(バックナンバーより)
白鳥静香先生の言葉を紹介します。





白鳥静香先生の言葉より 223 記憶と恋







私は講義や講演のとき、多くの引用をします。


そのときにメモを見ないので、

記憶力を驚かれて、

記憶するコツを聞かれることがあります。





私自身は、努力してものをおぼえようとしているわけではなく、

気づくと自然に心のなかにそれが入っているので、


あまり記憶力を使っているという感じはしないのですが、



もし、私がよくものをおぼえているとしたら、

それはたぶん、私がそれを愛しているからです。






恋をすれば、誰でも、

恋人のささやきや、

ほくろの場所を忘れなくなりますが、


きっとそれと同じことなのです。








古代ギリシャの哲学者プラトンは、

「哲学者は、真理そのものや、美そのものに恋をしている。」

ということを言いましたが、


私にもその気持ちはよくわかります。




そのような、人間ではないものにたいする恋も、


異性にたいする恋と同じように、

いえ、それ以上に純粋で、甘美な恋なのです。