2022年2月6日に幕張メッセでワンダーフェスティバル2022[冬]が開催されました。
コロナ禍に翻弄されたワンフェスですが、何はともあれ開催できたことは素直に良かったなと思っています。開催から1週間経ち、とくに体調に変化もないため一安心。

こんな状況の中、ワンフェス当日には私の卓にもたくさんの人が見に来てくれたり、中にはキットを買っていただけたりもしてありがたいことでした。
やっぱりイベントのリアル開催は良いですね。なんだかんだ終わって帰るころにはまた参加したいという気持ちが湧いてきました。

当ディーラ(sisioumaru)からは以下のような作品を出展しました。
[幼女戦記(コミックス版)]
・ターニャ・デグレチャフ少佐
・セレブリャコーフ少尉(展示のみ)

[となりのフィギュア原型師]
・滝館おこめ
・羽喰ひたき(展示のみ)




■初めてガレージキットを買ったらやること(共通編)
ワンフェスで私のキットを買ってくださった方の中には、ガンプラは作ったことがあるけどガレージキットは初めてだよ という方もいるかもしれません。
そこで、キットを組み立てるまでの準備について簡単に説明します。内容は私のキットの場合を中心に解説しますが、一般論も多々含まれていますので、他のディーラーさんのキットを買った際にも参考になるかと思います。

逆に、上級者の方から見てお気づき(間違い)などありましたらご指摘いただけると助かります。


1.箱の中身を確認する
イベントが終わって一息ついたら、なるべく早めに購入したものの中身を確認してください。

箱を開けると、グレーもしくは白のバラバラになった部品が入っています。
ガレージキットはプラモデルのように自分で組み立て、塗装することでフィギュアの完成体となります。
(ガレージキットとはそういうものですので、ワンフェスできれいに仕上がった完成品を連想してがっかりされないことを願います)
組立や塗装を自分好みに施すのも、ガレージキットの楽しみ方の1つとなります。



パッケージの中には説明書があります。その中にパーツの種類を写真付きで示したパーツリストがあります。パーツリストの内容と現物があっているかの確認をお願いします。
万が一、パーツに不足がある、破損している、物はあっていそうだけれど変形しているかもしれない など疑問点がありましたらお気軽に説明書に記載の連絡先にご一報ください。
当方の不備でしたら早急に代品パーツをお送りします。

ディーラーさんによっては代品パーツの数や受付可能期間に限りがある場合もあるため、早めの内容確認をお願いしています。当方は1年くらいは対応できるようにいたします。


2.パーツ表面の洗浄/二次硬化
・レジンキットの場合

ターニャ・デグレチャフ少佐はレジンという液体樹脂を固めて複製造形しています。
複製時は型の表面に離型剤を塗布するのが一般的です。パーツに離型剤が残っていると塗装時に塗装が取れてしまう可能性があります。
そのため、風呂おけなどに水と台所洗剤を入れ、パーツ表面を歯ブラシなどで軽く洗浄してあげると良いです。なお、離型剤は透明のため目で見てもよくわからないです。何となくべた付いているなと感じたら洗浄してあげるとよいかと。

当方の複製は専門業者にやっていただいたので綺麗に仕上がっています。また、あまり離型剤が残っている感じでもありませんでした。

・3Dプリントキットの場合
滝館おこめはUV硬化レジンという液体樹脂を固めて造形しています。
レジンは3Dプリント後に洗浄していますが、わずかに残っている場合があります。レジンは透明ですが、パーツ表面が濡れている&べた付いている 場合はレジンが残っているかもしれません。
UVレジンは太陽光に当てると硬化してべたつきが取れます(二次硬化という)。窓際に数時間置いてあげるとべたつきが取れます。

※長時間(数日)太陽光に当て続けるとパーツが変形/割れる要因にもなりえます(実際に検証したことはありません)。その点だけ注意ください。

※人によってはレジンアレルギー(手がかぶれるなど)の恐れがあります。念のため、直接手で触れないようお気をつけください。



3.道具を準備する
説明書にも書いていますが、説明書はガレージキット経験者前提に書いてしまっているため、初心者向けに補足します。大抵は100円ショップのでも十分です。

(1) 瞬間接着剤
ゼリー状が使いやすい。100円ショップで購入可能

(2) 紙やすり
#120, #240程度の粗さがあればよい。100円ショップやホームセンターで購入可能
番号が大きくなるほどヤスリの目が細かく綺麗に磨けるが、あまり大きい番号だと磨いても全然削れず大変。綺麗さを求めるにしても#320〜#400程度でよい。

(3) スポンジやすり
#120, #240程度の粗さがあればよい。100円ショップやホームセンターで購入可能

(4) アルミの針金
太さ1mmくらい。100円ショップで購入可能
一般的にガレージキットは真鍮線を使うため説明書では真鍮線としていますが、当方のキットはそこまで補強不要のためアルミ線でも大丈夫です。切りやすいし加工しやすいので。

(5) ピンバイス
太さ1mmくらい。(4)のアルミ針金の太さに合わせて。100円ショップでも購入可能。
前述の針金をパーツに差し込むための下穴を空けるのに使います

(6) パテ
パーツ同士を嵌め合わせたときの継ぎ目が気になる場合にはパテで隙間を埋めます。
パテはたくさん種類があるため好みで選ぶことになりますが、初心者で何を使ったらよいか分からないという場合は、WAVEエポキシパテ(グレー)が使いやすいかと思います。
これはおもちゃ屋さんやAmazonなどで購入となります。

※エポキシパテは2種類の粘土状の樹脂を混ぜ合わせると化学反応により硬化します。この時、人によってはアレルギー反応で手がかぶれることがあります。エポキシパテを扱うときはビニールなどの手袋(手にフィットするもの)を使うことをお勧めします。私はアレルギーで手先がひび割れしてしまう経験者です。

(7) メンソレータム
(6)のパテでパーツ同士の継ぎ目を埋めたとき、パテが硬化後に綺麗に分離させるのに便利です。
片側のパーツ(Aと呼称)にはパテを直に塗り付け、相手側パーツ(Bと呼称)にはメンソレータムを表面に塗ってAとBをぎゅっと押し付けて固まるまで放置。
固まってから分離すると、Bからは綺麗にパテが剥がれます。
逆に、メンソレータムを塗っていないと、AとBにパテがくっついて、分離できても継ぎ目が荒れてしまいます。




ないとは思いますが、フィギュア作業に使ったメンソレータムを口に塗ったりしなようにしましょうね。


(8) サーフェイサー
次工程のパーツ表面を綺麗に整える前段階として、サーフェイサー(グレー色の塗料のようなもの)が入ったスプレー缶で吹きかけてあげるとパーツの状態が視認しやすく、作業がしやすくなります。
(サーフェイサーには他にも目的がありますがここでは割愛します)
初めてサーフェイサーを使う場合、Mrサーフェイサーが有名かつ使いやすいです。
これはおもちゃ屋さんやAmazonなどで購入となります。
塗装環境が無い場合、サーフェイサーは外で付近の迷惑にならないよう塗布しましょう。





(9) デザインナイフ&ニッパー
あると何かと便利です。ちょっとしたバリ(不要な突起物)を取り除いたりする際に。
デザインナイフは模型用品を扱っているお店で数百円で買えるものでまずは十分です。
ニッパーも安めの物でまずは十分と思います。
その他、アルミ針金を切ったったりする用に別にニッパーがあるとよいです。模型用のもので針金を切ると刃こぼれなどしたらもったいないので、100均の物で十分です。

(10) 作業環境
サーフェイサーの塗布以外は自宅内でも作業可能ですが、専用道具や知識を持った人がいる環境で作業できると効率的です。特に塗装はエアブラシという道具を使うと綺麗に手早く塗装ができて便利です。が、一般のご家庭でいきなり導入するのも敷居が高いです。

近所に模型工作室があるなら利用してみるのも手でしょう。
都内だと秋葉原工作室ガイドビーコンが有名です。
千葉県内では市川工作研究室があります。私も時々利用しています。

全国の模型工作スペースを使えるお店検索はこちらが参考になります。

※塗装は模型用の水性塗料を絵具や模型用の筆で塗って行うことも可能です。
私はサーフェイサーを自宅の庭で、下地塗装(ざっくり肌色とか服の色とか)を工作室のエアブラシもしくは自宅の庭で缶のスプレーで塗っています。そこからの上塗りや仕上げ塗装は全て水性塗料を筆で塗っています。


4.パーツ表面を綺麗に整える
・レジンキットの場合

ターニャデグレチャフ少佐はシリコン製の型で複製しています。
たい焼きの型をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、表型と裏型の境界に継ぎ目の線がどうしても残ります(パーティングラインという)。専門業者に複製してもらってるので、パーティングラインは小さいですが、それでも発生します。
これは紙やすりやスポンジやすりで磨いて綺麗にしてあげる必要があります。




・3Dプリントキットの場合
3Dプリントで出力した滝館おこめのパーツ表面には部分的に細い突起物が群状に付いています。これは3Dプリント特有の”サポート材跡”と呼ばれるものです。これを紙やすりやスポンジやすりで磨いて綺麗にしてあげる必要があります。
また、3Dプリントキットは表面に年輪状の段差が見える場合があります(一般に積層跡と呼ぶ)。
本キットは光造形方式という3Dプリント出力のため、積層跡はほとんど見えないかと思います。そのため後述する工程6のサーフェイサー塗布によって埋まって目立たなくなります。




5.軸打ちをする
キットの組立はプラモデルの要領で、パーツ同士の突起物(ダボと呼称)を嵌め合わせて組立ができます。



できますが、プロが作ったプラモデルとは異なり、この嵌め合わせがぴったりしっかり組み合わさるとは限らず、はまってもぐらぐらして取れてしまう可能性があります。接着剤だけでも心許ないです。
そこでガレージキットでは一般的に、パーツ勘合部分に真鍮線(やアルミ針金)を突き刺す”軸打ち”を行います。軸打ち+接着剤によりパーツ同士を強固につなぎ合わせることができます。

軸打ちは一方のパーツ(A)のダボ(の中央)にピンバイスで穴を空けます。穴に接着剤を注ぎ、針金を埋め込みます。針金は10mm(〜5mm)程度埋まると良いでしょう。また、ダボ表面から10mm(〜5mm)程度の長さで針金をカットします。
相手のパーツ(B)のダボにもピンバイスで穴を空けます。パーツAの針金がパーツBの穴に嵌るか確認しましょう。




※軸打ちは塗装前にやるのが良いでしょう。塗装後にやると、軸打ち中に塗装が剥がれてしまうかもしれないので。

※パーツ同士の接着は塗装後に行います。軸打ち工程で接着してしまうと、塗装作業が大変になります。


軸打ちをすることで接着剤を使わなくてもこんな風に仮組立ができます。


6.サーフェイサーを塗布する
工程4でヤスリ掛けをした後の仕上がり具合を見るため、サーフェイサーを塗布します。グレーのサーフェイサーを塗ることで以下の効用があります。
・細かな傷が埋まって目立たなくなる
・工程4できれいに仕切れなかった磨き残しや傷などが発見できる
・塗装塗料がパーツに付きやすくなる




7.パテで隙間を埋める
パーツ同士を接着剤を使わずに仮組み立ててみましょう。

これだけでも一気にテンション上がってきます。
※写真は目のデカールを仮で載せていますが、実際には目のデカールは塗装後に貼り付けます。




パーツ同士を嵌め合わせても目立つ隙間がある場合は、パテを使って埋めることになります。
このとき、3.道具を準備するで紹介したようにメンソレータムを相手側の部品に塗るようにしましょう。



その他、工程6で見つかった傷や気泡跡(レジンキットでの複製特有の小さな丸い穴)を埋めるのにもパテが有効です。


8.再度表面を綺麗に磨く
工程6, 7を経たことで、表面をまた綺麗に磨く必要があるでしょう。
工程6〜8を繰り返して綺麗になったと思ったら一区切りです。
ようやくお待ちかねの塗装になります。


組立の作業工程はざっくり書くとこんな感じです。慣れないと結構大変かもしれません。
特に工程6〜8が。工程7, 8が結果的にあまり必要なかった場合は1, 2日でやり切れるかもしれませんが、場合によっては1, 2週間(1日1時間やれる日があったりなかったり換算で)かかるかもしれません。


書いているうちに長くなってしまいました。。。
次回の記事では当方(ディーラー sisioumaru)のキット「ターニャ・デグレチャフ少佐」を組み立てるにあたっての特殊ポイントについて少し説明します。


■新しい情報はツイッターで随時発信中です!
製作過程など不定期に配信しているので、こちらもチェックお願いします。
ツイッター:sisioumaru