前回のスライドと併せてご覧いただければ。
トムとジェリーとは
製作はMGM。初上映は1940年。当時はディズニーのアニメーションが隆盛を誇っており、それに対抗すべく参入した会社のひとつです。
まだアメリカでテレビが普及する前、映画館で映画と映画の架け替えの時間を利用して放映されていました。
まさに第二次世界大戦の只中で、戦時色の強い作品も結構あります。
そもそも「トムとジェリー」というタイトル自体、「トム」は米英兵、「ジェリー」はドイツ兵の俗称だそうです。
中でも1940〜58年までのウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラのコンビによる作品の評価が高いです。
これ以降他の人の手による作品がありますが、あまりクオリティが高いとは言えません。
日本で放映されていた時は年代や順番がバラバラだったので、突然絵柄が変わって内容もちょっといまいち、みたいな回があったのはそのためです。
日本では1964年から放送され、何度も再放送されていますが最近は見ないですね。これは暴力表現や差別表現の規制によるものだそうです。世知辛い世の中です。
また、日本のTV版ではナレーションやセリフがありましたが、オリジナル版ではトムとジェリーはほとんど喋りません。
なぜトムとジェリー?
あらためて見ていただければ分かると思うんですが、例えば、歩く、走る、首を振る、笑う、というような擬音が、後付けされた効果音ではなくて一連の音楽のフレーズなんですね。
当然パソコンやシンセなど無い時代。マルチトラックレコーディングが普及するのが'60年代。そもそもステレオですらありません。オーケストラの生演奏(なはず)です。
それでこの音と画のシンクロ具合。一体どうやってるんだろうと思ったわけです。
どうやってるの?
当時のMGMで音楽を担当していたのがスコット・ブラッドリーという人です。
ブラッドリーが得意としたのが、あらゆる動作・感情を音楽で表現すること。
この人が製作の初期段階から参加して、その作品用の曲を書き下ろしていたわけです。ありものの曲を使うのではなく、それぞれの作品のために曲を書いているわけで、ものすごい手間がかかってますね。
日本では毎週(毎日?)放映していたので、日本のアニメと同じような製作期間で作っているようなイメージですが、実際は年に数本(多くて5〜6本)しか製作されていません。そのため1本に多くの時間をかけており、完全に映画を作る感覚で作られていたのではないかと思います。
具体的には、バーシートと呼ばれる、1秒を1小節に区切った一種の楽譜があり、その上段に書き込まれているアクション(どのタイミングでどういう動きがあるかが細かく書かれている)を見ながら、下段の五線譜に作曲していったといいます。このおかげでストーリーにあった曲を前もって作ることが出来たわけです。
こちらのブログにある画像が、そのバーシートの実物です。
これは「Tee for Two」の、4'30''くらいからのバーシートと思われます。
(右上にある、「BAM BAM BAM」っていうのが、トムがゴルフクラブを踏んで自分にぶつかるシーン・・・だと思う)
余談ですが「Tee for Two」ってタイトルがまた洒落てますね(→Tea for Two)。
日本版では日本語タイトル(「目茶苦茶ゴルフ」)に差し替えられていました。こういうのはオリジナル見ないとわからないですね。
さて、このように脚本に沿って曲を作り、その曲に合わせてアニメーションを作り、さらに効果音やセリフなどを重ねることで、音と画が渾然一体となった作品が生まれたわけです。
受賞歴
そんなすごいトムとジェリーは、アカデミー賞を受賞すること7回。
アカデミー賞ノミネートは6回、アニー賞も3回ノミネートされています。
アカデミー賞受賞作のオープニングでは、オスカー像の絵が一瞬出てきます。
そういえば見たような気がするけど、なんのことだかわからなかったなぁ。
The End
最後におまけトリビア。
「トムの本名はトーマスだった!」
トムに100万ドルの遺産が手に入るというお話で、飼い主のマダム宛に来た電報に、「YOUR CAT THOMAS」とあります。
またオリジナルの音声を聞くと、足だけ出てくるあの黒人のおばさんも「トーマス!」って言ってます。
--
ふう、疲れました。このくらいにしておきましょう。
それでわまた!



