1日休んでしまいましたが、今日はJALの国際線戦略に関する特集の第2弾として、この春39年ぶりの復活を果たした東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線と、路線網再編のなかでひっそり消えていった路線について綴らせていただこうと思います。
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JALのニューヨーク路線は、今から51年前の1966年11月12日に、ダグラスDC-8-55を用いて東京(羽田)~ホノルル~サンフランシスコ~ニューヨーク(ケネディ)のルートで開設されました。
その後、経由地や使用機材の変更、新東京(現成田)国際空港開港に伴う東京側の発着空港の変更、直行便化を経て現在に至っているわけですが、1993・2001年のニューヨークでのテロ事件や日本での度重なる大災害を乗り越え、日本とニューヨークを結ぶ架け橋として多くの人に親しまれてきた路線です。

昨年、路線開設50周年を迎えた際は、成田国際空港で記念のセレモニーが催されたほか、記念の機内食や機内オーディオ番組がサービスされるなど、全社を挙げての祝賀ムードだったわけですが、年が明けた2017年、さらなる大きな変化が起こることになりました。

これまで経営再建の途上にあったJALは、国土交通省から大型投資や新路線開設の制限を課されていたわけですが、一連の制限が2016年度末を以って撤廃されることになったことを受けて大々的な新路線の開設に乗り出すことができるようになりました。

その第一弾として選ばれたのが、4月1日(土)から運航の始まった東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線です。
この路線ですが、1978年5月20日の新東京国際空港開港に伴い、JALの東京発着の国際線が全て同空港に移管されて以来、実に39年ぶりの復活ということになりました。ただし、当時の東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線は全便アンカレッジ経由で運航されていたため、同区間にJALが定期でノンストップ便を運航するのは今回が史上初めてということになるようです。
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この東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線ですが、これまで1日2往復が運航されていた東京(成田)~ニューヨーク(ケネディ)線のうち1往復(JAL006・005便)を東京(羽田)発着に変更する形での開設となりました。

ダイヤは以下の通りです。
東京(羽田)1040→(JAL006便)→1035ニューヨーク(ケネディ)
ニューヨーク(ケネディ)1310→(JAL005便)→1625(翌日)東京(羽田)

使用機材は、東京(成田)発着時代と同様、写真のボーイングB777-300ERとなっています。
往路便については、首都圏以外からの利用がやや難しいダイヤになっていますが、復路便については東京国際(羽田)空港で各地への国内線に接続しているため、日本の地方都市とニューヨークを行き来する利用者にとっては福音かと思います。

なお、東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線の開設に伴い、発着枠を捻出する関係で東京(羽田)~ホノルル線が廃止されました。しばらくの間、JALの東京~ホノルル線は成田国際空港からのみの発着となりますが、今後発着枠の積み増しが行われ、東京(羽田)~ホノルル線への再参入が叶うことを願いたいものです。
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さて、東京(羽田)~ニューヨーク(ケネディ)線を復活させたら、次にテコ入れしたいのがヨーロッパ路線です。
そんなわけで、JALは2017年冬ダイヤからこれまで1日1往復を運航してきた東京(羽田)~ロンドン(ヒースロー)線を、1日2往復に増便することになりました。
この増便分のフライトは往路(JAL041便)が東京未明発ロンドン早朝着、復路(JAL042便)がロンドン朝発東京早朝着といういわゆる夜行便で、「SKY SUITE」仕様のボーイングB787-8が充てがわれることになっていますが、日本発着の国際線では他に類を見ないユニークなサービスが実施されることになっています。
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というのも、往路のフライトは東京(羽田)の出発時刻が午前2時45分と、深夜便にしては遅く、早朝便にしては早い時間帯に設定されているため、乗客たちが機内で少しでも充分な休息を取れるようにということで、機内食のサービスは着陸直前の1回のみということになりました。
乗客の睡眠時間を確保するため、離陸直後の機内食サービスを省略することになった代わりに、JAL041便ではマイレージクラブのステータスの有無に関係なく、出発前に全ての乗客を東京国際空港のJALサクララウンジに案内、そこでセルフサービスで食事を取ってもらうことになりました。

さらに、東京国際空港にほど近い「天然温泉平和島」(東京都大田区)を無料で利用できるサービスも行われるということです。

ロンドン・ヒースロー国際空港の早朝の発着制限により、変則的なダイヤで設定されることになった東京(羽田)~ロンドン(ヒースロー)線の深夜便ですが、到着時刻が早朝というのはビジネス客にとっても観光客にとっても都合がいいダイヤですので、ステータス無しでもラウンジ入室可という大盤振る舞いのサービスも相まって、多くの利用者に支持されることを期待したいものです。
今回の増便で、JALの東京~ロンドン線は、提携先のブリティッシュエアウェイズが運航する東京(羽田・成田)~ロンドン(ヒースロー)線のコードシェア便と合わせ1日4往復体制になり、東京(羽田)~ロンドン(ヒースロー)線の便数が1日1往復に留まっているライバルのANAに対して大きな差を付ける結果となりました。
もっとも、逆にANAはルフトハンザドイツ航空と提携しているため、東京~ドイツ間の便数ではJALを大きく凌駕しているため、「イギリスならJAL、ドイツならANA」という棲み分けが確立したとも言えそうです。

最後に、JAL041・042便のダイヤを紹介しておきます。
東京(羽田)245→(JAL041便)→625ロンドン(ヒースロー)
ロンドン(ヒースロー)930→(JAL041便)→625(翌日)東京(羽田)

また、冬ダイヤ限定ではありますが、東京(成田)~バンコク(スワンナプーム)線でも増便が行われることが決まりました。
使用機材は「SKY SUITE」仕様のボーイングB787-8で、ダイヤは以下の通りとなっています。
東京(成田)1240→(JAL717便)→1800バンコク(スワンナプーム)
バンコク(スワンナプーム)2325→(JAL718便)→715(翌日)東京(成田)

今回、東京発着の国際線で大規模の新路線開設や増便が行われる一方、路線網の見直しで姿を消す路線もあります。
その一つが、2017年冬ダイヤ限りで廃止予定の東京(成田)~ソウル(仁川)線。
かつてはボーイングB747シリーズなどの大型機材で1日複数便が設定され、日韓両国間の乗客のみならず、ソウルから東京経由で世界各地に旅立つ人たちの足として活躍してきた路線でしたが、東京(羽田)~ソウル(金浦)線の復活、LCCの台頭や大韓航空とのコードシェア開始により、静かに使命を終えることになりました。
現時点では、写真のボーイングB737-800による1日1往復のみの運航とのこと。
同じ路線に韓国側の大韓航空がエアバスA380やボーイングB747シリーズを不定期で、アシアナ航空がエアバスA380やボーイングB747-400を定期的に投入していることを考えると、いささか寂しいようにも思えます。
ただ、すでにコードシェア便や東京(羽田)発着便が存在するため利用者の利便性は損なわれないこと、儲かる分野に資源や人材を集中することが企業活動の基本であることを考えると、東京(成田)~ソウル(仁川)線がひとつの使命を終え、静かに消えていくのはやむを得ないことであるという気もします。

東京(成田)~ソウル(仁川)線のダイヤはこちら
東京(成田)1840→(JAL959便)→2120ソウル(仁川)
ソウル(仁川)1110→(JAL954便)→1345東京(成田)
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また、東京(羽田)~パリ(ドゴール)線の開設後も細々と運航されていた東京(成田)~パリ(ドゴール)線も、同区間にエールフランス運航のコードシェア便があることもあり、2017年夏ダイヤ終了とともに発展的解消の形で運休することになりました。
新東京国際空港の開港から39年、かつてはアンカレッジ経由やモスクワ(シュレメチェボ)経由、南回りルートなど多様な経路で運航されていた花形路線も、発着空港を元の東京国際空港に一本化して新たな時代を迎えることになりました。

東京(成田)~パリ(ドゴール)線のダイヤはこちら。
使用機材はボーイングB787-8でした。
東京(成田)1150→(JAL415便)→1635パリ(ドゴール)
パリ(ドゴール)2115→(JAL416便)→1700(翌日)東京(成田)

今回の一連のダイヤ改正により、経営再建のため長らく待ったをかけられていた東京国際空港発着の長距離路線の増便が実現、新生JALは晴れて大きな一歩を踏み出すことになりました。今回新たに開設された路線が、ほぼ時を同じくして姿を消した路線の思いを受けて、名門JALの復興に大きな役割を果たすことを願って、今夜は筆を置かせていただきます。