大阪と京都を結ぶ大動脈に、また楽しい列車が誕生しました。

阪急京都線では2019年1月19日(土)にダイヤ改正を実施、この改正で従来6300系6354F「京とれいん」を使用していた快速特急は、ホームドア設置の絡みで十三駅を通過せざるを得なくなったため、種別名を「快速特急A」に変更することになりました。
それと同時に、十三駅利用者の利便性を確保すること、同時に休日ダイヤでの増発を図る目的があったことから、従来の停車駅の「快速特急」が梅田~河原町間で計4往復増発されることになりました。

増発分の「快速特急」は当面の間8300系の6両編成による運行となっていましたが、これはあくまで暫定的なもの。去る2019年3月23日(土)より、7000系7006F(6両編成)を改造した2編成目の「京とれいん」である7000系7006F「京とれいん 雅洛」が「快速特急」の専用車としてお目見えしました。
今日は、この「京とれいん 雅洛」のレポートをお届けします。

2019年3月24日(日)のお昼下がり。
阪急梅田駅の発車案内には、13時32分3号線ホーム発の「快速特急河原町行き」が表示されていました。
この列車こそ、「京とれいん 雅洛」が充当される列車です。
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発車案内には「この電車は2ドア車です」の文字が。
種車となった7000系は3ドア車でしたが、「京とれいん 雅洛」への改造にあたって中央の扉を埋め、2ドア車として再デビューすることになりました。
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13時27分、お目当ての「京とれいん 雅洛」が3号線ホームに入線。
運転開始2日目、しかもデビュー前に在阪マスコミがしきりに特集を組んだこともあり、3号線ホームには入線前から相当長い列ができていました。
ホーム先端にいた鉄道ファンの数も、半端なく多かったものです。
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7006Fの行先・種別表示器はもともと幕式でしたが、「京とれいん 雅洛」への改造に当たってフルカラーLEDに換装されました。
種別表示器は、営業運転中は「快速特急 Rapid Limited Exp.」の文字と「京とれいん雅洛 Kyo-train GARAKU」の文字を交互に表示しています。
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前面のヘッドマーク。
すでに好評を得ている6300系6354F「京とれいん」のヘッドマークとは、形状こそ異なるものの、和を基調としたデザインが似ている印象です。
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「京とれいん 雅洛」の編成表
梅田・十三←7006(Mc)+7506(M)+7566(T)+7576(T)+7606(M)+7106(Mc)→河原町・嵐山・西宮北口

梅田寄り先頭車・7006号車(Mc)の側面。
ガラス越しですが、車内に大幅に手が加えられているのがお分かりかと思います。
なお、「京とれいん 雅洛」の各車輌には、それぞれ異なった季節をテーマにしたデザインが施されています。この7006号車の車体デザインは「秋」がテーマとなっており、車体には紅葉があしらわれていました。
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改造時に埋められた車体中央の扉があった位置には、丸い窓が設けられ、それを取り囲むように大きな扇が描かれました。
写真は河原町寄り先頭車・7106号車(Mc)。
「早春」をテーマにした車体デザインで、梅の花が描かれています。
※河原町到着後に撮影
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「京とれいん 雅洛」への改造により、従来車体の腰板に設けられていた車両番号は、妻面の幕板に移設されました。
山陽5000系のリニューアル第一号となった5702Fもそうですが、最近の関西私鉄では最後尾車端部の側面に車両番号を貼付することが流行っているようです。
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取るものもとりあえず、河原町方から2両目(梅田方から5両目)の7606号車に乗車しました。
すでに先客の方が多かったので、着席することはかないませんでしたが、これ幸いとばかりに車内の撮影にトライ。
「初秋」をテーマにデザインされた7606号車ですが、車内は6300系6354F以上に凝った純和風の内装で、派手な扇子が飾られていました。
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中央扉を埋めた位置に設けられた丸窓。
この丸窓越しに、併走する神戸線や宝塚線、あるいは東海道本線の列車を撮るのもいと良きかなというところです。
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紅葉をあしらった欄間、その下に吊るされた簾も趣きがあります。
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さて、この7606号車と梅田寄り2両目(河原町寄り5両目)の7506号車の中央扉撤去跡には、ミニサイズの日本庭園が設けられました。
車内に日本庭園を設けた鉄道車輌は、旧国鉄・JRのお座敷列車を除けばこの「京とれいん 雅洛」が初のケースなのかもしれません。
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こちらは7606号車の「京町家の坪庭」、7506号車の「枯山水の庭」とは様式が大きく異なっています。
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13時32分。「京とれいん 雅洛」による快速特急河原町行きは立ち客満載の状態で梅田駅を出発。
幸いなことに、2駅目の淡路駅で空席が出たので、ここからは座って悠々河原町を目指すことにします。
吊手も、ご覧のとおり木製の特注品が用意されました。
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デッキ部分と客室部分の間には、阪急電車の車体塗装であるマルーン色を連想させる色調の暖簾が吊るされていました。
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暖簾には「京とれいん 雅洛」のロゴも。
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7606号車のロングシート。
畳の上に、和柄のクッションと背もたれが一席ずつ置かれた形状となっています。
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「京とれいん 雅洛」は各車両ごとに座席配置が大きく異なっており(注)、今回乗車した河原町寄り2両目(梅田寄り5両目)7606号車と河原町寄り5両目(梅田寄り2両目)7506号車はロングシート主体となっていましたが、車端部にはご覧のようにボックスシートも設けられています。
(注)河原町寄り1両目(梅田寄り6両目)と河原町寄り6両目(梅田寄り1両目)がクロスシート(ボックスシート)、河原町寄り3両目(梅田寄り4両目)と河原町寄り4両目(梅田寄り3両目)が側窓向きのロングシートと1人掛けクロスシートのミックス。
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車端部妻面には、デジタルサイネージが埋め込まれており、京都の観光地をPRする映像が放映されていました。
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先輩の6300系6354F同様、乗降用ドアの横には、観光案内のパンフレットを配架するためのラックが設けられていました。
竹材や木材を生かした装飾も、いい感じです。
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側面2箇所の乗降用ドア(注)も、京町家の玄関をイメージした格子戸調のものが新たに用意されています。
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さて、阪急京都線では、去る2018年11月3日より、特急用の9300系と6300系6354F「京とれいん」で車内Wi-fiのサービスを開始。幅広い利用者の間で好評を得ています。
この「京とれいん 雅洛」でも車内Wi-fiのサービスが実施されており、フリーパス利用の訪日外国人向けの「HANKYU-HANSHIN FREE Wi-fi」と全ての利用者が無料で利用できる「HANKYU TRAIN FREE Wi-Fi」の計2種類のWi-fiが提供されています。
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この車内Wi-fiを生かした新たな試みとして、「京とれいん 雅洛」では運転室からの前方映像の配信サービスが実施されることになりました。
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「前方映像配信サービス」の利用に当たっては、専用Wi-fi・専用ページへのアクセスが必要となります。
専用ページ上には、「前方映像配信サービス」の利用マニュアルが用意されており、初めて利用する方にも分かりやすいよう工夫がなされています。
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上り河原町行きの6号車(河原町寄り1両目・梅田寄り6両目)からの展望映像。
淡路~上新庄間にて撮影。
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前方映像ですが、スマホを横向きにして鑑賞することもできます。
茨木市にて
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14時17分。「京とれいん 雅洛」は終着駅河原町駅の2号線ホームに到着。
梅田からの乗車時間は約45分。その内装の見事さゆえ、もっと長く乗っていたかったと思わずにはいられませんでした。
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河原町駅のコンコースには、「京とれいん(「京とれいん 雅洛」を含む)」利用者のための乗り場案内が設置されていました。
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「京とれいん 雅洛」の運転開始に先立ち、各駅に掲出されたポスター。
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「京とれいん 雅洛」の運転開始にあたっては、記念入場券、扇子、クリアファイルといったグッズが数多く販売されましたが、その多くが販売開始当日に完売する事態となりました。
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十三駅のごあんないカウンターにて
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基本的には土休日ダイヤで梅田~河原町間の快速特急として運行される「京とれいん 雅洛」ですが、桜が見頃を迎えた3月26~28日・4月2~4日(火~木)には西宮北口~嵐山間の直通特急としても運行され、神戸線の西宮北口や塚口から嵐山に向かう観光客の需要にも応えました。
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十三駅を発車した「京とれいん 雅洛」の快速特急梅田行き。
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こちらも十三駅で撮影した、「京とれいん 雅洛」の快速特急河原町行き。
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阪急電鉄が自信作として送り出した「京とれいん 雅洛」ですが、営業運転開始までの間に在阪テレビ局に相次いで取り上げられたこともあり、鉄道ファンのみならず幅広い層の人たちから熱い注目を集めての船出となりました。
その反響はこれまでにないぐらい高いもので、営業開始直後は始発駅から乗車しても着席することが困難という見事な盛況ぶりでした。

もともと土休日ダイヤでの混雑が常態化していた阪急京都線の特急列車の増発を図るために導入された「京とれいん 雅洛」。出だしの様子を見る限りでは大成功という印象でした。
今後の「京とれいん 雅洛」についてですが、神戸線系統・宝塚線系統向け形式として製造された種車(7000系)の構造を活かして、西宮北口や宝塚、高速神戸発着の臨時列車への登板も期待したいものです。
また、あくまで希望的な観測ですが、個人的には臨時列車での運行や予備車の確保という観点から、6000系や7000系を種車にした「京とれいん」、「京とれいん 雅洛」に次ぐ3編成目の「京とれいん」の登場、さらには今まで阪急電鉄で実績のなかった着席保証列車を導入し、途中駅からの利用者に着席サービスを提供することなどを願いたいところです。

長くなりましたが、阪急京都線の観光客向け臨時列車が、今後とも利用しやすい形で拡充され、発展することを願って結びとさせていただきます。