日韓問題とメディア―何が起きているのか?(2019/12/8)
JCJ12月集会@専修大学
(以下の内容は個人的なメモです。)
岡本厚(岩波書店社長)
韓国という他者に対する知識もなければ想像もできない。それが今回の問題の本質。他者への想像力のない政権は怖い。保守的な人たちも経済制裁をかけたことに対して次の戦略がないことを浅はかだと言っている人もいる。大法院判決に対する反応として経済制裁があったが、民事裁判に対するものだった。もし日本の最高裁の判決に対して、なんとかしろと外国の政権が言ってきたら私たちはどう感じるのか。政権が言うべき問題なのか。メディア以外に私たちが見るものはない。メディアは目である。そこが歪んでしまうと、何が起きてるかわからない。だから言論の自由は大事。意見や情報を受け取って、それを判断して次の政治的な行動につなげる。だからこそ言論の自由が大事だし、ジャーナリズムの力が大事。何が起きているかわからないと最近は感じている。
なぜ大法院の判決が国際法に違反していると言い続けているのか。なぜこんなことを言っているのか。日韓請求権協定に違反しているといえばいい。国際法といえばイメージが違う。国際人権規約や国連憲章が国際法にある。意識的に政権は言っている。メディアはそのまま報じてしまっている。政権は経済制裁を貿易管理や輸出管理の強化と言い換えている。言い訳をしている。また口移しにそれを言っているメディアもある。貿易管理の問題だと言っているメディアもある。本質がどこにあるのかわからなくなる。徴用工とはなんだろうか。そういう特集記事は昔ならでた。一切それはない。それをNHKの人に聞くとそれを作れる人がなかなかいないと言う。1990年代のNHKスペシャルを見ると、いくつもあった。その当時、連行された人に会いにいってインタビューをして作っている。その問題の本質がそこでわかるのに、今回はそういうことがほとんどなかった。
毎日新聞は9月4日に「強すぎたアラーム」という記事を出した。ムンジェイン政権に対する警告だ。インバウンド経済に悪影響がない範囲でやってくれと管官房長官はいった。政権の想像力の無さを象徴している。観光客は激減し、輸出も減少した。何も売れなくなった。想像すればすぐわかること。日本は植民地支配した。韓国はまた攻撃したと思うだろう。そう言う国民的な反応を引き起こしてしまった。他者に対する想像力がない。安倍さんは植民地支配に対して何も読んでいないだろう。想像力がない。ガツンとやれば頭を下げると思ったのだろうか。トランプさんには頭を下げるので、韓国もそうなると思ったのだろうか。
歴史を少しでも知っていればすぐに想像できたはず。不買運動は保守も含んでいる。保守も革新も変わらない。だからこれだけ大きな不買になっている。植民地支配の記憶を喚起してしまった。軽率では浅はか。それが問題の本質なのにメディアははっきりと示していない。反日政策でこうなっていると言われてしまうというところが、批判力の弱さ。
チョグク問題に対してはおびただしい情報が出ている。それによって問題を覆い隠してしまう。メディア・ウォールだ。報道の仕方に今の日韓関係の底流にある本質が出てきている。日本政府、日本人の在日朝鮮人を含む朝鮮韓国に対する恐怖と警戒を持ってきたのではないか。植民地支配への抵抗がかわかっているがゆえだ。チョグク問題は韓国朝鮮人認識とダブるもの。恐怖と警戒、理解不能、厄介という韓国朝鮮人に対して持ってきたイメージ。福沢諭吉の脱亜論によって朝鮮は遅れている、それに対する差別感、侮蔑感、優越意識。帝国意識と呼び換えてもいいかもしれない。そことダブってきている。そういう中で、ハンギェレ新聞などが日本語で出している。それを見るといろんな情報が出てきている。テレビも日本語に訳すプロジェクトもある。それを見てわかることもある。日本のメディアを諦めるということではないが..。
ムンジェイン政権は反日なのか。日本対する認識がそれほど強くなかったということだ。対日政策は優先順位としては後になってしまった。それは問題だ。対日政策は放りっぱなしと言う印象がある。『外交青書』を見ると、韓国に対してどのような眼差しを持っていたのかわかる。パククネ政権では共通の価値観を持ち重要な隣国だった。しかしその後「価値」がなくなる。安保上の重要な隣人に変わっていく。そこまでは保守政権に対する意識。パククネ氏は一回も日本に来ていない。保守であっても植民地支配に対する考え方は変わらない。
植民地認識についても日韓条約第2条をみるといい。それまでのすべての条約は無効であることを確認。1948年独立した後に無効になったと日本政府は解釈している。しかし韓国は韓国併合も無効であったと解釈している。解釈を違えている珍しい条約。つまり、日本政府は日韓は平等に結んだのだから、謝罪も反省もしないという立場。第3項についても双方の解釈が違う。そういうことがずっとここまで来ている。それが日韓条約の基本になっている。アメリカの強い介入でこの条約はできたが、韓国は不満を持っている。日本政府は植民地支配に対して悪いとも思っていない、反省もしない。援助をなんと言ったのか。かつて椎名大臣は独立のお祝い金だと言った。条文のどこにも書いていないが、そう言う言い方をしていた。
細川元首相は93年に植民地支配によって多くの人たちに苦しみを与えたという認識になった。村山政権もそう。小渕さんもそう。お詫びをいった。過去の植民地支配によって、多大の苦痛をあたえたことへのお詫び。日韓条約には欠陥があったので、補完としてなされたこと。菅政権の談話もそうだ。安倍談話はどうなのか。長い談話だが、日露戦争でアジアの人を勇気付けたと言っている。びっくり仰天だ。韓国を保護国にした。とんでもない発言をしている。こういう認識をしている政権とまともに向き合おうとするだろうか。安部政権自身の歴史修正主義的な本質だと思う。安部談話が出た時もメディアは強い反応はしなかった。中国に対する反省はあったので少しは中和されたのかもしれないが。2015年の慰安婦合意をムン政権はひっくり返したと言われているが、不思議な合意で、日韓の外相が共同記者発表したというもの。外相の共同記者会見に過ぎない。なぜこういう形式にしたのかわからない。河野談話を引き継いでいる。心からのお詫び入っている。ただ、これは最終的不可逆的に解決すると言っている。韓国側も言っている。本当にこれが謝罪になるのか。パククネ政権も責任があると思う。
キムデジュン政権は民主化を勝ち取って南北の融和も勝ち取った。ムンジェイン政権もその延長線上にある。南北両者は深い対立関係にある。そういう南北の和解をしていかないといけない。板門店でトランプ大統領とともに会談をした。東アジア地域の冷戦、朝鮮戦争以来の冷戦を終わらそうじゃないかという方針のもとにやってきた。サンフランシスコ講和条約のときに日米安保条約が結ばれた。冷戦に備えた条約だった。それが今まで来ている。その構造を大きく変えようとしている。平和と共存へと変容しなければならない。大きな変化の中に私たちは立っている。米ソの戦争は1979年に終わった。朝鮮半島においては長く冷戦が続いている。停戦にはなっているが、終戦になっていない。終戦にすべきだとムンジェインも言っている。安倍政権はどうだったのか。制裁を言い続けたが、いつの間にか変わった。トランプ政権がそういったから。もしここで、本当に戦争が終わるのなら、沖縄の米軍基地は必要なのか。そういったことに私たちの課題がある。この対立と分断を越えようとするムンジェイン政権に対して、あんなのはダメだという意見に反対です。超えていこうという方向で連帯することが必要ではないか。
かつて1960年代の韓国との国力の差は圧倒的だった。30倍ぐらいあったと言われている。2018年にはほぼ3倍ぐらい。一人当たりのGDPではほとんどわからないところに来ている。2030年ごろになると韓国が抜くかもしれないというところに来ている。150年ぐらいは軍事的にも経済的にも日本が強かった。今や日本の役割は小さくなっている。日本が衰退してきたということでもある。それが隣国に対する反韓感情嫌中感情に結びついているのではないか。それは本当に健康的なことではない。韓国、北朝鮮、中国との関係について、深く自覚しながら次の時代を切り開いていかなければならないと思う。
JCJ12月集会@専修大学
(以下の内容は個人的なメモです。)
岡本厚(岩波書店社長)
韓国という他者に対する知識もなければ想像もできない。それが今回の問題の本質。他者への想像力のない政権は怖い。保守的な人たちも経済制裁をかけたことに対して次の戦略がないことを浅はかだと言っている人もいる。大法院判決に対する反応として経済制裁があったが、民事裁判に対するものだった。もし日本の最高裁の判決に対して、なんとかしろと外国の政権が言ってきたら私たちはどう感じるのか。政権が言うべき問題なのか。メディア以外に私たちが見るものはない。メディアは目である。そこが歪んでしまうと、何が起きてるかわからない。だから言論の自由は大事。意見や情報を受け取って、それを判断して次の政治的な行動につなげる。だからこそ言論の自由が大事だし、ジャーナリズムの力が大事。何が起きているかわからないと最近は感じている。
なぜ大法院の判決が国際法に違反していると言い続けているのか。なぜこんなことを言っているのか。日韓請求権協定に違反しているといえばいい。国際法といえばイメージが違う。国際人権規約や国連憲章が国際法にある。意識的に政権は言っている。メディアはそのまま報じてしまっている。政権は経済制裁を貿易管理や輸出管理の強化と言い換えている。言い訳をしている。また口移しにそれを言っているメディアもある。貿易管理の問題だと言っているメディアもある。本質がどこにあるのかわからなくなる。徴用工とはなんだろうか。そういう特集記事は昔ならでた。一切それはない。それをNHKの人に聞くとそれを作れる人がなかなかいないと言う。1990年代のNHKスペシャルを見ると、いくつもあった。その当時、連行された人に会いにいってインタビューをして作っている。その問題の本質がそこでわかるのに、今回はそういうことがほとんどなかった。
毎日新聞は9月4日に「強すぎたアラーム」という記事を出した。ムンジェイン政権に対する警告だ。インバウンド経済に悪影響がない範囲でやってくれと管官房長官はいった。政権の想像力の無さを象徴している。観光客は激減し、輸出も減少した。何も売れなくなった。想像すればすぐわかること。日本は植民地支配した。韓国はまた攻撃したと思うだろう。そう言う国民的な反応を引き起こしてしまった。他者に対する想像力がない。安倍さんは植民地支配に対して何も読んでいないだろう。想像力がない。ガツンとやれば頭を下げると思ったのだろうか。トランプさんには頭を下げるので、韓国もそうなると思ったのだろうか。
歴史を少しでも知っていればすぐに想像できたはず。不買運動は保守も含んでいる。保守も革新も変わらない。だからこれだけ大きな不買になっている。植民地支配の記憶を喚起してしまった。軽率では浅はか。それが問題の本質なのにメディアははっきりと示していない。反日政策でこうなっていると言われてしまうというところが、批判力の弱さ。
チョグク問題に対してはおびただしい情報が出ている。それによって問題を覆い隠してしまう。メディア・ウォールだ。報道の仕方に今の日韓関係の底流にある本質が出てきている。日本政府、日本人の在日朝鮮人を含む朝鮮韓国に対する恐怖と警戒を持ってきたのではないか。植民地支配への抵抗がかわかっているがゆえだ。チョグク問題は韓国朝鮮人認識とダブるもの。恐怖と警戒、理解不能、厄介という韓国朝鮮人に対して持ってきたイメージ。福沢諭吉の脱亜論によって朝鮮は遅れている、それに対する差別感、侮蔑感、優越意識。帝国意識と呼び換えてもいいかもしれない。そことダブってきている。そういう中で、ハンギェレ新聞などが日本語で出している。それを見るといろんな情報が出てきている。テレビも日本語に訳すプロジェクトもある。それを見てわかることもある。日本のメディアを諦めるということではないが..。
ムンジェイン政権は反日なのか。日本対する認識がそれほど強くなかったということだ。対日政策は優先順位としては後になってしまった。それは問題だ。対日政策は放りっぱなしと言う印象がある。『外交青書』を見ると、韓国に対してどのような眼差しを持っていたのかわかる。パククネ政権では共通の価値観を持ち重要な隣国だった。しかしその後「価値」がなくなる。安保上の重要な隣人に変わっていく。そこまでは保守政権に対する意識。パククネ氏は一回も日本に来ていない。保守であっても植民地支配に対する考え方は変わらない。
植民地認識についても日韓条約第2条をみるといい。それまでのすべての条約は無効であることを確認。1948年独立した後に無効になったと日本政府は解釈している。しかし韓国は韓国併合も無効であったと解釈している。解釈を違えている珍しい条約。つまり、日本政府は日韓は平等に結んだのだから、謝罪も反省もしないという立場。第3項についても双方の解釈が違う。そういうことがずっとここまで来ている。それが日韓条約の基本になっている。アメリカの強い介入でこの条約はできたが、韓国は不満を持っている。日本政府は植民地支配に対して悪いとも思っていない、反省もしない。援助をなんと言ったのか。かつて椎名大臣は独立のお祝い金だと言った。条文のどこにも書いていないが、そう言う言い方をしていた。
細川元首相は93年に植民地支配によって多くの人たちに苦しみを与えたという認識になった。村山政権もそう。小渕さんもそう。お詫びをいった。過去の植民地支配によって、多大の苦痛をあたえたことへのお詫び。日韓条約には欠陥があったので、補完としてなされたこと。菅政権の談話もそうだ。安倍談話はどうなのか。長い談話だが、日露戦争でアジアの人を勇気付けたと言っている。びっくり仰天だ。韓国を保護国にした。とんでもない発言をしている。こういう認識をしている政権とまともに向き合おうとするだろうか。安部政権自身の歴史修正主義的な本質だと思う。安部談話が出た時もメディアは強い反応はしなかった。中国に対する反省はあったので少しは中和されたのかもしれないが。2015年の慰安婦合意をムン政権はひっくり返したと言われているが、不思議な合意で、日韓の外相が共同記者発表したというもの。外相の共同記者会見に過ぎない。なぜこういう形式にしたのかわからない。河野談話を引き継いでいる。心からのお詫び入っている。ただ、これは最終的不可逆的に解決すると言っている。韓国側も言っている。本当にこれが謝罪になるのか。パククネ政権も責任があると思う。
キムデジュン政権は民主化を勝ち取って南北の融和も勝ち取った。ムンジェイン政権もその延長線上にある。南北両者は深い対立関係にある。そういう南北の和解をしていかないといけない。板門店でトランプ大統領とともに会談をした。東アジア地域の冷戦、朝鮮戦争以来の冷戦を終わらそうじゃないかという方針のもとにやってきた。サンフランシスコ講和条約のときに日米安保条約が結ばれた。冷戦に備えた条約だった。それが今まで来ている。その構造を大きく変えようとしている。平和と共存へと変容しなければならない。大きな変化の中に私たちは立っている。米ソの戦争は1979年に終わった。朝鮮半島においては長く冷戦が続いている。停戦にはなっているが、終戦になっていない。終戦にすべきだとムンジェインも言っている。安倍政権はどうだったのか。制裁を言い続けたが、いつの間にか変わった。トランプ政権がそういったから。もしここで、本当に戦争が終わるのなら、沖縄の米軍基地は必要なのか。そういったことに私たちの課題がある。この対立と分断を越えようとするムンジェイン政権に対して、あんなのはダメだという意見に反対です。超えていこうという方向で連帯することが必要ではないか。
かつて1960年代の韓国との国力の差は圧倒的だった。30倍ぐらいあったと言われている。2018年にはほぼ3倍ぐらい。一人当たりのGDPではほとんどわからないところに来ている。2030年ごろになると韓国が抜くかもしれないというところに来ている。150年ぐらいは軍事的にも経済的にも日本が強かった。今や日本の役割は小さくなっている。日本が衰退してきたということでもある。それが隣国に対する反韓感情嫌中感情に結びついているのではないか。それは本当に健康的なことではない。韓国、北朝鮮、中国との関係について、深く自覚しながら次の時代を切り開いていかなければならないと思う。
韓国あおり報道を手掛かりに
金平茂紀(TBSキャスター)
朝鮮半島を考えるときに基本的なフレームができている。拉致問題というフレームで語られてしまっている。残念なことだ。日韓問題で注目しなければならないのは差別と偏見だ。都知事は「9・1慰霊式典」への式辞を取りやめた。ひどいことです。文科省は朝鮮学校の補助金を取りやめた。明らかに憲法違反。判決は判断が分かれているが。普通に考えて、政治的な理由で補助金を出さないのは国際法上の教育を受ける権利を侵害している。こういうことを黙っててはいけない。教育の現場で現代史を教えていない。日韓の大学生同士がなぜこんなことになったのか、話し合う現場を取材したが、現代史の知識が圧倒的に違う。日韓併合を日本の学生は知らない。対話のしようがないというところまでいく。善意の団体なのでいい交流だったが、そんな感じだった。その時期に韓国に行こうと思って行った。日韓がこれだけ悪化しているので身構えて行った。そしたらとても和やかだった。身構えて恐れるようなことは何もなかった。
チョグク氏が一斉攻撃されていた。ソウル大学の教授だったので、みんな怒っている。よく聞いてみると、ムンジェイン政権批判と区別している。香港で起こっていることはアジアの民主主義問題を考える上での最前線。キャンドル革命と本当に似ている。香港はすごいことになった。中学生や高校生も参加している。男の子と女の子が手を繋げないからぬいぐるみを間に挟んでいる。楽しんで遊ぶような若い人たちの想像力の広がりがある。僕たちの国との違い。日本の若い人たちにとって重要なのは就活になってしまっている。
嫌韓あおり報道の典型は週刊ポストの「韓国なんて要らない」という見出し。あざとい。こんなことをやって雑誌を売ってどうするのか。月刊Hanadaとは違う。一人一人の編集者はちゃんとやりたいと思っているはず。TBSのゴゴスマという番組もひどかった。武田邦彦は言いたい放題の人。この人がワイドシーに出てきて日本男児も韓国人女性を暴行しないといかんといった。そういうことを言った段階で、品格品性以前の問題。わかっているのだろうか。自粛したのか最近出なくなった。でもYouTubeでは過激なことを言っている。残念だが、テレビのワイドショーや報道番組も炎上して見られればいいんだという発想。差別や偏見を煽るようなことをやっている。形を変えてこういうことが繰り返されるのではないか。チョグク氏についてなぜこんなに扱うのか。韓流ドラマみたいだとある人は言った。よその国の政治問題を韓流ドラマのように見る品性はなんなのか。そのときの日本の外務大臣は誰だったのか。今は雲隠れしている。
韓国映画はとてもクオリティが高い。あいちトリエンナーレ問題に含まれていたこと。従軍慰安婦問題で作ったアートに対して不満を持った人たちが一斉に電話をかけたり脅迫をした。それで中止したのはゆゆしきこと。「主戦場」というドキュメンタリー映画。日系アメリカ人が作ったもの。とてもチャレンジングな作品だ。従軍慰安婦問題について保守の人たちのインタビューがたっぷり使われている。しかししんゆり映画祭での上映が中止になった。愛知の教訓を逆に使ってしまった。しかし、上映回復した。文化領域の場面でも日韓の問題は複雑な影を落としている。
ハンギョレ新聞内部でもチョグク問題について議論が起こった。韓国のメディアは健全だ。イミョンパク時代に追放された記者たちを市民が支えた。顕著な例はセウォル号事故の政府系メディアの嘘を独立系メディアの記者が暴いたことだ。そしてムンジェイン政権になってその記者たちが復権した。
大法院の判決が国際法に違反していると政権が主張していることに異を唱えたメディアはほとんどいなかった。取材をして目から鱗だった。それは元外交官の浅井基文の講演を聞きにいったときのことだ。彼は、国際条約に違反しているのは日本だという指摘をした。1978年に国際人権協約Bに日本は批准した。少数民族や過去に被害を与えた人たちに対する補償。カナダは先住民に対して今の政府が回復措置をとった。アメリカでさえ、レーガン時代に強制収容所に入れられた日系人に対するお詫びと補償金を出した。その根拠は国際人権協約Bだ。その条項は従軍慰安婦、徴用工に当てはまる。日本はきちんと措置を取らないといけない。なぜ浅井さんがこんなに強調するのか。この条項を作った一人だった。小和田さんが条約局長だった。事務方のトップとしてこの条約を結んだ。今の政権になって違反しているのは韓国だというのは一方的だと私は思う。
日本は大きな意味で言えば、1979年に産経新聞が一報した日本海アベック失踪事件が拉致問題報道の最初だった。管理官が言った。これ事件にならないか。公安警察はずっと前からこの問題をウォッチしている。それを事件化するかどうかは政治の思惑。蓮池透さんが言っていること。拉致問題の枠組みで朝鮮半島を見ると、ある種の歪みが起こる。解決がかえって遅れてしまう。北朝鮮に暮らしている人たちはある意味で被害者だ。政治体制はいいものとは言えない。しかしそこに住んでいる人たちが全て悪党ではなく、普通の人間。拉致問題で国が滅びていいということにはならない。ムンジェインは弁護士だ。韓国と日本に間で起きていることについてはとても詳しい。中国と日本政府との間の問題も。それはトップにいる人たちはおよびもつかないほどの教養の差がある。
まともな話をするときにギャップが大きすぎる。今のトップの人たちは何を言われているのかわからない。そういう人を担ぎ上げている外交はひどいものだ。中東では日本人は尊敬されている。親日的な国が多いが、安倍政権になって変わった。アメリカに追随している。日本のジャーナリストが殺害されたりしている。外交官は自分たちが築いた礎が崩れていくことに対して怒っている。日本が再び中国に近づいているのは経済的な理由以外に何があるのだろうか。根拠のないナショナリズム。「令和」という言葉も元を正せば中国からきてるが、それを認めたくない。万葉集からとったというのはなんという幼稚なことか。どうしていくかこれから考えなくてはならない。
私がすごいと思うのは魯迅だ。「賢人と馬鹿と奴隷」。奴隷はとかく不平をこぼす。賢人は涙ながらに窮状を訴えた。賢人は同情して慰めた。奴隷は馬鹿に話した。馬鹿は壁を壊した。馬鹿をとっ捕まえて馬鹿が来て家を壊そうとしましたと主人に言った。よくやったとご主人は褒めてくれた。そして明るい部屋に住めるようになった。そして奴隷はいまにきっといいことがあるといったことは本当だったのですねと賢人にいった。タイトルには主人は入っていない。フレームを初めて壊したのは馬鹿だった。賢人はただ黙っているだけ。今のメディアは賢人だと思っている。こういうメディアのあり方はとても不愉快。馬鹿は大変なことをするが、馬鹿がいないと歴史は動かない。1925年に魯迅はこれを書いた。寓話に近い小説。僕は賢人になりたくない。
質疑応答
金平
日本の教科書には朝鮮人虐殺について書かれていない。日韓学生交流の時に知ったのだが、韓国で学ぶ歴史は3科目ある。韓国史、世界史そして東洋史がある。知識の差が自ずと出てしまう。日本は受験科目以外は覚えなくてもいい状況がある。現代史をほとんど知らない。現代史までいかないし、試験にも出ない。教育内容自体がおかしいということはある。
岡本
慰安婦問題で、心からの謝罪というがどうすれば謝罪できるのか。アパルトヘイト問題だと、真実の和解委員会を作って真実を語れば許すというようにした。加害者が真実を語り、謝罪し、被害者家族が受け入れる。それでもなかなかうまくいかない。それも模索の過程である。植民地被害の謝罪は世界的にもなかなかやられていない。戦争している当事者は植民地支配については東京裁判でも問うていない。まだまだこれからの課題だ。イタリアがエチオピアに補償したということがありながらもまだ十分ではない。ムン大統領は真実を認めて謝罪する勇気を持って欲しい、そして韓国はそれを受け入れる勇気を持って欲しいといった。
金平
いつまで謝れというのかと強気に出ている。根拠のない優越感がそれを支えている。K-POPはすごい。それがいいかどうかとは別。幸福という概念は重要。物質的には豊かだが、一人も幸福ではない国は不幸。日本のありようも自然災害があるとホームレスも避難所に入れてもらえないということもある。人間の社会としての根本的な何かが失われつつあるように思ってしまう。なぜ優越感を持つのか。豊臣秀吉の朝鮮征伐についても、なぜ日本が朝鮮に行って征伐しないといけないのか。日本人は東洋の中ですごいという気持ちがわからない。オリンピックになるとどうなるのか。
岡本
日本ぼめ現象、日本は素晴らしいというブームが悲しい。ここが変だよ日本人が以前はあったが、今は外国人が日本を褒める番組ばかり。戦争中はそうだったと聞いている。自己愛が強かった。このような精神構造が戻ってきたのか、ずっとあったのか。敗戦後の知識人は自己批判の精神だったと思う。自己批判がなければ次にいけない。日本の衰退現象、閉塞現象につながっているのではないか。
多様なものを読むということを学生にはやってほしい。多様なものをたくさん読んでほしい。あまり表面的なものに過ごすのではなく、一つのことについての見方はいろいろある。読んで対話する。読むということは他者を知るということ。他者の内面を知ること。韓国の作家に我々と似ている感性を感じる。読むことによって彼らを知ることができる。安倍さんは読んでないと思う。だから空疎な文章を読める。ちょっとでも読んでいたらああいうことにはならない。
金平
天皇のお祝いの会があったが、ああいうことを国民は望んでいるのだろうか。メディアが安倍首相の会食に行くのは醜悪。編集局長やキャップは上を見てしまう。みんな上から睨まれるのを怖がっている。相当怖いことになっている。官僚も同じ。自分が担当している馬鹿な大臣のために想定問答集を作っている。見てていると漫画のようだ。そこに命をかけている。悲哀を通り越している。それが安倍政権下で起きている大臣と官僚の関係。一人の大臣に22人の官僚がついている。大臣が失言しないように資料をいっぱい持っている。衛藤征士郎は何もわからない。メモを届ける係が必死になっている。すごい速度でメモを差し入れる。それは漫画だ。それが記者会見で起きている現実だ。官僚の中にも少しはおかしいと思っている人がいると思うかもしれないが、そんなのばかりだ。
岡本
抗日と反日の定義について。植民地支配された民族なので、それに対する反発によって民族のアイデンティティを築いてきた。日本は植民地支配することでアイデンティティを形成してきた。親日はどうあっても反民族的になってしまう。今の日本に対する反発ではなく、かつての帝国日本に対する反発だ。運動する人たちも反安倍、ノー安倍、イエス・ジャパニーズと言っている。韓国の市民運動家はいろんなメディアからニュースを得ている。決して反日ではない。そのことがメディアでちゃんと伝わっているか不安だ。
金平
険悪な日韓関係が続いていくのか。韓国政府がもっと強い立場に出るべきだという人もいる。この流れが変わる潮目があるのか。
岡本
だいぶ潮目が変わってきた。GSOMIAの破棄を延期した。これまでは首相官邸が中心だった。外交当局の交渉もあったが、主導権は官邸と大統領府だったためにきちんとした外交ができていなかった。日韓議連は頻繁に行き来して間をつないでいる。日韓中会談が12月中に行われる。しかしこれからどうなるのかはわからない。GSOMIAで日本の誰かが謝罪したが、政府としては謝罪していないという。では一体誰が謝罪したのか。メディアはもっと突っ込んでほしい。これからいい方向に行くかどうかはわからない。日韓条約を変えるということをそろそろ議論しなければいけないのではないかと思う。
金平
日韓情勢が変わる3つの要素がある。一つはオリンピック。韓国と北朝鮮が合同でチームを作るのか。オリンピックは国境を超えた融和はありうる。トランプ政権はオリンピックを選挙に使おうとするだろう。政治的な駆け引きの場として使おうとするだろう。僕はオリンピック開催には反対。もう一つは北朝鮮自体の変化。最近またミサイルを撃ち始めているが、アメリカとの関係は雪解けに行くのかどうか。三つ目はトランプの弾劾手続きが進めば相当危機になるだろうということ。トランプの2期目はないかもしれない。そうするとドラスティックに外交も変わるかもしれない。F35を一機やめれば首里城の建築費はできる。それは健全な意見だ。しかしそれがメディアからも出ない。
岡本
ASEANは日本と韓国、北朝鮮はなぜうまくいかないのかという。ASEANの知恵を借りながら一緒に何かの方向にやっていけば、共通点や良いところも見える。東アジアの単位で何かができるかもしれない。今の政権のままだと滅んでしまうかもしれない。アホな政策によって、韓国から人が来なくなったことで、被害を受けている人はたくさんいる。こういう政権をこのまま継続させてはいけないと思う。新しい選択肢を見つけなければ日本は本当にやばいと思う。
金平茂紀(TBSキャスター)
朝鮮半島を考えるときに基本的なフレームができている。拉致問題というフレームで語られてしまっている。残念なことだ。日韓問題で注目しなければならないのは差別と偏見だ。都知事は「9・1慰霊式典」への式辞を取りやめた。ひどいことです。文科省は朝鮮学校の補助金を取りやめた。明らかに憲法違反。判決は判断が分かれているが。普通に考えて、政治的な理由で補助金を出さないのは国際法上の教育を受ける権利を侵害している。こういうことを黙っててはいけない。教育の現場で現代史を教えていない。日韓の大学生同士がなぜこんなことになったのか、話し合う現場を取材したが、現代史の知識が圧倒的に違う。日韓併合を日本の学生は知らない。対話のしようがないというところまでいく。善意の団体なのでいい交流だったが、そんな感じだった。その時期に韓国に行こうと思って行った。日韓がこれだけ悪化しているので身構えて行った。そしたらとても和やかだった。身構えて恐れるようなことは何もなかった。
チョグク氏が一斉攻撃されていた。ソウル大学の教授だったので、みんな怒っている。よく聞いてみると、ムンジェイン政権批判と区別している。香港で起こっていることはアジアの民主主義問題を考える上での最前線。キャンドル革命と本当に似ている。香港はすごいことになった。中学生や高校生も参加している。男の子と女の子が手を繋げないからぬいぐるみを間に挟んでいる。楽しんで遊ぶような若い人たちの想像力の広がりがある。僕たちの国との違い。日本の若い人たちにとって重要なのは就活になってしまっている。
嫌韓あおり報道の典型は週刊ポストの「韓国なんて要らない」という見出し。あざとい。こんなことをやって雑誌を売ってどうするのか。月刊Hanadaとは違う。一人一人の編集者はちゃんとやりたいと思っているはず。TBSのゴゴスマという番組もひどかった。武田邦彦は言いたい放題の人。この人がワイドシーに出てきて日本男児も韓国人女性を暴行しないといかんといった。そういうことを言った段階で、品格品性以前の問題。わかっているのだろうか。自粛したのか最近出なくなった。でもYouTubeでは過激なことを言っている。残念だが、テレビのワイドショーや報道番組も炎上して見られればいいんだという発想。差別や偏見を煽るようなことをやっている。形を変えてこういうことが繰り返されるのではないか。チョグク氏についてなぜこんなに扱うのか。韓流ドラマみたいだとある人は言った。よその国の政治問題を韓流ドラマのように見る品性はなんなのか。そのときの日本の外務大臣は誰だったのか。今は雲隠れしている。
韓国映画はとてもクオリティが高い。あいちトリエンナーレ問題に含まれていたこと。従軍慰安婦問題で作ったアートに対して不満を持った人たちが一斉に電話をかけたり脅迫をした。それで中止したのはゆゆしきこと。「主戦場」というドキュメンタリー映画。日系アメリカ人が作ったもの。とてもチャレンジングな作品だ。従軍慰安婦問題について保守の人たちのインタビューがたっぷり使われている。しかししんゆり映画祭での上映が中止になった。愛知の教訓を逆に使ってしまった。しかし、上映回復した。文化領域の場面でも日韓の問題は複雑な影を落としている。
ハンギョレ新聞内部でもチョグク問題について議論が起こった。韓国のメディアは健全だ。イミョンパク時代に追放された記者たちを市民が支えた。顕著な例はセウォル号事故の政府系メディアの嘘を独立系メディアの記者が暴いたことだ。そしてムンジェイン政権になってその記者たちが復権した。
大法院の判決が国際法に違反していると政権が主張していることに異を唱えたメディアはほとんどいなかった。取材をして目から鱗だった。それは元外交官の浅井基文の講演を聞きにいったときのことだ。彼は、国際条約に違反しているのは日本だという指摘をした。1978年に国際人権協約Bに日本は批准した。少数民族や過去に被害を与えた人たちに対する補償。カナダは先住民に対して今の政府が回復措置をとった。アメリカでさえ、レーガン時代に強制収容所に入れられた日系人に対するお詫びと補償金を出した。その根拠は国際人権協約Bだ。その条項は従軍慰安婦、徴用工に当てはまる。日本はきちんと措置を取らないといけない。なぜ浅井さんがこんなに強調するのか。この条項を作った一人だった。小和田さんが条約局長だった。事務方のトップとしてこの条約を結んだ。今の政権になって違反しているのは韓国だというのは一方的だと私は思う。
日本は大きな意味で言えば、1979年に産経新聞が一報した日本海アベック失踪事件が拉致問題報道の最初だった。管理官が言った。これ事件にならないか。公安警察はずっと前からこの問題をウォッチしている。それを事件化するかどうかは政治の思惑。蓮池透さんが言っていること。拉致問題の枠組みで朝鮮半島を見ると、ある種の歪みが起こる。解決がかえって遅れてしまう。北朝鮮に暮らしている人たちはある意味で被害者だ。政治体制はいいものとは言えない。しかしそこに住んでいる人たちが全て悪党ではなく、普通の人間。拉致問題で国が滅びていいということにはならない。ムンジェインは弁護士だ。韓国と日本に間で起きていることについてはとても詳しい。中国と日本政府との間の問題も。それはトップにいる人たちはおよびもつかないほどの教養の差がある。
まともな話をするときにギャップが大きすぎる。今のトップの人たちは何を言われているのかわからない。そういう人を担ぎ上げている外交はひどいものだ。中東では日本人は尊敬されている。親日的な国が多いが、安倍政権になって変わった。アメリカに追随している。日本のジャーナリストが殺害されたりしている。外交官は自分たちが築いた礎が崩れていくことに対して怒っている。日本が再び中国に近づいているのは経済的な理由以外に何があるのだろうか。根拠のないナショナリズム。「令和」という言葉も元を正せば中国からきてるが、それを認めたくない。万葉集からとったというのはなんという幼稚なことか。どうしていくかこれから考えなくてはならない。
私がすごいと思うのは魯迅だ。「賢人と馬鹿と奴隷」。奴隷はとかく不平をこぼす。賢人は涙ながらに窮状を訴えた。賢人は同情して慰めた。奴隷は馬鹿に話した。馬鹿は壁を壊した。馬鹿をとっ捕まえて馬鹿が来て家を壊そうとしましたと主人に言った。よくやったとご主人は褒めてくれた。そして明るい部屋に住めるようになった。そして奴隷はいまにきっといいことがあるといったことは本当だったのですねと賢人にいった。タイトルには主人は入っていない。フレームを初めて壊したのは馬鹿だった。賢人はただ黙っているだけ。今のメディアは賢人だと思っている。こういうメディアのあり方はとても不愉快。馬鹿は大変なことをするが、馬鹿がいないと歴史は動かない。1925年に魯迅はこれを書いた。寓話に近い小説。僕は賢人になりたくない。
質疑応答
金平
日本の教科書には朝鮮人虐殺について書かれていない。日韓学生交流の時に知ったのだが、韓国で学ぶ歴史は3科目ある。韓国史、世界史そして東洋史がある。知識の差が自ずと出てしまう。日本は受験科目以外は覚えなくてもいい状況がある。現代史をほとんど知らない。現代史までいかないし、試験にも出ない。教育内容自体がおかしいということはある。
岡本
慰安婦問題で、心からの謝罪というがどうすれば謝罪できるのか。アパルトヘイト問題だと、真実の和解委員会を作って真実を語れば許すというようにした。加害者が真実を語り、謝罪し、被害者家族が受け入れる。それでもなかなかうまくいかない。それも模索の過程である。植民地被害の謝罪は世界的にもなかなかやられていない。戦争している当事者は植民地支配については東京裁判でも問うていない。まだまだこれからの課題だ。イタリアがエチオピアに補償したということがありながらもまだ十分ではない。ムン大統領は真実を認めて謝罪する勇気を持って欲しい、そして韓国はそれを受け入れる勇気を持って欲しいといった。
金平
いつまで謝れというのかと強気に出ている。根拠のない優越感がそれを支えている。K-POPはすごい。それがいいかどうかとは別。幸福という概念は重要。物質的には豊かだが、一人も幸福ではない国は不幸。日本のありようも自然災害があるとホームレスも避難所に入れてもらえないということもある。人間の社会としての根本的な何かが失われつつあるように思ってしまう。なぜ優越感を持つのか。豊臣秀吉の朝鮮征伐についても、なぜ日本が朝鮮に行って征伐しないといけないのか。日本人は東洋の中ですごいという気持ちがわからない。オリンピックになるとどうなるのか。
岡本
日本ぼめ現象、日本は素晴らしいというブームが悲しい。ここが変だよ日本人が以前はあったが、今は外国人が日本を褒める番組ばかり。戦争中はそうだったと聞いている。自己愛が強かった。このような精神構造が戻ってきたのか、ずっとあったのか。敗戦後の知識人は自己批判の精神だったと思う。自己批判がなければ次にいけない。日本の衰退現象、閉塞現象につながっているのではないか。
多様なものを読むということを学生にはやってほしい。多様なものをたくさん読んでほしい。あまり表面的なものに過ごすのではなく、一つのことについての見方はいろいろある。読んで対話する。読むということは他者を知るということ。他者の内面を知ること。韓国の作家に我々と似ている感性を感じる。読むことによって彼らを知ることができる。安倍さんは読んでないと思う。だから空疎な文章を読める。ちょっとでも読んでいたらああいうことにはならない。
金平
天皇のお祝いの会があったが、ああいうことを国民は望んでいるのだろうか。メディアが安倍首相の会食に行くのは醜悪。編集局長やキャップは上を見てしまう。みんな上から睨まれるのを怖がっている。相当怖いことになっている。官僚も同じ。自分が担当している馬鹿な大臣のために想定問答集を作っている。見てていると漫画のようだ。そこに命をかけている。悲哀を通り越している。それが安倍政権下で起きている大臣と官僚の関係。一人の大臣に22人の官僚がついている。大臣が失言しないように資料をいっぱい持っている。衛藤征士郎は何もわからない。メモを届ける係が必死になっている。すごい速度でメモを差し入れる。それは漫画だ。それが記者会見で起きている現実だ。官僚の中にも少しはおかしいと思っている人がいると思うかもしれないが、そんなのばかりだ。
岡本
抗日と反日の定義について。植民地支配された民族なので、それに対する反発によって民族のアイデンティティを築いてきた。日本は植民地支配することでアイデンティティを形成してきた。親日はどうあっても反民族的になってしまう。今の日本に対する反発ではなく、かつての帝国日本に対する反発だ。運動する人たちも反安倍、ノー安倍、イエス・ジャパニーズと言っている。韓国の市民運動家はいろんなメディアからニュースを得ている。決して反日ではない。そのことがメディアでちゃんと伝わっているか不安だ。
金平
険悪な日韓関係が続いていくのか。韓国政府がもっと強い立場に出るべきだという人もいる。この流れが変わる潮目があるのか。
岡本
だいぶ潮目が変わってきた。GSOMIAの破棄を延期した。これまでは首相官邸が中心だった。外交当局の交渉もあったが、主導権は官邸と大統領府だったためにきちんとした外交ができていなかった。日韓議連は頻繁に行き来して間をつないでいる。日韓中会談が12月中に行われる。しかしこれからどうなるのかはわからない。GSOMIAで日本の誰かが謝罪したが、政府としては謝罪していないという。では一体誰が謝罪したのか。メディアはもっと突っ込んでほしい。これからいい方向に行くかどうかはわからない。日韓条約を変えるということをそろそろ議論しなければいけないのではないかと思う。
金平
日韓情勢が変わる3つの要素がある。一つはオリンピック。韓国と北朝鮮が合同でチームを作るのか。オリンピックは国境を超えた融和はありうる。トランプ政権はオリンピックを選挙に使おうとするだろう。政治的な駆け引きの場として使おうとするだろう。僕はオリンピック開催には反対。もう一つは北朝鮮自体の変化。最近またミサイルを撃ち始めているが、アメリカとの関係は雪解けに行くのかどうか。三つ目はトランプの弾劾手続きが進めば相当危機になるだろうということ。トランプの2期目はないかもしれない。そうするとドラスティックに外交も変わるかもしれない。F35を一機やめれば首里城の建築費はできる。それは健全な意見だ。しかしそれがメディアからも出ない。
岡本
ASEANは日本と韓国、北朝鮮はなぜうまくいかないのかという。ASEANの知恵を借りながら一緒に何かの方向にやっていけば、共通点や良いところも見える。東アジアの単位で何かができるかもしれない。今の政権のままだと滅んでしまうかもしれない。アホな政策によって、韓国から人が来なくなったことで、被害を受けている人はたくさんいる。こういう政権をこのまま継続させてはいけないと思う。新しい選択肢を見つけなければ日本は本当にやばいと思う。