(11/15 0:00)追記:
速報! 訴訟提起です!
川上量生さんとカドカワ株式会社に、訴訟を提起しました RT @nkawa2525
下の記事は訴訟提起の情報入手前に書いてしまいましたが、凝縮されてますので是非お読みください!


最新技術のアニメで『ゴジラ対キングギドラ』の怪獣対決が見られる! という前評判だった映画『ゴジラ 星を喰う者』が星どころか人を喰ったようなハナシだったので、土曜に観て週が変わって水曜になってもまだ怒りがおさまらないのですが。

[映画]やめろと言われてもクソオタクDisムーブしたくなる『ゴジラ 星を喰う者』感想 - しおにくblog

アニメで描かれた『ゴジラ対キングギドラ』のシーンがあんなにも意味不明で、まじで帰宅後に口直しとして『ブレイブストーム』のブルーレイディスクを観ざるを得ませんでした。

そんな折、ネットでは『カワンゴ対いちろう』というバトルが始まっていて、アニメで映画でカネを払って観るゴジラという怪獣コンテンツが散々な感じで落胆していたところに、ネットで文章で無料で眺める「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」の極致。

両名に失礼と思いながらも、ウォッチしている身にとってこれが面白くないわけありません。

川上量生さん(カドカワ代表取締役)から「抗議」という名のラブレターが届く RT @nkawa2525  やまもといちろう オフィシャルブログ(2018/11/13)

情報法制研究所に抗議文を送付しました。 - 川上量生 公式ブログ(2018-11-13)

ところで、ブロッキングの話題については、人の権利をいかに守るかということや技術の観点でこれまで語られてきたわけですが、やまもと氏が指摘するような「政治の問題」として切り込んだメディアの記事をあまり目にすることがありません。

ぼくとしては、やまもと氏の記事を鵜呑みにして怪獣打倒と言わんばかりにカワンゴ氏を叩いてもしょうがないので、自宅警備員を総動員してコタツの中から出ずに調べられる範囲で、エビデンスとなりそうなことを集めてみましたのでご査収くださいませ。

まず下記についてです。
川上量生さんに「NTTと密約があるのではないか」と訊いた際の否定、その後のメディアで「NTTを訴えてもいいですか」とのインタビュー記事でようやく追認。
NTT側、川上氏側の両方の視点でそれぞれ記事化されており、特に後者では、次のようなことまで踏み込んでインタビューされています。
 川上氏は2017年10月、NTTの鵜浦博夫社長に問題について相談した。ブロッキングの必要性を訴えたうえで「NTTを訴えさせてもらえないでしょうか」と持ちかけたという。

 川上氏の狙いは2つあった。一つは、訴訟を起こして、ブロッキングの必要性について世論を喚起すること。もう一つは、コンテンツをアップロードした発信者の情報開示を拒否する「防弾ホスティング」を運営する海外事業者などを通じて配信される海賊版サイトについて、ブロッキング以外に有効な代替策が無いと判決文で示してもらうことだった。
(引用元:上記リンクの日経XTECH記事。無料公開部分からのみ引用)

ぼくのような一般市民からすると、こんなまどろっこしいことをして社会リソースを消費すると、裁判での判決をもって社会に対してエビデンスを作ることができるのだなぁ、という感想しか無いわけですが。ただこの前提として、
フリーブックス登場以降、出版社はブロッキング容認に傾いた。
(引用元:上記リンクの日経XTECH記事。無料公開部分からのみ引用)
とそれまでの経緯についても触れられているため、記事を信じるなら、という前提はありますけれどもブロッキング容認に傾いた事情があったのだろうなということを無碍にはできません。

まあ、フリーブックスの登場の際に「複数の作家から(中略)猛クレームがあったという。」と書かれているわりに、いきなり作家というものがスッポ抜けてその後「出版社」だけの話になってしまった経緯が気になりますが。

どういうことかというと、作家からのクレームを解消するための策として、当時からしてブロッキングを選択したのは変だということです。フリーブックスという“泥棒”を相手に作家連名による訴訟などを整えることだってできたはずなので。おそらく、この時点で「フリーブックスを訴えるのは難しそうだぞ」ということになっていて、間をすっ飛ばして「ブロッキングありき」となってしまったのではないかと思います。

2017年初頭~春くらいまでがフリーブックスの隆盛といえる時期でしたので、おおよそ一年前に凝り固まり、その後2018年までの間で醸成された「ブロッキングしかないんだ!」という想いは、おそらく本人もその根拠を忘れてるくらいに固く固くカッチカチになっていったのだと思います。おかげでいまじゃブロッキング論者の背中がカッチカチ山だよ。(唐突な昔話ギャグ)

フリーブックスについて忘れてしまっている人も多いと思いますので、匿名記事ではありますが下記がそこそこまとまっていて当時話題になっていたということもありリンクを貼っておきます。次に出てくる「クラウドフレア社」についても触れられていますのでご一読いただければブロッキング問題の理解の一助になるんじゃないかと思います。

フリーブックスとは一体何なのか? - はてな AnonymousDiary(2017/05/01)
長い年月で見れば、運営者の居住地や身元が完全に割れ金銭の動きが分かり現地行政や警察権力の協力が得られれば可能だとも思います
しかし現実的には難しいでしょう、世界最強のコンテンツ団体であるハリウッドでさえこういった問題に対しては根本的解決は出来ず正規の配信ビジネスを発展させるなど別方向で対応していきました
ハリウッドに出来ないことを日本の出版業界にやれというのも酷な話だと思います
ただそうは言っても運営者がまったく儲けを考えることなく運営を続けた場合でも取れる対策があるにはあります
一つには国内プロバイダと協力してフリーブックスのドメイン自体を遮断してしまう方法です
そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、この方法は実際にイギリスで運用されており非現実的とまではいえません
抜け道はいくらでもあり根本解決にはなりませんがPCに疎いライトユーザーを筆頭にかなりに利用者を遠ざけることが出来ると思われます
(引用元:上記リンクの記事)
引用箇所においてもブロッキングと同等のことが語られており、しかも「抜け道はいくらでもあり根本解決にはなりませんが」という注釈付きです。

これが一年後の2018年になって、何人もの大人が寄ってたかってこのたった「抜け道はいくらでもあり根本解決にはなりませんが」という23文字と同じことをブロッキング容認派に説いてなお理解が進まない場合があるみたいな状況というのは、知識も経験もある大人がたくさん話し合っても、コンセンサスを得るというのは何とも難しいのだということを感じさせます。

フリーブックスは上記記事がネット上に公開された翌々日に閉鎖されています。誰が何の目的でKindle Unlimitedなど電子書籍のDRMを解除して転載しまくるなどコストのかかる違法行為をしていたのか、謎が残ったままでした。具体的には下記の続報が信頼できるメディアで見つからない。

書籍無断公開5万点か 被害数十億円、警視庁が情報収集 - 日経新聞(2017/05/09)

話を大きく戻して、次の箇所です。
「クラウドフレア社は裁判所の決定に応じないであろう」とした川上量生さんの発言を確認した後、クラウドフレア社は海賊版サイトの運営監理者情報を提供したことが判明した際の態度。
(引用元:前述のやまもと氏の記事)
いくつかクラウドフレアに関する川上氏の発言をTwitterから拾ってきました。何かクラウドフレアに対し、すごい恐れみたいなのを感じる。
これらを読む限りでは、クラウドフレアが海賊サイトの片棒を担ぎ、交渉に応じず、責任を拒否し、裁判所の決定があっても片手間でちょっとしたキャッシュを削除する程度のお為ごかしをする悪徳サイコパス企業に見えます。

ぼくもこのツイート群を読んでいたときは、そうなのかなぁ、そんな悪い企業もあるのだろうなぁ、でも近所にあるわけでもないから実態まではわかんねーな、と思っていました。

カドカワ川上量生氏、クラウドフレア社は法的措置では対応できないという見解を示す - Yahoo!ニュース個人(2018/10/9)

やまもと氏も、備忘録的ではありますが上記リンク先のようにまとめていました。ところがその同日、次のようなニュースが飛び込んできます。

クラウドフレアに「発信者情報開示」命令、海賊版サイト「ブロッキング」に影響も - 弁護士ドットコム(2018/10/9)

海賊版サイト「漫画村」の運営者を特定か 法的措置へ - BuzzFeed News(2010/10/10)

「ブロッキングの検討、白紙に戻すべき」 Cloudflareによる「漫画村」運営者情報開示受けJILISが意見書 - ITmedia(2018/10/12)

漫画村運営者に賠償請求を検討 開示記録から特定 - 朝日新聞(2018/11/02)

海賊サイトの片棒を担ぎ、交渉に応じず、責任を拒否し、裁判所の決定があっても片手間でちょっとしたキャッシュを削除する程度のお為ごかしをする悪徳サイコパス企業が、なんと裁判所の発信者情報開示命令を受けて、内容を開示したというわけです。

……開示されるんじゃん。

となるとこの一年間、川上氏に「ブロッキングしかない」という思いや「クラウドフレアは言う事きかない」という喰わず嫌い的な考えを固めさせてしまったものは何だったのだろうか、という気になります。え、何でこれをしてこなかったの。無理だっていう先入観が行動を鈍らせた!? JILISから正論も飛んできて、足場が崩れそう!?

無理そうな展開だったのかもしれないですが、ギドラだってゴジラに絡みついて噛みつくくらいはしたぞ!(それ以外しなかったという唐突な『ゴジラ 星を喰う者』Dis)

何かブロッキングを巡って、社会的な手続き論を超えた力が、川上氏をそんな凝り固まった状態にさせてしまったんじゃないかという気になってくる。
このあたりから、川上氏へ大きく批判が寄せられていくことになるのですが、「日本企業からの要求は非常に杓子定規な対応しかしないという現状がある。」のエビデンスが示されたことが一切無いっていうところに、批判者が付け入りたくなる根拠の薄い状態があったのだろうな。

エビデンスが無いという点では、今回は書かないですけど「3,000億」の被害額算定もそうなんですよね。有るって言ってるけどそれは「計算方法を素人にわかりやすくした言い方」でしかなくて、「被害額」を示してはいない。

もちろん、民間のことには守秘もあるので書けない場合もあるのだろうけれど、それでもフリーブックスから1年経つわけですので、「2017年の1年間でn件の著作権侵害サイトに対する情報開示請求を、これこれこういう手段でしたことがあるが、m件しか認められなかった。認められなかったうちクラウドフレアを使っているのは何件でした」というような話が出てくればいいんでしょうが、1つも見たことがありません。

ところが、「時間が解決する」とはよく言ったもので
二週間ほど経過して上記の発言が出てきましたので、おそらくこのあたりで何か「漫画村」に関しては司法に委ねることを心の中で認めることにしたのかなと思います。

もし、著作権侵害サイトをもとに再度ブロッキングを論じるとして、もうそれは「漫画村」や「クラウドフレア」をダシにするものでは無い、となったような、そんな気がします。

川上氏のブロッキング関連発言で興味深いのは下記。ブロッキングが次に必要となるときは「国防上の課題が発生するとき」だと思います。いや、それはむしろ今なんだけど、そういう切り口でやり始めてはいけない理由があるのでしょうね。
ほんとは世界を、日本の将来を救うつもりのブロッキングのはずだったのに、「切り口を著作権侵害サイトにしたらアホも従ってくれるだろう」という態度をとったら、アホじゃない人が想像以上に怒り始めたってことなのだろうな、と思ったわけです。

「根本的に人間は憐れむべき存在で、ディストピアをユートピアと信じ込んで幸せな人生を送ればいい」という言葉が出たわけじゃないですが、でもそういうのが透けて見える。いくら賢い人だといってもその思想は傲りと受け取られても仕方ない。

『ゴジラ 星を喰う者』も、ゴジラという脅威を前に、傲慢な英知や過剰な信心と決別し、人としてどう死んでいくかみたいなのが怪獣バトルもそこそこに語られてたわけなんですが、そういうのはよくないですよね。怪獣バトルをそこそこにしたらそれはゴジラじゃないだろ! 前日譚の小説で対ゴジラ戦線の前線に立って何度も改造され何度も斃れたガイガンに謝れ!(興奮状態)

最後の話題です。
さらには、同じ検討会議構成員でブロッキング推進派である林いづみさんが社外取締役を務めたクールジャパン機構からカドカワ子会社に4億円あまりの出資を行う利害関係者である指摘を行った件

↑この記事ですね。
これはもう、癒着は癒着で解明されるべき、という以外は無いはずなんですが、あまりここに突っ込んでいくメディアが無いのは何故なんだろう、とは思っています。

癒着に突っ込んでいくメディアが少ないというところからも考えると、いまだに忖度というのは日本のそこここで行われており、こういう状況だと当然ブロッキングなんてのはあるまじき悪手ってことになるわけですよ。誰も、どのメディアも「インターネッツ」の代わりをしてくれない。
海賊版対策としてのサイト遮断については、憲法上の問題があることはかねてから識者が議論を重ねてきたとおりであり、緊急避難には当たらないこと、財産権までブロッキングを認めるとその先は名誉棄損や誹謗中傷までもがブロッキングの対象となりかねず、容易に検閲が横行する「中国のような」インターネットになることは容易に想像ができます。
(引用元:上記リンクの記事)
なので、「中国のような」インターネットになるのを防ぎながら、「中国のような」インターネットにしていく、ということが求められているのが現代日本だと思います。言葉遊びではあるけれど、ニュアンス伝わりますか? 市民の自由は守らないといけないけど、国を守れないと地盤が揺らぐというところとの折り合いをつけないといけない時期が来てるのだろうな、という考えです。

ラノベの表紙だのキズナアイだのグリッドマン抱き枕だのへの嫌悪感をピーピー言ってる場合ではない。表現の自由、通信の自由、財産権およびそのほかの比較的新しい私たちの権利も守りながら、国として社会としてオープン過ぎる部分をどうにかしなければならない、その部分とはどこなのか、どうにかというのはどういうやり方なのか。

無きゃ無いで現状維持でいいんだろうけど、おそらく何か有るという勘くらいは市民の一人として持っておきたい。

……と、そういうことを心の底に留めておきながら、「中傷、個人攻撃とは何か」というバトルにシフトしている『カワンゴ対いちろう』。ウォッチャーとしては見届けたいけど、話題としてはそこじゃないよね、という感は拭えない。

楽しいバトルもそこそこに、「漫画村」については司直に委ねられる進行だろうし、「ブロッキング」是非の議論は続きつつ、くすぶってる法制化はどうなんの、しれっと作って通さないよね? ってのと並行して「リーチサイト規制」「静止画ダウンロード違法化」の行く末を見守る段階に移っているのかなと思います。

静止画ダウンロードの違法化を推進する理由、講談社の見解 - 日経XTECH(2018/11/12)

いずれにしても民間であれ政府であれ、各論を誠実に尽くしていかなければならないということに帰結するのだと思います。

こうやって色々な意見を発表することができる日本社会に感謝しつつ、徒に賢きのみに従うことはないし、かといって刺激的なだけの英知に鼓舞される必要もない。人として誠実に生き、人として死んでいこうではないか。

『カワンゴ対いちろう』について書いているつもりで、ちゃんとアニメ映画の『ゴジラ』三部作で語られたことを総括してしまいました。ぶっちゃけ映画より小説のほうが面白いよ!

そんなわけで、2018年のネット事件を揶揄した感じで小説を書いてますので、是非読んでください。カドカワの「カクヨム」ってサイトで書いてます! カワンゴさんのカクヨムで書いてるんですよ! マゾいな~おれ。

『ブロックチェーン・ゲーム』 - 沢しおん