著者:ジェリー・ワイズマン
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2004-12-04
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こんにちは、「シーズンII パワープレゼンテーション」のファシリテーターを務めさせていただいた佐々木です。
今日はシーズンIIのプレゼンの内容を振り返りをしながら、しつこくもう一度「プレゼンを上達させる3つの呪文」についてまとめてみようと思います。
記憶は復習をすることでより強く定着しますので、「WIIFYとかもう聞き飽きたよ〜」という方もぜひ最後までご覧ください。いましっかり思い出しておけば、数年は記憶が持続する! かも!
※ちなみに私はプレゼンの専門家でもなんでもありませんので、いち生徒として、気づいた部分をまとめているだけです。えらそうなこと言うつもりはありませんのでどうかご容赦ください。
A to B
プレゼンの大きな目的は、聞き手のことを「A地点」から「B地点」へ連れて行くことです。それには、聞き手の知識や感情の状態(A地点)を把握して、話のゴール(B地点)を明確にすることが何より大事です。
いち聞き手として、プレゼンを聞く前と聞く後でまったく考えが変わるという体験(鮮やかなA to Bの移動)をさせられたのは、石野さんと真田さんのプレゼンでした。
実習プレゼン(file: 03) パラグライダーの世界に一歩足を踏み入れるには
『問題解決型の最大の魅力は、WIIFYという観点が最初から含まれていることだ』
この構成はすんなりB地点(ゴール)を意識できるので、参加いただいた方々に満足を得やすいスタイルかと思います。
石野さんが使ったのが、「問題解決型」というテクニックでした。
テーマが難解な文学よりも、謎が明確なミステリのほうが読みやすいように、「問題解決型」のプレゼンはすごく聞きやすかったです。
一方、あざやかにB地点に移動させたあとの「WIIFY」に悩んでいたのが真田さんのプレゼンでした。
実習プレゼン(file: 02) 本当はすごいトムとジェリー
今回のプレゼンでは明確にWIFFYを意識することができなかった点が一番の反省点な気がします。
なんとなく興味を持ってもらえそうな(自分の好きな)テーマで先に決めてしまったので、自分が話したい内容が優先してしまい、聞き手の利点としては「見てたのしい!」「トリビアを得られる!」くらいしか思いつきませんでした。そのため最後のオチというか締めの部分も中途半端になった気がします。
「A to B」と「WIIFY」は似ているようで違う、というのが一番難しいところだったんではないでしょうか。
たとえば、「タバコの害をよく理解する」というB地点に連れて行くことができたとしても、「禁煙は、あなたにとってこれだけ役に立ちますよ」というWIIFYなければ、聞き手を具体的な行動に導くことは難しいわけですね。
この「いかにWIIFYを設定するか」が、シーズンIIのポイントだったのだなあと今振り返って思います。
WIIFYについて
何度も繰り返している「WIIFY」というのは、「What’s in it for you?」の頭文字を取ったもので、「相手にとってなんの役に立つの?」という意味です。B地点に行くことによってどんなメリットがもたらされるのかを伝えることで、A地点からB地点に移動する聞き手のモチベーションが変わります。逆に、そのメリットが伝わらないと、聞き手はなかなか心を動かしてくれません。
それをうまく設定してあるなと思ったのは、北村さんとマヨさんのプレゼンでした。
実習プレゼン(file: 04) 女ゴコロがわかる方法 -おひとり様物語を読み解く
。WIFFYとテクニックを先に決めてから、テーマを決めました。WIFFYは、「女性の心がわかったらモテる」という目的、テクニックは以下の「企業名を言う」「箇条書きの階層」「特徴・メリット型」を使いました。
実習プレゼン(file: 07) -オトナのための仮面ライダー講座-
ということで、「既成概念にとらわれず、変化を恐れず、時代とともに大胆に進化しようとする姿勢をビジネスとして見習うべき」という結論に持っていきました。
どちらのプレゼンも、話の内容そのものは個人の趣味を爆発させたものでしたが、「女性の心がわかったらモテる」とか「ビジネスとして見習うべき」といったWIIFYが具体的だったので、自分の懐に引き付けて理解できました。
「仮面ライダーっておもしろいでしょ!」というだけでは、一部の人しか話を聞いてくれないと思いますが、「仮面ライダーはこんな風にあなたの役に立ちます。だから仮面ライダーっておもしろいでしょ!」という言い方だと、より多くの人が心を動かしてくるんではないかと思います。
Less is Moreについて
「少ないほど豊かである」という意味ですが、他にも「シンプル・イズ・ベスト」とか「過ぎたるは及ばざるが如し」とか同様の表現が多くありますが、これはプレゼンの場合でも同様です。
これがとても印象的だったのが、豪さんと薮田さんのプレゼンです。
・実習プレゼン(file: 01) そうだ、シモキタ 行け
・実習プレゼン(file: 05) -生き残れPhotoshop-
文字を詰め込まず、ビジュアルを工夫し、自分の言葉でしゃべってプレゼンする、というスタイルがとてもよかったです。さすが関西人コンビ、と思わずに入られない感じでした。
Less is Moreに関わって、阿部さんはこんなことを書いています。
実習プレゼン(file: 06) -やさしい給水塔鑑賞入門-
結論から先に話す、という事が良い会話術のひとつであるように「これから何を話すかを話す」も聞き手のストレスを軽減させ、プレゼンを聞く姿勢をとっていただく方法のひとつではないでしょうか。
時間に追われるマネージメントレイヤーの方々に向けて話を展開する場合、絶対に必要なポイントです。この話を聞くメリットはあるのか? あるとしたらそのメリットとは? この2つを「これから何を話すかを話す」に織り込み、相手に伝えます。
不要な文字やスライドを刈り込むだけでなく、話の展開そのものに対しても「Less is More」をチェックする視点を持ち込む、という意味でとても参考になりました。
まとめのまとめ
勉強会を進めてみて一番良かったのは、ふだんの仕事でも、「WIFFYが足りなかったな〜」とか「この話のB地点はどこだろう?」ということを言い合うようになったことです。つまり、このテクストが共通言語になったことで、共通の目標へ到達するための会話のスピードがあがりました。
そのことを意識したのは、河野さんからの以下のメールです(河野さんと私のふたりがとある仕事でプレゼンをしたときの反省会のメールです)。
プレゼン反省日記
人数が多かったので、例の本のP.44の理解度グラフ的にもあるように難易度が超高かったですね。
そもそも、知識とか活動原理とかを知ることからスタートしないといけないので、あの時点では仕方ないと思います。これからの課題ということで。
ちなみにこのとき、私から河野さんへは以下のようなことを言いました。
実習プレゼン(file: 08) - 利用しないと損!? 〜健保組合の福利厚生〜
「発表しているスライドで何を話せばいいかを忘れてしまうのではないかという不安がスライド内への書き込みを増やすので、本で書いてある通り事前に声に出して練習をしてその不安をなくせば、スライドに書き込む必要もなくなるはず」
ひとつのプレゼンでこうやって反省会をする状況がうまれたということが、シーズンIIの効能だったかなと思います。
そして河野さんはシーズンIIの発表の大トリを務めて、かなり完璧に近い(と私には思われる)発表をされました。結果的に、一番最初に発表した私のプレゼンが一番しょぼかったという、勉強会として非常に正しい展開でしたw
というわけでみなさまどうもお疲れさまでした!
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