DSC06171 風上に向かってセーリングしているヨットが方向を変える時は コックピットで 「タック」 という操作をします

 1.ラット(自動車のハンドルと同じ)をヨットが曲がる方向に回す
 2.ヨットの風下にはらんでいるヘッドセールのシート(ロープ)を緩める
 3.新しくかわる風下側に入れ替わってくるセールのもう一本のシートを ウィンチを回して引く

 これらの操作を同時におこなう忙しい作業で 「タック」 が終わり 新しい方向にヨットが安定したセーリングを始めても まだ作業が終わったわけではありません 
コックピットの中で乱雑に生き物みたいにのたくりまわってすぐお互いに絡まったりどこかに引っかかったりするシートを きちんと整頓して はじめて 私のヨットでは 「タック」 が終わるのです

 次の 「タック」 がトラブルなく行えるように そして何よりも突風に襲われた時など 絡んだシートがリリース出来ずヨットの横転などにつながってしまう 起こることはまず無いであろう万が一のリスクをも避けるための備えです 

 
住宅建築現場でも 「作るそばから片付ける」 がどこまで徹底されているか は 施工する建築会社の 住宅造りの姿勢 が良く見える部分である と私は思っています

 住宅建築現場は 一つの場所に とび職 大工職から 建具職 塗装職 内装職など そして 電気工事 給排水工事を行う人達等々 何十種もの職種の人達が 入れ替わり立ち替わりとりついて作業をする という工程をへて完成へと向かいます

 工程が進むにしたがい 部材の端切 材料の切断時に出る粉塵 取付ける商品の梱包材料等で現場はあっという間にゴミの山になり その結果 出来上っていく建築物の汚れ 付いてしまった傷 などに対しても関心が薄らいで行きます

 それぞれの工程で作業する人達が その工事の跡をキレイにして次の工程の作業をする人達にその場所を引き継いで行くとすれば 次の工程を引き継いだ人達も 自分の作業後のゴミをそのまま残して次の工程に引き継ぐ ということにはならないでしょう 
そしてこれらのことは 精度の高いきちんとした良質の住宅を造ろうという姿勢のもとに現場の工程を進めていく建築会社の強い意志と指導力があって初めて実現することだと思います

いつも このような素晴らしい建築現場に行くことを願って 今日も住宅設計に励みます 



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