第1回では、ヘッドホンのケーブル配線でGNDが左右共通になっていると、その部分で生じた共通インピーダンスによって、音が他チャンネルに漏れてしまうことを確認しました。

第2回では、ケーブルが着脱できるイヤホン・ヘッドホンのケーブルの抵抗値を実際に測って、クロストークを計算してみる……予定だったのですが、使い古した安いテスターがまずいのか、低抵抗を直接測ろうとしているのがまずいのか、測定結果にいくつか矛盾が生じてしまいました。結果が想定外になった原因をまだはっきりさせられていないので、今回はBlog『イヤホン測定結果置き場』で公開されている測定法を紹介したいと思います。(これは第3回にとっておく予定だったのですが……。)

イヤホン測定結果置き場』は、adcさんによるイヤホンのレビューBlogです。主観的な表現が少ない、客観的なデータに基づくレビューをされています。測定方法の解説や考察も豊富で勉強になります。

今回紹介するのは、『テスターでケーブルの共通インピーダンスを測る』という記事です。ヘッドホンのTRSプラグで、T-S間(左Ch)、R-S間(右Ch)、T-R間(共通インピーダンスを含まない左右Chの合計)の3つを測定することで、共通インピーダンスの有無とその量を推定しています。

図で確認してみましょう。前回も使った、4線と3線構造の図です。
20130105_01

それぞれT-S間とR-S間を測ると、このようになります。
20130112_01

対してT-R間を測ると、共通インピーダンスがある場合、T-S間とR-S間の合計値に比べて、共通インピーダンスの2倍だけ抵抗値が低くなることがわかります(共通インピーダンス部分を往復で通らなくなるため)。
20130112_02

図で確認すると簡単なのですが、もやしはイヤホン測定結果置き場で測定手順を見るまで思いつきませんでしたし、理解するのに数分かかりました。こんなに簡単に共通インピーダンスが測定できたなんて!!

ただ、1点だけ気になる点があります。それは、テスターでヘッドホンの抵抗値を測定している時、テスターが測定に使う直流電圧がヘッドホンにかかってしまうことです。もやしの手持ちのデジタルテスター、MASTECH M-830Bでは、200.0Ωレンジの測定に1.5Vが使われていました。手持ちのヘッドホン、イヤホンでこのテスターによる測定後に壊れた物は無いですが、テスターの抵抗値測定は測定電圧、すなわち直流電圧をかけて測定していることは忘れないようにしましょう。
テスターの種類にもよりますが、手持ちのMASTECH M-830Bでは、200.0Ωレンジの開放時電圧が1.5Vで、抵抗を測定させると電圧があっという間に下がり、32Ωを測定する場合は23mVで安定しました。ショート時は0mVになります。ヘッドホンをかぶってテスターを当てると、当てた瞬間にガサッと大きな音がしますが、これが1.5Vが接触してから23mVまで低下するときの音のようです。高い直流電圧がかかり続けるわけではありませんが、電圧が全くかからないわけではありません。もやしの手持ちで、テスターによる抵抗値計測で壊れたヘッドホン、イヤホンはありませんが、初めて測定する際は、自分のテスターがどんな挙動を示すのか、壊れても構わないヘッドホンで試すくらいは確認したほうがいいと思います。


そして、どうにも測定値が怪しいもやしのテスターと測定系ですが、まずは低抵抗値の抵抗でも複数買ってきて、200.0Ωレンジの下のほうが正常なのか確認したいと思います。

(2013年1月12日22時半頃 『共通インピーダンス分』を『共通インピーダンスの2倍』に訂正、追記)
(2013年1月13日0時50分頃 テスターの挙動について訂正)