3月17日(土)のJRグループダイヤ改正で、関西地区で最大のトピックとなったのが、阪和線羽衣支線(鳳~東羽衣間)で活躍を続けていた吹田総合車両所日根野支所(旧日根野電車区)所属の103系の引退でした。
名車103系が大阪府内から完全に姿を消すということで、昨年12月にダイヤ改正のプレスリリースが出るや否や、同支線には毎日多くの鉄道ファンが乗り納め・撮り納めに訪れました。

私も、3月11日(日)に夫婦で羽衣支線を訪問。思い出の詰まった水色の103系に別れを告げました。

当日は、天下茶屋から南海本線の電車で羽衣駅に乗り付け、そこから徒歩で東羽衣駅へ。
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高架のホームに上がるとほぼ同時に、多くの同業者たちのカメラによる出迎えを受けながら、14時57分発の鳳行きが入線してきました。
羽衣支線で使用されていた103系3編成は、いずれも3両編成でした。
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この日羽衣支線の運用に入っていたのは。HL102編成。
編成表は以下のとおりです。
鳳←クモハ103-2503+モハ102‐396+クハ103-162→東羽衣
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あまり103系については詳しくない私ですが、先頭車が両方とも初期型の低運転台車で、さらに側面では戸袋窓こそ埋められてしまったものの、昔ながらの非ユニット式側窓を残したHL102編成の姿にいたく感銘を受けたものです。
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吹田総合車両所日根野支所所属を表す、「近ヒネ」の所属区名表記。
国鉄時代の1970年代に同支所が鳳電車区日根野支所として発足して以来、長年見慣れた「ヒネ」区名表記とスカイブルーの塗装の組み合わせも、やがて過去のものになろうとしています。
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HL102編成の車内には、JR西日本の社員の方が撮影した阪和線運用の103系電車の写真、そして1977年以来41年に及んだ羽衣支線での103系電車の活躍をねぎらう手製のメッセージボードが掲示されていました。社員の方々の粋な計らいに、心の中がほっこりしたものです。
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HL102編成の車内。
ついこの間まで、大阪環状線、桜島線(JRゆめ咲線)、関西本線(大和路線)、おおさか東線といった大阪府内の各線で当たり前のように味わえたこの空間も、今ではとても希少価値の高いものになってしまいました。

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HL102編成の側ドア。
リニューアル工事で、オリジナルのものとは大きく異なる化粧板付きの新品に置き換えられてしまったのが、少々惜しい気がします。
もっとも、この化粧板付きのドアも希少価値が高いので、それはそれで記録に値するようにも思いました。
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製造時から空調完備の鉄道車輌が当たり前になった今となっては、若干物珍しい印象も受けるJR西日本のロゴ入り扇風機。
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編成中唯一の中間車・モハ102-396の製造銘板。
「神戸 川崎重工 昭和45年」の文字があり、今年で製造から48年になるとのこと。
よくぞここまで生き存えたと、拍手で讃えたい気持ちです。
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車内掲示の車番プレートは、何らかの事情があったのかとは思いますが、ステッカータイプに置き換えられていました。
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約3分の乗車時間で、鳳駅の羽衣支線専用ホーム(5番ホーム)に到着。
ここでも多くの同業者さんらとともに、最後の最後まで写真撮影を楽しみました。

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5番ホームでは、3月17日(土)のダイヤ改正で羽衣支線の使用車両が片側4ドアの103系3両編成から片側3ドアの223・225系4両編成に置き換えられるのに合わせ、乗車位置表記の修正作業が行われている様子でした。
目張りで隠されているのが、223・225系用の乗車位置表示とみられます。
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その夜、南海高師浜線を乗り潰すべく、再び東羽衣に戻る際にもHL102編成のお世話になりました。
黒い夜空に、103系のスカイブルー塗装がよく映えています。
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羽衣支線で103系の運用が始まったのは1977年3月27日、それまで活躍していた旧型国電を置き換えてのことでした。
写真は1999年1月2日 鳳駅5番線ホームにて
3両編成の103系はその後約19年間、細部のリニューアルこそ行われたものの、ほぼ変わらない姿で羽衣支線での運用を続けました。
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なお、1987年7月1日から1995年までは、クモニ143形荷物電車を改造した123系が羽衣支線で運用されていました。混雑時には、103系との併結運用も見られました。
阪和線での運用終了後、この123系は中国地方に活躍の場を移すことになります。
写真は岡山電車区所属時代の2000年4月23日、茶屋町駅にて撮影
当時は宇野線の茶屋町~宇野間を中心に運用されていました。
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2002年からは下関地域鉄道部(現下関総合車両所)に転属、宇部・小野田線で使用されています。
2017年3月4日 宇部新川にて
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そして、2018年3月17日ダイヤ改正から、羽衣支線の車輌は阪和線の本線で使用されている223・225系の4両編成に統一されることになりました。
初日となる17日は最新鋭の225系5100番台が運用されたところですが、今後どのようなバリエーションの車輌が同支線に入線するかが注目されます。
写真は関空・紀州路快速として運用中の225系5000番台。
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今回、羽衣支線から103系が撤退したことに伴い、大阪府内のJR線からは同系列で運用される列車が消滅しました。
1968年以来50年に及んだ阪和線における103系の活躍が幕を閉じたのは、鉄道ファンとして寂しい限りですが、京阪神都市圏では奈良線、山陽本線和田岬支線、加古川線、播但線で引き続き103系が活躍します。これら各線の103系が1日でも長く元気な姿を見せ続ける事を願って、今夜は締めくくらせていただきます。