ナイアシンだけではなく、ナイアシンアミドの組み合わせも検討されているようです。
ナイアシンフラッシュ対策、緩徐に効くほうが弊害が少ないなど。
なるほど、この発想は他の疾患にも応用できそうです。
治療のためについつい一気に解決したくなっちゃいますが、治療する側が焦ってはいけないという一つの例ですね。
統合失調症治療におけるナイアシンアミドの位置づけ
当院では5年前からナイアシン、ナイアシンアミドによる治療を行っている。
発病後10年未満の患者の70~80%にナイアシン、ナイアシンアミドは効果を示すとされている。
ナイアシンアミドに比べ、ナイアシンの方が即効性がある。
当初は、ナイアシンアミドはナイアシンに比べ効果が劣ると考えていた。
統合失調症患者の多くはナイアシンフラッシュが起こりにくいため、ナイアシン500mgで開始し、2~3ヶ月かけて2~3gに増量できる。
しかし、どうしてもナイアシンが服用出来ない一部の患者には、ナイアシンを中止してナイアシンアミドを投与してきた。
その結果、数ヶ月から年単位でナイアシンアミドが継続出来れば、結構効果があることが判明した。
発病後10年以上の慢性期患者にナイアシンを投与すると、効き過ぎて逆に落ち着かなくなり、中断を余儀なくされた患者が数名いた。
そのため、今まで発病後10年以上の慢性期患者にはナイアシン治療は行っていなかった。
オーソモレキュラー本(800ページの通称”電話帳”)に慢性統合失調症患者に対するホッファー博士の論文があった。
発病から10~20年経過している患者、全ての人にナイアシンアミドを投与していた。
症例の経過を見ると、年単位で継続するとかなり効果があり、仕事に就き納税者となった患者も多い。
なぜ、ナイアシンではなくてナイアシンアミドなのだろう?
理由は書いていなかったが、
1)慢性期患者はナイアシンフラッシュのことを理解出来ず、中断しやすい、
2)緩徐に効くナイアシンアミドの方が弊害が少ない、
などの理由が考えられる。
今後は、
発病後10年未満の患者には、ナイアシンアミド500mg*3+ナイアシン500mgで開始してみよう。
発病後10年以上の患者には、ナイアシンアミド500mg*3で開始してみよう。