乙夜の覧、戊夜のうp

坂本旬非公式日記

授業

ブック・デジタル・ストーリーテリングの可能性を考える

 デジタル・ストーリーテリングを活用した本の紹介映像が「ブック・デジタル・ストーリーテリング(Digital Storytelling on Books)」である。当初は、ブックトークのデジタル版をイメージしていたが、実際に学生たちに制作させてみると、デジタル・ストーリーテリングの性格を色濃く持っていた。それゆえに新たな教育的可能性を感じさせるものであった。

1 デジタル・ストーリーテリングとは何か

「デジタル・ストーリーテリ ングとは一言で言えば自分で語るデジタル生活綴方である。形式的にはナレ ー ションに静止画像を組み合わせ、 一分程度の動画にしたものである。190年代初期にアメリカではじまり、サンフランシスコにある「デジタル・ストーリーテリン グ・センター」を中心に普及活動が進められている。須曽野仁志らによると、アメリカでは「あらゆる教育レベル、教科の学習に導入されて」おり、移民の国多民族国家のアメ リカでは、作品の多くに『自分探し』の要素が含まれていると感じられる。家族のル ー ツを調べることにより、自分のアイデンティティーを見直す、という狙いが感じられる」 という 。 デジタル・ストーリーテリングは、学習方法として多様な目的に多様な教科で活用可能であるが、本来は自分を見つめ直すことを目的に使われることが多い 。」(坂本『メディア情報教育学』p.154)続きを読む

キャリアデザイン学部「新入生オリエンテーション」講演会 茂木賢三郎

この後援記録メモをアップすべきかどうか大変迷った。しかし、入学したばかりの新入生対象にこのような講演会を開いたという事実を事実として記録に残しておくために、あえて載せることにした。なお、この文章はあくまでも個人的なメモであって、一字一句講演内容を再現したものではない。(坂本)

20130421 キャリアデザイン学部「新入生オリエンテーション」 講演 茂木賢三郎

キャリアデザインはすばらしいコンセプト。心がけいかんによって、重要な4年間になるのではないか。すばらしい学生生活を送ってほしい。私も後期高齢者だ。日本が連合軍に敗れて占領が始まったとき、占領の総司令官のマッカーサーが当時の大統領のトルーマンに解任されたとき、老兵はただ消え去るといった。いずれ遠からず将来消え去る立場にある。これからの日本を支えるのは若い人たち。人生経験を重ねてきた立場から、こういうことに気をつけて日本をいい国にしてほしいということをメッセージとして伝えたい。

昨日から風邪を引いてしまった。38度ぐらいの熱があるので座って話したい。一般的にいえば、中年の人から高齢の人まで、人の話を聞く立場がなっていない人が多い。ある意味で特権意識。自分だけはいいだろうと考えて一斉におしゃべりを始めたらどうなるか。誰かが話し始めたら、耳だけは向けてほしい。日本人はもともとはマナーのいい人だった。しかし道徳教育がなおざりになってしまった。家庭のしつけもいい加減。いかんながら、昔と比べたら悪くなった。きちんとした誰からも尊敬を集めるような国にしてほしい。おしゃべりをしないでいただきたい。おしゃべりをしたくなったら寝ていてほしい。いびきをかかないで。傍若無人という4文字熟語がある。マナーやエチケットは傍若無人の反対概念。迷惑にならないように気を使うこと。それがマナーの原点だと思う。

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宮本みち子「無縁社会をどう超えるか」

2012年度キャリアデザイン学部

新入生オリエンテーション講演会(2012/4/22)

宮本みち子「無縁社会をどう超えるか」

(以下は個人的メモです。)
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「映像実習」3年目の感想

僕が「映像実習」を担当して3年目が終わった。もともとこの授業は学部の施設であるスタジオを活用するための授業として学部設立時に予定されたもので、非常勤講師をあてる予定だったらしい。それに僕が手を上げて、担当することになった。

僕はもともと編集者の仕事をしていたとはいえ、映像の専門家でも何でもない。素人が教えるというのだからそれだけでも大変な試みである。最初は本当に試行錯誤だったが3年目になってやっとやりたいことができるようになった。

前期でメディア・リテラシーの基礎を学び、後期で一人一本のキャリアヒストリーをテーマにしたドキュメンタリーを作る。決して、映像制の方法を学ぶためだけの授業ではない。メディア・リテラシーの基本を半期で徹底的に教えている。映画サークルではないのだ。

もう一つ意識していることは、映像の専門家を養成するのではなく、基礎教育としてのメディア・リテラシーの形成を目的にしていることである。学生たちがレポートを書くように映像を作ることができるようにしたい。そんな思いがある。

今年の学生の作品を見てレポートを読むと、映像の制作を通して人との関わりや自分自身への振り返りがなされていることがよくわかる。彼らのほとんどがドキュメンタリーのテーマとして家族や友だち、地域の人々を選んでいるのだからそれは当然なのだが、カメラという一つのメディアがそれらの人間関係を客体化し、意識化させていくことがよく分かるのである。

こうしたことこそ僕がめざしているメディア・リテラシー教育そのものだと今では言える。映像をいくら分析してもそこからは新しい人間関係は生まれない。映像制作だけを目的にしてしまえば、その教育的意味は見えてこない。生活綴方的「映像実習」こそが僕のやりたい授業のイメージだ。ちなみに来年度からこの授業は「メディア・リテラシー実習」という名称に変わることになっている。

中塚久美子講演 「高校中退・定時制高校・子どもの貧困からみる学びの格差と連鎖」

以下の文章は講演の個人的なメモです。

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新入生特別講演「高校中退・定時制高校・子どもの貧困からみる学びの格差と連鎖」

                              2011/6/18

中塚久美子(朝日新聞社大阪本社記者)

 今、日本の子ども・若者の周りに起こっていること。健康保険も受けられない。希望の格差が起こっている。希望を持って前向きに生きてきたというモデルとしての大人がいない。どうせ自分なんかと思ってしまう。親の「失敗」、首になった、離婚したなどなどの大人の「失敗」を子が引き継がなくてはならないのか。親の批判は子どもにとって解決策になるのか。子どもの視点で考える重要性。子どもの貧困、子ども時代に貧困な生活をすると将来どんな不利益にを与えるのか。自己責任で片付けてしまっていいのか。

 児童虐待は年間4万件の相談がある。身体的虐待4割、ネグレクト(育児放棄)4割、性的虐待3パーセント、心理的虐待2割。虐待でなくなった子どもは、心中をのぞくと年間67人。5日に一人もいる。そういう時代だということ。

 貧困の定義。14.2%。年間所得から税金や社会保険を引いた可処分所得が4人家族で228万円以下。母子家庭の貧困率は54.4%。先進国30カ国で最悪の水準。日本のひとり親の就労率は高いが、正社員になれない。
高校を中退したいる子どもはどのぐらいいるのか。2009年度では5万7000人。1.7%。いつも7万人やめていた。79校分やめていることになる。

 中退した子どもがどうしているかという調査を政府がした。全員が回答したわけではないが。有効回答数は1176人。働いていると答えたのは56.2%。通信制に通い直したのは49.7%。仕事を探しているのは13.6%。母子世帯は21.2%。父子世帯は3.5%。母子世帯の割合が高い。

 授業料免除と学力・中退率の関係。今は高校の授業料は免除になっているが。12〜14万円ぐらいが公立高校の授業料だった。経済的理由で免除された人数。進学校のエルハイスクールでは減免率8.05%。平均中退人数は2.17人。ただし、一校あたりの平均。本当は卒業率を見た方がいい。それははっきりわからない。たぶん3倍ぐらい。

 中退者が20〜30人いた学校は26校あった。減免率は26%。40人いた学校は27校あった。減免率は32%。中退者が多いほど減免を受ける人数も多くなる。埼玉県立高校の入試平均点との関係。入学した人数の内、どのぐらい卒業まで残ったか。学力の高い学校は減免率も低いが、点数が低いと高くなっている。続きを読む
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