判決文 ②後編

  これに対し、被告は、原告から、乙の2の1、2に撮影されている上記へこみや

損傷が、本件事故によって起きたものであるとの説明を受けた、原告は、左フェン

ダーの修理は時間がかかるとして前部バンパーのみを修理することになったが、保

険金の請求は、修理しない左フェンダーの損傷についてもできるので、これを含め

た修理費用の見積書を全労災に提出した、その見積書に基づき、全労災とは修理費

を11万5000円とする協定がなされたものの、その後、協定金額が6万500

0円(もっとも、乙3では、全労災から支払われた保険金は6万9639円とされ

る。)に減額された、被告としては、当初の協定金額は正当と考えており、なぜ減

額されたのか分からない、被告は、別途、原告から依頼されたATミッションオイ

ルの交換費用を含め、原告に、その修理費用8万8480円を請求した(乙3)が、

原告から、協定金額を超える費用は支払わないと言われ、結局、その部分はサービ

スとして値引き処理した(乙4)と主張する。

以上の各主張の真否を検討するに、まず、原告の主張は、自ら起こした事故である

のに、前部バンパーが脱落しかけたという以外には、本件自動車のどこが、無人自

動車のどこに接触してこのような事故が起きたのかわからないというのであり、に

わかに信じがたい。一方、被告の主張は、協定金額が減額された理由は分からない

と言いながら、協定金額が決定された根拠となる見積書につき、捜したが見つから

なかった、実際に修理を行わない見積書だけの場合は、古いものは消去されるとい

うが、本件事故は、平成24年1月28日(乙2の1の説明文)であり、半年程度

しかたっていない上、修理しないからといって、保険請求のために提出される見積

書のデータが消去されてしまうというのは、被告がメーカー系列の販売・修理店で

あることからすると、考えられないことであり、虚偽の説明と認めざるを得ず、被

告が何らかの不正行為をしたなど、被告あるいは関係者にとって都合の悪い部分が

あるため、これを提出しないものと考えられる。そうすると、被告が原告に無断で

不正請求をしたとの原告の主張も、あながち荒唐無稽とはいいがたいが、反面、既

に述べたとおり、原告の主張も、自らの引き起こした事故につき、当然できるはず

の説明ができておらず、調査嘱託の結果によれば、全労災は、本件事故による損傷

は、前部バンパー下の損傷と判明したと回答しているが、原告は、その経過につい

ても納得できる説明がない。この点は、不正請求があったか否かという本件の根本

的争点に直接関わるもので、無視できない。そうすると、原告の主張を全面的に信

用し、ただちに、被告が、原告に無断で不正請求したと断じろことは困難である。

原告は、修理業者であれば、乙2の1、2に撮影された損傷が、本件事故によるも

のでないことは明らかであると主張するが、明らかに古い損傷であればともかく、

顧客の説明なしでも、損傷の新旧を判断できるとはいえず、乙2の1、2の写真だ

けでは。その判断は困難である。

   以上によれば、原告の主張は、被告が、原告に無断で不正請求したことが前提と

なっているが、その点につき立証が十分とはいえないから、採用できない。

すなわち、請求の原因3の井手の行為は、原被告間で、本件の修理費用を巡ってト

ラブルが発生しており(この事実は、原告も争わない。)、被告において、当初の協

定金額を正当と考えていたのであれば、何ら問題のない行為であり、請求の原因4

の多田の行為も、被告が不正請求していないのであれば、全労災に謝罪する必要は

なく、謝罪に応じたという原告の主張も信用できないからである。

2  次に、芽窪の行為を理由とする不法行為(請求の原因5の事実)について、判断

する。

 このうち、芽窪屋島店の従業員であること及び芽窪が原告主張のような説明を

し、原告が新品による修理を希望したこと、すなわち、事実関係そのものは、ほぼ

当事者間に争いがない。

 そこで、検討するに、一般に、中古品は、修理などが十分にされていたとしても、

新品よりは、部品の劣化などにより不具合が於きやすい可能性が否定できないもの

であり、多くの消費者もそのような危惧を抱いているといえるから、芽窪の説明が、

不法行為と評価されるような、著しく顧客の判断を誤らせる不当なものであるとは

認められない。原告の主張は採用できない。

3 以上によれば、原告の請求は理由がない。

         高松簡易裁判所

           裁 判 官   山  本   恵  三


これは正本である。

平成24年11月7日

裁判所書記官 綾井夕香里