2007年11月30日

授業「戦争とメディア」

昨日の横市大の授業テーマは「戦争とメディア」。

 いろいろと考えた結果、2003年4月8日、バグダッドのパレスチナホテルでロイター通信のカメラマン二人が米軍戦車に銃撃されて殺された事件を素材にしました。使用したビデオは4月9日早朝に日本で放送されたCNNのニュースと5月11日に日本テレビで放送された報道特番「イラク戦争・テレビは何を伝えたか」、および2005年1月25日BSで放送された「BSワールドドキュメンタリー・検証・米メディアのイラク戦争報道」の3本です。

 この3本を順番に見るだけでも相当な衝撃力があります。最初に見るCNNのニュースは、米軍が鎮圧した平穏なバグダッドの朝の様子、パレスチナホテルへの銃撃事件、フセイン政権下の監獄で行われた市民への拷問が取り上げられています。銃撃事件へのコメントはほとんどなく、銃撃されたホテルの外観と、銃撃されたと思われる人が車で運び出される様子が数秒放映されただけです。一方、拷問の再現はイラク市民に行わせるなど、時間と手間をかけたものでした。ニュースの最後にはそのニュースとは全く関係のない、バクダッドの子どもたちの笑顔のシーンが映し出されます。

 このCNNのニュースを見たあとで、パレスチナホテルで起こった出来事を、現場にいたアジアプレスの記者たちが映した生々しい映像を見せます。それは銃撃されたカメラマンの壮絶で悲惨な状況を映したもので、見る人は誰もが息を飲んでしまいます。そしてこの映像を日本テレビの報道局が夜のニュースで流すにあたって苦慮したいろいろな問題を取り上げ、ディスカッションします。つまり、残酷なシーンを本当にテレビで放映してもよいかという問題です。

 最後に、アメリカのテレビ局が作ったドキュメンタリーを見ます。この番組にはイラク戦争報道がどのようにしてゆがめられたのかが丹念に描かれており、パレスチナホテル銃撃事件の真相にも迫っています。特にショッキングなのは、実際に米軍の戦車がホテルに向かって銃撃するシーンです。しかも銃撃されたホテルから撮影されているのです。そして、ロイター通信のジャーナリストが米軍に従軍することを拒否したために、米軍から脅迫されていた事実が語られます。

 アジアプレスの女性記者が撮った一本のビデオテープはまさに一切の演出のないありのままの戦争の現実でした。そしてそのことがニュースを解読するための重要な標準点になりました。そこから最初のCNNのニュースを振り返ると、その政治的意図を誰にでも理解できるようになるのです。

sjun at 11:26│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!授業 

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