対、医師会でもはみ出し者の岸田は貧しいものたちや望まない妊娠での堕胎に真摯に取り組む。

なにかと衝突し合う二人だが、結局、岸田は病院を出ていくことになる。

優生保護法がしっかりと整備されていなかった時代の話だ。
今でも堕胎の是非は議論されているが、貧しさゆえに子供を育てることが困難だったこの頃はもっと深刻な問題だったようだ。

無理して子どもを産ませた母親が、金に困ってミルクを盗み、警察に捕まってしまった姿を見た綾子。
また、妹が望まぬ妊娠をしてしまったことを知った綾子。
自分の考えが間違っていたことに気づく。

わずか、70分ちょっとの長くはない上映時間のなかで、この大きな問題について簡潔に描いて問題を提起した手腕は、さすが森一生監督だ。

大映は倒産が近くなった頃にも、十代の性についての問題を題材として映画をつくった。
こうした姿勢は昔から変わらなかったようだ。

<あらすじ>
K大秋谷産婦人科教室で研究を続けている吉村綾子(水戸)は、突如父の死に見舞われて愕然とした。母や弟たちの生活のためにK大を去り開業医を始めることとなったが、女手一人では不安であった。その時、恩師秋谷が紹介してくれたのが岸田(二本柳)だった。ある夜、倒れた妊婦の対処で二人は反目することとなる…。


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