カテゴリ: 湿潤療法

テレビに度々登場する脳外科医の上山博康先生は、手術前に患者さんの頭髪の剃毛をしていないという内容の記事を読みました

 

上山先生は若手医師に対し、患者目線で常識を疑うように指導しているようです。

 

大変素晴らしいことだと思います。

 

剃毛には創部感染症を減らす意義はない。

 

かえって皮膚を傷つけ、感染症が増える。

 

もはやこれが常識でしょう。

熱傷患者さんを久しぶりに診ています。

 

もちろん消毒はせず、ガーゼや包帯を創面に直接当てません。

 

ワセリン、ラップを用いた湿潤療法を行います。

 

やけどをすると、総合病院の外科にすぐ飛び込む患者さんは少ないです。

 

総合病院であれば皮膚科や形成外科。

 

あとは個人開業のクリニックに受診する人が大半でしょう。

 

私が診る熱傷患者さんは、たまたま夜間休日の診療で診た人くらいです。

 

力不足でなかなか地域には浸透しませんが、一人一人診ていくことで、少しずつ湿潤療法の考え方が拡がることを目指しています。

 

患者さんで湿潤療法を知る人はほとんどいません。

 

常識外れの治療であるがゆえに、患者さんの不安を解消させる丁寧な説明が求められます。

 

ある患者さんに、

 

「こんなに丁寧に説明してもらったのは初めて」

 

と喜ばれました。

 

そのようなお言葉を頂き、私としてもうれしい限りです。

 

本来であれば、全ての患者さんに時間をかけ丁寧に説明したい。

 

しかし、診療時間や他の業務の兼ね合いから、そう思うようにいかないことが多いのが現実。

 

それでもできる範囲で、患者さんの不安を和らげる接し方を常々考えています。

 

限られた時間でいかに本質を伝えるか。

 

パラダイムシフト治療を取り入れなければ、そのようなことは考えなかったでしょう。

 

パラダイムシフト治療の筆頭である湿潤療法により、私自身の人生観は間違いなく変わりました。

夏井先生のホームページに乳幼児の熱傷の受傷原因がまとめられていたので、引用させて頂きます。

 

飲食物による熱傷は、どこでもありうる話です。

 

我が家でも気をつけたいと思います。

 

• クリニックの患者さんの4割ほどが乳幼児ですが,そのほとんど全てが熱傷患者さんです。乳幼児熱傷の受傷原因,受傷メカニズムはここを見れば一目瞭然ですが,ちょっとまとめてみます。

 

 1. 【飲食物による熱傷が多数を占める】テーブルの上の味噌汁,コーヒー,紅茶などは子どもにとっては全て凶器となります。

「手が届かないと思って置いていた」と後悔される親御さんが多いです。「手が届かない範囲はない」と考えるべきです。子どもは触りたいと思ったらどんな手段を使ってでも手を伸ばして,ひっくり返します。

「手が届かない高さだと思って油断していた」という反省も多いです。つかまり立ちが始まると,手が届く高さが日毎に増していきます。乳児を甘く見てはいけません。

 

2. 【炊飯器の蒸気,加湿器の蒸気】子どもの手が届く高さにある炊飯器,加湿器は凶器です。

従来型の軟膏ガーゼによる熱傷治療では,水蒸気熱傷はあっという間に深くなり,植皮まっしぐらです。

 

3. 【ティファール電気ケトルとその類似商品】極めて危険な凶器です。

受傷パターンとして多いのは「テーブル・キッチン台の上でお湯を沸かしていて,子どもがコードを引っ張って落とす」です。ティファールはコードと台が一体型のため,コードを引っ張ると台も一緒に動き,しかも本体にストッパーがないものが多いため,広範囲熱湯となります。日本の家屋は電源コンセントが低い位置にあるためです(ヨーロッパではコンセントが高い位置にあるため,同様の事故は起きていないそうです)。

 

4. 【ウォーターサーバー】ストッパーなしで熱湯が出るタイプは凶器。

 

5. 【ヘアアイロン】パターンとして多いのは「使い終わったヘアアイロンを手が届かない所に置いていたのに,子どもがコードを引っ張って落とし」が大半。

 

6. 【アイロン】パターンとして多いのは「アイロンを使っている時に来客(電話)があってちょっと目を離したスキに子どもが」が多いです。

両足の熱傷で診ている患者さんがいました。

 

湿潤療法で創部そのものは順調に良くなっていきます。

 

ただ痛みが強く、しばらく仕事ができない状態でした。

 

感染症を起こしている様子はありませんでした。

 

普通、適切に湿潤療法をしていれば痛みを訴える方はほとんどいないと感じています。

 

その患者さんには、喫煙の習慣がありました。

 

非喫煙者に比べ、一つ一つの細胞に行きわたる血液の流れが悪いのでしょう。

 

腸を切除する手術の後も、喫煙者の方が腸の蠕動の回復が悪く、腸同士の癒合も悪いことは経験的に分かっています。

 

多くの喫煙者は、そのような自覚はないでしょう。

 

細胞レベルでの血流など、一見しても分かりません。

 

見た目は大して変わらなくても、創傷治癒という面において、喫煙の害を日々実感します。

これまで何人かの低温熱傷の患者さんを診たことがありましたが、たまたま軽症で済んでいました。

 

低温熱傷の治療は、湿潤療法といえども難しい。

 

夏井先生のホームページでの症例集を見ると、低温熱傷は一筋縄ではいかない印象があります。

 

半年以上、足に負った低温熱傷が良くならないとう患者さんを診ることになりました。

 

受傷した部位が黒く変色しています。

 

近隣に湿潤療法を理解する医療機関がなく、自力で湿潤療法を頑張ってきましたが、なかなか良くならなかったようです。

 

変色した部分は局所麻酔を行い切除し、湿潤療法を継続してみることにしました。

 

普段の食事内容を聞くと、やはり糖質中心。

 

糖質制限+高蛋白+ビタミン・ミネラル摂取を指導しました。

 

ビタミンEとビタミンAを含んだ軟膏も試してみます。

 

どのような傷であっても、湿潤療法+栄養対策が最も合理的な創傷治療だと考えています。

↑このページのトップヘ