長尾周格先生の著書、「歯医者が難病になってわかったこと(三五館)」を読みました。

 

長尾先生が歯科診療の理想を追求した結果、予防歯科という分野を切り開いたエピソードが記されています。

 

同じく長尾先生の著書である、「歯医者の99%は手抜きをする(竹書房)」を読んだ時には、結構クールな先生だと思っていました。

 

お会いしたことはありませんが、本書を読んで、めちゃめちゃ熱いハートを持っている先生だと感じました。

 

予防歯科を立ち上げるまでの悪戦苦闘の日々が記されており、大変勉強になりました。

 

私が最も注目したことは、他にあります。

 

重症の潰瘍性大腸炎を患っていた長尾先生は、何と食事療法で炎症を克服されたようです。

 

具体的には、糖質制限を軸にした分子整合栄養医学を実践されたようです。

 

これは凄いことです。

 

私も潰瘍性大腸炎の患者さんを診療した経験があります。

 

しかし私は外科医です。

 

潰瘍性大腸炎の患者さんを診療する時は、重症化した結果薬だけでコントロールがつかず、やむを得ず手術をする場合のみです。

 

そこに至るまでには、主に消化器内科の先生達が診療します。

 

患者さんの中には、食事療法に注意を向けられていない方も多いです。

 

専門家である医師も薬物療法は熱心だけど、食事についてはあまり多くを要求しません。

 

食事療法に熱心な医師もいるはずですが、少なくとも私がこれまで接してきた潰瘍性大腸炎の患者さんは、ほぼ例外なく糖質食べまくり。

 

糖質制限すれば、炎症は落ち着くのではないか?

 

以前からそんな仮説を持っていましたが、潰瘍性大腸炎の患者さんを継続して経過を診ることがなかったので、実践できずにいました。

 

本書には、長尾先生は救急車で運ばれるくらいの重症の状態であったと記されていました。

 

そんな重症の患者さんが、食事療法を徹底することで薬が不要になったということは、驚嘆すべきことです。

 

現代の標準治療を妄信せず、とことん栄養について学んで実践できたからこそ、改善できたのでしょう。

 

全ての患者さんが、糖質制限で治るとは限りません。

 

しかしたった1人であっても、食事療法で改善した事実は、大変貴重な話でしょう。

 

たかが1例、されど1例。

 

長尾先生の成果を、多くの医師や患者さんは、知るべきだと思います。

 

本書は、潰瘍性大腸炎だけでなく、原因不明の腸の疾患に悩む人達の参考に、そして福音となるはずです。

夜間せん妄対策で、ビタミンCが有効であったと三石先生の著書からの記事を以前書きました

 

とりあえず、私も受け持ちの患者さんにビタミンCの内服、あるいは点滴を積極的に行ってみました。

 

内服できる人はビタミンCだけでなく、鉄、B群、B3Eの内服薬も併用。

 

いわゆるビタミン・ミネラル処方。

 

もちろん食事は、高蛋白食。糖質制限。

 

まあまあ効果がある感触です。

 

少なくとも、ひどいせん妄を起こす患者さんはいなくなりました。

 

せん妄対策に有用だったリバスタッチパッチの出番も、明らかに減りました。

 

これって、凄い事だと思います。

 

三石理論を積極的に導入することで、コウノメソッドで登場する薬剤の量も減らすことができるはずです。

外科医でありながら、糖尿病の患者さんを診る機会が増えてきました。

 

糖質制限を自ら実践する医師はいても、診療の中で患者さんに実践する医師はまだまだ少ないです。

 

昨年衝撃を受けた、新井圭輔先生の著書、「糖尿病に勝ちたければインスリンに頼るのをやめなさい(幻冬舎)」を読み返しました。

 

具体的な理論を再度自分でも確認できました。

 

それ以上に、p101からの文章に、心が揺さぶられました。

 

このような文章を書ける覚悟と信念を持った先生は、滅多にいないと思います。

 

大変勇気づけられます。

 

理屈を超えた、気概・勇気です。

 

以下、引用させて頂きます。

 

私は、信念と良心に基づいて低インスリン療法を行っていますが、それができるのは、私が「糖尿病専門医」ではないからです。

 

糖尿病専門医の多くは、糖尿病学会に入り、その結び付きの中で定説に基づく情報を交換しながら治療を行っています。言い換えれば、学界の権威のもとで自由な発想をする余地が少なく、ガイドラインに縛られた状態で治療に当たっているのです。

 

そうすることには、確かなメリットもあります。自分の担当した患者が合併症を起こし、失明したり命を落としたりしても、「学会のガイドラインに沿って、きちんとした治療を行っていたのだから仕方がない」と言ってもらえることです。

 

逆に有効な治療であっても、学界の常識に反するやり方を患者さんに指導すると、「とんでもない医者だ」と言われます。「患者さんの命を軽視している」というレッテルさえ貼られかねません。実際、糖質制限などを指導しようものなら、「危険だ」「無責任だ」と集中砲火を浴びせられるのは、皆さんも報道でご存じの通りです。

 

私には、学会による縛りがありません。ですから自分の信念と良心だけに基づいて、「この方法なら患者さんが確実に良くなる」と考える治療ができるわけです。

 

当然、デメリットはあります。もしも患者さんが合併症を起こしたりした時に、決して学会の傘に守ってもらえないことです。

 

私は、それを承知しています。患者さんの命を預かるのが医師であり、間違いを犯したら、その責任を取らなければなりません。

 

しかし逆に捉えれば、“良い結果”を出しさえすれば、誰にも恥じることはないのです。

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